人員不足や業務の複雑化・多様化により、十分なリソースを営業活動に費やせず、目指すべき営業活動ができていない企業は多いのではないでしょうか。こうしたジレンマを払拭する手段として、法人営業にAIを活用する気運が高まりました。
なかでも一定のタスクを自動化できるAIエージェントは、新しい概念として注目を集めています。この記事では法人営業が抱える課題と、その解決策としてのAIエージェントの有用性を解説します。
この記事の内容
法人営業とは
法人営業とは、株式会社などの企業を取引相手とする営業を指します。いわゆる企業間の取引である「B to B」営業のことです。対する言葉として個人営業「B to C」は、「個人=一般消費者」に直接、製品やサービスを提供する営業です。
法人営業においても「新規開拓営業」「ルート営業」など、対象とする顧客の違いにより、スタイルがわかれます。
法人営業とAI
法人営業にAI技術を活用する気運が高まるなか、しばしば「AIの発展により営業の仕事がなくなる」という論調もあります。しかし、営業は「人間同士のコミュニケーションによる信頼関係の構築」が本質です。AIにも不得手な分野があるため、すべての営業がAIに置き換わるとは考えにくいでしょう。
あくまでAIはサポートツールとして活用し、本来注力すべき顧客との接点を増やすための時間を捻出する手段とすることが、進むべき正しい道といえます。
マッキンゼー&カンパニーによると、営業活動にAIを活用すると「既存の業務の3割が自動化できる」というレポートもあります。AIの活用を進めることは、もはや競争力強化における必須課題であり、人員不足をはじめとしたさまざまな課題の解決策として、取り組むべき施策といえるでしょう。
参考:マッキンゼー&カンパニー「営業自動化: 収益向上とコスト削減の鍵」
AIにより解決可能な法人営業の課題
ここで法人営業における課題を整理しておきましょう。多くの企業が頭を悩ませている課題としては、主に以下の4つが挙げられます。
- 営業人材の不足
- 営業活動の複雑化
- 顧客対応に集中できない環境
- 進まないデータ活用
詳しく見ていきましょう。
営業人材の不足
あらゆる職種・業種において人材不足が問題となるなか営業も例外ではなく、十分な人的リソースを営業活動に割けない課題を抱える企業は少なくありません。高い離職率により人材育成が進まないことも、解決しがたい課題となっています。
営業における人材不足は、既存顧客への売り逃しや新規開拓の鈍化などの機会ロスを生じます。業績低迷の原因となり、さらに人件費をかけられないという悪循環を招くでしょう。
営業活動の複雑化
近年、顧客のニーズの多様化・細分化が進み、営業活動は複雑になっています。セールスチャネルも増加しており、一律的な提案では具体的な成果を上げにくい環境になりました。
加えて、インターネットやSNSの発展で情報管理も複雑化しており、有効なリード獲得や顧客満足度の向上の施策に対する難易度が高まっています。
顧客対応に集中できない環境
多くの営業現場の課題として、営業活動に付随する事務的な作業に時間を取られていることが挙げられます。提案資料・見積書作成、日報による社内報告など、事務作業に追われる状態をなかなか改善できないようです。
こうした環境が改善されない限り、顧客との関係強化や新規顧客獲得に注力できません。本来の「目指すべき営業活動」ができないというジレンマを抱えたまま、競争力を低下させることになってしまいます。
進まないデータ活用
データ活用が進まないことも課題として挙げられます。顧客に関するデータや情報が、個々の営業担当者に点在し、一元管理が進まないことが原因の一つとして考えられるでしょう。
実際、ある調査によると「営業組織における意思決定にデータを活用するか」という問いに対して以下の結果が出ています。
- データを重視 44.5%
- 感覚を重視 55.5%
データを重視する企業は半数を切っており、いまだに感覚重視の意思決定がなされている現状が浮き彫りになりました。この原因として多くの企業が「データを適切に扱える人材の不足」を挙げています。
参考:HubSpot「日本の営業に関する意識・実態調査 2024 の結果を HubSpot が発表」
AIを用いた法人営業効率化のツール
上記に挙げた法人営業の課題を克服することが、競争力強化のカギを握るといっても過言ではありません。解決の方法として真っ先に考えられるのは、営業効率化ツールの利用です。
