Senses Lab. トップ インタビュー 成果を上げ続けるBtoB組織の共通点とは?(才流 栗原氏☓マツリカ 黒佐氏特別対談)

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マツリカ代表の黒佐が、業界で活躍するキーパーソンと対談する本連載。今回は、BtoB企業のマーケティング支援をおこなう株式会社才流 代表取締役の栗原康太氏を対談ゲストに迎え、「成果を上げ続けるBtoBマーケティング&セールス組織の共通項」を、組織の連携やITツールとの向き合い方などの観点から、両者の目線で考える。


 

BtoBマーケティング成功の要因は「実行力」

ー黒佐英司氏(以下、黒佐) 今回、栗原さんとの対談テーマは「成果を上げ続けるBtoBマーケティング&セールス組織の共通点」です。まずは才流のマーケティング支援についてですが、年間でどのくらいの企業を支援されているんですか?


ー栗原康太氏(以下、栗原) 40~50社ほどです。去年まではスタートアップや数十人規模の会社のマーケティングの代行がメインでしたが、最近はマザーズ上場前後の企業からの問い合わせが増え、コンサルティング型の支援がメインになっています。圧倒的にSaaSをはじめとしたIT/Web系のBtoB企業が多いですね。

ー黒佐 スタートアップの初期だと、マーケの専任を置いたり知識も経験もある人を見つけることすら大変で、丸ごと代行するパターンが多いと思いますが、上場前後になると社内にマーケ専任の部署ができていたりもします。支援先のフェーズによって、課題感や求められることも変わってきますか?


ー栗原
 マザーズ上場前後の企業の課題として大きいのは、上場まではアウトバウンド主体でやってこれたけど、だんだんと営業効率が下がってきて、インバウンド主体に変えていきたいとか、マーケドリブンに変えていくにしても、それまで営業ドリブンでやってきたから社内に全くノウハウがないなどですね。


ー黒佐 もう一度しっかりとマーケティングをやることに課題を感じて、そこに時間とお金を投資したい企業が支援を求めてくるんですね。もちろん皆さんに対して公平に支援される中で、組織によって成果に差が出ることもあると思います。組織側の意識や体制など、成功する要因はあるんでしょうか?


ー栗原
 一言でいうと、実行力が高いかどうかに尽きます。たとえば、支援先と月に1回打ち合わせをする中で、成果が出にくい会社は、施策の提案をしてから1ヶ月経った次の打ち合わせでも進捗率が50%もないんです。その翌月の打ち合わせに行くと、さらにまた低い進捗率だったりする。

一方で成果を出す会社は、提案から半月後にはすべて終わらせていて「次の施策はないですか?」とチャットで聞いてくる。シンプルにこの差が大きいです。当然ですが、後者は打ち手を進めるに応じて、社内に知見やデータがたまり、マーケティング活動の精度がどんどん高まっていきます。

先日、MarkeZineの連載「リード数を30倍に増やした会社が3年間のプロジェクトで取り組んだこと」で3年でインバウンドリードを30倍にした案件を紹介したのですが、まさにこのプロジェクトは、提案した施策の1ヶ月内実行率がほぼ100%でした。


ー黒佐
 組織としては「実行力」が大きな成功要因になると。その要素として、支援先のチームの質や人数によって成果が異なることもありますか?


ー栗原
 決定的な違いは、意思決定者がマーケティング活動にコミットしているかどうかです。「BtoBマーケを強化しよう」と言う人は多いですが、思ったり、口にするのと実行するのとはまったく違います。もうひとつは単純に、担当者のリソースがあるか。ほかにも実行力を左右する要素はありますが、多少工夫すればどうにかなります。でも、そもそも意思決定者が関与せず、担当のリソースもなければ、その先を工夫したところで難しいですね。


ー黒佐
 逆に、成果を出すのに時間を要する例もありますか?


