企業や組織が成長し、目標を達成するためには、適切な指標を設定し、その進捗を管理することが不可欠です。
KPIは、そのための重要な指標として、業績評価や業務改善の基盤となります。
しかし、KPIを単に設定するだけでは十分ではなく、適切な管理・運用を行うことで、その効果を最大限に引き出すことができます。
本記事では、KPIの基本概念から設定のステップ、部門や業種ごとの具体例、そして運用のポイントまでを詳しく解説します。
KPIの正しい活用方法を理解し、組織の成長や目標達成へとつなげましょう!
この記事の内容
KPIとは?基本概念と重要性を解説
KPI(Key Performance Indicator)は、業績を評価し、管理するための定量的な指標です。
企業や組織が目標を達成するために、各プロセスの進捗を計測し、監視することで、パフォーマンス状況を把握できます。
KPIを設定することで、目標達成に向けた課題やギャップを明確化でき、効果的な施策を打つことが可能になります。
適切なKPIを活用すれば、組織全体で統一された目標管理ができ、業務の効率化にもつながります。
KPIとKGIの違い
KPIと混同されがちな指標としてKGI(Key Goal Indicator)があります。
KGIは「重要目標達成指標」と訳される指標であり、ビジネス上の最終目標を定量的に設定した目標で、具体的には売上金額や受注数などが設定されるケースが多いです。
KGI・・・企業や組織が達成すべき最終目標を数値化したもの
KPI・・・KGIを達成するために必要なプロセスを測定する指標
つまり、KGIは目的地を示すものであり、KPIはその目的地に到達するための道筋を示す指標になります。
関連記事:KGIとは?KPIとの違い、設定するメリットと具体例を解説
KPIとOKRの違い
KPIと似た指標の一つとして、OKR(Objectives and Key Results)があります。
OKRは、目標とその達成度を測る管理手法です。
ひとつの目標(Object)に対し、複数の主要な結果(Key Results)を設定し、期限を決めて管理します。
【OKRの例】
目標(Objective)
・ 2024年末までに業界トップクラスのブランド認知度を獲得する
主要成果(Key Results)
・ブランド認知度調査で50%以上の認知度を達成する
・ソーシャルメディアのフォロワーを100,000人に増やす
・主要メディアへの掲載数を年間50件以上にする
OKRとKPIは相互に補完し合う関係にあります。OKRは長期的な視点で挑戦的な目標を掲げ、それを達成するためにKPIを活用して進捗を管理するのが一般的です。
KPIとKFSの違い
KPIに類似するものとして、KFS(Key Factor for Success)があります。
「重要成功要因」とも呼ばれますが、これは「指標」ではなく、成功のための「要因」を示します。
例えば、「売上増加」がKFSである場合、KPIは「新規顧客獲得数」や「受注単価」になります。
また、KFSは定性的な要素を含むことが多く、例えば「顧客満足度の向上」「ブランド認知度の強化」といった概念的な要因を設定するケースもあります。
KPI設定の基本ステップ
KPIの設定は、どんな指標を設定すべきかは、事業形態や企業のフェーズによって異なります。
本項では、効果的なKPI設定のステップについて、一般的な例として解説します。
関連記事:KPI設計とは?BtoBマーケティングのKPI設計例や設計のポイントを解説
KGIの設定
KGIの設定は、具体的かつ実現可能な数値目標を、期限と合わせて設定します。例えば「2024年度の年間売上を〜〜億円にする」といった形です。
KGIの設定は、組織全体の方向性を明確にし、全員が共通の目標に向かって進むための全体方針となる重要な指標です。
ただし、あまりに非現実的なKGIを設定してしまうと、必要なKFSやKPIも実現可能性を失ってしまい、従業員のモチベーション低下を招き全体のパフォーマンスを損なうことにも繋がりかねないので、注意が必要です。
KFSの特定
KFSの特定は、KGIを達成するための具体的な手段を明確にし、無駄な施策を避けるために行います。
例えば、「3C分析」「5F分析」「PEST分析」「バリューチェーン分析」「SWOT分析」などを活用して、目標達成に必要な要素を洗い出します。
「KPIとの違い」でも解説した通り、KFSは指標ではなく「要因」です。
そのため、分析をこなった結果出てくる内容は、「KGI達成のためには、顧客単価の向上が必要」といった、数値ではなく概念的な内容が導き出されます。
KPIの選定
特定したKFSに対して、具体的なアクションプランを数値として管理できるよう、必要なKPIを選定します。
例えば、月間売上金額向上のために「新規顧客獲得数」「顧客単価」「契約更新率」といった具体的な指標がKPIとなります。
KPIの選定は、数値化可能な指標を設定することで、業務改善の進捗を明確にし、適切な管理を行うための重要な指標設定です。
