売上データには、経営のさまざまなヒントが隠されています。そのため細かく売上分析をして、自社の現状を把握する作業は重要です。

しかし「売上分析の方法がわからない」「数字が苦手」などと売上分析になかなか踏み切れない人も少なくありません。

そこで、本記事では売上分析の手法や、活用できるフレームワーク・ツールを紹介します。初心者向けにわかりやすく解説しますので、全く知識がない方でも安心して読めるでしょう。

きっと自社内で売上分析を実施する際の参考になるはずです。

売上分析を行って自社の収益アップに繋げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

▶️︎▶️︎営業成果最大化のためのデータ活用法についての詳細はこちら

売上分析とは?

売上分析とは

売上分析とは、自社の売上を分析し「どこに課題があるのか?」「どのチャネルからの売上の割合が最も大きいのか?」などの課題や傾向を把握するプロセスです。

分析を踏まえた「売上向上施策」まで繋げることが目的とも言えます。

売上の分析軸はさまざまですが、主に以下の指標で売上分析をすることが多いでしょう。

  • 商材別
  • 営業所別(支社別)
  • 部門別/チーム別
  • 営業担当者別
  • 顧客別
  • チャネル別

これらの指標を細分化した売上を、週ごと・月ごと・期ごと・年ごとなどで分析します。

具体例として、弊社が提供する営業支援ツールMazrica Sales (旧 Senses) の売上推移レポートをご覧ください。

※営業支援ツールMazrica Sales (旧 Senses) の売上推移レポートのイメージ

▶︎▶︎売上分析レポートを簡単に作成できるMazrica Sales (旧 Senses) の詳細を見てみる

ただし売上分析はただ単に売上金額の把握や比較だけでは足りません。売上分析の本質的な目的を理解し、目的に即した分析を行うことで効果が高まります。

売上分析を行うには、データ分析の考え方が重要になります。以下の記事を参考に、データ分析の基本を理解してから売上分析を行うとより精度を高められるでしょう。
関連記事:データ分析とは?分析に求められる仮説思考とは?

売上分析を行う目的

売上分析を行う目的

売上分析の目的は、大きく分けて二つあります。

一つ目の目的は現状把握です。

さまざまな視点から多角的に売上分析することで、自社が置かれている状況を理解できます。また細かく売上データを分析していくと、自社のボトルネックや課題も見えてくるでしょう。

そして二つ目の目的は目標設定です。

現状が可視化できたら「どうすれば自社の売上課題を解決できるのか」「何をすれば売上が向上するのか」などの目標設定がしやすくなります。

このように売上分析によって、自社の現状を具体的に把握し、よりよい方向に改善するための目標設定につなげられるのです。

なお、目標の達成具合を管理するためには、診断シートを活用するのが有効です。
▶️︎▶️︎毎期目標達成している企業が実践する目標到達度診断シートを無料で見てみる

売上分析の5つのメリット

売上分析の5つのメリット

数字や分析が苦手な人は、売上分析を敬遠しがちです。しかし売上分析により、以下のような5つのメリットが期待できます。

  • 収益性の高い商品・顧客を理解できる
  • 市場動向を理解できる
  • 適切な目標設定につながる
  • 売上予測(ヨミ管理)の精度を上げられる
  • 営業パーソンのモチベーションが向上する

順番に見ていきましょう。

1. 収益性の高い商品・顧客を理解できる

売上分析をすることで、収益性の高い商品や顧客を把握できます。

パレートの法則(8:2の法則)で知られるように「売上の8割は、2割の優良顧客から生み出されている」「売上の8割は、全商品のうち2割の売れ筋商品から成り立っている」と言われています。収益性が高い商材や顧客にリソースを集中させることで、効率的に売上を向上できるでしょう。

2. 市場動向を理解できる

細かく売上分析をすることで「この業界の顧客には、この商材がよく売れている」「この時期には、この商材のニーズが高い」といった市場の動向を把握できます。

市場のニーズに基づいた経営戦略や事業計画を策定できるため、他社よりも優位に事業を進められるでしょう。また他にも、新商品開発やマーケティング施策の立案など、市場動向は多方面に活用が可能です。

