今回は、営業の生産性が低下する原因と、生産性を向上させる方法について紹介します。
生産性を向上させるためにはどうしたらいいのか、また具体的にどんな施策があるのか見ていきましょう。
営業生産性とは
営業生産性とは売上成果に対して時間やコストがどれだけ効果的に使われたのかを示す指標です。
そもそも生産性とは、あるモノをつくるにあたって、生産諸要素がどれだけ効果的に使われたのかを意味しています。
営業の仕事に当てはめてみると、あるモノをつくる=「売上を達成する」にあたり、生産諸要素=「時間やコストがどれだけ効果的に使われたかを測るもの」になります。
営業生産性の計算方法
営業生産性の計算方法は下記の通りです。
営業生産性 = 売上成果(アウトプット) ÷ かかった時間やコスト(インプット)
つまり、売上成果(アウトプット)が大きくなるほど、もしくは時間やコスト(インプット)を小さくするほど、営業生産性を向上させることができます。
関連記事:生産性指標とは?算出手法や種類・向上のための取り組みを解説
営業生産性と営業効率化の違い
「生産性向上」との類似のワードとして、よく目にするのが「効率化」です。似た意味ではありますが、両者は区別可能です。
「営業効率化」とは、業務における無駄な時間を削り、より効率的に業務進行を行えるようにすることを指します。
例えば、普段の営業業務を振り返り、不必要な業務を、自動化などによって取り除くことでリソースの無駄を削減することは効率化に当たります。
一方、「営業生産性向上」とは、少ない資源で生産量の増加などを目指すことであり、製品価値を高めることを指します。
営業業務で言うと、顧客情報の入力や営業ナレッジの共有の時間効率を早めた結果、今ある営業組織のリソースで今まで以上の数値を達成できた場合、生産性の向上になります。
つまり、営業効率化は営業生産性の向上のための手段であり、効率化自体が目的ではありません。以上の点を区別した上で、施策を考えることも重要です。
営業生産性の向上が重要な理由
営業生産性が重要視される理由として、主に次の2つが挙げられます。
- 労働人口の減少
- 営業利益の最大化
これらの理由について詳しく説明します。
労働人口の減少
近年、日本では少子高齢化に伴い労働人口が減少しています。
この状況下で、限られた人材で最大の成果を上げるためには、生産性の向上が不可欠です。
特に営業の現場では、これまでのように多くの人員を割けない状況が増え、少人数で成果を出すことが求められています。
この背景から、企業は従業員一人ひとりの労働時間あたりの生産性を見直す動きを強化しています。
これにより、限られた時間とリソースを効果的に活用しながら、より高い成果を出すことが重要となってきました。
労働人口の減少が進む中、営業生産性の向上は企業にとって優先すべき課題となっています。
営業利益の最大化
営業活動の目的は、売上や利益の最大化にあります。営業生産性を向上させることで、同じリソースでより多くの成果を生み出すことができ、効率的な経営を実現します。
企業の利益は「売上-コスト」で算出されますが、営業生産性の向上により、コストを削減しつつ売上を拡大することが可能です。
結果として利益率が向上し、企業全体の成績も改善されます。また、効率的な営業活動により、営業担当者一人あたりの売上増加も期待できます。
このように、営業生産性を向上させることは、営業利益の最大化に直結するのです。
関連記事:日本の生産性が低いのはなぜか?生産性を向上すべき理由と4つの改善策
営業生産性が低下する7つの原因
ここでは、営業生産性が低下する主な原因を7つ紹介します。
営業活動を可視化できていない
営業活動が可視化されていないと、各営業担当者がどのような活動を行っているのかが不明瞭となります。
例えば、営業担当者Aがどの顧客とどのくらいの頻度で接触しているかが分からないため、効果的な指導や支援ができません。
また、営業プロセスのどのフェーズがボトルネックになっているかが可視化されないために、効率よく改善策を打つのも困難でしょう。
結果として、営業活動が非効率的になり、全体の生産性が低下してしまいます。
関連記事:営業プロセスの見える化とは?可視化の3ステップを解説
根拠の乏しい数値目標設定
営業組織の現状や市場動向を理解せず、根拠の乏しい数値目標を立ててしまうと、実現可能性の低い目標数値を追い続けることになります。
目標達成できない状況が続き、目標達成に必要以上の負担がかかる状態が当たり前になると、営業マンのモチベーションは下がってしまいます。
根拠に基づいた適切な目標設定を行い、営業マンが高いモチベーションを保ちながら営業活動を行えるようにすることが大切です。
商談管理が不十分
商談管理ができていないと、商談ごとの優先度を考えることが難しくなります。
結果として、確度の低い商談や単価の見込めない商談に多くのコストを割くことになり、本当に注力するべき商談に本来割くべきリソースが不足してしまうことが考えられます。
また、過去の商談管理ができていないと、顧客から聞いた現状や課題を共有することができず、非効率な商談になる可能性があります。顧客としても、同じ話をしなくてはならない状況では、信頼を損ね、発注確度が下がるでしょう。
関連記事:商談管理のポイント|SFAを使った営業効率化の方法とは?
