ニューノーマル時代、顧客行動や営業手法の変化により「インサイドセールス」組織への注目度がますます高まってきています。その理由は、飛び込み営業や訪問によるルート営業が難しくなっただけでなく、既存のリストへの継続的なアプローチやデジタルマーケティングによるリード獲得施策などが一般化してきたことで、営業にも様々な役割が求められるようになったことが挙げられるのではないでしょうか。

そこで重要になるのが、SFAやMAをはじめとした営業活動のデータを蓄積し、活動を効率化させるテクノロジーの活用です。

本ウェビナーでは、自社でもインサイドセールスを実践するマツリカとアドビの2社で、SFA/MAによるインサイドセールスの生産性向上によって、いかにして顧客体験の質を高め、商談数を増加させていくか、というテーマでお話しします。

【講師紹介】
アドビ株式会社
マーケティングスペシャリスト
虻川 稜太氏

新卒で入社した精密機器メーカーで放送機器のプリセールス・営業に従事した後、2017年に当時の株式会社マルケトに入社。インサイドセールスとして年間200件以上の商談創出に貢献。現在はMarketo Engageを中心とした製品におけるデジタルマーケティングならびにフィールドマーケティングに従事。

 

株式会社マツリカ
営業本部長/Mazrica Sales (旧 Senses) エバンジェリスト
金澤 彬

大学卒業後不動産テック企業にて新規事業開発、営業本部長として従事。その後、株式会社トレタにて地方戦略、セールス事業部のマネジメントを担い、同社を業界シェアNo.1に成長させる。2019年、株式会社マツリカに入社。営業本部長兼エバンジェリストとして、イベント・セミナーに登壇し、SFA「Mazrica Sales (旧 Senses) 」の普及や、セールステックの啓蒙活動を行う。並行し、BIZTAKE.LLC 代表 / CEOとしてICTコンサルティング業務を行う。

商談数を倍増させるためには?

商談数を倍増させる 攻めのインサイドセールス|イベントレポート|Mazrica Sales (旧 Senses)  Lab.|1

虻川さん:インサイドセールスの商談数というと様々な定義がありますが、今日は「アポイントをとって外勤営業が商談する数」とします。商談数を倍増させるには、歩留まり(原料の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数比率のこと)を向上させることが大切です。

たとえば、ハウスリスト1000件のうち50%がアプローチリストだとして、そこから架電・メールし着電する割合が40%、アポイントにつながるのが10%とすると、だいたい16件という計算になるんですね。

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アプローチリストへの遷移数、架電やメール数、着電数をそれぞれ20%ずつ増やすと16件から倍の33件になります。そんな考え方でインサイドセールスのオペレーションを改善できると思います。

金澤さん:SFAベンダーからお話しさせていただくと、虻川さんがお話しした入口を増やすアプローチに加えて、商談化して流れてしまっている案件、失注案件を分析しインサイドセールスに戻すことで、ハウスリストのクオリティを上げることができます。その状態で、架電やメールをすれば、さらにその倍は見えてくるかなと思います。

アプローチの数を増やすためのポイント

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虻川さん:今購入を検討している方はほんの一部で、65%は興味はあるが今すぐは購入しない方なんですね。ほとんどの企業は、この層を放置してしまいがちですが、ただこの方々は商品を知っているので、検討見込みは高いです。

 

金澤さん:確かに。それ以降の工程をどう管理するかが重要ですよね。弊社では、ナーチャリングに重きを置いてます。

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我々は「SDR段階失注」と呼んでいますが、これは、要するに、問い合わせしたけどまだ検討してない段階の案件です。MAツールで、概要資料を見たお客様により具体的な課題に訴求できる資料を送るように設定しナーチャリングします。「商談したが今ではないお客様」や、「商談したけど他決したお客様」もマーケに戻します。

 

虻川さん:「SDR段階失注」「インサイドセールス段階失注」「営業段階失注」でフラグを立てて、細かく分析されているのですね。営業段階失注は、特に時期要因だと判断を迷いますよね。再チャレンジのタイミングで受注できたかもしれないと、ずるずる先延ばしになり悪循環になりそうです。

 

金澤さん:営業って案件を持ちたがる生き物なんですよね。ただ、理想は受注して案件が手離れするときですよね。弊社では、受注と同じように失注判断も細かく定義しています。多くの企業は、決まらずそのままになった案件、いわゆる「ポテンヒット」が最も多いと思うんです。我々はその部分を細分化しています。

具体的に説明すると、まず、急いでいない案件を「不急」とし、「検討は来期予定」といったデータを明記します。「今はいらない」「検討する根拠が未来に置けない」「来年必ず検討する必要がない」案件は「不要」に、機能的にミスマッチしている案件は「不適」にカテゴライズし、ナーチャリングの優先度を下げます。失注理由があいまいなものを細分化し、ルールに照らし合わせて失注判断をすると、フローが回りやすくなります。

虻川さん:なるほど。ということは、営業がマーケと合意して、管理するフィールドを設計しているということでしょうか?

