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受注を絶えずし続ける営業組織の作り方と称して、寺倉そめひこ氏にお話をお伺いさせていただきました。そめひこ氏の、前職先に入社し3ヶ月で事業部のトップ営業になった経緯や、その後株式会社MOLTSではどのように営業を行っているのかをお話していただきます。

【株式会社MOLTS 寺倉 そめひこ】

立命館大学を卒業後、経営コンサルティングファーム、広告代理店、藍染師を経て前職先に参画。入社1ヶ月半でマネージャーに就任し、3ヶ月で事業部のトップ営業に。その後新規事業の立ち上げ、企画、事業構築、採用など幅広く行う。2015年3月に人事部長、同年9月に執行役員就任。2016年3月に株式会社MOLTSを立ち上げ、5月から本格稼働をスタート。オウンドメディア、人事領域を中心に複数のパートナーとプロジェクトベースで活動する。

アウトバウンドを一切しないでトップ営業に

ー前職先に転職して3ヶ月で、事業部での営業成績トップになったとのことですが、なろうと思ったきっかけは何だったんですか?

仕事ですからね笑 あとは、当時マネジメントしていたメンバーとうまくコミュニケーションを取れなかったからですね。何かを変えようと思って、まずは営業をやっていこうと思いました。

当時はマネージャーになったばかりで、自分より社歴が長い人や年上の人も多く、「こういった組織を作りたい」「これを頑張って欲しい」ということを伝えてもうまくコミュニケーションができないことが多かったんです。

その人たちに納得して動いてもらうために、結構頑張ったところはありました。成績が残ればそのメンバーともうまくコミニュケーションを取れるようになりましたね。

ー当時、気をつけていたことはありますか?

前提として、新規でアウトバウンド営業を一切しないで、いかに仕事を受注してくるのかを凄く考えていました。

それには理由があって、僕はもともと京都の代理店に勤めていたのですが、その時最初の2か月間くらいずっと売上げが0だったんですよ。その時の経験から、いかに引き合いで案件を獲得するか、は意識していました。

京都での営業時代になぜ売上がなかったのかというと、僕が営業をしていた京都の特定地域では、ビジネスの規模やスタンスが東京と全く違ったんですね。30万円のHPを受注するのに3か月間通い続けるみたいなこともありました。その地域では提案内容も大事ですが、よそ者が気に入られるかもとても大事で。

しかも、チェーン店ではなく個人でやっている観光向けのお店が点在しているような状況。予算もあまりない上に、すでに業者が決まっていて、飛び込みで行ってもなかなか仕事がもらいにくいんです…。

じゃあ、どうすれば案件が取れるかというと、上司の知り合いや自分が作ったつながりを最大限活用すれば、気に入られることも早いわけですね。

結局たどり着いたのは、やっぱり行政や、その行政から補助金が下りるところでした。そこにお金が集約されていたので、どうやってそこにいる人たちとリレーションを築いていくかを考えて、案件を取っていました。

というような実体験があって、引き合いの案件を獲得することを意識していました。

実際数値に落とし込んでみるとわかりやすいのですが、アウトバウンドよりも、コーポレートサイトからの問い合わせ。コーポレートサイトからの問い合わせよりも、引き合いの方が受注率が高いんですよね。

で、前職先自体はインバウンドが多かったので、入ってきた問い合わせに対してリレーションを築いたり、仲の良い方や社内でも他部署の仕事を多く持っている人に「こういう風な仕事が欲しいです」と説明して回ったりして案件を増やしていきました。

ーその方法で失敗はしなかったんですか?

リレーションを築いていくとそのリレーションの維持が難しいです。。理由としては、一回ミスしたり、失敗をしてしまうと信用されなくなってしまって、次の引き合いにはつながらない。当たり前のことではあるのですが、当たり前のことをきちんと行うことはとても難しい。

また、紹介者がいる場合は、その方とクライアントとの信頼関係があって成り立ちます。受注をしても結果を得られなかった時には、クライアントと自分だけではなくて、紹介者に対しても不義理を交わしてしまうので。細かなミスが命取りなので、そういう意味では多くの方にご迷惑をおかけしました…。例えば、「このくらいのペースで行きます」と予測値をつけて説明しても、結果が出なかったときなど。

ーそういった失敗から、今に生きていることってありますか?

仕事がほしい時も、最良の提案を必ずするということですね。

「とにかく仕事ください!」というスタンスだと、自分の本心で思っていることと違うことを言っちゃうんですよね。

例えば、この課題に対しては自分たちの会社よりこっちの会社がいいなと思っても、自分たちの中で完結させようとしてしまうんですよね。そうじゃなくて、他社の会社を紹介してあげて、クライアントの課題解決に貢献する。

クライアント課題に対して、どういう道があるのかを一緒に悩んで解決するための一手を提案すること、そこにリレーションが生まれていくと思っています。

創業以来赤字ナシ!ステークホルダーマーケティングとは?

ーその後、前職先で執行役員を経て株式会社MOLTSを立ち上げられたんですよね。独立される際はどうやって仕事を取って来たんですか?

