「営業スキル」と一概に言っても、営業職はコミュニケーション能力や交渉力など幅広いスキルが求められます。営業職は商談や顧客対応など現場での活動が多い職種だからこそ、日々の現場経験を積んで営業スキルを習得していく意識が必要です。
本記事では営業職が習得すべきスキルの種類と、営業スキルの習得方法について紹介します。日ごろから実践できる方法ばかりなので、ぜひ意識的に取り入れてください。
営業の仕事とは?
営業とは、顧客が抱える課題やニーズを解決できる商品・サービスを提案し、その価値を伝え、最終的に購入につなげることで会社の利益を生み出す役割を担う仕事です。
営業活動のゴールは、お客様の問題を解決し満足してもらうことを通じて契約を取り付けることにあります。
そのため、お客様にとって最適な商品やサービスを見つけ、価値を伝えるスキルが必要となります。
一般的な販売職とは異なり、営業は必ずしも商品を求めているお客様に対してだけではなく、まだ商品に興味を持っていない潜在顧客に対しても積極的にアプローチをかけることがあります。
新たなニーズを喚起し、購買意欲を引き出すための工夫が求められる点が、営業職の特徴のひとつです。
まとめると、以下のような業務が営業の仕事として挙げられます。
- 新規取引先の開拓
- 既存顧客との関係構築・維持
- 市場調査、ニーズ調査
- 見積作成
- 提案やプレゼンテーション
- 契約締結と交渉
- 関係部署との調整
- 納品の立会い
それでは、上記のような仕事をこなすには、どのような営業スキルが必要になるのでしょうか?
営業に必要な10のスキルとは
営業職にとって必要なスキルは多岐にわたります。次に、営業として身につけておきたいスキルを紹介します。
- コミュニケーション能力・交渉力
- 課題発見力
- タイムマネジメント能力
- ヒアリング力
- ロジカルシンキング
- プレゼンテーション力
- マーケティング能力
- ストレス耐性力
- クロージング能力
- トラブル対応力
1.コミュニケーション能力・交渉力
ビジネスを円滑に進めるうえで、コミュニケーション能力は欠かせません。顧客や社内メンバーなど多くの人と関わって仕事をする営業職は、とりわけコミュニケーション能力が大事と言えます。
「コミュニケーション能力が高い」と聞くと「社交的」「話が上手」などのイメージをもつ人も少なくありません。しかし、そもそもコミュニケーションとは双方向に意思疎通をするものなので、自分の意思を伝える力だけでなく相手の意思を聞き取る力も必要です。
営業は、顧客との信頼関係構築や、顧客の課題を理解した提案が求められます。また社内メンバーとの連携も必要な職種のため、相手の状況に合わせて意思疎通をしなければいけません。
コミュニケーション能力は、顧客との信頼構築が最重要となる営業職特有の仕事の土台となってくれるでしょう。
また、営業は交渉が必要になる場面が少なくありません。
受注に際して顧客からの要望をすべて聞き入れてしまうと、自社に不利益になってしまうこともあります。
たとえば値引きの要望に応えたことで赤字になってしまったり、余裕のない納期を指定されて納品が間に合わなかったりしては、元も子もありません。
したがって営業職は顧客からの要望と自社の要望をすり合わせ、お互いの落としどころを交渉する力も求められます。
また上司や他部門など、社内においても交渉しなければいけないシーンは多々あります。社内交渉は業務を円滑に進めてプロジェクトを成功させるためには欠かせないものなので、交渉力も身につけておくと良いでしょう。
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2.課題発見力
営業職は顧客の課題に合わせた提案をしなければいけないため、課題発見力が必要です。
すべての顧客が、自分(自社)の課題に気づいているとは限りません。しばしば自分でも気づいていない課題が隠れていることもあります。
営業職はそのように潜在的な課題を見つけ出し、最適な解決策を提案する仕事があります。
ただし、課題発見力だけを高めれば良いわけではありません。先述のコミュニケーション能力やヒアリング力などで顧客から現状を聞き出したり、客観的に洞察したりできる力も必要になります。
潜在的な課題を見つけるスキルは、一朝一夕で身に付くようなものではなく、日々の積み重ねが大事ですが、営業支援ツールを使用することで、客観的な根拠に基づいた提案がやりやすくなります。
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3.タイムマネジメント能力
営業職にはタイムマネジメント能力も重要です。
タイムマネジメント能力とは直訳すると「時間管理能力」となりますが、スケジュール管理に限らず、仕事のスケジュールや進め方を工夫して限られた時間でも生産性を高める能力と言えます。
