近年、「チームビルディング」という手法が注目を集めています。従来日本の営業スタイルはどちらかというと個人の力に寄る事が多かったと思います。しかし、時代の変化とともに個人の力ではなく組織の力の必要性が訴えられるようになりました。

そこで組織に共通の目的意識を与え、組織力を向上させる「チームビルディング」に注目が集まっています。今回、タックマンモデルという具体的な取り組みを交えながら、チームビルディングを紹介したいと思います。

チームビルディングとは

チームビルディングとは?タックマンモデルと具体的な取り組み方|Senses.Lab|1

チームビルディングとは、目的達成のためにメンバーが協力して、主体的に行動するグループや組織のことを言います。組織そのものを指す場合もありますが、そのための組織づくりの手法のことを指す場合もあります。

メンバーがお互いを刺激し自律的にスキルアップしていくため、人材開発や社員育成研修で注目されています。

このチームビルディングは新入社員からマネージャー、経営層に至るまで、会社組織へ所属するあらゆる人が対象となります。

これまで日本型のチームは1人のリーダーが組織を引っ張り、全責任はリーダーが負うものとされてきました。しかし、これではリーダーに対して責任と同時にプレッシャーやストレスがかかり、結果的にリーダーの能力が十分発揮できない環境でもありました。

現在では組織を引っ張る、スキルの高いリーダーを求めるのではなく、組織に所属するメンバー全体のスキルをアップさせて組織力を高める手法が主流になりつつあります。

チームビルディングにあたって重要なタックマンモデルとは

先ほども書きましたが、チームビルディングはメンバーがそれぞれの得意なスキルを発揮しながら、自律的に行動して目標を達成する組織・組織づくりのことです。

チームビルディングを5つのステップに分けて説明している「タックマンモデル」というプロセスモデルがあります。このモデルを使ってチームビルディングのプロセスをご紹介したいと思います。合わせて各ステップで大事なこととチームが進むためにリーダーがするべきこともご紹介します。

1.形成期
配属されたばかりの新入社員や新しい新規部署に配属された社員を思い浮かべて貰えればわかりやすいと思います。新しい部署を立ち上げる時や新しいプロジェクトを開始するときも最初は形成期から始まります。メンバーのことも組織の目標も定かでは無い状態です。

新しい部署やプロジェクトも同様に、目標がまだ設定されていなかったり、チームのメンバーと一緒に働いたことがないなどとったことがある場合があります。

このフェーズでは、メンバーの間には緊張した状態と一歩引いている姿勢が見られます。

形成期のリーダーの役割は型を作ることです。目標も決まっていない、誰が何を担当しているかも決まっていない状況から始まって、チームメンバーの目標と具体的にやることを明確にして、彼らに納得してもらうのがリーダーの仕事です。

2.混乱期
新しい組織で個人のことを詳しく知らなくてもプロジェクトは開始されます。

混乱期は組織で目標が立てられプロジェクトが開始されたばかりの状態です。プロジェクトが進むにつれてメンバーの意見が活発になり、時には他のメンバーの意見とぶつかったり自分の意見を抑えたりするようになります。

混乱期で大事なのは客観的に考えることです。様々な人から意見を聞く中で、リーダーはその意見を分析や評価して、チーム全体が納得できる方向性に持っていくのが理想です。

3.統一期
混乱期を超えるとメンバー同士のことが少しずつ理解され、お互いの考えや価値観を理解することが出来るようになります。この件は私よりもあの人の方が詳しい、この分野はあの人が一番経験豊富であるなど、自分自身が組織の中でどのような立ち位置にいるべきか考えるようになります。

統一期になったらメンバー同士でも助け合ったり、タスクを振り分けたりすることがうまくいく場合もありますのでリーダーの役割は裏から問題がないかを確認することがメインです。

4.機能期
組織として強くなる時期です。当初は混乱したりメンバー間で意見の対立があったりする中で進んだプロジェクトですが、組織としてプロジェクトを成功させたという体験が共有されることで結束力が生まれます。自信やメンバー間の信頼関係が形成されて、メンバー自身が自主的に動くようになります。

