サブスクリプションモデルと顧客のロイヤル化の必要性

NPSとは?|顧客のロイヤルティを高める指標| Senses Lab. |1「サブスクリプションモデル」という言葉をご存じでしょうか。継続型の課金ビジネスモデルのことです。音楽配信サービスやスマホのゲームや動画配信サービスなど、現在は広く普及しているビジネスモデルです。BtoCサービスだと「Apple Music」や「Hulu」など、BtoBサービスだといわゆる「SaaS」と呼ばれる従量課金のクラウドサービスが挙げられます。

これまでであれば車においては「新車や中古車を購入する」、会社で使うソフトウェアも「ソフトウェアを購入してサーバにインストールする」でした。しかし、近年は月額のカーシェアリングや月額課金のクラウドサービスなどのように「必要に応じて利用する」が一般的になっています。サブスクリプションモデルでは、モノを所有するのではなく必要に応じて利用するのです。

継続的な課金モデルなので顧客満足度が低ければすぐに解約されてしまいます。サブスクリプションモデルが普及した時代においては「サービスに対する顧客の信頼度・愛着度を上げて関係を継続させる(顧客のロイヤル化)」ことが必要です。では「顧客のロイヤル化」を測るには前回紹介したようなLTV(顧客生涯価値)だけを考えればよいのでしょうか?

LTVの落とし穴

あらためて、Lifetime Value=LTVとは経営学用語の一つです。Wikipediaによると「企業にとってある一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらした価値の合計」と定義されています。

つまりLTVは「顧客が購入した単価×購入回数(期間)」で計算でき、このLTVを高めることで企業への収益も高まります。自社の商品やサービスの付加価値を高め、売価の設定を高くしたり、継続的に購入してもらう仕組みを作るすることでLTVは高まります。

しかし、LTVの高さばかりに注目すると落とし穴があります。例えば、購入金額の多い顧客の中には「特に現状のサービスに満足はしていないが、他社のサービスに乗り換えるのが面倒」と考えているケースがあります。例えば、社内のCRMにSaaS型のサービスを使っている例です。導入当初はなんとか使えていましたが、会社の規模が拡大していくにつれて徐々に使いにくくなりました。しかし、登録されているデータ量が莫大なため、管理者は「システム移行や社内オペレーション変更の負荷が大きいからまだいいや」と思ってしまいます。また、全然使っていないのに自動課金されていることを意識していなかったというケースもあるかもしれません。このようなケースでは企業が提供する商品やサービスの価値とは関係がなくお金を払い続けています。

このように一見LTVが高く見える顧客は、決して現状の商品やサービスに満足している訳ではありません。競合企業が魅力的な商品やサービスを展開してきた場合や新規参入してきた企業へ一気に離反される可能性があります。
LTVだけを使い顧客との関係性・満足度を評価している場合、このような落とし穴(リスク)を見逃してしまうかもしれません。
結果としてのLTVを見るだけでなく、顧客が日々どのような流れでサービスを利用し、どう感じているか、「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)」に焦点を当てる必要があります。

顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の向上による顧客のロイヤルティ化

web検索でサービスページを見つけて最終的に購買に至るまでのカスタマージャーニーにおける顧客との接点全てを捉える「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)」について考えていきます。

市場が成熟している現代において、商品やサービスで他社と差別化することは難しくなってきています。機能やスペックを強化したとしても、すぐに競合企業が安価な類似商品を発売して差別化しきれない。そこで近年、大企業を中心として「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)」の向上に取り組む企業が増えてきています。

日々の顧客体験を向上させることで顧客のロイヤルティを高めることができます。それではどのような指標を使えばよいのでしょうか?

顧客ロイヤルティの指標とは?

NPSとは?|顧客のロイヤルティを高める指標| Senses Lab. |2

「あなたはこの商品やサービスを知人に勧める可能性はどれくらいありますか?0~10点で点数を付けてください。」
このようなアンケートを見かけたこと、実際にアンケートに回答したことはありませんか。NPS(ネットプロモータースコア)と呼ばれており、「顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を知るための指標(引用:Wikipedia)」とされています。