会議や打ち合わせの目標が不明確
会議や打ち合わせの目標が不明確だと、時間を有効に活用できず、無駄な時間を過ごすことになります。
例えば、定例会議で具体的なアジェンダや目標が設定されていないと、話が脱線し、結論が出ないまま終わってしまうこともありえます。営業部の限られた時間が浪費され、生産性が低下する原因になってしまうでしょう。
関連記事:営業会議とは?効率的な進め方や具体的な議題例を解説
目標達成へのモチベーションが低い
営業メンバーの目標達成へのモチベーションが低いことも、営業生産性が低下する原因の1つです。
モチベーションの高い社員は自発的に業務へ取り組むため営業成績が良く、顧客に対する貢献度も高い傾向があります。
一方モチベーションが低い社員は、高い能力を持っていたとしても、やる気がない発言を繰り返したり、他メンバーの士気を下げるような態度や発言をしたりと、営業生産性に対して悪影響を与えやすくなります。
チームの連携が取れていない
チームの連携が取れていないと、情報共有が滞り、営業生産性の低下につながります。
例えば、メンバーの1人が新しい顧客情報を持っているにもかかわらず、他のチームメンバーと共有しないことで、重複したアプローチや情報不足などの問題が発生してしまうでしょう。
名刺や資料の管理ができていない
名刺や資料の管理ができていないと、重要な顧客情報や提案資料が紛失したり、必要なときに利用できなかったりします。
具体的には、重要な顧客との打ち合わせ前に必要な資料を見つけられず、準備不足の状態で商談に臨んだ結果、提案がうまく伝わらず、契約を逃すなどの問題が想定されます。
営業資料や名刺はツールを用いて管理し、誰でもアクセスしやすいように環境を整えると良いでしょう。
関連記事:営業資料の管理・共有で変わる受注率!資料の種類やセールステックの活用方法
営業生産性を向上させる5つの施策
営業の生産性が低下する原因がわかったところで、次に生産性を向上させる施策について解説します。
具体的には、以下のような5つの施策が考えられます。
- 明確な目標を設定する
- 営業以外の付帯業務を効率化する
- 営業プロセスを見直す
- ターゲティングの精度を高める
- ツールを導入する
明確な目標を設定する
営業計画の段階では、売上目標とその達成に向けたマイルストーンを設定することが重要です。
売上目標を設定する際には、過去の実績や市場環境、営業担当者のスキルレベルを考慮し、S.M.A.R.T.(具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限)の原則に基づいた目標設定を行いましょう。
また、目標達成に向けて進捗を確認するための中間目標として、マイルストーンを設定することも効果的です。 これにより、目標達成へのモチベーションが維持され、結果的に営業生産性の向上にもつながります。
営業以外の付帯業務を効率化する
営業担当者の業務は、売上に直結する「営業業務」と、報告書作成やデータ分析、会議、データ入力などの「営業外業務」に分けられます。
営業生産性を向上させるには、営業外業務にかける時間を削減し、その分を営業業務に振り向けることが重要です。 タスク管理やデータ入力など、自動化が可能な業務は積極的に自動化することで、営業外業務の効率化を図りましょう。
また、書類作成などの周辺業務をサポートする体制を整えることも効果的です。例えば、これらの業務を専門にサポートするチームを設けることで、営業担当者は顧客対応に集中できるようになります。
顧客と直接向き合う時間を増やすことで、営業担当者はより付加価値の高い活動に専念し、結果的に顧客満足度や売上向上に繋げることができます。
営業プロセスを見直す
顧客リスト獲得から、アプローチ、提案、交渉、見積り価格の提示、クロージング、アフターフォローに至るプロセスのすべてを洗い出し、そこから課題を見つけ、改善策を講じていきます。
外部のコンサルタントを活用すると、社内では気づかなかった課題や問題点が見つかりやすいため有効です。
営業ノウハウや進捗状況を一元的に管理できることで無駄な作業時間を減らせるメリットがある一方、やり方に慣れるまでに時間がかかってしまうことがデメリットになる可能性があります。
関連記事:営業プロセスとは?見える化の効果と営業力強化のポイント
ターゲティングの精度を高める
効率的な営業活動を行うためには、適切なターゲット設定が不可欠です。 自社の商品やサービスを提供する顧客を選定するプロセスを「ターゲティング」と呼びます。