ー栗原
 組織側の実行力以外だと、組織体質の話は大きいですね。それまでゴリゴリの営業でやってきたところが、マーケ体質にシフトしようとすると、最初の半年ぐらいは苦戦することが多いです。顕著な例だと、既存のリードに対して定期的にメール配信をする場合、営業体質の会社はメールマガジンが営業メールのような内容になってしまうんです(笑)。顧客の反応を見ながら変えていく中で、読み手にとって価値のある内容に変わっていきますが、組織が「マーケティング感覚」を身につける期間がありますね。


ー黒佐
 マーケの感覚を持つことも重要になるんですね。組織として成果を上げるためには、営業とマーケだけではなくて、デザイナー、エンジニアなど全体が連携することも必要になるのでしょうか。

 

ー栗原 そもそもが縦割りの組織だとマーケの所掌範囲が限られてしまうので連携しづらいですね。我々としてはインサイドセールスにもフィールドセールスにも踏み込みたいんですが、たとえばインサイドセールスのスクリプトがほしいと言っても「マーケの責任範囲はリード獲得まで」と言われて、タッチできない場合もあるので。


ー黒佐
 「マーケとセールスの壁」なんていう話も耳にしますが、縦割り組織でもない限りはマーケからセールスへの仕事の流れもあるので、両者は切り離せない存在ですよね。


ー栗原
 前提として、スタートアップだと、営業とマーケが連動できていないことってあまりないと思うんです。我々が関わる会社さんの中では、「壁」はそこまで感じないですね。歴史のある企業だと、既存のお客様や営業が抱えている名刺リストに当たればよかったりするので、マーケの必要性はないと言われたり「壁がある」の話にもなるんですが、新規顧客をどんどん獲得していかなければいけないスタートアップやIT系のベンチャー企業だと話は全然違います。

でも、歴史のある企業でも、新規市場を攻めるケースにおいては、リードを取ってこざるを得ないので、マーケ部門の重要度が上がります。工程的にもマーケが先なので、営業に良いリードを渡すという気持ちを持って連携を図っていくことが大事になりますね。


ー黒佐
 セールスもマーケティングも、世の中にサービスの価値を知ってもらう活動をしていて、そのサービスを売ろうとしている点では同じだと思います。


ー栗原
 結局目指していることも、本質的にやっていることも一緒だから、セールスとマーケが仲良くやっていければ、最終的にも大きな成果に繋がりますよね。

 


総合的なマーケ戦略を考えられる人がいない「ドーナツ化現象」


ー黒佐
 栗原さんはマーケターとしての経験をもって、現在のサービスを提供していると思います。組織として成果を上げるために、企業のマーケターが意識すべきことはありますか?


ー栗原
 今、デジタルマーケに特化した代理店や制作会社、ツール提供会社が多くある中で、マーケティング全体を支援する会社はほとんどいないんです。僕はそのことを「ドーナツ化現象」と呼んでいます。昔は展示会や、SEO、サイト改善くらいしか手段がなかったけど、今はMAやチャットボットツールがあったり、コンテンツマーケティングやABMなどの手法もかなり増え、周辺部分は充実しています。でも真ん中の、そもそも誰に向けて価値を届けるか、とか、どんな順番で施策をやるか、組織をどう作るかなどの根本的な戦略、施策を考えられる人や、それを支援できる人はほとんどいない。

前職ではある事業のマーケティングを担っていましたが、はじめはドーナツの真ん中の部分(戦略や計画の立て方)が全然わからなかったんです。一通りの施策はやってみたものの、仮説が強くあったわけでもないので手当たり次第な状況で。リスティングで100万近くのお金を使っても全然コンバージョンが取れずに怒られたりして(笑)そうやって、ドーナツの周辺から入ってしまい成果が出るまでに時間もお金も浪費した経験があるからこそ、真ん中の重要性を身を以て理解しました。


ー黒佐
 個別の手段に関する専門家は多くいても、総合的な戦略を考えられる人はなかなかいないと。事業の根幹にも関わるからこそ、外部にも頼めずに悩む企業は多そうですね。