「商品に満足していますか?」という顧客満足度調査とは異なります。顧客満足度調査は責任範囲が自分自身ですので、たとえ商品に満足していなかったとしても特別な不満足の理由が無ければ「満足している」と回答するかもしれません。しかし、「この商品を他人に進めますか?」という質問になると責任範囲が他者に及びます。不満足な点がない無難な商品は決して他人に進めることが出来ません。本当に自分が満足している商品やサービスでないと推奨しないものです。更に、NPSは企業業績との相関が高いという調査結果も報告されています。NPSを高めるにはどうすればよいのか、具体的に見ていきたいと思います。

NPSの計算方法

NPSは0点~10点の11段階で評価をしてもらいます。そして点数によって3つのカテゴリーに区分します。
0点~ 6点:批判者
7点~ 8点:中立者
9点~10点:推奨者
アンケートを集計して「推奨者の割合-批判者の割合」でNPSは求められます。今回批判者が30パーセント、中立者が20パーセント、推奨者が50パーセントだったと仮定した場合は「推奨者(50%)-批判者(30%)」という計算式になるので、NPS=20%となります。0点~6点の批判者が推奨者より多い場合はNPSがマイナスとなります。

計算式は簡単に求められます。では、具体的にどうすればNPSを高めれば良いのでしょうか。計算式通りに考えると、推奨者を増やして批判者を減らせば良い、もしくは批判者と中立者を推奨者に変えられれば良いことになります。具体的にどうやって推奨者を増やしていくのか次で見ていきたいと思います。

NPSから考える次の打ち手

NPSを調べて「数字が高い!低い!」と一喜一憂しているだけでは何の意味もありません。NPSでアンケート結果を集計した後、どのようなアクションに繋げればよいのでしょうか。数字が低い場合は何故批判者が多いのか要因を特定して改善につなげるための行動をします。そのためには、「フリーコメントの分析」が有効的です。

「フリーコメントの分析」を実施することを想定し、アンケート実施の段階でフリーコメント欄を設けます。そして、このフリーコメントをテーマ毎に分類します。意見の中に「担当者の印象が良くない」「担当者からのアフターフォローが何もない」「契約を締結したら対応が雑になってきた」など、マイナスの意見が多くコメントに見受けられる場合、改善策を検討する必要があります。このようなコメント例が実際に多くあった場合、施策内容としては契約後のアフターフォロー体制の充実させることです。

なぜ今、カスタマーサクセスが求められているのか

NPS導入による顧客ロイヤル化(優良顧客化)例

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老舗のAホテルを例にしてNPSを利用して顧客ロイヤルティを高めた事例をご紹介します。近年のホテル業界はインバウンド需要の増加、民泊の法改正、相次ぐ外資系ホテルの国内参入と日々めまぐるしく業界が変化しています。

ホテル業界の競争が激化する中、Aホテルの施設稼働率は年々低下していました。この状況を打破するためにNPSを利用して顧客のロイヤルティを数値化しようと考えました。NPSが高いほど実際にWEB上で口コミを広めてくれる顧客が多くなることも報告されています。口コミやレビューサイトで良い評価が増えれば、低下を続けている稼働率も高まるだろうと想定していました。
NPSのアンケート集計と共にフリーコメントを分析します。その結果「客室に対する意見」と「観光地に対する意見」の大きく2つのカテゴリーへの課題が必要だと明確になりました。客室に対する意見としては「化粧水などに特徴がなく普通」「シャンプーがうちで使っているものと同じ」などアメニティについてのコメントが多くみられました。
そこで地の特徴を活かしたシャンプーやボディーソープを採用し、お土産としてこの地域でしか買えない石鹸を取り扱うことにしました。

「観光地に対する意見」としては「混雑して思ったように回れなかった」、「食べたいと思った店が混雑していて入れなかった」というコメントが多くみられました。
こちらへの対策としては、混雑が予想される時間帯を避けて最適なルートを提案するマップを宿泊の受付時に配付し、混雑が予想される飲食店には事前に予約をするという対応を行いました。
これらの施策が評判となり1年後にはNPSが1割以上アップしていました。当初の仮定通り、NPSが上がれば自然とWEB上の口コミが広がり、部屋の稼働率も上がったということです。

終わりに

顧客ロイヤルティを高める必要性と指標としてNPSをご紹介しました。NPSを計測することも必要ですが、次にどのようなアクションをとるべきなのか、分析できることが重要です。数字が思っていたより低いのであれば、何が要因でNPSが低いのかを考え解決の施策という行動を起こす事が顧客ロイヤルティ向上につながります。今回紹介した内容を参考にまず行動に移してみてください。

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