新人営業として最初の顧客を訪問するとき、誰もが「この訪問、本当に大丈夫かな?」と不安を抱えます。
そして実際に、ちょっとした手違いから思わぬミスに至ることも少なくありません。
しかし、大事なのは失敗後の行動です。
本記事では、新人営業がついやりがちな5つの失敗パターンを具体的事例とともに解説します。さらに、新人がつまずきやすい3つの共通原因を明らかにし、再発防止のヒントをお届けします。
これらを押さえれば、単にミスを減らすだけでなく、営業成果の向上にも直結するはずです。ぜひ最後まで読み進め、明日からの営業に役立ててください。
新人が陥りやすい、3つの失敗例
まずはじめに、新人が陥りやすいミスについて解説していきます。
コミュニケーションスキル不足による情報伝達ミス
新人営業は、質問すべきポイントを整理せずに商談に臨むことが少なくありません。
その結果、顧客の要望や上司からの指示を正確に把握できず、報告や提案の際に誤った情報を伝えてしまいます。
たとえば、上司から「来週中に進捗をまとめて」と言われたときに、どのレベルの詳細まで共有すべきか判断できず、後で「内容が浅すぎる」と指摘されるケースが挙げられます。
こうしたミスを防ぐには、商談前に「確認事項リスト」を作成し、聞き漏らしや認識ズレを減らす習慣を身につけることが肝要です。
顧客ニーズ理解の不足で的外れな提案
新人営業は、用意してきた商品説明をそのまま話してしまいがちです。
しかし、顧客が本当に求めている課題や目的を正しく把握できていないと、いくら優れた提案でも響きません。
たとえば、コスト削減を重視する企業に対して機能拡張プランばかり訴求した結果、相手から「費用対効果が見えない」と断られるケースが頻出します。
このミスを防ぐには、商談前のリサーチとヒアリングで「顧客の立場」「予算感」「優先度」を明確にすることが不可欠です。
具体的には、事前に業界動向や競合製品を調べ、冒頭で「御社では××の改善をお考えと伺いましたが、最重視されるのは△△という理解でよろしいでしょうか?」と確認すると、的外れな提案を避けられます。
関連記事:顧客理解の2つのポイントと高める方法|インサイト営業への第一歩
タスク優先順位設定の誤りによる時間管理の失敗
新人営業は、商談や資料作成、社内調整といった複数のタスクを同時に抱える場面が多くあります。
しかし、緊急度と重要度を正しく見極めないまま、「残業せずに帰りたい」「まずは目立つ仕事を片付けたい」といった感覚で手を動かすと、本来後回しにできない準備や報告が後延ばしになり、締切ギリギリで慌てることになります。
その結果、アポイント直前に資料が整わなかったり、上司への報告が遅れてフォローが間に合わなかったりして、信頼を損なう失敗につながるのです。
関連記事:タスク管理が上手い人とは?特徴や成功するタスク管理の方法を解説
新人営業における定番の失敗5選
ここからは、より具体的に定番の失敗について事例をもとに解説し、対策を考えていきます。
① ビジネスマナーに課題があり信用を失う
事例:名刺交換での落とし穴
初めて取引先を訪問し、名刺を差し出された瞬間、緊張から片手で受け取ってしまい、「ビジネスマナーをご存じないのですか」と指摘を受けた経験はありませんか?