3. 適切な目標設定につながる

とにかく売上を向上させたいからと言ってやみくもに高すぎる目標を設定してしまうと、現実とのギャップが生じてしまい達成できなくなってしまいます。

しかし売上分析により自社の売上の傾向や市場動向を把握できれば、根拠のある具体的な目標設定が可能になります。

4. 売上予測(ヨミ管理)の精度を上げられる

自社の売上実績や時期による変動、さらには市場動向や顧客ニーズは、細かい売上分析によって見えてきます。これらの情報から将来的な売上を予測できるようになります。

売上予測を見誤ってしまうと「生産が追い付かない」「余剰在庫を抱えてしまう」「受注を前倒しするために顧客に無理な営業をしてしまう」といったリスクが生じかねません。

しかし、売上分析によりヨミの精度を上げられれば、事前に対策を取ることができるため効率的です。

関連記事:売上予測の計算方法を解説!売上予測レポート2つの作り方

5. 営業パーソンのモチベーションが向上する

売上分析は、営業パーソンのモチベーション向上にもつながります。

営業担当者ごとの売上分析をして得意・不得意を発見できれば、長所を評価したりボトルネックの改善アドバイスをしたりできます。

また売上分析に基づいて一人ひとりの目標設定ができれば、「達成したい」という気持ちにさせる効果もあります。

やみくもに「受注率を上げなさい」「売上を2倍にしなさい」と言われるよりも、過去の売上データから設定された目標であれば営業担当者は納得感がありモチベーションが高まるのです。

なお、営業パーソンのモチベーションをさらに向上させる方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:営業のモチベーションを維持し向上させるには?リモートワークでのマネジメント例を紹介

売上分析の事前準備3ステップ

売上分析の事前準備

正確な売上分析をするためには事前準備が欠かせません。売上分析における事前準備の3ステップを解説します。

  1. 売上分析目的の明確化
  2. 売上分析するデータの収集
  3. データの可視化

分析の精度を高めるためにも、一つひとつ実践していきましょう。

1. 売上分析目的の明確化

売上分析を始める前に、明確に目的を設定しておきましょう。

「自社の売上の傾向を知りたい」「売上課題を見つけたい」など曖昧な目的で売上分析をすることが多いですが、注目すべき項目が分からなくなったり、どのような分析方法が適しているのかわからなくなったりしてしまいます。

「営業メンバー一人ひとりの売るのが得意・苦手な商材を知り、来期の売上目標を設定したい」「顧客やチャネルごとの売上貢献度を知り、マーケティング戦略を立てたい」などの明確な目的を設定しましょう。

2. 売上分析するデータの収集

次は売上分析で使用するデータを収集します。

単に売上金額だけでなく「購入日」「顧客名」「商材名」「購入数」「単価」「営業担当者名」など売上を構成する要素をすべて収集するのがポイントです。

さらに「人件費」「原材料費」「輸送費」「販促費」などの支出データも洗い出しておくと、より細かい売上分析が可能になるでしょう。

3. データの可視化

収集したデータをもとにして売上分析を行うため、バラバラに散らばっているデータを一元化する必要があります。

ExcelやGoogleスプレッドシートなどであれば、表を好きなように作成できます。また関数を活用することで、複雑な計算も可能です。

しかしデータが多すぎるとファイルが重くなってしまったり、他のメンバーと共有しにくかったりするデメリットもあります。

そのような場合は、SFAやCRM、BIツールなどのクラウドサービスを活用するのも一つの手です。

▶️▶️データを可視化し、売上を最大化するSFAとは?

売上分析に使える7つのフレームワーク

売上分析の7つの方法

売上分析に活用できるフレームワークや手法は複数ありますが、よく使われているものを7つに厳選して紹介します。

  • 因数分解
  • アソシエーション分析
  • 重回帰分析
  • RFM分析
  • ABC分析
  • デシル分析
  • クロス集計

なお、営業のデータ分析不法については営業データ分析の手法3つ!見るべき項目やSFAを活用した分析手法の中で、詳しく解説しています。

1. 因数分解

売上分析の手法のなかでも、比較的取り組みやすいのが因数分解です。売上の構成要素を細分化し、さらに深掘りしていくことで売上減少・増加の原因を探る方法です。

たとえば、ある商品の売上が減少しているケースを例に考えてみましょう。

この場合、売上は「売上=販売数×単価」と因数分解できます。

さらに販売数は以下のようにあらゆる要素で分解が可能です。

  • 1月の販売数+2月の販売数+・・・・・+12月の販売数
  • 顧客Aへの販売数+顧客Bへの販売数+顧客Cへの販売数
  • 営業担当者Aの販売数+営業担当者Bの販売数+営業担当者Cの販売数
  • チャネルAの販売数+チャネルBの販売数+チャネルCの販売数