機能期になったらチームがその名前の通り機能しています。メンバー同士のすり合わせや役割が明確なので、リーダーの役割は育成にシフトします。

やることが明確なのでそれをより効率的に、よりよくしていきましょう。

5.解散期
プロジェクトは期間が予め定められています。組織であれば同じメンバーが永遠にその組織にいることはありえません。チームには終了が来ます。

最後に重要なことは「このチームで仕事が出来て良かった」とメンバーから称賛の声が上がることです。このような称賛がまた次のプロジェクトを成功に導く動機になります。

チームビルディングで意識すべきこと

チームビルディングとは?タックマンモデルと具体的な取り組み方|Senses.Lab|2

なぜチームビルディングが注目されているのでしょうか。

それは研究の成果として明らかにされているからです。Googleの「re:Work」というプロジェクトで自社のチームを調査して、その調査結果を公表しています。多くの企業がGoogleのような企業をヒントに組織を作りたいと思っているからです。

具体的にチームビルディングで意識すべきことを3つの視点で見ていきたいと思います。

目的の共有

組織には通常目標が設定されているはずです。重要なことは目標そのものだけではなく、「その目標に向かってチーム全員が向かっている」という意識を共有することです。

同じチームであれば個人の意見が対立することもあるかもしれません。しかし、目標は同じ所を向いているのだ、と理解することでお互い納得できることもあります。

風通しのよい雰囲気をつくる

組織として能力を最大限発揮するためには組織内で自由な意見が交換され、議論されなければなりません。

チームに所属するメンバーの多様な意見を取り入れて、業務のPDCAサイクルを回す必要があるからです。

チーム内で活発な議論をするためには風通しの良さ、つまり組織への心理的な安心感が必要となります。

意見やアイデア、自分の想いを気兼ねなく発言できるような雰囲気作りのことです。

ミスが許されないような環境や雰囲気を作ることは避けるべきです。例えば、「上司に報告すると怒られるからバレなければ隠しておこう」という心理が働いたとします。本当に何も起こらなければ良いのかもしれませんが、隠したことがきっかけで更なるトラブルに繋がる可能性もあります。

組織に対して何を言っても認めてもらえるとメンバーが思える雰囲気づくりが重要です。

失敗の捉え方

難易度の高い業務を遂行していれば失敗するのは普通のことです。

失敗を「失敗して終わった」と捉えるのではなく、「失敗を生かして次につなげる」という発想が必要です。

失敗から何も学ばなければ、何度同じことをやっても失敗を繰り返すかもしれません。

なぜ、失敗したのか?ということへ仮説を立てて、検証することが必要です。失敗したらPDCAサイクルを回して、次への成功へと近づけば良いのです。

環境変化の激しい現代において、どんなに計画を綿密に立てても実行の段階で失敗することは多々あります。早く失敗して、早く検証する。このサイクルを早く回す事がビジネス成功のヒントかもしれません。

チームビルディングに役立つ具体的な取り組み方法

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対話

チームビルディングは組織メンバーが同じ方向を向いて、目標を達成しようとしている意識が重要だということを説明しました。そのためには、まずメンバーが目標を良く理解しているか確認することが必要です。

多くの企業で実施していると思いますが、週次でのチームミーティングや数か月毎の個人面談などは実施していると思いますが、日々の業務においてもリーダーから話しやすい雰囲気を作ることが大切です。

アクティビティ

アクティビティとは会社ではなく野外などに出て行う活動の事です。

少し古いかもしれませんが、新入社員がキャンプやサバイバルゲームをしたり、バーべキューをしたりなど、チームワークを高めるために実施するものです。

また、達成感を共有する事も目的としています。一緒に何かしらのイベントを達成することで、チームワークを高めたり、コミュニケーションを活性化させたりするのに有効な手法です。

スポーツ

続いて、スポーツです。アクティビティと同様チームワークを高める事が目的ですが、チーム同士で競わせる点でより強く結束力や一体感を高める事ができます。

今は減少しているようですが、昔は運動会を社内で実施する企業も多かったのも、このような「一体感を組織として高めたい」という背景からです。

ビジネスゲーム

最後にビジネスゲームです。ゲームを通じて、チームビルディングに効果的なスキルを学ぶことができます。
アメリカの経営コンサルタント、スティーブン・リチャーズ・コヴィーが書いている有名な著書「7つの習慣」を読んだことがある人も多いと思います。

この7つの習慣はボードゲーム化もされており、ゲームを通じてチーム内での交渉やゴールするためのコミュニケーションが自然と必要とされるので、チームビルディングに有効です。

終わりに

環境変化の激しいこれからの時代を生き抜くにあたり、個人の力よりも組織の力が重要となっています。

そのためにチームビルディングという手法が注目されています。「メンバー同士の関係性を重視した組織」をつくる事がチームビルディングの目的です。

成功している企業には成功する組織づくりがなされています。今回紹介したチームビルディングの手法を参考に「成功するための組織づくり」を実践してみてください。

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Mazrica Business Lab. 編集部
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