各社からさまざまなツールが提供されていますが、CRMツールでもSFAの機能を有しているというように明確に色分けができない側面もあります。導入の際には、どの機能に強みを置いているかを確認し、自社の課題と照らし合わせ検討するとよいでしょう。
ここでは、よく活用される営業支援ツールの種類と概要を解説します。
SFA(セールス・フォース・オートメーション)
SFA(セールス・フォース・オートメーション)とは、日本語では「営業支援システム」と訳されます。ブラックボックス化しやすい営業プロセスを可視化し、一元的な管理を可能にするツールと捉えればよいでしょう。
【SFAの主な機能】
案件管理 |
各担当者が進行している案件と進捗状況を把握できる |
顧客管理 |
顧客に紐づく情報(担当者・決済権者・取引履歴・クレーム履歴)などを一元的に管理 |
行動管理 |
営業担当者の活動状況を管理(訪問数・商談数・アポイント数・成約率など) |
予実管理 |
各営業担当者の報告から確度の高い売上予想を抽出 |
商談管理 |
商談内容のアーカイブ化(情報共有・引継ぎ等に活用) |
こうした情報を管理することにより、重要度・優先度の高い案件にリソースを集中させるといった施策を可能にし、業績の向上につなげていけます。
SFA製品の機能例「Mazrica Sales」
製品として提供されているSFAの機能を例として紹介します。「Mazrica Sales」は、マツリカ株式会社より提供されているSFAツールで、優れた操作性に定評があります。
【Mazrica SalesのAI機能】
AIフォーキャスト |
・予実管理を可視化する機能 チームごとや案件ごとの予算と実績の差分を分析し、優先度の高い案件の判別や現状の営業活動の改善点等をスコア化し提案 |
インサイト機能 |
・過去データによる案件の進展予測 データにより、進行中案件のリスクや、時系列に沿った起こすべきアクションを提示し目標達成を支援する |
セールスメトリクス機能 |
・営業人材の育成 個々の営業人材の強み・弱みを分析・可視化し組織的な営業力強化を支援する |
ファイル検索機能 名寄せ機能 |
・営業業務の効率化・時間短縮 必要な情報を必要な時に取り出せる 顧客情報の重複を整理し検索性を向上させる |
AIキャンペーンメール |
・メール文章作成 特定のキーワードから用途に応じたメール文面の作成 |
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、日本語では「顧客関係管理」と訳され、主に顧客との関係性にフォーカスした営業支援に強みを発揮するツールです。
【CRMの主な機能】
顧客情報管理 |
過去の顧客との接点を管理(購入履歴・問い合わせ履歴・商談内容など) |
メール配信 |
既存顧客に有益な情報を送付しアップセル・クロスセルを促す |
問い合わせ管理 |
過去の顧客からの問い合わせをアーカイブ化 |
プロモーション管理 |
過去のプロモーションの内容・実績を管理 |
SFAが商談等の営業プロセスを支援するのに対し、CRMは取引実績のある顧客を定着させリピーターにする取り組みを支援すると考えればよいでしょう。
MA(マーケティング・オートメーション)
MA(マーケティング・オートメーション)とは、マーケティング活動を仕組み化し自動化するツールを指します。主にリード(見込み客)獲得のフェーズで活用され、獲得から商談につなげるまでの一連の流れを管理することもできます。
【MAの主な機能】
リードの一元管理 |
セミナー・展示会等で交換した名刺やWeb上から抽出した情報をリードとして一元管理 |
リードの評価 |
獲得したリードを評価し、成約の可能性から優先度・重要度を判定する |
コンテンツ管理 |
リードを獲得するための手段(ランディングページやSNSなど)を管理する |
メール配信 |
顧客の嗜好やニーズに沿った情報発信をおこなう |
効果的にリードを獲得し、見込み客に対し自社の製品やサービスに対する関心を高めてもらうことを目的としています。
営業AIエージェントという選択肢も
SFA・CRM・MAは、それぞれカバーする営業のフェーズが違い、製品によっても強みとする領域が違います。導入を検討する際には自社の課題と、欲しい機能が完璧にマッチすることは稀で、業務のすべてが自動化できるわけではありません。
AIエージェントとは特定の目的の達成のために、自律的に複数のアプリやシステムを稼働し、タスクを実行する仕組みです。特徴は人間の細かい指示がなくとも、AIが単独で判断し複雑なタスクをこなす点にあります。
法人営業の分野でもAIエージェントは注目されており、インサイドセールス・カスタマーサービスの自動化、営業組織のノウハウ・情報共有の促進や人材育成など、幅広く活用が模索されています。