こうして細かく因数分解することで「特定の分野での販売数が落ち込んでいる」という課題が見つかりやすくなります。

一方、分析の結果「販売数には問題ない」という結論に至れば、単価に問題があると判断できます。この場合は相場の調査などが必要になるでしょう。

2. アソシエーション分析

アソシエーション分析とは物事の関連性を紐解いて分析する手法で、売上分析では特に商品同士の関連性を見つける際に使われます。

アソシエーション分析で著名な事例として、アメリカで発表された「おむつとビールがセットで買われる」という説があります。このことから「妻におむつを買ってくるように頼まれた夫は、おむつを購入するついでにビールも購入する」という関連性があることがわかります。

このように、売上を構成する要素も関連性があります。アソシエーション分析により関連性を見つけられれば、クロスセルにつなげたり関連商品の開発をしたりできるでしょう。

たとえばスーパーで肉売り場に焼き肉のたれが陳列されていたり、ECサイトで商品をカートに入れた際に「他の人はこのような商品も購入しています」と他の商品がレコメンドされたりするのは、関連性があるためクロスセルにつながりやすいからなのです。

3. 重回帰分析

重回帰分析とは、成果(目的変数)に影響すると考えられる要素(説明変数)を挙げ、どの説明変数が目的変数に対してどのくらい影響しているのか分析する手法です。

たとえば目的変数が「売上減少」だった場合、説明変数である「顧客数」「受注数」「顧客単価」「販売チャネル」などをそれぞれ分析することで、何が原因かを突き止めることができます。

また重回帰分析は、売上予測でも活用できます。

目的変数を「来期の売上金額」とすると、影響すると思われる要素である「既存顧客の解約数」「既存顧客へのアップセル」「新規開拓数」「営業人員数」などが説明変数として挙げられます。これらの変数が今期の売上金額に与えた影響を数値化することで、来期の売上金額を予測することが可能なのです。

4. RFM分析

RFM分析とは「Recency=最新購入日」「Frequency=購入頻度」「Monetary=累計購入金額」の指標で顧客をグループ分けする手法です。どの指標もスコアが高ければ優良顧客と言えるでしょう。

一方「購入頻度が多いが、最近は購入していない」という顧客は、最近は他社から購入している可能性が高いです。再訪問やクーポンの発行などで、再び関係を築く必要があります。

また「頻繁に購入しており直近でも取引があるが、購入金額が低い」という場合は、アップセルやクロスセルの提案を強化して顧客単価を上げられるでしょう。

このようにRFM分析の結果からそれぞれのグループに対して最適なマーケティングや営業の施策を取れるため、効率的に売上を向上できます。

5. ABC分析

ABC分析とは「パレートの法則」をベースにした考え方で、商材を売上に対する貢献度でグループ分けする分析手法です。

具体的には、売上金額の高い順に商材を並べ、累計売上金額の割合が70%以下(貢献度が高い)の商材をA群、71~90%の商材をB群、91~100%(貢献度が低い)をC群と分けます。

売れ筋商品が明確になりリソースを集中させたり、貢献度が低い商材の取り扱いをやめて新商品を仕入れたりするなどの判断が可能になります。

ABC分析は商材の分析に使われることが多いですが、顧客別や担当者別の分析にも活用できます。

たとえば売上に対する貢献度によって顧客を分類し、サポート内容や訪問回数を変更することで営業活動が効率化します。また売上が高い営業メンバーとそうでない営業メンバーに分類して、売上が高い営業担当者に共通している営業トークや提案書などを他のメンバーに展開することで、全体の営業力の底上げが期待できます。

ABC分析についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:ABC分析とは?|在庫管理を行いやすく仕事を効率化する方法

6. デシル分析

デシル分析は、顧客を購入金額順に並べて10グループに分類する方法です。

10グループそれぞれの購入金額の合計を算出し、構成比や比率を分析します。売上に対する貢献度や平均購入金額などから、各グループにどのような施策を取るのかを考えます。

