部下の育成に悩む営業マネジャーのために、部下の育成に効果的な2つのアプローチ方法をお伝えします。今回は具体例を挙げながら、部下のスキルとモチベーションの2点の向上に焦点を当てた指導方法を紹介します。
時代の流れと共に効果的な営業スタイルも変化してきています。いわゆる「足で稼ぐ」という時代は終わり、少ない人数で効果を出す営業手法が求められています。その少数精鋭な営業組織を作る上で部下の育成は重要なテーマとなります。今回はどのようなアプローチで部下を育成すべきかご紹介します。
営業の部下を育成するためには?
部下の育成に悩む営業マネージャーは多いようです。自分としては指導したつもりが、部下には厳しく怒られたと言われてしまったり、会社に行くのが嫌だと言われてしまったり。
マネージャーとして部下を育成するポイントは大きく2点です。1つ目は「部下の営業スキルの向上」、2つ目は「部下のモチベーションの維持・向上」です。
営業のスキルが不足している部下に対しては「何が不十分なのか」ということを理解してもらう必要があります。重要なことは、単にやり方を教えるのではなく、部下自身が自発的に考え、営業スキルを向上できる環境を整えてあげることです。
営業は工場のオペレーターなどと異なり、同じことを繰り返すような仕事ではありません。営業個々が自発的に考えてスキルを身に着ける必要があります。
2つ目のモチベーションに関しても同じです。部下に自発的に仕事をしてもらうためには、やはりモチベーションを維持・向上させる必要性があります。では、具体的にどう部下の教育をすれば良いのか見て行きたいと思います。
営業データに基づいた指導で部下のスキルを向上させる
営業の成績が良くない部下に対して「もっと足を使って稼げ」というアドバイスや「根性が足りない」というような根性論は教育とは言えません。多くの部下は「何が不足しているのか自分自身が解っていない」状態だと思います。
そこで、部下を指導する際にデータに基づいてアドバイスすると事実に基づいていますので教育しやすく、部下としても自分の何が不足しているのか理解しやすいと思います。
例えば、成績の良くないAさんと、好成績を収めているBさんが部下にいるとします。AさんとBさんのアポイント獲得率を比較した際に、Aさんのアポ獲得率がBさんより低い理由を考えます。
実際の活動履歴を見てみましょう。
Aさん
荷電件数:50件
通電件数:30件
アポ獲得件数:1件
Bさん
荷電件数:50件
通電件数:30件
アポ獲得件数:5件
活動履歴から、電話でのセールストークに差があることがわかります。営業マネージャーが二人の行動を調べたところ以下のことがわかりました。
(Aさんの場合)
「○○というニーズはありますか?」と聞き、顧客からは「ありません」と返答されて電話はすぐに切られてしまうことが多いです。
(Bさんの場合)
「御社では▲▲という製品を取り扱っていると思いますが、○○にお困りではないでしょうか?」というように相手企業の情報を事前にある程度調査して、課題解決を提案しています。
この場合Aさんに不足しているのは「顧客先の課題を解決しようとするスキル」が不足していることになります。Aさんとしては「ニーズの話をいきなり切り出すと、断られやすい」という経験をもとにして、「何をすればアポイント獲得率が上がるか」ということを考えなくてはなりません。
この際、Bさんのように失敗から学んで次のアクションで改善できる部下もいますし、Aさんのようになかなか気が付けない部下もいます。マネージャーとして、データに基づく指導を行えばAさん自身も「何が不足しているのか」ということに気が付くことができます。
この失敗から学んで次に活かすことをPDCAサイクルと言います。日々、営業の忙しさに追われているとなかなかPDCAを回すことも忘れがちになるかもしれません。しかし、ある程度ルールを決めて、定期的にPDCAサイクルを回すように部下へ指導してみましょう。
PDCAサイクルを効率的に回す方法についてはこちらを参照ください。
部下を褒めてモチベーションを上げる
「部下を褒めるのが苦手だ」というマネージャーが意外と多いようです。部下の欠点はすぐ目に付くが、褒める所が見つけられないことが理由のようです。
部下を怒鳴って支配的な指導をするより、褒めてモチベーションを上げる事の方が中長期的に有効だと言われています。その背景には1つの会社に定年まで勤める終身雇用の時代から変化し、「働くこと」に対して選択肢が増えているということがあります。転職の敷居も低くなると同時に、インターネットが広まったことで誰でも簡単にWEBで商売することもできます。特に若い年代は「一生この会社で勤め上げる」と考えている人は少ないでしょう。
