会社の業績が順調に推移している時は問題ないかもしれませんが、業績が思ったように進捗しない場合、営業部門としての問題点を洗い出し、改善策を見つける必要が出てきます。
しかし、場当たり的に目に付いた改善をしても根本的な解決には結びつかない可能性があります。
そこで、営業の問題点を探る際に重要なのが「営業分析」することです。この記事では効果的な営業分析をご紹介します。
この記事の内容
営業データの分析が必要な3つの理由
なぜ営業分析が必要なのでしょうか。
現在、営業分析を実施していない場合、必要性が具体的にイメージできていないのかもしれません。
営業データ分析が必要な理由を3つのポイントでご紹介します。
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1.勘や経験に頼る活動には限界がある
とある中規模の塗料メーカーでは営業部に3名が所属しています。
営業担当者ごとに取引先が割り当てられています。どこの企業へ何の塗料をいくらで価格設定するべきか、ある程度の経験を軸にして営業を行っています。
この場合、営業担当者のある程度の勘で「いくらで価格設定すれば買ってもらえるか」ということを考えています。
しかし、人が頭で保持できるデータ量には限界があるので、営業活動を拡大する際に限界が生じます。
関連記事:営業のデータ活用を推進する5ステップ
2.営業担当者の勘が外れた際の業績への悪影響
営業担当者の頭の中にある営業データは他の人に見えないため、担当者の意思決定が個々の商談における営業戦略の大部分を占めることになります。
しかし、この意思決定がもし間違っていたとしたら会社の業績への影響はどうなるでしょうか。第三者から何をしているか見えない営業活動は、このような業績悪化を生み出す危険性があります。
3.顧客ニーズの変化への敏速な対応
「ゆでガエル現象」という有名な言葉があります。水に浸かっているカエルがいて、急に水温を上げるとビックリして水から飛び出します。
しかし、水の温度をゆっくり上昇させると、カエルは水の温度が上がっている事に気づかずに茹でられてしまいます。
このたとえ話を営業に当てはめて考えてみたらどうなるでしょうか?水の温度の変化が顧客ニーズの変化だとします。営業担当者が同じ商品をいつものように売っていると、顧客ニーズ(水の温度)が変化していることに気づかないかもしれません。
営業データを分析していれば、細かい変化をキャッチすることができます。
これによって、現場の営業が環境の変化に対して、いち早く対策を取ることが可能となります。
顧客のニーズの変化にいつの間にか置いていかれ、気がついたら売れない営業組織(茹で上がったカエル)になっていた…なんてことは避けたいですよね。
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3つの基本的な営業分析手法
動向分析
動向分析とは業界やサービス、商材などのざっくりとした大きな動きをグラフなどを用いてとらえる分析方法です。
月ごとの商品、企業の売上動向を調べたり、競合他社と自社の業績を比較して、自社の立ち位置を確認することもここに含まれます。
動向分析はざっくりとした動きを捉えることには向いていますが、一方でこの分析だけでは小さくかつ重要な動きを見逃す可能性があります。また、それぞれの顧客に適した商品やサービスを分析するなどの詳細な分析はできません。
このような動向分析とともに必要になるのが、次に記載する要因分析です。
要因分析
要因分析とは、売上や業界の動向に影響を与える要因をとらえる分析方法です。
動向分析でとらえた全体の動きに対し、その動きの要因を見つけ、意味づけを行っていきます。
例えば、「ある月に売上が急増した競合他社の商品がある」と動向分析によって判明したとします。
この時、「売上増加の理由は有名人がSNSでPRを行ったからだ」と要因分析を行うことができれば、自社もそれと似た施策をとることで売上増加を図ることができるかもしれません。
要因分析では、動向分析でとらえた動きに対して「なぜその動きになるのか」を考えることで、本質に近づくことができます。
しかしここで注意しなければならないのは、仮に要因を推定したとしてもそれは仮説の域を出ないことにあります。
そこで、動向分析と要因分析から得られた仮説をもとに、次に記載する検証分析を行うことが重要になります。
売上分析の手法やツールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:売上分析に使える7つの手法と分析ツールを紹介!