ー栗原
 そもそもですが、世の中で発信されている情報、僕らでいうとマーケター向けの媒体を見ると、ほとんどはまわりの部分のツールベンダーや広告代理店が発信している情報だから、この施策は成功した、この事例は良いって話ばかりが流通するんです。でも、本当は失敗事例とか「こういうときにこれは向かない」「これはやらないほうがいい」という情報があって初めて、意思決定者は判断できると思うんです。だけど後者の中立的な情報を発信するインセンティブを持った人は存在しないんですよね。だから「これをやるべき」という情報ばかりが出続ける。そこには大きな課題を感じますよね。


ー黒佐
 それは大いにありますね。セールスの領域でも同じで、「SFAを導入したほうがいい」という情報が多くある中で、企業も導入自体を目的にしてしまうんです。すると、結局何のために使うのかが不明確なままで、上手に活用も運用もできないんですよね。

ドーナツの真ん中、いわば戦略や計画を考えられるマーケターを育成するには、組織としてどのような考え方が必要になってくるのでしょうか。


ー栗原
 僕の中では、お客様に対する理解があるかどうかだと思うんです。なので、とにかくマーケターはお客様と会うことが大事です。営業に同行したり、実際に自分で営業したり、ユーザーインタビューをしたり。お客様にインタビューするって、起業家にとっては当たり前だし事業創りの第一歩じゃないですか。マーケターにとっての第一歩も同じです。お客様に対しての解像度を上げる。これが、ドーナツの真ん中を理解する最短の道だと思います。

真ん中がないからよくわからないままにMAやSFAを入れたり、謎の広告媒体にお金払ってしまう。真ん中をわかっていれば、あとはそれこそ手段、ツールであり、適切に情報を得ながら意思決定していけばいい。


ー黒佐
 それこそセールス領域でいうと、売れる型はこうで、あなたたちもこのSFAでこの型でこうやれば伸びますよって情報が出回るけど、結局、組織によって体制も売るものもマーケットもフェーズも異なるから、全部にハマるわけがないんですよね。本当は組織自身で各々の型をつくらないといけない。だから、自分たちの商材が何なのか、お客様や市場がどうなのを理解した上で、営業戦略を立てて、各KPIに落とし込むことがすごく重要になりますね。

 


セールス組織が成長するためには「学び続けて自分たちの型をつくる」

 

ー栗原 僕はセールスに関してはそこまで詳しくないので、どういった形でそれぞれの組織の型を組み立てていけばいいのかは、今日一番お聞きしたいポイントでした。


ー黒佐
 根幹として「学び続ける」ことが大事です。まずは数を試すこと。たとえばリードが10件あったとして、それぞれ業種、規模、課題は異なりますよね。ぱっと見の課題は一緒でも、細かく見ていくと根本はそれぞれ違うんです。だからこそ、どういう提案、資料が刺さるか、どういう見せ方をしてどうなるかも全部異なるので、繰り返し数を打ちデータを取り続けて、仮説を立てるんです。それを続けて、このパターンは多分似ている、だからこの手法や型で進めればいけるというのを少しずつ構築して、自分たちの勝ちパターンを作っていくことが必要だし、重要です。


ー栗原
 個別の営業パーソンだけでなく、営業部長などの立場でも仮説立案をしたほうがいいんですか?営業部長って仮説立案や検証を苦手とするイメージがあります。


ー黒佐
  マネジメント層も一緒に仮説を立てるほうが良いですが、栗原さんのイメージもあながち間違いではないんです。その理由として、営業畑では仮説立案やチームマネジメントが優れた人よりも、売った人が出世する傾向が強いことがあります。でも売れることとチームを成功に導くことは、基本的には別物ですよね。


