「顧客情報が重複していて正確なデータが把握できない」「顧客リストに表記ゆれがあり、データの活用が難しい」と感じたことはありませんか?
こうした課題を解決するのが「名寄せ」の機能です。名寄せとは、顧客情報の重複や表記ゆれを整理・統合し、データの一貫性と正確性を高める手法です。
本記事では、名寄せの重要性やその具体的な実施・運用方法について詳しく解説します。顧客や案件情報の管理体制を見直し、より効率的にデータを活用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
名寄せとは?
「名寄せ」とは、氏名・住所・電話番号などの情報をもとに、複数のデータベースに存在する同一人物や同一企業のデータを統合する作業のことです。
企業が保有するデータには、表記揺れや重複が原因で、同じ顧客や企業の情報が分散して登録されているケースが多く見られます。
このような重複データを放置すると、同一顧客に複数のDM(ダイレクトメール)を送付してしまう、重要な情報が見落とされるなどの業務ミスやコストの無駄が発生します。
名寄せは、顧客の氏名やメールアドレス、住所、電話番号などの属性情報をもとに、同一と判断されるデータに統一したIDを付与し、正確かつ効率的に管理するための重要な作業です。
名寄せを適切に実施することで、営業活動の精度向上やマーケティング施策の最適化が実現でき、顧客満足度や業務効率の向上にもつながります。
名寄せが必要な理由とメリット
名寄せは、顧客情報の正確性を確保し、営業やマーケティング活動を効率化するために欠かせない作業です。ここでは、名寄せの必要性と導入によるメリットについて解説します。
正確な顧客情報でミスを防げる
営業活動では、正確な顧客情報の管理が不可欠です。例えば、DMやテレアポの際に、名前や住所の表記揺れにより同一顧客への重複アプローチが発生すると、顧客に不快感を与えたり、自社の信頼を損なうリスクが高まります。
名寄せによって、重複データや表記の違いを統合することで、こうしたミスを防ぎ、顧客ごとに最適な対応が可能になります。
効果的な営業・マーケティングの実現
名寄せを実施することで、整理された顧客データをもとに、より的確な営業・マーケティング戦略を立てることができます。顧客の購買履歴や関心分野を正確に把握できるため、個別に最適化された提案やアプローチが可能になり、受注率の向上や業務の効率化につながります。
また、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)などのツールと連携することで、名寄せによる効果はさらに高まります。
重複や誤った情報が排除されたデータを活用することで、これらのツールのパフォーマンスを最大化し、施策の精度向上と成果の拡大が期待できます。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
コスト削減になる
重複データがあると、同じ顧客に複数のDMを送付したり、無駄な営業リソースを費やしたりする原因になります。
名寄せによってこれらの無駄が削減され、郵送コストや人件費などの間接コストが抑えられます。
名寄せを実施する4つのプロセス
名寄せは、データの一貫性と正確性を確保するために不可欠な作業です。特に、顧客情報や取引履歴などの重複や誤りがビジネスの効率を大きく損なうリスクを軽減するために、名寄せは重要な役割を果たします。
ここでは、名寄せを効果的に実施するための4つのプロセスについて詳しく解説します。
①対象データの調査・選別
最初のステップは、名寄せ対象データの現状を正確に把握することです。各データベースに入力されている項目(氏名・住所・電話番号など)の記載状況や不備の有無を調査します。
この調査結果をもとに、どのデータを優先的に統合するのか、どのような基準で統合を行うのかを明確にし、名寄せの方針を決定します。
データの特性を理解した上で選別することで、効率的かつ効果的な名寄せ作業が可能になります。
②データ抽出
次に、名寄せの対象となるデータベースから必要な情報を抽出します。この際、データ項目の表記やフォーマットが異なるケースが多いため、注意が必要です。
たとえば、「会社名」と「社名」など名称が異なる項目や、「郵便番号」「住所」の表記形式の違いなどがあります。これらの違いを正確に把握し、統合する際にはどちらの形式に揃えるのかを事前に決める必要があります。
例:
- データベースA:「郵便番号」「都道府県」「市町村名」「番地」「ビル名」
- データベースB:「住所」
データの抽出段階で、項目ごとの違いを認識し、統合しやすい形式で取り出すことが重要です。
関連記事:顧客データの管理方法を解説!分析と活用で企業成長に繋がる