ターゲティングは営業活動の要となる重要な要素ですが、営業経験が豊富になるにつれて軽視されがちな部分でもあります。 例えば、保有する顧客データを絞り込まずに広く営業をかけることは、ターゲティングを無視したアプローチといえます。
このような方法では、アポイントの獲得率が低く、仮に商談に進んでも成約に結びつきにくい状況が発生します。
効果的なターゲティングを実現するには、顧客セグメンテーションやアカウントプランニングを通じて、最適なターゲット顧客を特定することが重要です。
ターゲットを明確にすることで、営業活動の効率が向上し、成果を最大限に引き出すことができるでしょう。
関連記事:ターゲティングとは?代表的なフレームワーク(STP分析・6R)を紹介
ツールを導入する
案件を管理するのに、ExcelやTrelloのようなプロジェクト管理ツール(誰が、いつ、何をするかを管理できるツール)を使っているところも多いでしょう。
使い勝手がいい、可視化できるなど、それぞれメリットはありますが、どのツールも「入力作業に(精神的なものも含めた)時間や負担がかかる」などのデメリットがあります。
プロジェクト管理ツールのデメリットを解消できるのが、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム、営業支援ツール)です。
▶︎▶︎営業効率が劇的に向上する!SFA/CRMの基本機能や導入メリットを知りたい方はこちら
顧客や案件の進捗など営業に関する情報を記録、管理できるツールで、報告作業などがなくなり、入力負荷を軽減させることができます。
マネジメントツールとしてはもちろん、ナレッジの共有や分析など、さまざまなメリットのあるSFAですが、使いこなさなければ無用の長物になってしまいます。
使いこなせなくなってしまう原因としては、入力が項目が多いことや、操作性が悪い、何の役に立つかがわかりにくい、機能が複雑すぎる、といったことが考えられます。
SFAを効率よく使いこなすためには、事前に現場の営業担当者にヒアリングをした上で、以下のポイントをSFAの選び方の指標としましょう。
- シンプルな機能
- スムーズな操作ができる
- 入力が自動化されている
また、導入後には、どんな効果があるのか、生産性向上に役立つのか、などの説明もしっかりと行うことで、「やらされてる感」を減らすことができます。
SFA(営業支援ツール)に関する記事はこちら:
SFAの導入成功事例
一正蒲鉾株式会社 ✕ Mazrica Sales
同社では、営業の情報共有の仕組みに課題がありました。
「弊社では各部署の目的や困りごとに対して、情報システム課が一つ一つ個別にシステムを内製し、複雑な情報管理を行っていました。
営業領域では商談日報の管理システム以外にも営業関連の多数のシステムが存在しています。システム一つひとつに情報を入力したり、情報集約のため報告資料を作る等、事務作業に時間を割かれる状況が続いていたのです。」
以上の課題を解決するために、シンプルで入力のしやすい「Mazrica Sales」の導入を決定。
導入後の変化については、以下の通りです。
「Mazrica Salesで案件の進捗をリアルタイムで報告するとともに、失注リスクも日々共有し合い、案件に応じて営業担当と営業推進とで打ち合わせを行ってきました。さらにMazrica Salesの機能を活用して商談の提案資料の共有を行うなど、全国の営業所間のコミュニケーションも生まれました。
結果、導入からの半年間で、既存顧客への営業活動における商品の採用率がおおよそ2倍にまで伸びた成果があがり、現在も効果を継続できています。」
このように、SFA/CRMの導入により、複雑な情報管理を排除し、営業組織の生産性向上を図ることが可能になります。
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まとめ|営業生産性の向上で効率的に成果を上げよう
どうして生産性を向上させるべきなのか、そして、向上させる施策について説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
5つの施策のうち、2つ〜3つを組み合わせることで効果が出やすくなりますので、ぜひSFA/CRMなどのツール導入も検討してみてください。
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