 

金澤さん:そうですね。まさにそれが一番大事です。マーケと営業は仲悪いケースが多いんですね。お客様に商品を届けるために存在しているのに協力できないはずがないという前提に立つ必要があります。マーケ側で受注できなかった案件を営業がフォローするイメージですよね。直接営業しなければ売れない案件以外は、自動的に購買の意思決定がされるようになると思います。だからこそ、チームにはドライなルールが必要ですね。

 

虻川さん:お客様の段階に合わせて、送るメール内容も分けているのでしょうか?

金澤さん:分けてますね。MAとSFAを連携させているので、この資料を読んだらお客様は受注率が高いというのも把握しています。例えば、概要資料や価格表を見ているお客様はやはり受注率が高いですね。

弊社はSFAを提供するほかに、営業コンサルティングも行っているので、例えば「エクセルをやめたいあなたへ」のように、遠めの興味を訴求する記事もあります。いろいろなコンテンツを作っておき、「この検討段階のお客様にはこの資料」と細かく設定しています。

虻川さん:「これは受注率が高そうだ」みたいものをメールにしのばせて、それを見たらインサイドセールスがアプローチするみたいなイメージですね。

 

金澤さん:そうですね。「この資料を見た人は、このトークスクリプト」みたいなものも作ってます。

 

虻川さん:弊社では、インサイドセールスのアプローチ量を増やすために、電話とメールを中心に実践しています。特に、メールのアクティビティを効率化するのは重要と感じています。弊社はこんな感じで、このときにはこの事例を送るとか、このセミナーに参加した人にはこのメールを送るとかテンプレートを300くらい大量に作っておき、朝一に送るようスケジュール設定をしています。

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キャンペーン(3回も4回のメールが送られるようセットする)をする前と後では、アプローチ数が40%ほど増加して、結果、アポイントも同じくらい増えましたね。

アプローチの質を高めるためのポイント

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金澤さん:基本的にはお客様にフィットしたコミュニケーションがとれることが大切です。フィットしているかどうかは、弊社だとMAデータとSFAを連携させて、資料閲覧と受注数・受注率の相関関係を分析しています。一見遠そうなのに受注率が高いデータがマーケ側に返れば、マーケやインサイドセールスで「ここを訴求する広告を打ちましょう」みたいな施策も打てますし。

 

虻川さん:有効商談までは進むけど受注に至らないリードもありますか?

 

金澤さん:あります。弊社では「引きはいい資料」と呼んでいます。引きはいいけど意思決定には至らない、弊社にとっては熱い案件ではないってことですね。例えば、今AIがトレンドですが、AIというワードに引っかかる方は具体的にシステムを落とし込むところまで興味関心のレベルが高まってないんですね。

 

虻川さん:Mazrica Sales (旧 Senses) だと、レポーティングやダッシュボードの設定は簡単に変更できるのでしょうか?

 

金澤さん:iPhoneの設定を変えるくらい簡単にチャネルの数を増やせます。PDCAを回すには設定変更は避けて通れないんですよ。設定作業がヘビーになるとサイクルが回らなくなるので。

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虻川さん:弊社は、アラートメールを使っています。ここをチューニングすることでアプローチの質が変わるなと最近気づいたのですが、この辺りはどうでしょう?

 

金澤さん:失注フェーズのお客様が久しぶりに資料を見ることは多分新規よりアツいんですよね。そしてここが一番受注率が高いです。久しぶりに資料見たときに急に電話来たら運命感じますよね。

 

虻川さん:本当にそうですね。弊社だとアラートの他にSFAにさまざまな情報を入れています。マルケトの場合はユースケースが異なるので、「新規獲得したい」「既存顧客のLTVを最大化したい」とか。新規顧客獲得、LTVの最大化、業務効率化という顧客課題は重要なデータで、これをもとにインサイドセールスはMA経由で顧客にメールを送り、3か月後にタスクが立っていてフォローするだけでメールの開封率も3倍くらい違ったり。自動化するけど、あたかも手でフォローしているような仕組みを作れると質は高まると思います。

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金澤さん:自動化した感が伝わると萎えちゃいますよね。それをフォローする仕組みとして、インサイドセールスや営業が聞いた定性的な情報を社内で共有し、アプローチする行為だけMAで自動化するみたいに、温かさと機械のスピード感を組み合わせて、バランスをとることが大事かもしれませんね。

商談数を増やすためにフィールドセールスやマーケティングとどのように連携するか

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虻川さん:インサイドセールスは営業とマーケに挟まれて動きづらいこともあると思っています。商談数を増やすには、インサイドセールスが動きやすい仕組みや連携体制を作ることが重要と感じています。まずフィールドセールス側の話を聞きたいのですが、御社では、先ほどのコールの質といった話も含めどのようなことをされていますか?