③データクレンジング
抽出したデータは、そのままでは名寄せに適さない場合が多いため、「クレンジング(整理・修正)」を行います。
データクレンジングとは、データの表記揺れや誤入力、重複の修正を行い、統一したフォーマットに整える作業です。これにより、名寄せの精度が大幅に向上します。
特に、表記揺れは名寄せ精度を低下させる大きな要因です。以下のような事例が典型的です。
例:
- 氏名:「桜井」さんと「櫻井」さん
- 会社名:「株式会社ABC」と「株式会社エービーシー」
- 住所:「3丁目1番14号」と「3-1-14」
これらのデータを統一するために、全角・半角の統一や、カタカナ・漢字の揺れを解消するルールを明確に設定し、一貫した形式に整えます。また、住所や氏名は最新の情報に更新することも重要です。
④データマッチング
クレンジングが完了したデータは、属性情報(氏名・住所・電話番号など)をもとに照合・統合を行います。これにより、重複して登録されていたデータを1つにまとめ、データベース内の無駄を排除します。同一の顧客データには一意のIDを付与し、正確な管理が可能になります。
名寄せの精度を高めるためには、日本語特有のひらがな・カタカナ・漢字の違いや、微妙な表記の違いに細心の注意を払う必要があります。
手作業では限界があるため、効率化を図るためには名寄せツールの活用が推奨されます。
▶︎▶︎【無料ebook】メール作成、日報作成など、SFAの名寄せ機能が活躍する営業シーンをご紹介
名寄せの運用方法
次に、名寄せの運用方法について解説します。
エクセル・スプレッドシートでの管理
名寄せの運用方法として、コストを抑えた手軽な方法にExcelやスプレッドシートの活用があります。特に、顧客データの管理をExcelで行っている企業や、SFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理システム)などのシステムへデータを投入する前処理をExcelで行っている企業にとっては、名寄せ作業の第一歩として最適な手法です。
Excelやスプレッドシートは、導入コストがかからず、日常業務で使い慣れている企業が多いため、スモールスタートには非常に適しています。
また、Googleスプレッドシートを活用すれば、ソフトウェアの導入費用がかからず無料で利用できるため、コストを抑えつつ名寄せ作業を進められます。
Excelでの名寄せに役立つ3つの関数
Excelを使った名寄せ作業では、以下の3つの関数が特に有効です。
① COUNTIF関数(重複データのチェック・削除)
COUNTIF関数は、指定した条件に一致するデータが何件あるかをカウントする関数です。顧客リストの重複チェックや削除に非常に役立ちます。Excelには「重複の削除」機能もありますが、同一社名だが異なる企業などの例があるため、細かな判断が必要な場合にCOUNTIF関数が有効です。
関数式:
=COUNTIF(範囲, 検索条件)
これにより、意図しない重複を防ぎ、効率的にデータを整理できます。
② DATEDIF関数(期間データの算出)
DATEDIF関数は、日付の差分を計算する関数で、顧客の年齢や会員期間などの情報を自動的に算出できます。たとえば、「生年月日しかわからず、現在の年齢が不明」という場合や、「会員登録日からの経過期間」を計算したい場合に便利です。
関数式:
=DATEDIF(開始日, 終了日, 単位)
これにより、顧客データに最新の付加情報を加えることが可能です。
③ VLOOKUP関数(データの統合・抽出)
VLOOKUP関数は、Excelでの名寄せ作業において最も多用される関数です。顧客IDや顧客コードなどのキー情報を使って、別のリストから氏名や住所などの関連データを自動で引き出せます。
関数式:
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型)
これにより、複数のデータベースにまたがる情報を統合し、名寄せ作業を効率的に進めることができます。
ツールによる管理
名寄せの精度をさらに高めたい場合は、専用ツールの導入が効果的です。Excelやスプレッドシートでは、関数や手作業によるミスが発生しやすく、大量のデータ処理には膨大な時間と労力がかかります。
特に、複雑なデータクレンジングや重複データの統合作業では、人的ミスや作業負担が大きな課題となります。
しかし、名寄せ専用ツールを活用することで、データ管理に不慣れな担当者でも直感的な操作で効率的に名寄せ作業を行うことが可能です。これにより、データの正確性と処理速度が向上し、作業の負担を大幅に軽減できます。