まず前提として「前職先のクライアントに手を出す」というようなことはやっていません。そこは仁義として初めから選択肢としてなかったという感じです。

で、最初の数社をどうやって獲得していったかと言うと、今までの方法とあまり変わらなくて、リレーションを構築して仕事を取っていました

具体的には、自分の経歴や実績をまとめて、独立するタイミングで知り合いにメールで流しました。「独立するんで宜しくお願い致します。」みたいな。

で、仲良い人から仕事が何件か入ってきて、初速を一気につけて行きました。労働集約型のビジネスモデルなので、赤字自体がほとんどない世界ですが、初月からしっかりと稼げ、2ヶ月目以降から数ヶ月先まで数字の組み立てができるようになりました。

ーその後はどうやって案件を増やしていったんですか?

僕らが重要視しているのは、ステークホルダーマーケティングという考えですね。

リレーションをいかに作っていくか、引き合いをいかに構築していくのかというところに振り切っています。なので、「仕事がない!」となったことはなく。

ただただ肌感で案件を取って来ているのではなく、ちゃんとペルソナを作ったりとか、カスタマージャーニーを作ったりして、体系化しています。

ー具体的にはどんな方法で実践しているんですか?

まずは、引き合いをもらえるケースが多い方をピックアップし、その人たちの中から一番適した人たちをペルソナにします。その上で、この人たちがどういった経緯でMOLTSを知って、最終的に選定し、うちの会社に仕事を渡してくれて、それを評価して拡散していくのかという流れを全て可視化するようにしています。

それぞれのペルソナごとにリレーション構築の方法を考えてやっているような感じです。例えば、「SEOやオウンドメディアで困っているんだよね。」という人が周りにいたときに、「MOLTSっていう会社があるよ」と多くの人がおすすめをしてくれる。こんな状態を作ることを考え続けている感じです。

問い合わせは課題がないと生まれないので、課題が生まれたタイミングでいかにアプローチするかを考えて展開しています。

僕らの会社は最初から10人以上増やさないというのを決めて会社を立ち上げています。その10人が最大のパフォーマンスを出すためにはインバウンドにリソースを割いている暇はないので、この仕組み構築を全社でやっていますね。

受注率90%!社員がコンスタントに案件を獲得できる秘訣とは?

ーけど、この方法って個人によって差が出ませんか?そめひこさんだからできる方法のような気がします…

人により違う部分もあります。ただ、同じやり方をして、同じような受注率のメンバーもいますね。個人差は出てもいいと思っていますが、一応概念を説明したり、スキーム作りはしていて。

まず社員には、周囲の人たちがそもそも見込み客である。ということを理解してもらい、最近入社した人には必ず自己紹介記事を書いてもらうようにしています。

MOLTSに入って、「自分はこういうことができます。」というのを周囲に拡散して、何か困った時に脳内SEOで上位になるようにするのが第一ですね。

もう1つは、そもそも新規でつながりがなかったとしても、「いろんな人とリレーションを構築するように動くことが重要」と伝えています。例えば、周りの人たちが飲みに行って、そこから仕事をもらってきたりとか、前職で関連があって、前職のクライアントではない人に対して仕事をもらったり、と動くことで仕事をもらえることが多いです。

それでも、リレーションがないようなメンバーは、まずは社内からの受注をいかに広げていくのかを考えもらっています。

ー実際に引き合いがあった案件の受注率ってどのくらいなんですか?

人によって違いますね。それぞれ案件の取り方が違うので、一概にこのくらいの受注率とは言えません。

僕の場合は基本的には受注率は9割くらいですね。お問い合わせがくる時には、ほぼ案件が決まっていたりしますので。あと、先ほども言いましたが、僕の直属の部下も同じくらいで、受注率7-9割くらいですね。

ー最後に、そめひこさんが営業をする際に気をつけている点を教えてください

売りに行くよりパートナーとしていかに成果を残すかを常に考えていますね

社会人4年目までは、とにかく売りに行く!みたいな営業をずっと続けていて、売りに行かない営業に変えた時に、他の会社を紹介した会社さんから、その後また引き合いがきた経験があったんですよ。

これってなんでなんだろ?って考えた時に、過去の他の案件とその案件を比べていったら、「クライアントの成果に対して真摯になれたか」ってところに気付いて、そこからは、どうすればパートナーとして成果を残せるかを常に考えていますね。

過去にコンサルに入った先で、全員の名刺の名前を変えさせたこともありました。

「こういうブランディングをして結果を残そうと思っているんだったら、なんで営業って名前なんですか?この人たち営業じゃなくて、リレーション構築するパートナーだからパートナーじゃないですか!全員の名刺変えてください!」ってのはありましたね。

結果を残そうとするなら、自社だけではなく、クライアントの社内を変えていくことも大事ですよね。

最後に

いかがでしたでしょうか?

株式会社MOLTSの成長を支えるステークホルダーマーケティング。その裏にはそめひこさん自身が営業時代に実感した、「クライアントの成果に対して真摯に向き合う」という考え方がありました。

クライアントの成果に対して真摯に向き合うことが、結果的に自社のサービスを選んでもらうことに繋がる。営業の真理かもしれませんね。

そめひこさん、ありがとうございました!

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Mazrica Business Lab.編集部
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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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