 

金澤さん:インサイドセールスはMAツールの「誰がいつどんな資料に何回アクセスしたか」のデータをもとに、仮説をたててトークスクリプトを組みます。アポがとれると、インサイドセールスがフィールドセールスにバトンを渡します。弊社ではSFAにクラウドCTIを連携させているので、会話の録音内容をもとに、どんな会話をしてアポに至ったか、お客様はどんな人かなどパーソナルな情報をつかむことで、このお客様にはこう提案するみたいなレビューがメンバー間で可能になり、事前のストーリーメイクができます。

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虻川さん:あるとないとでは、外勤営業の心の持ちようが変わりますよね。

 

金澤さん:人のコメントって、どうしても主観が入るじゃないですか。でもCTIがあれば、ファクトをもとに第三者目線でフォローできますよね。

 

虻川さん:おっしゃる通りですね。逆に営業からインサイドセールスにフィードバックをすることはありますか?

 

金澤さん:ありますね。そのフィードバックの積み重ねがトークスクリプトになるイメージです。受け手からすると自分にとって気持ち良いパスってあると思うんですよ。それを必ず営業からフィードバックし、組織として必須で聞いてもらう項目をジャッジします。SFAを使って洗い出しをすると、ある程度データがたまるので、必須の入力項目に落とし込むというサイクルが回りやすくなります。

 

虻川さん:商談とともにテキストで残すというのは、振り返るときにもう一回見返すことが増えるので良さそうですね。

 

金澤さん:人はあまり見返すことをしたがらない生き物だと思っていて。なのでしやすい仕掛けを作ってあげることが大切です。

 

虻川さん:次に、マーケティングとの連携についてお伺いしたいのですが、弊社のアラートメールは、「営業が全然教えてくれない」みたいな不満から形になったもので、こういうシステムベースのアラートも大事だと思ってます。

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金澤さん:人ってネガティブなことをあまり言いたくないんですよね。だからフィードバックも出てこないんですよ。なのでそこをアラートメールという形で解決してあげるのはいいと思いますね。

 

虻川さん:このあたりの話は、インサイドセールスから要望を出すことに関連すると思うので、フィールドセールスとマーケティングにも大事な話ですね。最初組んだオペレーションって、うまくいかないことも多いですよね。

 

金澤さん:そうですね。うまくいかないことしかないと思ってますね。

虻川さん:私もマルケト立ち上げ3年目くらいでジョインしましたが、そのときと今では大分オペレーションが変わっているんですよね。御社では、SFA側でどのような変更をしましたか?

 

金澤さん:先ほどお話しした失注理由の項目も増やしたり減らしたりしてるんです。なくても受注にそれほど重要ではないというデータが明確になっている項目はどんどん減らします。そういう微調整を絶えず繰り返しています。

Q&Aセッション

Q:ハウスリストを増やすこともインサイドセールスの範疇ですか?具体的にどのような施策をされていますか?

虻川さん:リストを増やすのはマーケの仕事ですが、「それハウスリストの定義を変えたい」や「メールはこうしてほしい」というのはインサイドセールスも企画を立案して実装します。御社だとインサイドセールスがハウスリストを増やしていますか?

金澤さん:数を増やすというよりは、増やしていく過程で必要な情報をマーケにフィードバックしていますね。

 

Q:SFAを正確に入力してもらうコツなどありますか?
金澤さん:これは、SFAの課題でもあります。なので、入力しやすいプロダクトを選ぶことが重要です。また、入力したらメリットがある状態を作り出すことですね。営業だったら、先輩の過去のすごく熱かった案件を見られることだったり、SFAにデータがたまるから資料を作る手間が省けることだったり。メリットが実感できれば、そこにデータをしっかり入れようと思えるわけじゃないですか。

 

Q:これからインサイドセールス組織を作る予定です。お話を伺っているとマーケと営業両方のセンスが必要そうですが、どのような人材が向いていますか?

金澤さん:素晴らしい質問ですね。マーケと営業の両方のセンスは必要だと思います。今までSDRは、コールセンターをイメージされている方が多いですが、会社のビジョンとかミッションに共感していて、組織としてチームとして売り上げを上げる意識を持ってることが重要ですね。スキルはあとからついてくると思うんで。

 

虻川さん:お客様の課題を深く知ること、お客様の気持ちになれることが本当に大事かなと思っています。

Q:インサイドセールスとフィールドセールスだけで、マーケ部隊がいない場合は、インサイドとフィールドどちらにマーケの役割を持たせたらいいでしょうか?

金澤さん:そういうところこそ、絶対にMAツールを使ってインサイドセールスが主体でやったほうがいいと思います。インサイドセールス主導でPDCA回していくと、人数少ないからこそ、早く回せるメリットがあります。

 

虻川さん:インサイドセールスが5人いてMAを導入していない場合、一日たぶん3時間位かけてメールを送っていると思うのですが、4人にしてMAを導入すれば1日30分で済むようになると思うんですよね。

最近、我々が提供させていただいているユーザーさんでは、ナーチャリング担当やコンテンツ担当のインサイドセールスが置かれている企業が増えていると思うので、インサイドセールスの中にマーケティング担当が入る日は近いのかなと思ってます。ただフィールドセールスからのフィードバックというのは大事だと思うので、インサイドセールスに閉じる必要はないと思います。

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Mazrica Business Lab. 編集部
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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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