マタハラ、カスハラ、アルハラなど職場の様々なハラスメントが取り上げられている中で、ひときわ目立つ存在なのがパワハラと並んで「モラハラ」という言葉でしょう。
モラハラは、「モラルハラスメント」の略で、道徳(モラル)に反したハラスメントのことを指します。
しかし、定義が一件曖昧に見えるために誤用されたり、乱用されたりするケースも。

この記事では、モラハラについて解説するとともに、その裁判例からモラハラの実態について探ります。

▶︎▶︎モラハラ以外の職場の悩みの1つである飲みニケーション。しかし、飲みニケーションの実態はどうなのでしょうか?

モラハラとは

モラハラに当たる職場の人間関係とは?|モラハラ裁判事例から学ぶモラハラの実態| Senses Lab. |1

前述の通り、モラルに反した相手への行動のことをモラハラ(モラルハラスメント)と言います。

言い換えれば、いじめや嫌がらせといったことがモラハラという言葉の念頭に置かれていると考えられます。

海外では、フランスやスウェーデンといった国がモラハラそのものを犯罪として規定しています。

日本でも、パワハラと並んで注目されている言葉であると言えるでしょう。

▶︎▶︎パワハラと指導の違いについてはこちら

モラハラの種類

モラハラは、複数の類型に分けられます。

ここでは、モラハラの種類について解説をします。この類型はパワハラの場合も用いられていますが、パワハラとモラハラには大きな違いが存在します。その違いについては、あとで解説を行います。

・精神的な攻撃

モラハラの大半を占めるであろう攻撃は、精神的なものです。
精神科に通っている、といった実態はあっても形が見えないゆえになかなか他人からは理解されないことも。
しかし、いくら被害の度合いが分かりづらくても精神的な攻撃としてのモラルハラスメントは実態として存在しています。
精神的な攻撃は以下の2つが代表的です。

ー集団からの切り離し
チームから隔離したり、仲間はずれにしたりといった行為は「集団からの切り離し」と呼ばれ、ハラスメントの一種です。
また、「無視をする」という行為も集団からの切り離しにあたります。

ープライベートの侵害
プライバシーに関わることを聞いたり、休日にまで干渉しようとしたならば、それは個の侵害であり、モラハラの一種です。
親しい関係にあるわけでもないのにむやみやたらに相手のことを詮索することは避けたほうが良いでしょう。
  
・仕事上での攻撃

職場でのモラハラには、業務に関わることも挙げられます。

ー過大な要求
相手が到底こなすことのできないような分量の仕事を与えたり、管轄外の難しい仕事を与えたりすることはいじめの一種であると言えます。
 
ー過小な要求
一方で、少なさすぎる仕事しか与えずに存在を無視したり部屋に押し込めて置いたりすることもれっきとした嫌がらせであり、モラハラの1つです。
適正な仕事量を共有し合うことが職場での理想の形です。

モラハラとパワハラの違い

それでは、よく混同されるパワハラとモラハラの違いとはなんなのでしょうか。

一番の違いは、権力を行使しているか否かというポイントにあります。

パワハラはパワーハラスメントの略であり、上司が部下に対して自らの権力を笠に嫌がらせなどを行うことです。

一方で、モラハラには権力は関係ありません。
同僚間や権力の関係ない家庭内などでも起こりうるものがモラハラなのです。

この違いをしっかりと頭に入れ、正確にハラスメントを見分けましょう。

▶︎▶︎パワハラと指導の違いとは? パワハラに悩む人はこの記事が参考になります。

モラハラ裁判例

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モラハラは以上で解説してきたように様々なケースがあり、また対処法も様々です。

裾野が広いハラスメントであり、裁判事例となっているケースもあります。

実際の裁判のケースからモラハラの実態について探ってみましょう。

①陰口といった行為が職場いじめと認定された事件(京都下労基署長(富士通)事件)

<事件の概要>

X社に勤めていた被害者Aは加害者Bを含む複数人の同僚らから執拗な陰口の被害を受けた。それは、社外などにも言い触らされるもので、Aは悪口等の行為により抑鬱状態と不安障害を発症した。
具体的な加害行為の中身としては、AはBを中心とした同僚7人ほどから聞こえるように影口を執拗に叩かれた。さらに、IPメッセージなどでも悪口が執拗に送信された。また、他の社員にパソコンについて質問された際にその質問を受け、お礼のケーキを食べたAに対し、「アホちゃう」「ケーキ食べたから手伝ったんやで」などと無根拠に非難した。

