営業同行をする中で同じ時間をかけても成長の度合いにバラつきがある…
新人営業を成長させるのが上手い先輩営業もいれば、全く成長させられない営業もいる…
このような営業同行に対して成果へのバラつきに悩む営業や営業責任者は多いようです。
今回、営業同行する上で、その効果を最大限発揮できるポイントは何か?ということを考え、新人営業が先輩営業に同行する際や先輩営業が教育の際に意識すべき点をご紹介します。
営業同行の目的とは?
毎年、新入社員が新しく営業部門に配属されて営業研修が行われていると思います。研修後にいきなり一人で実践に入るケースは少なく、多くの企業ではまず営業同行が行われているのではないでしょうか。
先輩営業のみなさんは、会社から指示されたから営業同行を受け入れている、という方も多いかもしれませんが、本来の営業同行の目的を知ることで新人営業の早期戦力化が期待でき、マネジメントという観点から自身の成長へと繋がります。
新人営業は同行することで「営業がどんな仕事をしていて、何が重要なのか」を実際に体験します。営業研修である程度のセールストーク術やビジネスマナーなどを教わるかもしれませんが、実際の営業の現場に立つと研修の時のように上手くいきません。顧客それぞれに特徴があり、興味関心も違うため、研修の時のような限られたケースだけでは通用しなくなるためです。
雑談も含めて上司と顧客がどのように会話をしていてどのように対応しているのか、しっかりと学ぶことが大切です。この際にビジネス用語と一般的な単語、言葉遣いなども押さえるようにします。商品の知識以上に営業にとって大切なことは顧客とのコミュニケーションスキルです。
営業同行時に心掛けるポイント
営業同行を実施している企業の多くは新人営業に対して平等に同行の機会を与えていると思います。しかし、十分に準備の出来ていない状態で営業同行をしても十分な効果は発揮されません。
一定レベルに達した新人営業を同行させるのが理想的です。
では、どの程度のレベルであれば営業同行させて良いのでしょうか。
3つの観点から新人営業のレベルを確認してみてください。
1.ビジネススキル(議事録、メモ、挨拶、5分前行動、商品知識)
ビジネスにおいて最低限のマナーや行動ができているかどうかを確認します。遅刻はしないか、挨拶はできているかなど最低限のビジネスマナーから、必要の最低限の商品知識を備えているかや議事録の作成が可能かどうかなどを確認します。
2.自主性(質問をする、準備、できる事を自ら探す)
営業同行は“同行“だから先輩営業の後ろをただ単についていけば良い、と考える新人営業がいるかもしれません。このような自主性の無い考え方では営業同行をしてもスキルは身に付きません。自主的に顧客へ質問したり、商談の準備をしたり、出来る事を主体的に探しているか確認します。
3.現場対応力(マニュアル人間ではない)
どんなに研修で学んだとしても営業の現場では予測していない様々な事が起こります。起こり得るトラブルを全てシュミレーションしておくことは不可能ですが、過去の事例などを元にした営業ロープレである程度の想定をすることは可能です。臨機応変に対応できる現場対応力がある程度必要です。
営業同行で最低限知っておきたいマナー
営業同行させてもらう上司に対して最低限のマナーは知っておきたいです。
もしマナーがなっていないと、営業同行している新人営業本人とその上司の関係性が良いものにはなりません。
例えば、営業で上司に同行するときは「上司が先で自分があと」と覚えておきましょう。
商談の際に会議室に入る際、出る際、名刺を交換するときや顧客に挨拶するときも基本的には上司より先に自分が前に出てはいけません。
時には商談が長引き、仕事とは関係ない雑談を上司と顧客がしているかもしれませんが、自分は関係ないから先に帰りたいという雰囲気を出さずに雑談もコミュニケーションのひとつと受け入れて、臨機応変に対応することが必要です。
営業同行の効果を最大化させるコツ
営業同行は新人営業にとって実践の場であり、学ぶことが多くある大変貴重な場です。
しかし、この営業同行を十分発揮しきれない営業もいるようです。どうすれば営業同行の効果を最大化できるのでしょうか。
