営業活動の各プロセスにおいて、どのようなツールを使っていますか?
初回のメールでは商品説明や事例集などの資料、商談ではパンフレットやパワーポイントのプレゼン資料、受注後はマニュアル、といったようにプロセスごとに資料を分けて活用しているケースが多いかと思います。
初回訪問時はデモンストレーション、受注後には受注先にレクチャーを行うために、実際の商材やサービスを改めてプレゼンすることもありますよね。
その全ての作業が、動画で済むとしたらとても便利で効率的だと思いませんか?
以前は動画マーケティングの基礎を解説しましたが、それを基に営業活動での動画の活用について説明します。
営業ツールとしての動画活用
営業の現場では、それぞれの営業担当者のプレゼン力や話し方によって、受注率が大きく変わってしまうことも少なくありません。
パンフレットや資料などテキストベースのツールを使うと、その差が如実に現れてしまいます。
また、その資料自体も作り手の実力に左右されやすいです。プレゼンの場では発注担当者が内容を理解していても、商談後に決裁権をもつ上長などに担当者から説明する際に、資料を見ても分かりにくく説明できない…といったケースもあり、営業担当者が上長にもプレゼンするため再度訪問しなければいけないこともあります。
それでは、時間も労力も無駄になってしまいます。そのような問題には、動画を営業ツールとして活用することで解消できることがあるのです。
動画の最大のメリットは、テキストだけでなく画像やアニメーション、音声などのさまざまな要素を用いることによる、分かりやすさと伝わりやすさ。
動きと音を伴っている動画は、実際に製品を使っているシーンやサービスを活用しているシーンを想像しやすくします。キャッチーなフレーズや個性的な音楽を取り入れることにより、記憶にも残りやすくなりますね。
また、営業担当者のプレゼン力や資料作成力に左右されず、全ての顧客に対して均質の情報を提供することもできます。
更に、顧客は動画によって商材についての理解を深めているため、営業担当者は追加説明やヒアリングなどの時間を多く取ることができ、より商談に集中できるようになります。
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海外での営業動画コンテンツの高まり
カナダのスタートアップ企業であるVidyardが提供している、ビジネス向けYouTube動画とMAの統合プラットフォームの需要が海外を中心に高まっています。
ユーザーは中小企業を中心としていますが、LenovoやSalesforceなどの大手企業も使用しており、平均単価は年額2万〜3万ドル。2016年には日本からの利用シェアが7%となっており、今後さらに伸びる可能性があるため日本への本格参入の日も近そうです。
ソフトウェアのハブスポットも、購入担当者宛へのメールには必ずVidyardで制作した動画を添付していると言います。山ほどの電話やメールの中から、購入担当者へ印象づけるには動画が一番効果的だからなのだとか。
また、同じくVidyardを導入している Midaxoでは、何百件と届く営業メールの中からVidyardのメールのみに、営業副社長が直々に返信をしています。Vidyardからのメールには動画が含まれていただけでなく、パーソナライズされたメッセージが添えられていたことから、返信することにしたそうです。
このように、動画を用いた営業活動では見込み客の創出に繋がっており、更には大きな売上に繋がる可能性もあるのです。
動画マーケティングの市場規模や活用のポイントについてはこちらの記事をご参照ください。
営業で使う動画コンテンツの例
営業活動で使えそうな動画と言えば、自社のことをしってもらうための会社紹介動画や、先述の見込み客創出などのための簡易的な商品紹介動画を思い浮かべるかと思います。他にはどのような動画が営業活動に役に立つのかをご紹介します。
・商品説明動画、デモ動画
実際の商談の現場でも商品説明動画は非常に有効です。サービスやソフトウェアなどの無形商材はなかなか価値を伝えにくいですが、アニメーションや図解などを用いた動画では分かりやすく説明することができます。
また、複雑な精密機器や大型機器などは商談の現場に持ち運ぶことが難しいので、デモ動画で利用しているシーンをイメージしてもらうことなども効果的です。
・マニュアル動画
導入後の具体的な利用シーンをイメージしやすいだけでなく、アフターサポートに対する安心感も与えることができます。テキストや画像だけのマニュアル資料よりも、動画で流れを解説することで非常にイメージが湧きやすくなります。
・「お客様の声」動画
既に導入しているユーザーの声を動画で届けることも、安心感や信頼感に繋がります。第三者視点からの客観的な評価は、購買意志を促してくれます。
・ウェビナー動画
ウェブセミナーを略してウェビナーと言いますが、ウェビナー動画では自社商材の説明だけでなく、専門性の高さをアピールすることができます。管轄エリア外の見込み客にアプローチしたい場合や、セミナー開催の手間を省きたい場合などに有効です。また、商談後のフォローや、アップセル・クロスセルを促したい場合にもおすすめです。
営業ツールとして動画を使う際の注意点
最近では、高品質の動画を低コストで制作・編集できる製品が多く流通しているため、自社内で動画を制作することも可能になってきました。自社内で動画を制作することは、外注よりも遥かにコストを抑えることができるうえ、自社商材について把握しているため内容の濃い動画を制作することができるというメリットがあります。
しかし、実際に「どんな目的で動画を活用したいのか」を明確にしておかないと、方向性がブレてしまい、せっかくリソースを割いて制作した動画が活用されずに終わってしまうケースもあります。
そのため、まずは動画のテーマを設定しましょう。また、商材説明の動画であれば、どこまでの説明を盛り込むのかということも決めなかればなりません。
例えば…
・見込み客の創出のために簡易的な説明にとどめておき、商談の現場で営業担当者が詳細をプレゼンするのか
・商談現場で使用することを想定し、営業担当者のプレゼン負担軽減のために、概要だけでなく細かい機能まで動画で説明するのか
という方向性の違いだけでも、動画の内容は大きく異なるはずです。更に、プレゼン現場で活用する動画であれば、動画を用意するまでのリソースの負担はどうしても大きくなってしまうでしょう。
また、「最初はどのくらいの効果が見込めるのかが不透明だから、そこまでリソースをかけられない」という企業の場合は、自社の紹介動画から始めてみるのも良いですよ。
商材の紹介であれば商材ひとつひとつの動画を制作する必要がありますし、新しい商材が出たら新たに動画を制作する必要も出てきます。しかし、企業紹介の動画であれば、それほど企業自体の情報は変更にならないので一本作っておくとさまざまなシーンに活用できて便利です。
初めての訪問の際に自社について知ってもらったり、自社HPやSNSに貼り付けておくことで広報の役割も担ってくれたりします。制作担当者にとっても、自社紹介動画は最初の一本目としてとっつきやすいでしょう。
おわりに
メールアポイント、初回訪問、商談、アフターフォローなど、営業プロセスのさまざまな場面で動画は活用されています。視覚と聴覚からの情報を得ることで、顧客の意志に大きく作用することができるのです。動画制作にはリソースを割く必要がありますが、かけたリソース分をカバーできるくらいの効果がきっと見込めるはずです。要所で動画を活用し、営業活動を効率化しましょう!