さまざまな業界でスタートアップ企業が参入しています。限られたリソースの中で、企業を成長させていく必要のあるスタートアップですが、大企業とは具体的にどのような点で異なるのでしょうか?
今回は、スタートアップ企業での働き方や営業スタッフのあり方について説明します。
スタートアップ営業と大企業の営業の大きな違いとは
大企業は従業員数が多いため、仕事内容のスキームやプロセスが確立しています。
その大企業ならではの体制は、営業職の「自社の売上を上げる」というミッションを果たしやすい環境でもあると言えます。
いかに効率よく営業をし、売上に貢献できるかが、大企業の営業職のミッションとなるのです。
ところが、スタートアップ企業の営業職はそうはいきません。まだまだ営業フローが確立されていないことが多く、商材自体も成熟していないため、一から作り上げていく必要があるからです。
しかし、裏を返せば、営業現場の声を、商材開発に反映させやすいというメリットもあります。
営業職とは、顧客のニーズに一番近い立場です。その顧客の声から改良点などをフィードバックし、顧客のニーズにマッチした商材を創り上げていくことができるのは、スタートアップ営業の最も大きな特徴でしょう。そのブラッシュアップしたサービスを、また顧客の元に届け、また意見をフィードバックすることによって、更に「いいもの」ができていく仕組みとなります。
もちろん売上を上げることは一番大事なミッションですが、スタートアップ企業の営業職でしか実現できないこともあるのです。
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スタートアップ企業にこそ営業が必要
上記のように、スタートアップ企業にとっての営業職とは、単純に売上を上げるためだけでなく、自社の商材をブラッシュアップさせるためにも大切な存在と言えます。
これを明確に提唱しているのが、マイクロソフト株式会社で多くのベンチャー企業のサポートに携わってきた馬田隆明氏。馬田氏は「特に起業したばかりの人の多くが、『良いものを作れば売れるはず。だから営業しなくてもいい』と考えていますが、それは勘違いです。ベンチャー企業にこそ営業力が必要なんです」と語っています。
創業したてのスタートアップ企業のほとんどは、コストや人材などのリソースは必要最低限しか保有していない企業が多数。
そのため、営業活動にリソースを割くことが難しく、新しく営業職を採用するよりも、SNSやネットでの情報発信などを積極的に行っているというケースを多く見受けます。“露出を増やせば単純に受注が増える”と考えがちですが、実はその考えは誤り。
消費者が多くの情報を得るということは、消費者は他の選択肢も得ているということになります。手軽に情報を入手できる社会だからこそ、自社の商材のみでなく、競合他社のさまざまな商材の中から比較・検討することができるということを忘れてはいけません。
つまり、たくさんの選択肢の中から“消費者に選ばれる商品・サービスになる”ためには、より消費者ニーズを反映した商材を開発する必要があるということなのです。
スタートアップ企業のほとんどが、今まで市場に出回っていなかった新しい商品・サービスを開発します。
消費者にとって初めて触れる商材であるからこそ、顧客のニーズは正確に把握して、商材に落とし込まなければなりません。そのためには、顧客との関係性を築いたり、ヒアリングを通してニーズを聞き出したりする、『営業力』が必要となるのです。
スタートアップ営業に必要なスキルとは
スタートアップ営業は、限られたリソースの中で成果を出す必要があります。そのため、単なる「営業力」だけでなく、営業活動に紐づくさまざまなスキルも必要となります。
今、スタートアップ営業に求められているスキルとは、一体どんなものがあるのでしょうか。
必要なスキル① 営業の仕組みを作る
スタートアップ企業に営業組織を構成する際、メンバー全員が営業職経験者とは限りません。充分なリソースが確保できるまでは、経営者やエンジニアが営業職を兼務するということも考えられます。
つまり、営業組織を一から構成するのです。
そんな時に大切なのが、営業の仕組み作り。
・どうやって初回訪問に繋げるのか
・「初回訪問時はヒアリングに徹し、二回目の訪問ではサービスの提案やデモを行う」などの営業プロセスはどうするのか
・営業担当者がよりやる気になってくれるためにどんな評価制度を導入するか
など、営業活動の仕組みを作り出す力が、スタートアップ営業に求められます。
必要なスキル② 営業プロセスを標準化する
自社の営業プロセスを見える化し、それを分析して標準化することも、スタートアップ営業に求められるスキルの一つです。
限られたリソースの中で売上を上げるためには、いかに効率的に成果を出すかがカギとなります。そのため、手当たり次第の営業では非効率ですし、属人的な営業活動では企業の財産とはなりません。
スタートアップ企業のように営業に割けるリソースが限られている場合は、“誰でも成果が出る営業プロセス”が必要となるのです。つまり、アポイントの獲得からクロージングまでの営業プロセスを見える化するだけでなく、営業プロセスに関わる数値やデータを分析して、誰でも成果が出るような営業プロセスを標準化することがスタートアップ営業には特に求められます。
必要なスキル③ 売れる商談を標準化する
営業プロセスで最も大事な「商談」。商談で話す内容や提案の仕方、ヒアリングの仕方によって、クロージングに繋がるかどうかが左右されると言っても過言ではありません。
売れるセールスマンというのは、その商談のコツをおさえているから、商談も成功します。その「売れる商談」を標準化することにより、誰がどこに商談に行っても売れるようになるのです。
どんな説明をし、どんなことを聞き出し、どんな売り文句で話すのかという内容を社内で標準化することにより、個々の営業担当者のスキルアップや企業の成長にも繋がりますよね。
◆営業の標準化をするには、トップセールスがやっていることを「見える化」するのが大事!情報共有やナレッジの蓄積にぴったりのSFAツールに関するお勧め記事はこちら!:
スタートアップで働くメリットとは?