営業職は、取引先への訪問や提案資料の作成、社内会議や納品・請求の手続きなど、日々多くの業務に追われています。
多忙で時間が限られるなかで、時間を有効に活用して業務を進めるスキルが求められます。
そのためタイムマネジメント能力を養い、業務プロセスや時間配分などを見直して業務を効率化することが必要です。
関連記事:タイムマネジメントのコツとは?用途別ツールとフレームワーク紹介
4.ヒアリング力
営業職にとってヒアリング力は特に重要視されており、「受注できるかどうかはヒアリング力次第」とも言われるほどです。
営業職におけるヒアリング力とは、単に相手の話を傾聴するだけではありません。相手の現状を聞き出すためにうまく質問を投げかけたり、相手が話しやすいよう誘導したりするテクニックも必須です。
相手の立場を意識したヒアリングを通して、顧客の潜在的な課題を洗い出せます。また質問や誘導により話の主導権を握ることができ、商談を有利に進められるメリットもあります。
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5.ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは「論理的思考力」とも言い、物事を筋道立てて整理して体系的に考えるスキルです。
ロジカルシンキングはビジネスパーソンにとって不可欠なスキルと言われています。何か問題やトラブルが起きたときに、論理的に考えることで解決策を導き出しやすくなるためです。
ロジカルシンキングは、営業職にとっても特に重要なスキルです。論理的な話は筋道が通っており説得力が増すため、商談において相手を納得させやすくなります。
またなかなか売上が上がらないときや顧客との間でトラブルが起きたときなども、ロジカルシンキングを活用すれば最適な解決策を導き出すことができるでしょう。
関連記事:クリティカルシンキングとは?実践に必要な3つの問いや会社における事例・ツール紹介
6.プレゼンテーション力
顧客に製品やサービスの魅力を的確に伝えるためには、プレゼンテーション力が欠かせません。プレゼンテーションを通じて、商品の紹介だけでなく、顧客が抱える課題をどのように解決できるのかも伝える必要があります。
また、プレゼンテーションには話すスキルのみならず、資料の作成力も含まれます。具体的な数値を伴うデータを活用し、分かりやすくまとめ、説得力のあるプレゼンを行いましょう。
関連記事::商談の進め方・商談の流れや成約に繋げる方法を解説
7.マーケティング能力
マーケティングに関する能力も、営業職が身につけておきたいスキルです。
売上を拡大させるためには、いかに多くのリードを獲得できるかがカギを握っています。
営業職の新規開拓方法はテレアポや飛び込み営業が主流ですが、日々の顧客対応に追われる営業職にとってそこまで手が回らないのも実情です。
しかしマーケティングスキルが身についていれば、展示会やセミナーなどさまざまな方法で新規開拓が可能になるでしょう。
最近ではWEB広告やSNSなどを活用したオンラインによる新規開拓手法の効果が高くなっており、WEBマーケティングスキルを習得できればさらにリード数を増やせます。
またマーケティングに使われるフレームワークは、自社分析や顧客分析に役立つものばかり。営業職は自身の経験や勘に頼ってしまいやすいですが、フレームワークを活用すれば客観的に分析して現状を把握でき、提案内容や営業戦略などに活かせます。
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8.ストレス耐性力
営業職には高いプレッシャーと精神的負担がつきものです。売上への貢献度が高い分、ストレスをためやすい環境下にあります。
たとえ過酷な状況下にあっても、心の健康を維持しながら仕事を続けていくためには、ストレス耐性とそのコントロール力が不可欠です。
ストレス耐性とは、ストレスをためこまずに健全な精神状態を保つスキルのことです。
営業がうまくいかない時や仕事上の悩みを抱えた際に、自らその憂うつな気分を解消する力がストレスコントロール力と呼ばれるものです。
このコントロール力を身につけるには、リフレッシュ方法を見つけておくことが有効な手段となります。
上司や同僚に相談するなど、周囲の支えを活用することも一策です。様々な方法を駆使し、ストレスを確実に解消できる能力を養うことが大切なのです。
9.クロージング能力
営業において、クロージングは受注可否を左右する重要な局面です。
クロージングは営業プロセスにおける契約フェーズですが、実際には「契約書の締結」や「発注書の送付」だけでなく、そこに至るまでのアプローチも含まれます。
たとえば顧客の購買意欲が高まっていても、なかなか決断をすることができない場合もあります。
