営業職とは、その会社の売上を上げることが一番のミッション。自分の頑張りが売上となって反映され、それが自身の評価にも繋がります。

そして、より多くの売上を作る「売れる営業」は、スキルや経験などから培った独自のノウハウを持っており、そのノウハウを活かして営業活動を行っている人が多いです。つまり「売れる営業」は「売れるための営業ノウハウ」を持っているのです。

そのノウハウを会社全体で共有すれば、どうでしょう?営業担当者全員が「売れる営業」となり、営業組織は「売れる組織」となりますよね。
ノウハウの共有は、組織全体の営業力アップには欠かせない要素となっています。

特にスタートアップ企業では、商材が売れる方法について最も熟知している創業期メンバーがノウハウを落とし込まなければ、その後の会社の成長には繋がりません。

ノウハウを浸透させ営業力を強化するための方法を解説します!

営業ナレッジの属人化リスクと可視化の必要性

営業担当者が培ったノウハウが個人の頭の中にとどまったままだと、組織全体には思わぬ損失が生じます。

まず一つ目に、キーパーソンが退職や異動で抜けた際、それまで蓄積されてきた「確度の高いトーク術」や「効果的な提案手法」が一気に失われてしまいます。
新人研修やOJTで同じレベルのノウハウを再構築しようとすると、通常の研修時間の2倍以上、場合によっては数ヶ月単位の教育コストが必要になることもあります。

二つ目は、新人育成の遅延による機会損失です。
マニュアル化されたナレッジがなければ、新人は日々の試行錯誤で暗黙知をゼロから吸収するしかありません。
その結果、戦力として自社の売上に貢献できるまでの期間が平均で3~6ヶ月以上延びてしまい、その間に逃す受注機会は決して小さくありません。

(参照 Sales Readiness Group: https://www.remuner.com/blog/ramp-up-period/ )

三つ目は、PDCAサイクルの停滞です。
成功事例や失敗要因が組織内で共有されていないと、どこに改善の余地があるのか判断がつきません。
計画を立てても実行後の評価→改善に必要な情報が不足しているため、サイクルが絵に描いた餅に終わり、組織全体の営業力向上につながらなくなってしまいます。

これらのリスクを回避するには、ノウハウを可視化し、誰もがアクセスできる形で共有する仕組みづくりが不可欠です。

関連記事:PDCAサイクルとは?業務改善につながる回し方のコツやOODAとの違いを解説

営業の仕組化が必要なタイミングとは

営業組織を効率的に拡大するには、「仕組化」をいつ行うかが成功のカギを握ります。
特にスタートアップでは、リソースが限られる中で営業力の均質化が急務です。

検討すべきタイミングは、大きく三つのフェーズに分かれます。

  1. 創業期:ノウハウの芽をつかんだ時
    創業メンバーが「これは売れる」と確信を持って商材を市場に送り出した直後です。
    この段階でプロセスやトークのコアを可視化すれば、後続メンバーへの伝承がスムーズになります。
  2. 第2創業メンバーの台頭期:属人化の兆しを感じた時
    創業メンバーから次世代リーダーへバトンが渡され、営業組織が第二波へと拡大し始めるフェーズです。
    このタイミングで、ノウハウが個人に偏ると、新旧メンバー間で成果に差が出やすくなります。ここで仕組化を進めることで、バラつきを最小限に抑えることができます。
  3. 組織拡大期:創業メンバーが現場を離れる時
    役員や創業者が経営に専念し、営業現場から距離を置くタイミングです。
    現場の意思決定が属人化すると組織全体のパフォーマンスが低下するため、「いつでも誰でも同じプロセスで動ける」仕組みを整えることが不可欠です。

以上のフェーズを目安に、営業プロセスの可視化を検討することが大切です。
次の章では、可視化・仕組化の3ステップをご説明します。

スタートアップ営業と大手営業の大きなギャップとは?|必要なスキルとスタートアップで働くメリット

トップ営業のノウハウを可視化・仕組化する3ステップ

トップ営業の「売れるノウハウ」を組織の標準にするには、明確な手順を踏むことが欠かせません。
ここでは、忙しい企業でもすぐに取り組める“可視化・仕組化の3ステップ”をご紹介します。

STEP1:コアプロセスのワークシート化

まずは、トップ営業が無意識に行っているトークフローや提案手順を「1ページのワークシート」に落とし込みます。
必須項目は「商談前の準備」「顧客の課題ヒアリング」「クロージングのキーフレーズ」の3つです。
これらを明示化するだけでも、新人でもトップと同じ流れを再現しやすくなります。