日本では「公務員や大企業で安定した条件で働く」という働き方が長年求められてきましたが、革新的なサービスを提供して企業として成長を遂げていくスタートアップ企業は、近年の新卒者・中途採用者どちらにも以前よりも人気になっています。
なぜそんなに人気なのかというと、スタートアップで働くメリットがあるからなんです。
マニュアルがない
確立されたマニュアルがないからこそ、自分で自由に生み出し、作り出していけるのがスタートアップ企業の良い点でもあります。一から作り出すことが好きな人には、スタートアップが向いています。
また、「マニュアルがない」ということは、トラブルや課題に対する対処方法も自身で向き合う必要があります。つまり、課題解決能力が養われたり、精神的なタフさが身に付いたりもします。
仕事の幅や裁量が広がる
限られたリソースの中で運営しているスタートアップ企業では、一人のスタッフでいくつもの業務を担うことは多いです。営業職として在籍していても、資金調達や他企業との業務提携、マーケティングや経営会議など、営業活動だけでない業務に携わることができるのはスタートアップならでは。
また、スタートアップ企業は経営者との距離も近いので、自分の意思が経営者に届きやすい環境でもあります。時には、経営者と同等の意思決定権が与えられる場合もあり、自分の裁量で仕事を進めることができます。
このように、スタートアップ企業では仕事の幅や裁量が広がることにより、自身のキャリアアップ・スキルアップに繋がります。
企業と一緒に成長できる
大企業では給与は安定していますが、どんなに頑張っても年功序列や組織体制の壁を乗り越えることは難しいこともあります。
しかし、スタートアップ企業であれば、自分の成果が給与に反映されるということもしょっちゅうあります。
つまり、自分が頑張って企業を成長させることができれば、自分も給与や肩書きが上がる(キャリアアップできる)のです。
「どうすれば自社が成長するのか」をいう視点で社内を分析することにより、全体を捉える力や分析力も身に付きます。
スタートアップで働く前に知っておくべきマインドセット
スタートアップ企業へ転職した際に、それまでの環境や文化とは大きく異なることから、ギャップを感じたり戸惑ったりする人も多いようです。仕組みが整っていないスタートアップで働くには、事前のマインドセットが成功のカギとなります。
変革を楽しむ
マニュアルがないからこそ、時代やニーズの流れによって柔軟に変化していくのがスタートアップ企業。今日「右」と言っていたことが、明日には「左」となっているということだってあります。
そんな変革にいちいち動揺していては、スタートアップ企業の流れについていくことはできません。大事なのは、変革を受け入れて楽しむというマインドを持つことです。
すべて自分のキャリアアップに繋がると考える
先述の通り、一人が一つの決められた仕事をするのではなく、マルチタスクをこなしていかなければならないスタートアップ。「仕事が回らない」と嘆く暇などなく、「どう効率的にこなせばいいのか」と工夫することが求められます。
仕事の幅が広がることで自分のキャリアアップに繋がると捉え、さまざまな業務を携われることに喜びを見出すマインドが必要です。
企業ビジョンを実現する
スタートアップ企業で働く際、企業が掲げる理念やビジョンへの共感はとても大事です。それが仕事の原動力にもなるのです。
その、自分が共感できたビジョンを、今度は自分の手で実現していくというマインドを持つことがスタートアップには求められます。ビジョンを実現することにより、企業を成長させていくことができるのです。
終わりに
マニュアルがないからこそ、責任を持ちながらも自由に作り上げていくことができるスタートアップ企業。自分の意見が通りやすい環境だからこそ、積極的に意見を出し合って、商品・サービスを改良していくことができます。
そのためには、営業力の強化が必須ではないでしょうか。限られたリソースの中での営業力強化には、SFAなどのツールを活用することがおすすめです。
「スタートアップ企業にこそ営業が必要」だからこそ、企業の成長のために今やるべきことを解決していきましょう!