営業トレンドに敏感な企業がインサイドセールス部門を設置しはじめるなど、営業パーソンにとって重要なスキルの1つがヒアリング力と言われています。
ヒアリング力を高めるための方法として、様々なテクニックが紹介されていますが、なかでも顧客の潜在ニーズを引き出し、購入意欲を高めるのがSPIN話法です。
そこで今回は、商談の成立を目指すなら取り入れておきたい、SPIN話法について解説します。
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この記事の内容
SPIN話法とは?
SPIN話法とは、英国人のニール・ラッカム氏が生み出し、提唱した営業技法です。
1995年にニール・ラッカム氏が書いた「MAKING MAJOR SALES」の日本語訳版「SPIN式販売戦略」が出版されてからは、関連書籍も多数販売されるなど、大きな反響を呼んだ技法でもあります。
SPIN話法とは、S・P・I・Nから始まる4つの質問による営業技法です。
- S:Situation Questions <状況質問>
- P:problem Questions <問題質問>
- I:Implication Questions <示唆質問>
- N:Need-payoff Questions <解決質問>
これをS→P→I→Nの順に質問を進めていき、商談成立に繋げていきます。
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SPIN話法を使用する3つのメリット
ではなぜ、インサイドセールスを含めた営業現場でSPIN話法を使用した方がいいのでしょうか?
ここでは、SPIN話法を使用する3つのメリットについて紹介していきましょう。
潜在ニーズを引き出せる
ほとんどの顧客は自覚している顕在ニーズを語りますが、SPIN話法によって顧客の共感を引き出す質問や、課題の明確化につながる質問などを織り交ぜることで、顧客自身も自覚していなかった潜在ニーズを引き出すことができます。
顕在ニーズの段階では自社商品やサービスで解決できなさそうに感じられても、潜在ニーズまで掘り下げてみると、自社商品やサービスで解決可能なニーズかもしれません。
また、顕在ニーズを聞いて解決できそうだと判断しても、潜在ニーズは違うところにあったために成約につながらないという可能性があります。
そのため、SPIN話法を活用して潜在ニーズを引き出すことで営業成績の向上にもつながります。
商談につながる雰囲気を作れる
SPIN話法では、顧客のニーズを探るだけでなく、顧客が購入に対して前向きになるための雰囲気づくりをすることが可能です。
単純に商品やサービスの説明をしているだけでは、お客様は購入に積極的になってくれない可能性が高くなってしまいます。
SPIN話法で質問と回答を通して、潜在ニーズを解決した際のメリットを認識してもらい、一方通行ではなく顧客自身の口からもそれを引き出しましょう。
その後、商談に移ることで、顧客の前向きな雰囲気を保持したまま商談を進めることができます。
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顧客にとって「頼りになる存在」になれる
SPIN話法の訴求ポイントは、単なる商談の成立だけにとどまらず、営業担当者が顧客にとって「頼りになる存在」になれる点にあります。
便利な製品やサービスを売るだけでなく、顧客自身が問題に気づき、解決方法にまで思いを巡らせることで「今、本当に必要としていたものを提供してくれた人=営業担当者」になるのです。
顧客にとって「頼りになる存在」となれれば、また何か困ったことや問題が発生したときに相談してもらえるようになります。
顧客のニーズを掴みやすくなるだけでなく、似たような製品・サービスが出てきたときにも「この人から買いたい」と選んでもらえることにもつながれば、営業としての成功体験になるといえるでしょう。
商談でSPIN話法を活用する際のヒアリングの具体例
商談でSPIN話法を活用する方法 SPIN話法は、SPINの4つの質問によって、顧客の声を聞くヒアリング力を最大限活用する方法です。
「SからPとI、そしてゴールにつながるN」の流れを作れるヒアリング力を身につけられれば、SPIN話法が商談で活きていくようになります。
【関連記事】:営業ヒアリングのコツとは?基本項目・管理方法・ヒアリングシートの項目例
Situation Questions(状況質問)
まずは、顧客の立場や現状についての質問をします。立場や現状を理解することで信頼関係が生まれ、提案がしやすくなります。
このステップではあまり多くの質問をしすぎて冗長に感じさせることのないようにしましょう。
また、事前に調べられることは事前に良く調べておくことで、スムーズな導入に入れます。
【質問例】
- 現在〇〇を担当されているとのことですが、業務はどのようなものですか?