STEP2:営業資料の標準テンプレート化

 次に、商談で使う資料を「会社案内/事例紹介/FAQシート」の3枚セットに整理します。
各資料は顧客の業種や導入ステージ別にカスタマイズ可能なテンプレートにしておきましょう。
トップ営業が商談で使って効果の高かった資料をベースにすることで、資料作成の手間を大幅に削減できます。

STEP3:SFAへのナレッジ格納と運用ルール策定

最後に、ワークシートと資料テンプレートをSFAにアップロードし、「次回アクション」「顧客反応」「成功/失敗要因」を必ず記録する運用ルールを設定します。
トップ営業の実際の商談記録をサンプルとして登録し、定期的に振り返りミーティングで共有すれば、新人だけでなく全メンバーのスキル底上げにつながります。

Mazrica Sales活用14シーン〜SFA/CRM活用で変わる営業活動〜

Mazrica Sales導入でリードタイムを短縮

株式会社パフは、Excelや複数ツールに分散していた営業管理を一元化できず、商談からクロージングまで平均3ヶ月かかるなど、リードタイムの長さが大きな課題でした。

そこで、以下の3ステップで Mazrica Salesへのリプレイスプロジェクトを実施し、わずか3ヶ月で大幅な効率化を実現しました。

1.プロセス可視化のワークシート化
これまで属人的に管理していた「アクション予定」「フォローアップ手順」「クロージング条件」を一枚のワークシートにまとめ、経営・システム担当・営業メンバー全員で共有。

初回研修でシート活用ルールを定めたことで、誰もが同じ手順でアクション登録→実行→振り返りを行える基盤を構築しました。

2. 資料テンプレートの標準化
「会社紹介」「導入事例」「FAQ」の3種の資料を、業界や顧客ステージ別にカスタマイズ可能なテンプレートとして整備。

これにより、従来平均2時間/件かかっていた資料作成工数を1時間/件に半減させ、質・量ともに安定した商談資料を迅速に提供できるようになりました。

3.SFA連携と週次振り返り会の定例化
上記ワークシートと資料利用履歴を全て Mazrica Sales 上に蓄積し、「次回アクション」「商談ステータス」「成功/失敗要因」を必ず記録する運用ルールを徹底。

週次でダッシュボードをもとに振り返りミーティングを実施することで、PDCAサイクルを高速化し、改善策を即時実践へつなげました。

成果(3ヶ月後)

  • リードタイム:平均3ヶ月 → 平均1ヶ月(約1/3に短縮)
  • 会議準備時間:30分~1時間/回 → 準備不要に
  • 新人のオンボーディング期間:約6ヶ月 → 約4ヶ月に短縮

さらに、Mazrica Sales による全データ一元管理で「プライベートメルマガ」配信や優先フォロー顧客の抽出が可能となり、商談数と受注率の継続的な向上を実現しました。

現在は四半期ごとのKPIレビュー制度を導入し、ナレッジ活用の定着とさらなる営業力強化を図っています。

明日からできる3つのアクション

1.「実際に成果が出ているトークスキル」を書き出す
まずは、トップ営業が実際に使っているクロージングキーフレーズをノートに3つピックアップして書き出しましょう。

言葉に起こすことで自分のトークに“再現性”が生まれ、商談ですぐに意識できます。

2.定型テンプレートで資料を作成する
今使っている提案資料を「会社紹介/事例紹介/FAQ」の3枚セットに分け、Eメールやフォルダに保存しておきます。

これだけで次回以降の資料作成工数が半分になるほか、顧客への提供スピードも格段にアップさせることができます。

3.今日のアクションをSFAに記録する
商談もしくはフォローアップ予定があれば、必ずSFAに「次回アクション」「期限」「想定顧客反応」の3点を入力してください。

入力から振り返りまでを一連で行う習慣が、PDCAの高速化と受注率向上につながります。

この3つを明日から実践するだけで、可視化・仕組化の第一歩が踏み出せます。

まずは小さく始めて、効果を実感してみてください。

終わりに

会社の財産ともなる、トップ営業の「売れるノウハウ」。誰でも売れる仕組みを作ることで、効率的に売上を上げていくことができます。
ツールをうまく使いながら、自社の営業ノウハウを浸透させていきたいですね。
「まだ営業を仕組化・標準化できていない…」という企業は、今すぐ実行してみましょう!

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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。

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