1.営業同行の目的を明確にする
冒頭で説明したように営業同行は先輩営業の後ろをただついていけば良いというものではありません。先輩営業に同行することで商談の進め方や顧客のコミュニケーションの取り方、プレゼンテーションなどスキルを現場から実体験して学ぶことです。
更に新人営業が担当している案件で先輩営業が同行していればその場で的確なフォローもしてくれるはずです。例え失敗したとしても大きなトラブルになることは少ないでしょう。このような営業同行の目的をはっきりと共有し、成長の場ということを本人に強く意識付けることが重要です。
2.適切なフィードバックをする
営業同行を行うメリットはその場に上司と新人営業が一緒にいることです。上司は部下の営業を確認できているので、フィードバックを出来るだけ早く返してあげます。商談の内容やプレゼンの方法がどうだったのかをフィードバックすると共に、自分の反省点は何だったか、今後どうすれば改善すると思うか、など自発的に考えられる質問も効果的です。
営業同行を効果あるものにするには新人営業自身に責任感をもった仕事をしてもらい、自立させることが重要です。教えるだけではなく、自分自身で考える機会を与えられれば効果的な営業同行へと繋がるでしょう。
営業同行される先輩営業が気を付けるポイント
営業同行は同行する新人営業だけではなく、先輩営業にも高い目標意識がなければ十分な効果がないまま終わってしまいます。では、先輩営業はどの点に気を付ければ良いのでしょうか。
営業マネージャーが同行で注意すべき点
営業同行すればどんな新人でも同じように成長するかと言えば決してそんなことはありません。成長の早い新人、成長の遅い新人、特定の分野には強い知識のある新人などそれぞれです。つまり、先輩営業としてその新人営業の「個」を見極め、得意な部分は伸ばしつつ、足りないスキルはフォローしてあげる、という素早い判断が必要となります。
新人が伸びる営業同行は、共通して先輩営業が良い見本を見せていることにあります。普段の営業をするのではなく、営業のプロセスを分解して細かく新人営業に伝えるように営業同行を実施します。営業能力が高い先輩営業に同行すると「こんなに簡単に営業は出来るのか」と勘違いしてしまいます。背景も含めて説明することで一つ一つの行動の意図や営業プロセスを伝えることができます。
関連記事:営業マネージャーの仕事と役割とは?事例でわかりやすく説明
営業同行でメンバーの営業力を強化させるコツ
では、どのように見せるのが良き手本になるのでしょうか。
自転車に初めて乗る子どもに対して「お父さんのように乗ってごらん」と見せるだけではコツは伝わりません。子どもの個性により、すぐ乗れるようになるかもしれませんし、全く乗れないままかもしれません。
上手な伝え方は「見て学べ」だけではなく、「初めは地面を蹴って助走をつけてからペダルをこぐ」「足元ではなく前を見る」など具体的な工程を説明しながら見せる工夫が効果的とされています。
営業同行においてもこの考え方は共通しています。営業の経験が長いと、流れるように営業が行えるかもしれませんが、あるプロセスで止めて「このポイントは○○が大事」「ここでは○○に注意して」などポイントの説明と同時に説明をしてあげるとコツをつかみやすくなります。また、自分自身で考える機会も重要です。
「さっきの商談を見ていてポイントは何だったと思う?」など問いかけをしてみて、新人営業を巻き込みながら営業同行を進めるようにしましょう。
終わりに
営業同行は多くの企業で実施されていると思いますが、毎年の恒例行事のようにただ先輩営業の後ろを付いて行く、では本来の営業同行の効果は出ません。
今回ご紹介させてもらったように、営業同行の目的を共有して自主的に行動してもらい、自ら学ぼうと言う意思を高めてもらわなければいけません。個性により要領の良い新人営業もいれば、不器用な新人営業もいます。先輩営業として同行する社員の得意な部分、不得意な部分を十分見極めながら教育をするようにすれば、営業同行の効果を最大化させることができます。
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