ー栗原
 たしかに僕も営業を2、3年やっていましたが、できる営業の人に教えてもらったことはどうヒアリングして、どんな提案を作るかなどで、どの顧客セグメントに当たりに行くか、自社のポジショニングをどこに置くかといった戦略とはあまり関係がなかったですね。売れる人たちもなんとか後輩を育ててチーム化したいけど、育てる方法がわからずに悩んでいた印象です。


ー黒佐
 営業という仕事自体が属人化しやすい上に、個々の会社で売れる人・売れない人の差が出る要因は様々で、一般化して言えることではないんです。自社においてなぜ差が開くのかを解明して学び続けないと、結局売れる人が辞めたら売れなくなって、組織としての成長は止まってしまう。売れる人は、その仮説検証を自分の頭の中で常にやり続けているんですよ。でも自分の中だけで検証しているから、組織としての資産にはならない。この暗黙知を形式知にして、会社としてのナレッジ、資産として残していくことがすごく重要だと思いますね。

 


売れる人のナレッジを暗黙知から形式知へ、ITツールで成果をあげる組織の特徴

 

ー栗原 そのあたりの重要性は、御社のプロダクトにも反映されていたりするんですか?Sensesを使うと形式知になりやすいとか。


ー黒佐
 開発当初からそこを目指してきました。わかりやすいものだと、「おすすめアクション」という機能は次の行動をサジェストしてくれます。たとえば提案に行くタイミングでどんな資料を使えばいいかを、AIが仮説立てするんです。

経験値が少なく仮説立てが難しい場合でも、会社の資産を活用して、AIが過去の提案から今の状況に一番近いデータを引っ張ってくるんですね。すると、今回の訪問先はこれくらいの従業員数でこんな業種だから、この商品を提案するならこの提案書がいい、ということを知ることができる。もちろんサジェスト内容を自分で変えてみるのも構わないし、そうするとまたブラッシュアップされたデータが会社の資産として溜まっていきます。


ー栗原
 使うことで精度を高めていける機能ですね。そのSensesを活用できる組織とそうでない組織では、どんな差、傾向があると考えていますか?


ー黒佐
 基本的にはどんな会社でも使えるSFAですが、運用にのりにくい会社でいうと、これも一緒だなと思ったんですが、やはりトップのコミット度合いは大きな要因ですね。いくら便利でもツールは手段でしかないので、組織として自社の営業をどうしていきたいか、トップのコミットとそのメッセージがちゃんと伝わっていないと難しいです。上も下も組織全体でツールを活用すると成果が上がるという話なので。


ー栗原
 先ほどの話でいうと、導入先の営業マネージャーや担当者がマーケ的な視点をもっているかどうかも、SFA活用の鍵になりそうですね。


ー黒佐
 たしかに、営業畑で営業だけをやってきた社長にはハマりにくいですね(笑)トップ営業マンとしてごりごりに売ってきた人だと、売れない人の気持ちがわからないんですよ。なんで売れないの?と思うくらいに。自分の中ではこうやったらできるという完全な暗黙知があっても、他の経験をせずにトップになった場合は、それを形式知にしたりKPIに落とし込んだりしてきていないことが多い。だから逆にSFAがハマりにくいことはありますね。


ー栗原
 
カルチャーフィットってマーケの文脈としてもあるんですよ。ツールを使うのに慣れている、データドリブンな動きが得意な会社と、もしくは展示会やイベントでの突破力の高い会社がある。必ずしもデータドリブンにならないと成果を伸ばせない、突破力が高くないと事業が伸びないという訳ではないと思っています。マーケの施策をやるにしても、会社によって合う合わないがあるんですよね。コンテンツ発信が合う会社と、正直がんがんテレアポしたほうが上手くまわる会社があったり、営業でもそれぞれ向き不向きがあるのかなと。


ー黒佐
 だからこそ、組織で「学び続ける」ことは重要になると思っています。それぞれ違う事業、マーケットの中で、個別に学んで型をつくっていける組織は強い。学ぼうという意思と、組織の型を持っていることが、成長に当たってとても大事ですよね。

 

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