さらに、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援ツール)との連携により、名寄せで整理されたデータを活用して、より効果的なリードナーチャリングや営業活動を実現できます。これにより、顧客への最適なアプローチが可能になり、業務全体の生産性向上や売上拡大にもつながります。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
名寄せを行う際の3つの注意点
名寄せ作業はデータの正確性を高め、業務の効率化を図るために重要ですが、進める際にはいくつかの注意点があります。
ここでは、名寄せを安全かつ効果的に実施するための3つのポイントを解説します。
個人情報の保護
名寄せでは、多くの顧客データを取り扱うため、個人情報の取り扱いには細心の注意が必要です。特に、同姓同名の顧客が存在する場合、誤って別人の情報を統合してしまうリスクがあります。
このようなミスが発生すると、誤送信や誤案内などにより顧客の信頼を損なう恐れがあります。そのため、氏名だけでなく、電話番号や住所、メールアドレスなど複数の情報を照合し、慎重にデータを統合することが重要です。また、個人情報保護法などの法令遵守も徹底しましょう。
クレンジングの徹底
名寄せの精度を高めるためには、データクレンジングの徹底が不可欠です。誤字脱字や入力ミス、表記ゆれなどがそのまま残っていると、同一人物や企業のデータが正確に統合されず、名寄せの効果が半減してしまいます。
たとえば、「株式会社ABC」と「(株)ABC」のような表記揺れや、「3丁目1番14号」と「3-1-14」のような住所の違いは、事前に統一ルールを設けて修正する必要があります。
データの品質を高めるために、定期的な点検と修正作業を行いましょう。
データ重複や表記揺れが起きないルール作り
名寄せの効果を長期的に維持するためには、データ入力時点から一貫したルールを設けることが大切です。
たとえば、顧客名の表記(漢字・カタカナ、全角・半角)、住所の入力方法(番地や建物名の表記順序)、電話番号のフォーマット(ハイフンの有無)などを統一することで、表記ゆれや重複の発生を防げます。
さらに、定期的なデータベースの監査やメンテナンスを実施することで、蓄積されたデータの品質を維持し、名寄せ作業の効率化にもつながります。
終わりに
企業にとって顧客データベースは重要な経営資産です。
貴重な情報に間違いや重複があった場合、健全な営業活動やマーケティングを行うことは難しく、場合によってはお客さまからクレームをいただくような事態にもなるかもしれません。
顧客からの心証を悪くする事態を避け、業務活動をスムーズに実現するために「名寄せ」は必要不可欠なプロセスといえます。名寄せの重要性をしっかりと意識し、ツールの活用などによって効率的に実行することで、自社の営業活動やマーケティングを強化できるでしょう。
特に、SFAを用いて名寄せを行うことで、営業を効率化させることが可能です。
弊社が提供するMazrica Salesは、上場企業約4,500社、非上場企業約80万社(2023年9月時点)の住所、電話番号、財務データ、有価証券報告書の抜粋、プレスリリースなどの豊富な企業データを保有しています。
取引先企業の情報を入力する際に、「Mazrica Sales登録企業」とデータの紐付けを行うことで、最新かつ正確な企業情報が自動的に反映され、手作業による入力ミスや情報の重複を防ぐことができます。
さらに、Mazrica Salesには名寄せ機能が搭載されており、AIが重複の可能性があるデータを自動で検出し、ユーザーに統合の提案を行います。
これにより、過不足のない正確なデータ管理が可能になります。名寄せの判定は、ユーザーが設定したルールに基づいて行われ、たとえば同一の企業名や同じメールアドレスが登録されたコンタクト情報を検知し、重複登録を効果的に防止します。
このように、Mazrica Salesを活用することで、煩雑なデータ管理の負担を軽減し、営業活動の効率化と精度向上を実現できます。
Mazrica Salesについてさらに詳しく知りたい方は下記ページに強みやできることをまとめておりますのでぜひご覧ください。
![](https://product-senses.mazrica.com/wp-content/uploads/2022/03/ad79b99daf21938110ee42f317632634.jpg)
「5分で分かるMazrica Sales ・ 失敗しないSFA/CRM導入方法 ・ 導入事例」3点セット
誰でも使える 誰でも成果を出せる「Mazrica Sales」の概要資料はこちらからダウンロード 次世代型営業DXプラットフォーム・SFA / CRM + MA + BI
資料をダウンロードする