またKPIを設定するためには、SMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)の法則に従うことがオススメです。
- Specific・・・具体的であること
- Measurable・・・計測可能であること
- Achievable・・・実現可能であること
- Relevant・・・関連性があること
- Time-bound・・・期限が明確である
KPIツリーの作成
KPIツリーの作成は、組織全体が目標達成までのプロセスを視覚的に理解し、戦略的にアプローチできるようにするために行います。
例えば、売上増加を最終目標(KGI)とし、その達成のために「顧客獲得数」「平均取引額」「リピート率」などのKPIを細分化し、ツリー構造で整理します。
KPIツリーの作成は、目標達成のための各プロセスを可視化し、優先度を明確にするための重要な指標設定です。
また可視化されていることで、組織全体でKGIからKPIまでの関連性や方向性を共有できるため、共通認識を持って業務に取り組むことも可能となります。
部門別・業種別のKPI具体例
業種や部門によって、最適なKPIの種類や指標は異なります。
それぞれの業界に応じたKPIを設定することで、より効果的な業務改善が可能になります。
本項では、各部門・業種に適したKPIの具体例を紹介します。
営業部門のKPI例
営業部門では、売上目標達成に向けたKPIを設定することが重要です。具体的な指標には以下のようなものがあります。
- 売上高
- 受注率
- アポイント件数
- 成約率
- リピート率
- 平均受注単価
関連記事:営業のKPIとは?設定方法や指標例・KGIとの違いを簡単に解説
マーケティング部門のKPI例
マーケティング部門では、ブランド認知やリード獲得のためのKPIを設定します。
- ウェブサイト訪問数
- リード獲得数
- メール開封率
- コンバージョン率
- SNSエンゲージメント
カスタマーサクセスのKPI例
カスタマーサクセスでは、顧客満足度や継続率を測るKPIが求められます。
- 解約率(Churn Rate)
- NPS(ネット・プロモーター・スコア)
- 顧客あたりの収益(ARPU)
- オンボーディング完了率
- アップセル/クロスセル率
関連記事:カスタマーサクセスのKPI13選!目標設定のポイントを紹介
製造業のKPI例
製造業では、品質や生産性の向上を目的としたKPIが重要です。
効率的な生産体制を確立し、コスト削減や品質向上を実現するための指標として、下記のような例が挙げられます
- 生産量
- 不良率
- 設備稼働率
- 生産コスト率
- 納期遵守率
SaaS業のKPI例
SaaS業界では、顧客獲得や継続率を重視したKPIが求められます。
- 月次経常収益(MRR)
- 顧客獲得単価(CAC)
- 解約率(Churn Rate)
- 顧客生涯価値(LTV)
- プロダクト利用率
これらの指標を活用することで、収益の安定化や成長のための戦略を最適化できます。
関連記事:SaaS事業で追うべきKPIとは?計算式と運用方法も解説!
KPI管理と運用のポイント
KPIはただ設定するだけではなく、適切に運用することで初めて事業全体の改善につながります。
本項では、KPIを効果的に管理・運用するためのポイントを解説します。
関連記事:KPIマネジメントとは?目標達成のための実行手順と事例3選を解説
測定可能な数値を設定する
KPIは定量的に測定できる形で設定することが重要です。
例えば、「売上向上を目指す」ではなく、「前年比売上10%増加」など、具体的な数値を含めると、成果の評価が明確になります。
また、測定可能なKPIを設定することで、関係者全員が共通の理解を持ちやすくなり、目標達成に向けた戦略のズレを防ぐことができます。
測定の精度を上げるために、過去データの分析や業界のベンチマークを活用し、現実的で達成可能な数値を設定しましょう。
定期的なモニタリングとレビューを行う
KPIを運用する際には、定期的に指標を測定し、進捗を確認することが重要です。
例えば、1ヵ月ごと・四半期ごとに測定を行い、必要に応じて改善策を講じることで、目標達成に向けた軌道修正が可能になります。
また、KPIの数値だけでなく、達成のプロセスを評価することも大切です。例えば、KPIが未達成であった場合、その原因が「施策の効果が不十分だったのか」「実
スピードに問題があったのか」などを分析し、適切な改善策を講じる必要があります。
KPIの進捗状況を可視化し、関係者と情報を共有することで、組織全体の意識を統一しやすくなります。
適切なツールを活用する
KPI管理には、CRMやSFAなどの適切なツールを活用することで、効率的な運用が可能になります。
手作業での管理ではなく、自動化ツールを導入することで、データ収集や分析の負担を軽減し、より戦略的な判断が可能になります。
例えば、CRMを活用すれば、顧客データの一元管理ができ、営業やマーケティングのKPIをリアルタイムで分析できます。