そのようなときに営業が顧客の不安を解消したり追加で提案をしたりすることで、購買の後押しをしてあげるのです。
クロージング能力があれば適切に契約まで導くことができ、受注率アップにもつながるでしょう。
関連記事:クロージングとは?成約率を高めるコツ・テクニックを例文で解説
10.トラブル対応力
営業にトラブル対応力が必要な理由はいくつかあります。
まず第一に、顧客との信頼関係を築く上で、トラブルや問題が発生した際に迅速かつ適切に対応することが重要です。
また、トラブルが顧客に不利益をもたらす可能性があるため、素早く解決策を見つけて事態の悪化を防ぐ必要があります。
トラブルが発生した際には、一人で抱え込まず、上司やチームメンバーと協力して解決策を見つける対応力も大切です。
営業スキルを上げる方法
営業に関するさまざまなスキルは、研修やセミナーなどでも学習は可能です。しかしそれだけでは実践的な力が身につきにくいため、日々の業務や現場経験を通したスキルアップをおすすめします。
ここでは営業スキルを習得するための効率的な方法を紹介します。
▶︎【営業組織の到達度診断シート】目標達成する企業が重要視している12の項目とは?
日々の業務を振り返る
業務内容の振り返りによって、良かった点や改善ポイントを洗い出せるためスキルアップにつながります。
たとえば商談がうまくいかなかったとき、商談後に自分の話し方や顧客の反応などを振り返ると「あの部分はもっとわかりやすく説明すればよかった」「顧客のあの発言には、こんなニーズが隠れていたのではないか」などの発見があります。
反省点を改善して次の商談に活かせば、きっと違った結果を得られるでしょう。
また一日単位ではなく、週や月での振り返りも必須です。
マーケティング施策などは時間が経ってから効果を測定できるものも多いので、週単位や月単位で確認すれば「あのときのあの施策は、ここが良かったから効果が出た」といった分析ができます。
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学習を続ける
営業のスキルアップには、日々の学習も欠かせません。研修やセミナーなどに参加する時間がなくても、オンライン学習コンテンツや本などで知識を学ぶことができます。
また知識のインプットだけでなく、さまざまな学習方法があります。たとえば競合調査をして競合他社について詳しく知ることも学習になりますし、先輩社員の商談に同行することも学びにつながります。
もちろん、自社製品や提供するサービスに対する深い理解も不可欠です。
優れた点はどこにあるのか、それをどのように製品化やサービスに反映しているのかを掘り下げる必要があります。一方で、製品や提供物に弱点がないかも見過ごせません。
そして何より重要なのが、顧客の抱える課題や問題にどう対応できるかという点です。顧客視点に立って、製品やサービスの役立ち具合を分析的に検証する姿勢が肝心です。
日々の仕事を通じて学習する機会はたくさんあるので、自分なりの学習のタイミングを見つけてみましょう。
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具体的な目標を立てる
具体的な数値目標を立てることも、営業のスキルアップには重要です。数値目標がないと、日常の業務もいい加減になりがちで、スキルアップの機会を失います。
明確な数値目標を定めることで、目標から逆算して「やるべきこと」と「やらない方がいいこと」が考えられるようになります。
無駄な業務を効率化し、成果に対して回り道をせずに取り組める人材になることができます。
プレゼンテーションスキルを磨く
営業職に欠かせないスキルのひとつがプレゼンテーション力です。プレゼンテーションスキルを向上させるためには、まずは知識を身につけることが重要です。
例えば、プレゼンテーション資料を作成する際には、序論・本論・結論の3部構成にする方法があります。
また、図解を用いることで視覚的に情報を伝えやすくなります。
資料作成だけでなく、ジェスチャーや話し方もプレゼンテーションの重要な要素です。
話し方やジェスチャーは普段の営業活動でも活かせる要素です。
先輩のプレゼンを観察して学ぶのはもちろん、セミナーに参加したり関連書籍を読んだりして知識を深めることも有益です。
さらに、営業部門全体の研修として講師を招いたり、教育プログラムに組み込んだりすることも、効果的なスキルアップの手段です。
トップセールスの真似をする
営業組織に属している場合、その組織で一番売上を作っている営業パーソンがいるはずです。彼らが成果を出せるのには、必ず理由があります。
注意深く観察をしたり、直接コミュニケーションを取り、意識している点を聞いたりするなど、良い点を吸収することが大切です。
どんな本や教材よりも、実際に成果を出している人から学ぶことがもっとも大きい成長材料となるでしょう。