Aはその悪口といった行為について上司らに相談を行なったが、会社は適切な対応を取らなかった。結果として、Xは絶望感をより強めたと考えられる。

<判決>

Aは、京都下労働基準監督署長がした療養補償給付不支給処分の取消しを求めて裁判を起こしたが、原告であるAの言い分が認められる形となり、取り消しが成立した。

また、裁判所はAの精神障害がいじめを原因に発症したものと認めた。

<判決のポイント>

この事件は、Aよりも役職が下の社員らによって妬みが原因でおきたものです。権力関係が存在しないことから、パワハラには当たりません。(一方で、上司が何も手を打たなかったことはパワハラに当たります)
裁判所は、内容が職場内のトラブルではあるものの、その執拗さ、陰湿さの点で常軌を逸したものであると判決を下しました。

②悪口・暴力がモラハラと認められたケース

<事件の概要>

原告である女性Aは同僚である女性Bから「臭い」「死に損ないのブタ」などと執拗に暴言を吐かれた。さらに、女性の椅子を蹴ったり、出金台帳でAの背中を叩くなどの暴行を加えた。Aの背中にはあざなどが残り、Aは病院で診断書をもらうほどであった。AはBによる暴言や暴力の記録を取るようになり、ICレコーダーやビデオカメラを用いてBの行為の証拠を集めていた。

<判決>

原告AはBに対して損害賠償220万円を求める訴訟を起こし、その訴えが認められてBには損害賠償165万の支払いが命じられた。

<判決のポイント>

Bは暴力といった分かりやすいいじめの手段に訴えており、モラハラが認められました。この事件では、Bが記録を細かくつけていたことが役立ったようです。また、Bは原告Aに対してBがAに暴力をふるった際に応戦をされたとして弁護士を通じて慰謝料を請求したり、裁判を起こしたりしていますがいずれも退けられています。

モラハラの対処法

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モラハラにあってしまった場合には、対処法がいくつか存在します。
ここでは、「会社に相談する」「労働基準局に相談する」「労災保険の申請をする」という3つの手を紹介します。

会社に相談する

社内でモラハラを受けた場合、真っ先に相談すべきなのが上司や人事部などといった会社の組織です。

何も言わずに泣き寝入りすることは、モラハラをエスカレートさせる可能性があります。

まずは、会社内の組織に相談をしましょう。

一方で、会社の人に報告しても穏便に済ませようとするあまりにあまり解決をしない場合もあります。

それは、裁判事例などでもたまに見られるケースです。

これでも解決しない場合は、次のステップである「労働基準局に相談する」ことがおすすめです。

都道府県労働局に相談する

上記でも書いたように、社内の人に相談してもどうにもならない場合は、公的な労働に関する機関に相談しに行くのがおすすめです。

そのような機関としては、

・労働基準監督署
・都道府県の労働局
・公共職業安定所
・総合労働相談コーナー

などが挙げられます。

また、このように社内の人や公的機関に相談する前に証拠を集めておくとより相談がスムーズに運びます。

労災保険の請求

相談と同時に視野に入れておきたいのは労災保険の請求です。モラハラなどが原因で精神障害になってしまった場合、労災給付を受けられる可能性があります。

厚生労働省の基準としては、以下の3点が挙げられます。

①認定の対象となるうつ病や急性ストレス反応などを発症した
②発症前の6ヶ月間に業務による強いストレスがあった
③精神障害の原因が業務以外にありえない

このような場合は、労災保険が受けられます。
給料の73%ほどの保証が受けられる可能性があるのでぜひ申請してみましょう。

終わりに

モラハラは、人間関係に属している限り、誰にでも襲いかかってくる可能性のあるハラスメントです。
モラハラを受けた場合には、きちんと記録をとり、然るべき場所に相談をしましょう。
職場の悩みについてSenses Lab.では多くの記事が存在します。それらの記事も参考にしてみてください。

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