あるいは、相手の名刺をすぐに胸元にしまわず、テーブルに置きっぱなしにしてしまい、不信感を抱かれるケースもあります。
名刺交換は営業の第一印象を左右する重要な場面です。
ほんの一瞬の所作で、信頼を失ってしまう可能性があるのです。
②スケジュール管理ができない
事例:アポイント日時の取り違え
「6月5日10時」と確認したはずが、カレンダーに「5月6日」と登録し、顧客先に誰もいないまま訪問してしまった。
こんな経験はありませんか?他にも、締切直前になって資料作成に追われたり、会議準備を後回しにして上司から叱責を受けたりと、スケジュール管理の甘さが引き金となる失敗は数多く起こります。
③報連相の抜け漏れ
事例:上司に進捗を伝え忘れる
午前中の会議で上司に提示すべき資料を渡す約束をしたにもかかわらず、午後の商談結果を共有し損ねた結果、プロジェクトの進行が止まってしまったケースがあります。
ほかにも、「商談で得た顧客要望を共有しないまま提案資料を作成」「トラブル発生時に報告を後回しにして対応が遅れた」といった失敗が、新人営業には頻出します。
これらの抜け漏れを防ぐには、次章で紹介する3つのチェックポイントを日々のルーティンに組み込むことが肝心です。
④メール返信漏れ・誤送信
事例:重要資料を添付し忘れる
顧客に見積もりを送る際、本文で「詳細資料をお送りしますのでご確認ください」と記載したにもかかわらず、ファイルを添付せずに送信してしまい、相手から「資料が届いていません」と返信があり、再送対応に追われたことはありませんか?こうしたうっかりミスは、お客様の信頼を損ねるだけでなく、商談の進行にも大きな影響を与えます。
⑤一方的な商談進行でクロージング失敗
事例:顧客のニーズを聞かずに提案してしまう
初めての商談で、つい用意した資料を一方的に読み上げるだけになってしまった経験はありませんか?
「このプランはいかがでしょうか」と投げかけたものの、顧客からは特に反応がなく、そのままクロージングに入った結果、商談終了後に「うちの事情には合わない」と断られてしまうケースがあります。
これは、予算感や業務フローの確認を怠ったことで、顧客が抱える真の課題に応えられなかったことを表しています。
定番の失敗を防ぐ5つの対策
前章であげた定番の失敗も、きちんと対策を行うことで防ぐことができます。
この章では、それぞれの失敗を未然に防ぐ対策について解説します。
対策1 :3ステップでビジネスマナーを身に着ける。
ここで、最低限のビジネスマナーを3ステップで確認しておきましょう。
- 服装・見た目のセルフチェック
- 清潔感を最優先に、シャツのシワや靴の汚れを確認する。
- 髪型は整え、目にかかる長さは避ける。
- 名刺交換の所作を型で覚える
- まず自分から名刺を差し出し、相手の名刺は両手で受け取る。
- 受け取った名刺は胸元で一度掲げ、相手の社名・役職を目に焼き付ける。
- 言葉遣いとメールひな形の準備
- 目上の方には「お疲れ様です」「承知いたしました」を基本とし、「ご苦労様」「了解です」は避ける。
- 営業段階ごとの定型文を事前に作成し、「そのうち」「近々」など曖昧表現は使わない。
失敗を回避できる最も大事なコツは、営業の段階に合わせたメールのひな形を先に作っておくこと。また、「そのうち」などの曖昧な言葉を使わないことが大事です。ぜひ「新人営業必見!今さら聞けないメールテンプレ・作法|挨拶編」も参考にしてみてください。
対策2 :二重チェック&テンプレ化で抜け漏れを無くす。
- 登録時・前日確認の二重チェック
- 予定をカレンダーに入力した直後に、日時・場所・案件名を画面で再確認する
- 前日の終業前にも同じ予定をチェックし、重要アポイントは上司やチームメンバーと共有してダブルチェックを受ける
- テンプレート化で入力ミスを防止
- 商談・会議・資料準備など、よく使う予定をあらかじめテンプレートとして保存する
- テンプレート呼び出しで登録すれば、入力漏れや誤字脱字を抑えられる
- リマインダーと通知設定の徹底
- カレンダーの通知機能で「30分前」「1時間前」など複数のアラートを設定する
- 外出先でも確認できるよう、スマホアプリにもプッシュ通知を有効化する
また、ツールに頼るのも一つの手。
Google CalenderやTime Tree、Lifebearなどを使うとアプリで予定を簡単に入力できたり、スケジュールを共同で管理できるようになったり、予定の色分けなどを行うことができるので対応漏れを防ぐことができます。