営業AIエージェントを活用するメリット
ここではAIエージェントを法人営業に活用するメリットについて解説します。営業活動にAIを用いて業務を自動化することにより営業担当者は、顧客との関係強化や新規顧客獲得のための活動により多くの時間を割けるようになるでしょう。以下、具体的なメリットを見ていきます。
- 営業プロセスの自動化が図れる
- データに基づいたアクションが可能になる
- 顧客満足度が向上する
- 営業スキルの底上げと標準化が図れる
営業プロセスの自動化が図れる
AIエージェントの活用により、多くの定型業務の自動化が見込めます。見込み客の選別からアプローチ、顧客のニーズに沿った提案書の作成、メールへの問い合わせ対応などが自動化されることにより、営業担当者は本来注力すべきコア業務に集中できるでしょう。
人的リソース不足の解決策となるばかりでなく、顧客アプローチの質の向上と量の増加が見込まれるため、業績に与えるインパクトも大きくなります。
データに基づいたアクションが可能になる
AIエージェントは、データ分析においても強みを発揮します。膨大な過去の顧客データやWeb・SNS上のデータを分析し、自社の営業活動に役立てることができます。
成約の可能性が高い見込み客の洗い出し、既存顧客データの活用による優先度・重要度の分析、商談履歴を活用した商談シナリオの作成など、さまざまな活用が期待できるのです。
顧客満足度が向上する
データの活用が進むことにより、個々の顧客のニーズに沿ったパーソナライズされたアプローチが可能です。顧客が今必要としている情報をタイムリーに提供できることで、より強固な関係性を築けるようになります。
また、カスタマーサービスに活用すれば、定型的な対応についてはかなりの範囲で自動化が可能です。24時間365日の対応が可能になることにより、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。
営業スキルの底上げと標準化が図れる
AIエージェントに蓄積された営業情報はノウハウの宝庫であり、人材育成にも活用が可能です。過去の成功事例から、成果につながりやすいトークスクリプトを作成するなど、組織全体のスキル底上げや、業務レベルの標準化が図れます。
営業スキルを体系的に身につけられる環境が整うことで、早期の育成が可能になります。また成果が出やすくなることで、営業担当の自信が芽生え、離職等の問題も解消に向かうかもしれません。
営業AIエージェント「DealAgent」とは
株式会社マツリカが提供する、営業AIエージェント「DealAgent」は営業活動をAIでアシスト、自動化を促進するツールです。以下の業務をアシストし、営業活動を支援します。
【DealAgentによりAIが代行できる業務】
これらの業務を忙しい営業担当者に代わりDealAgentが代行することにより、具体的には以下に挙げるような効率化が見込めます。
- 商談準備時間、顧客対応時間を10分の1に
- 商談実施可能時間を5倍に
多くの営業担当者が、本来注力すべき顧客との関係強化・新規顧客の開拓に集中できるため、高い成果を上げ業績の向上につなげていけるでしょう。
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「DealAgent」でできること
DealAgentは、社内や顧客とのナレッジ共有を促進し、顧客とのコミュニケーションの強化を図ります。情報収集から整理・分析、それに応じた顧客へのアクションを自動化します。まるで「営業にとっての第三労働力」として、営業力の強化に寄与するでしょう。
【主な機能】
- 営業資料・製品動画など営業ナレッジの一元管理(社内向け)
- 製品・サービス情報の一元管理(顧客向け)
- 顧客からの質問回答・セールス活動を自動化
- 顧客との対話履歴やサイト内の行動履歴よりニーズに沿った提案をサジェスト
- Web上のデータから顧客情報の事前調査
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まとめ
法人営業を取り巻くさまざまな課題解決に向け、営業AIエージェントは大きな期待が持てる仕組みです。AIエージェントのように特定のタスクを高度に自動化してくれる仕組みは有益で、効率化により捻出された時間でより顧客との関係強化に注力できる環境が構築されます。
まるで、24時間働き続ける新たな「労働力」として、営業活動を支援し収益の向上に寄与するでしょう。