- 〇〇の管理にはどのようなツールを使われていますか?
- 〇〇の導入数はどのくらいですか?
- 〇〇の担当人数はどのくらいですか?
problem Questions(問題質問)
状況質問で聞いた回答に対して気づいたことから、「そうそう、そこに困っているんだよ」と顧客自身が問題点に気づき、話題を広げられるような質問をします。
そして、できるだけ掘り起こした潜在ニーズを顧客自身の口で言ってもらうようにしましょう。
【質問例】
- ここ半年で100件ほど電話営業をなさったんですね。個別に100件の電話をかけるのは、結構大変ではないですか?
- そうなると、人手が足りず新しい施策を実行することができないのではないでしょうか?
- ツールは○台利用しているとのことですが、容量には満足していますか?
Implication Questions(示唆質問)
次に、その困り事によってどんなトラブルが起こりうるか、解決の重要性を認識してもらうための質問を投げかけます。
営業活動そのものが成功するか否かは、示唆質問を通して、顧客に課題解決しなければならないと感じてもらえるかにかかっています。
【質問例】
- ご連絡の度にアドレスや電話番号を手入力するのは、長期的な時間的コストや手間の損失が大きくはないでしょうか?
- 〇〇専任の管理者がいないとのことですが、それでは属人化や個人への負担が大きくなりませんか?
- この問題によってほかの部署に与える影響はいかがですか?
Need-payoff Questions(解決質問)
最後に、課題解決後のイメージを持ってもらいながら、「今必要だと思っている物・サービスは、弊社の◯◯で解決できます」と、営業に結びつけていきましょう。
【質問例】
- 現状の業務にかかっている時間を減らせるならば、より成果を出すことができるかもしれませんね。実は、それを実現できるのが弊社の〇〇〇です。
- 当社のサービスを導入することで、人手不足による機会損失を無くし、受注金額増加が見込めますがいかがでしょうか?
SPIN話法を成功させるポイント
SPIN話法を成功させるためのポイントを三点、ご紹介します。
事前準備をしっかりと行う
ヒアリングや打ち合わせを始めていく前に、まずはしっかりと事前準備をしておきます。
Situation Questionでは顧客の立場や現状の質問をしていくことになるので、顧客情報の概要を予めつかんでおきましょう。
また、質問する項目も予め整理し、絞っておくことでスムーズな商談が可能になります。事前にヒアリングシートを作成し、質問事項をリストアップしておくのも効果的です。
【関連記事】営業準備・商談の事前準備で使える4つの営業フレームワークとは?
顧客自身に課題に気づかせる質問をする
SPIN話法を用いる際、なるべく顧客自身が話せるように質問を行いましょう。
営業担当が課題の所在や原因にたどり着く筋道をサポートしつつ、顧客自身でその言葉を話すように質問をしていくことで、顧客は「自分で課題に気づき、自分で課題を解決した先の姿を思い描いた」と感じます。
人から一方的に言われたことよりも自分で考えた解決策の方が信用できるのはもちろんですし、ちょうどその解決策を目の前の営業担当が実現できると言うのであれば、顧客も積極的に課題の解決に向き合ってくれます。
自社商品の提案をする際は、この時、顧客が課題の解決に向き合ってからするべきです。このタイミングで商品の紹介をすれば、顧客に興味を持って聞いてもらえることでしょう。
訪問後にはメールでアフターフォローを忘れずに
訪問後には、SPIN話法を通して得た内容を、お礼とともにメールで送りましょう。
せっかく契約を取り決めても、ほったらかしにしてしまっては困ります。継続して商品・サービスを利用してもらうためには、最後まで顧客に良い印象を持ってもらい、信頼関係を深めていくことが重要です。
自社の商品のみならず、営業担当者に対する信頼も、顧客にとっては選択基準となるため、顧客に「あの人の対応は良かった、またあの人に担当してもらいたい」と思ってもらえるようなアフターフォローを目指しましょう。
アフタフォローのメールにはステップメールを活用することもできます。以下の記事もご参考ください。
【関連記事】ステップメールとは?メリット・デメリットや作成方法を簡単に解説
おわりに
営業ヒアリング力を鍛えられる「SPIN話法」は、身につけることができれば、顧客にとって「頼りになる存在」になれるスキルのひとつとして重宝します。
デキる営業になるための一歩として、SPIN話法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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