スケジュール管理ツールについては、「営業がスケジュール管理すべき理由とスケジュール管理ツール9選」も参考にしてください。
対策3 :自動リマインドと共有フォーマットを使う。
- 自動リマインド機能の活用
- SlackやGoogleカレンダーのリマインダーで、「報告」「連絡」「相談」の期限を事前に通知。
- 「商談終了後30分以内」「翌日の始業前」など、複数タイミングでアラートを設定し、報告漏れを防止する。
- 共有フォーマットの定型化
- 「案件名」「顧客状況」「発生課題」「次のアクション」「期限」の5項目をテンプレート化。
- フォーマットは社内共有ドキュメントに保存し、誰でも簡単にコピペできるようにする。
- 報告タイミングのルール化
- 商談終了後やトラブル発生時には即時報告をルール化する。
- ルールをカレンダーやチャットのピン留めで周知し、自身も上司も確認できる状態を維持する。
対策4 :メール送信前チェックリストを作成する。
- 宛先・CC・BCCの確認
- 宛先に誤りがないか、CC/BCCに漏れや余計なアドレスがないかをリスト化。
- 件名の整合性チェック
- 案件名や日時など、メールの主旨が件名で一目で分かるかどうかを確認。
- 本文の文末表現と敬語チェック
- 「お疲れ様です」「よろしくお願いいたします」など基本の挨拶・結びが入っているかをチェック項目に追加。
- 添付ファイルとリンクの有無
- 添付資料のファイル名・数、リンク先URLが正しいかを必ず目視で確認。
- 「Re:」「Fwd:」の有無/引用部分の整形
- 返信・転送メールでは冗長な引用や不要な「Re:」重複がないか確認。
- 誤字脱字・数字の再確認
- 金額や日付など重要な数値はコピー&ペーストで二重チェック。
- 送信先テスト
- 上記チェック後、自分宛または信頼できる同僚にテスト送信し、問題なければ本番送信。
対策5 :ヒアリングシートを活用する。
- シート項目をテンプレ化する
- 顧客情報:会社名、担当者氏名、業界・規模など
- ニーズ確認:課題、導入目的、予算感、優先度
- 質問リスト:想定FAQ、追加確認事項、次回確認ポイント
- 商談の流れで必ず記入する
- 商談前:シートの「質問リスト」をもとにアジェンダを準備
- 商談中:相手の言葉をリアルタイムに書き留め、重要度をマーク
- 商談後:得られた回答を「顧客情報」「ニーズ確認」に反映し、抜け漏れをチェック
- 共有と振り返りを習慣化する
- 終業前に上司にシートを共有し、フィードバックをもらう
- 週次ミーティングで複数案件のシートを比較し、改善点を話し合う
このようにヒアリングシートを準備・記入・共有の3ステップで運用すれば、顧客の真のニーズを漏れなく把握でき、一方的な提案に陥るリスクを大幅に減らせます。
終わりに
以上、新人営業にありがちな失敗とその解決法について紹介しました。
上記の方法に加えて、スケジュール管理や申告漏れを解決するためには営業支援ツールを活用することも一手です。
例えば、SFA(営業支援ツール)「Mazrica Sales」の案件ボードを活用すれば、マネージャーが一気に案件の状況を理解できる様になり、報告漏れという問題は解決されるようになります。さらに、スケジュール感を現場が確認することも容易になるメリットも。
関連記事:
下がMazrica Salesの「案件ボード」と呼ばれるページです。
このページでは、日々の営業活動や案件情報を共有することができ、マネージャーも一目で営業の現在の状況がわかるようになります。停滞している案件が黄色や赤色で表示されるので、スケジュールのどこが詰まってしまっているのかも分かるように。
また、アクションタイムラインという機能を使えば次に何をやるべきかも一目瞭然。次に「何を」「いつ」「どうするべきか」、具体的に知ることができます。今までの営業データが蓄積されて具体的な指示が出ているので、新人でもプロの営業と同様のスピード感と質を担保できるようになるのです。
このように、営業支援ツールを会社で導入してもらうことも新人の営業活動を容易にする一つの方法です。
失敗から学び、成功を勝ち取りましょう。

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