つまり会社組織に長く所属してもらうなら部下のモチベーションを上げて貰い、自ら考えて仕事をする自律的な人材に教育すべきなのです。部下の成長は組織そのものの成長へと繋がります。
それではどのように褒めれば良いのか具体的に見て行きたいと思います。
1.仕事のプロセスを褒める
部下から仕事の経過報告を受けた際、仕事がまだ途中であっても褒めることが効果的です。「効率的に進めているね!」という簡単な言葉でも良いですし、「この企業に対しては、○○というサービスを今度紹介してみたら更に良いと思うよ!」というような助言をしながら褒めることが大切です。部下の仕事に対する意欲を引き出しましょう。
2.仕事の結果を褒める
成果が出たら適切に評価して褒めましょう。具体的に何が良くて仕事の結果が出たのかフィードバックも取り入れると効果的です。もし、結果が目標に達していなかった場合はデータに基づきながら何が不足していたのかという指導はきっちりしつつ、「それでもこの部分は良かった」という褒め方をすれば、部下のモチベーションは上がるでしょう。
3.上司自身が喜ぶ顔を魅せる
いつもムスっとした厳しい顔で仕事をしていては職場の雰囲気も悪くなってしまいます。部下からの「上司の喜ぶ顔が見たいからがんばる」という意識が高まると組織として力が強くなります。嬉しい成果を報告してきた部下には素直に自分も喜び、部下を褒めてあげることが大切です。
部下のモチベーションを下げないように気をつけること
部下の指導は褒めるばかりでは無く時には厳しい指導も必要です。しかし、叱り方も感情のまま部下にぶつけてしまうのはよくありません。なぜなら、部下のモチベーションが下がってしまう可能性が高いからです。他にも部下のモチベーションを下げ、最終的に部下から嫌われてしまう行動があります。嫌われる上司の共通事項と部下に嫌われないために何をすべきかご紹介します。
1.自分の保身しか考えていない上司
何かトラブルが発生した際に「俺は聞いていない」「おまえが勝手にやったことだから責任はおまえが取れ」など、責任から逃げる上司は真っ先に嫌われてしまいます。部下の業務を把握する事は上司の責任であり、「聞いていない」はマネージャーとして言い訳にもなりません。マネージャーの職務を怠っていたということになります。
部下に信頼されるためには課題を正面から捉えて、一緒になって真摯に対応する姿を見せることが不可欠です。
2.自分の好みで部下をえこひいきする
管理職であっても部下に対して感情はあると思います。性格的に合うタイプ、合わないタイプの部下がいると思います。ですが、ビジネスの世界で人の好き嫌いで仕事をするわけにはいきません。
特定の部下を特別扱いしてしまうと組織全体のパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。「同じ仕事をしているのに○○さんだけ評価が高い」と思われるようなことだけではなく、話し方や接し方含めて部下が平等かどうか常に意識しましょう。
3.毎回言うことが変わる
組織のリーダーは目標を設定し、その目標に向かって組織を導く必要があります。目標に向かう中で様々な課題にぶつかるかもしれません。その課題に対して、リーダーが率先して解決する方法を探ることが重要です。
しかし、課題へ対応をする中でリーダーの言うことがコロコロ変わってしまったり、目標自体がブレてしまったら、部下からの信頼を一気に失ってしまいます。
上司の発言は部下にとって重みのあるものです。発言に一貫性をもたせることで部下たちへの説得力も増し信頼も高まります。
終わりに
今回は部下の育成方法に関して2つの観点でご紹介してきました。
スキルを向上させるには、「仕事に対して自発的に考えられるように育成する」ことがポイントになります。冒頭で述べた通り、時代の変化が激しい現代において、営業担当者が自ら考え、環境に合わせて臨機応変に対応していくことが必要です。
また、部下のモチベーションを向上させるには、部下の褒め方やモチベーション下げるような振る舞いを控えることが大切です。
部下の育成にお悩みの営業マネージャーの方は、今回紹介した内容をまず実践してみましょう。
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