また、SFAを活用すれば、営業プロセスの進捗を可視化し、成約率の向上に向けたアクションを適切に管理できます。
さらに、BIツール(Business Intelligence)を活用すれば、複数のKPIを統合的に分析し、データに基づいた意思決定が可能になります。
組織の成長段階や業種に応じて、最適なツールを選択し、KPI管理の精度を向上させましょう。
KPIを管理・運用する際には、単に数値を記録するだけでなく、適切なフィードバックループを構築し、データを活用した改善サイクルを回すことが重要です。
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営業のKPI設定と管理に役立つSFAツール
営業チームのKPIを効果的に管理して業績向上を目指すには、ツールを活用することがオススメです。
ツールを使うことで、具体的にどのようにKPIが管理可能なのか。
営業のKPI管理におけるSFAツールの役割と、その活用ポイントについて解説します。
Mazrica Salesの特徴
【特徴】
各部門ごとのKPIを一元管理
Mazrica Salesには、各部門の営業活動に関わるKPIを一元化して管理できる機能があります。
各種指標や目標値をひとつのプラットフォームで統合することで、部門間の連携がスムーズになり、全社的なパフォーマンスの把握が容易になります。
これにより、重複する作業や情報のばらつきを解消し、効率的な営業戦略の立案を行うことが可能です。
ダッシュボードによるリアルタイムなデータ可視化
Mazrica Salesのダッシュボードでは、リアルタイムに更新される各種データを視覚的に確認することが可能です。
これにより、営業活動の現状や進捗を瞬時に把握することができ、意思決定に必要な情報を一目で理解することができます。
グラフやチャートを活用した分かりやすいビジュアル表現により、担当者やマネージャーが迅速な対応や戦略の修正をできるようになります。
チーム間での情報共有が容易
Mazrica Salesには、各チームや部門間での情報共有を効率化するためのコミュニケーションツールがあります。
営業状況や顧客情報、KPIの進捗など、必要な情報をリアルタイムで共有できるため、チーム全体での協力体制が強化されます。
各メンバーが最新の情報に基づいて行動できるようになるため、全体のパフォーマンス向上を図ることができます。
iPaas連携機能
Mazrica Salesは複数の外部ツールと連携されており、標準連携に対応しているツールであれば簡単な手順で連携ができます。
さらに、連携に対応していないツールでもiPaas連携機能を使えば連携できるため、オンプレミスも含めたさまざまなツールと連携してスムーズなワークフローを構築できるでしょう。
【料金プラン】
- Starter:月額27,500円~
- Growth:月額110,000円~
- Enterprise:月額330,000円~
【導入企業】
TIS株式会社、アコム株式会社、カゴメ株式会社、全日空商事株式会社 ほか
【こんな人におすすめ】
Mazrica Salesは複雑な操作が苦手だと感じる担当者様におすすめです。
Mazrica Salesでは、特別な操作なしでツール内のデータを簡単にグラフ・レポート化することができます。
また、案件の進捗情報は進捗度ごとに色別のカード形式で表すことができます。
特別な関数やテクニックを覚える必要がないため、誰でも直感的に使いこなせることが特徴です。
さらに、Mazrica Salesは営業の属人化が起きていると感じる企業におすすめです。
Mazrica Salesに入力された情報を見るだけで、顧客の予算や競合データ、各営業がどのフェーズや行動に時間をかけているのかをリアルタイムで把握が可能。
このように、営業の見える化がされることで、特定の人のスキルや能力に頼らない判断や的確なアドバイスができます。
さらに、上司・同僚も情報を確認できることや、アラーム機能を利用することなどにより、長期間訪問していない顧客や、やり残していることを漏れなく把握できます。
▶︎▶︎【無料ダウンロード】Mazrica Salesのサービス紹介資料はこちらから
終わりに|KPIの設定と管理が目標達成のカギ
KPIの適切な設定と管理は、企業やチームの目標達成において不可欠な要素です。
KPIを明確にすることで、組織全体の方向性が統一され、業務の効率化や成果の最大化が実現できます。
また、KPIを定期的にモニタリングし、データに基づいて適切な改善策を講じることで、変化する市場環境に柔軟に対応できるようになります。
しかし、KPIは設定するだけでは意味がありません。測定可能な数値を設定し、定期的なレビューと改善を繰り返すことで、組織全体の成長を支える強力な指標となります。
さらに、適切なツールを活用し、データ管理を効率化することで、KPIの実行性と精度を向上させることが可能です。
KPIは企業の持続的な成長と成功を支える指針となります。常に見直しと最適化を行いながら、組織全体でKPIを活用し、目標達成へとつなげていきましょう。