検証分析
検証分析とは、動向分析と要因分析から立てた仮説を確かにする分析方法です。
動向分析と要因分析から得られた「この○○の動向の要因は△△なのではないか」といういくつかの仮説を、実践やテストを重ねながら「その仮説が本当に正しいのか」を検証します。
この過程では、単に分析するだけではなく発想力・柔軟性も必要になります。テストを重ねるためには状況に応じて、検証に必要なアイデアを出すことが必要になるからです。
この検証分析を経てはじめて、分析の結果を確かなものにすることができます。
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営業分析の実践的な方法
では、具体的にどのように営業データを分析していけばいいのかを見ていきます。
まずはKPI分析から見ていきましょう。
データ分析については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:データ分析とは?分析に求められる仮説思考とは?
KPI分析
営業組織では多くの場合KPIを設定していると思います。営業訪問件数であったり、売上の数字、アポの件数であったり、クロージングの件数であったり、多くのKPIが数字として設定されているのではないでしょうか。
【関連記事】KPIとは?営業のKPI設定方法と実際に使える営業活動の5つのKPI
これらの数字をトップセールスと比較して、どこのアクションに差が生じているのか分析します。
重要なことはトップセールスの数字なんだから差が出ても仕方がない、とするのではなく何の指標がどのような理由で差があるのか分析して考えることです。
アポの件数は差がないにも関わらず、クロージングの件数に差が生じているのであれば、クロージングにフォーカスして問題点を洗い出すのです。
具体的なやり方は以下の記事でまとめましたのでご興味のある方はご一読ください。
エリア分析
次はエリア分析を見ていきましょう。
エリア分析とは、地域特性を調査したうえでその地域に適した販売戦略を行うことです。特定のエリアにおいて、住んでいる人・働いている人の属性や嗜好などを数値に基づいて分析します。
具体的には、国勢調査のデータや専門的にエリア分析を行っている企業の公表するデータを用いて分析していくのが良いでしょう。さらに地域の風土のような点まで深く理解することができれば、より精度の高い分析を行うことができます。
エリア分析を行うことで、その地域により適した広告・宣伝戦略を立案することができるようになるのです。
行動分析
続いては行動分析です。行動分析では営業メンバー一人ひとりの行動を詳細に把握し、メンバー一人一人の傾向をつかんでいくことが目的になります。
成績の良いメンバーはなぜ良いのか、逆に成績の芳しくないメンバーはなぜ成果が出せないのか、をデータをもとにその差を分析していきます。
この分析から得られた結果をもとに成功の法則を社内のナレッジ化していくことで、営業部門全体の成果を底上げすることができるのです。
また行動分析では、ある商品や顧客層に対して高いパフォーマンスを発揮する社員を発見し、その社員に合った適切な配置変更などを行うこともできるでしょう。
行動分析を行う上ではSFA(営業支援システム)を使用することが有効です。営業メンバー一人ひとりのアクションを記録し、その動きを可視化することができます。
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営業のパイプライン分析
続いて、パイプライン分析のご紹介をします。パイプライン分析とは顧客への初回接触からクロージング、受注までの一貫した流れをパイプラインに例えて分析する手法です。
「初回訪問→ヒアリング→プレゼン→見積→クロージング→受注」
このような営業の各工程をパイプラインに見立てています。
工程毎にKPIを設定し、いつまでにどれくらいの案件が受注すれば、売上がいくらになるのか、という計画を立てます。
当初立てたパイプラインの計画と実績を比較し、どこに課題があるのか分析することがパイプライン分析です。
▶︎【Excel管理に疲れた営業マネージャー必見!】営業組織の到達度診断シートで根本課題の把握をしてみませんか?