顧客分類の方法は、デシル分析のほか先述のRFM分析もあります。RFM分析は購入金額のほかに購入日や購入金額も分類の対象となりますが、デシル分析は購入金額のみなのでシンプルな分析方法と言えるでしょう。

7. クロス集計

クロス集計は、売上データのうち2~3の項目に着目し、各項目のデータをクロスして分析する方法です。

たとえば、売上分析では「購入日」「顧客名」「購入金額」「購入商材」「購入数」などの項目を集計しますが、「顧客名」「購入金額」「購入商材」をクロス集計すると、どの顧客がどの商材をどれだけ購入しているかを導くことができます。

売上分析に活用できる2つのツール

売上分析に活用できるツール

売上データを集計・可視化して分析するためには、手計算よりもツールを利用するほうが効率的です。手計算では集計ミスが起きやすいですが、ツールを活用すれば複雑な集計や分析も可能になります。

売上分析に活用できるツールを紹介します。

エクセルを活用した売上データ分析

表計算ソフトのExcel(エクセル)は、多くの企業が売上分析で活用しています。

エクセルは表や項目を好きなように設定できるため、自社にとって使いやすい集計ファイルを作成できます。項目を増やしたいときにも簡単な作業で済むため、扱いやすい点がメリットです。

またピポットテーブルを使うことで、簡単にデータの整理ができます。関数の知識があれば複雑な分析もでき、あらゆるデータを多角的に見ることができるでしょう。

ただしエクセルは、データが膨大になるとファイルが重くなってしまったり計算途中でデータが消えてしまったりすることもあります。また他のメンバーと同時編集が難しく、作業効率が悪くなる点も懸念されます。

関連記事:売上管理をエクセルで行う方法とは?エクセル以外のツールも紹介

▶️▶️エクセルでの営業管理を脱却し営業成果の最大化するために必要なこととは?

SFA/CRMを活用した売上データ分析

※SFA/CRM Mazrica Sales (旧 Senses) の売上推移レポート

▶︎▶︎売上分析が簡単にできるSFA/CRM Mazrica Salesの詳細を見てみる

営業支援システム(SFA)や、顧客管理システム(CRM)も売上分析に活用できるツールです。

SFAもCRMも顧客情報や購入履歴・営業履歴などの細かいデータを蓄積できるため、より詳細で多角的な売上分析をしたい場合に適しています。

また自動でレポーティングしてくれる機能が搭載されているので、簡単に複雑な計算やグラフ化ができます。

MAツールと連携できるSFA/CRMを選べば、マーケティング施策や流入チャネルなどのデータも紐づけて売上分析ができるでしょう。

「どんなSFA/CRMツールを選べばいいのかわからない」という方はSFA/CRM徹底比較8選を是非ご覧ください。

そもそものSFAやCRMツールについて知りたい方は以下のページで詳しく解説しています。

関連記事:
SFAとは?CRMとの違いは?|意味・役割・主な機能を徹底解説
CRMとは?意味や機能・おすすの顧客管理ツールをわかりやすく解説

終わりに

売上分析により、自社の現状を把握できます。課題やボトルネックをもとに目標を設定できるため、根本的な課題解決につながりやすくなります。

ただし売上分析にはさまざまな手法があり、自社にとって最適な手法を見極める必要があります。また売上分析は手計算では難しいので、エクセルやSFA/CRMなどのツールを活用して効率的に進めましょう。

SFAとは? -入門編 -

SFA/CRMとは? -入門編 -

SFA/CRMをご存知でしょうか?SFA/CRMの導入で営業組織が劇的に変わります。 そもそもSFA/CRMとは?何ができるのか?そしてどのような導入メリットはあるのか? 様々な統計データを用いながらSFA/CRMの概要や導入プロセスまでを整理した資料です。

資料をダウンロードする
その他仕事に関するTipsの関連記事

SFA/CRMとは? -入門編 -

SFA/CRMをご存知でしょうか?SFA/CRMの導入で営業組織が劇的に変わります。 そもそもSFA/CRMとは?何ができるのか?そしてどのような導入メリットはあるのか?  …詳細を見る

広告ブロックツールが有効になっています!

広告ブロックツールが有効になっているため、フォームが非表示になっている可能性があります。

フォームを使用する際には広告ブロックツールを無効にした状態で、ページの再読み込みをお試しください。