失敗を恐れない
営業には失敗が付きものです。取引先を怒らせたり、目標を達成できなかったりすることもあるでしょう。
成功には複合的な要因があり、運の要素が絡んだりしますが、失敗には必ず理由があります。そして、失敗せずにトップセールスになれる人もいません。
失敗を糧にして、改善を重ねることが、営業スキルを身につける近道となります。
顧客視点を意識する
効果的な営業を行うには、常に顧客の立場に立って考える習慣も重要です。
自らを顧客の視点に置き換え、商品やアプローチを見つめ直すことで、新たな気づきや改善点が見えてきます。
具体的には、「自分がこの商品を購入するとしたら、どのようなものが欲しいか」「どんなアプローチを受ければ、購入を検討するか」といった視点から分析してみましょう。
実際に使用した際の不便な点はないか、改善の余地はないかなども、顧客目線で吟味する必要があります。
こうした顧客視点での検証を怠らず継続することで、今まで気づかなかった課題や新たなアイデアが浮かんでくるかもしれません。この習慣を持ち続けることが、より良いアプローチや提案につながる可能性を秘めています。
優れた営業マンとは、自社の立場ではなく、あくまでも顧客の立場に立って考え抜く力を備えた人物です。顧客目線での分析を日々の営業活動に取り入れ、常に改善を心がけることが何より大切です。
SFA/CRMを利用して営業データを分析する
営業職としてスキルアップし続けるためには、まずは自分の行動やパターンを把握する必要があります。自分のどのような営業アクションがどのような結果につながっているのかを分析することで、自分の強み・弱みを把握でき足りないスキルを補えます。
日々の営業活動を振り返り分析するには、SFA/CRMの活用がおすすめです。
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SFA/CRMでは案件に紐づいて行動履歴をさかのぼることができたり、営業フェーズごとの進捗率を分析したりできます。
たとえば「クロージング率が極端に低い」という課題を発見できれば、クロージング能力や交渉力を高めるための学習をすることで改善が期待できます。
SFAは営業活動を客観的に可視化できるため、自分のボトルネックを洗い出して足りないスキルの補完が可能です。
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SFA/CRMで営業スキルがアップした事例
ここでは、弊社が提供しているSFA/CRMである「Mazrica Sales」を導入して営業のスキルアップに成功した企業の事例をご紹介します。
株式会社NSS
株式会社NSSは営業一人一人の営業プロセスや行動が把握できず、最終的に営業成績にバラつきが生じていました。
そこで導入されたのがMazrica Salesです。 価格と現場が使いやすい機能性や操作性を総合的に判断し導入。
導入後はMazrica Salesを見れば、ベテラントップセールスの行動量や行動内容も把握でき、Mazrica Salesを介して成果につながるアクションを伝えられるようになりました。
導入事例:営業スキルのばらつきをなくし、全員が売れる営業になれるSFAツールとは?
終わりに|営業スキル習得にはナレッジ分析・共有を
日本は市場が成熟しており価格競争に陥りやすくなっていますが、高い営業スキルがあれば他社と差別化した提案ができ、現代の日本でも生き残っていけるでしょう。
企業活動の中で、営業ほど”人”が成果に影響するものはないと言っても過言ではありません。
トップ営業パーソンはどのように行動して成果を上げているのでしょうか? 「感覚頼みの営業から脱却してさらに先へ進みたい」「できる営業を増やして、組織としての営業力をボトムアップしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
SFAを活用することで、「人工知能により自動的に成長していくセールスチームを創る」という方法も視野に入れていけるといいでしょう。
記事末の資料では、弊社が発見した「成果を出すトップ営業パーソン」が必ず実践している4つの法則を紹介しています。
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トップセールス〜4つの法則〜
営業の永遠の課題、それは”人”です。企業活動の中で、営業ほど”人”が成果に影響するものはないと言っても過言ではないでしょう。では優秀な営業パーソンはどのように行動して成果を上げているのでしょうか? 本資料では様々な営業組織を見てきた弊社が見つけだした、トップ営業パーソンが必ず実践している4つの法則を紹介します。
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