初回訪問→ヒアリングへの工程に課題があるのであれば、初回接触時のコミュニケーション方法に問題があるのかもしれません。クロージングに課題があるのであれば、営業のプレゼンスキルに問題があるのかもしれません。
単に営業の数字が悪い、と終わらせるのではなくどこの工程に問題が潜んでいるのかを把握すれば、営業担当者ごとに課題が見えてくるはずです。
詳しくは以下の記事でまとめましたのでご興味のある方はこちらもご一読ください。
案件・商談の分析
営業担当者は数多くの案件を抱えています。しかし、全ての案件に同じように対応しようとする営業担当者もいます。
具体的に言うと、受注確率が低い案件とほぼ確実に取れる案件を両方持っている場合、2つに割く工数を平等にするのは合理的ではありません。取れないとわかっている案件は手を抜こう、という事ではなく案件に対して優先順位を付けることが重要です。
これは営業組織全体の成績がどう推移するのかということに影響するので、営業マネージャーのマネジメントが必要となります。
【関連記事】失注分析・失注要因分析の方法とは?分析に便利なツールを紹介
営業分析ツール
SFA
SFAとは、英語の「Sales Force Automation」の略語で、 企業の営業活動における情報全般をデータ化して蓄積し、分析することができるソフトウェアです。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いは?意味・役割・主な機能を徹底解説
営業プロセスの見える化、属人化されがちな営業情報の共有、営業活動の効率化を実現させ、営業組織の目的達成を強力に後押しします。
SFAには、基本的に以下のような機能が備わっています。
- 顧客管理機能
- 案件管理機能
- 行動管理機能
- 予実管理機能(予算と実績を比較して目標達成率を分析する)
- レポーティング機能
今回は、弊社の開発するSFA「Senses(センシーズ)」を例に、SFAのレポーティング機能の1つである、売上予測レポートについて説明していきたいと思います。
SFAの売上の見込みのレポートを活用して、正確な見込みを把握するとともに、重要な案件を落とさないように手を打っていきます。
SFAの売上の見込みのレポートでは、入力された契約予定日と金額に基づいて、月次や年次の見込み金額をグラフ化することができます。
ここでは以下のようなポイントを重点的にチェックすると見込みの精度が上がるでしょう。
- 受注見込みはいくらか、目標に対して足りているのか
- 今月の見込みの案件はどれか、その中で上長がフォローすべき大口案件はあるか
また、Senses(センシーズ)には蓄積したデータを活用したAI分析が可能です。
Senses Insightという独自のAI分析機能を使って、これまで登録された案件情報をもとにAIが下記3点について案件の今後の進展を予測します。
- AI予測確度:最終フェーズ到達率、リスクと判定される項目
- AI予測契約日:過去案件から予測される契約日、案件の現在の契約予定日とAIが予測した契約予定日の差分
- AI予測金額:過去案件から予測される契約金額、案件の現在の契約金額とAIが予測した契約金額の差分
Senses(センシーズ)を活用し、詳細な営業データの分析と営業目標の達成を実現していきましょう。
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Excel/スプレッドシート
SFAを導入していない会社の場合は、Excelなどのスプレットシートを利用しているケースが多いようです。
SFAを異なりフォーマットが自由である反面、自分自身でゼロから作成しないといけないというデメリットがあります。
起業したばかりでデータが少なく、商品数も少ないような状況であればExcel管理でも十分かもしれません。
しかし、事業の規模が大きくなるとExcelで管理するのは難しく、煩雑になってきます。その際はSFAの導入を検討しても良いかもしれません。
エクセル以外で管理する方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:Excel(エクセル)では限界!営業管理をもっと上手くやる4つの方法
終わりに
営業は会社の業績を左右する重要な役割です。そのため、出来る限り営業データの分析を行い、営業課題を素早く、的確に解決していく必要があります。
昔からある老舗の中小企業では営業担当者の勘や経験に頼る会社が依然として多いようです。取引先の情報や顧客からのクレーム、商品知識など営業担当者の頭に眠っている情報は、実は企業の財産となりえるのです。
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Senses Lab.はSFA/CRM「Senses」を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。
Senses Lab.では営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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