近年、企業の成長に伴い、営業部門が抱える課題は複雑化しています。

多拠点化する営業活動の連携不足、進捗管理の属人化、そして膨大な営業データのリアルタイム統合が困難であるといった課題は、組織的な成長を妨げる要因となりかねません。

本記事では、部門単位でスピーディに運用を開始できるExcelテンプレートと、その活用ノウハウをご紹介します。

本格的なSFA/CRM導入前の最適化や、部門ごとの柔軟な改善を目指すマネージャーの方にとって、実務ですぐに役立つ情報が満載です。

【目的別】営業管理Excelテンプレート

営業活動を効率化したいと考える方に向けて、すぐに使える営業管理Excelテンプレートを無料で提供しています。

本記事では、営業現場での利用シーンを想定した「目的別テンプレート」を紹介し、テンプレートの用途や活用方法を詳しく解説します。

1. 顧客管理テンプレート

まずは、顧客管理テンプレートです。Mazricaがオススメする顧客管理や営業の案件管理の方法をExcelのテンプレートとして作成しました。

テンプレート内の入力箇所(どこに何を入力すればいいのか?)を分かりやすく明記していますので、すぐに活用することができます。

以下のような方には特におすすめです

  • Excelで顧客管理や案件管理を行いたい方
  • 顧客管理や案件管理用のExcelシートを1から作成する時間がない方
  • Excelで顧客管理や案件管理を行なっているが、管理方法に課題を感じている方
  • 顧客管理や案件管理に必要なExcelの項目を整理したい方

2. 案件(商談)管理表テンプレート

次に、案件管理表テンプレートです。進行中の商談を可視化し、売上見込みや営業進捗を管理。営業会議用の資料としても活用でき、ボトルネックの早期発見につながります。

案件(商談)管理テンプレート

案件名 顧客名 担当者 商談フェーズ 受注確度 受注予定日 見積金額 ステータス
Webリニューアル案件 株式会社ABC 山田 提案中 70% 2024/8/15 ¥1,500,000 進行中
営業DX導入支援 株式会社XYZ 佐藤 契約直前 90% 2024/8/5 ¥2,800,000 要見積書発行

以下のような方には特におすすめです。

  •  商談の進捗が個人メモに依存している方
  •  売上予測を精度高く立てたい営業責任者

3. 予実管理(KGI/KPI)テンプレート

最後に、予実管理(KGI/KPI)テンプレートです。KGI(売上)とKPI(行動指標)をセットで管理し、戦略的な営業活動をサポートします。グラフによって目標と実績の差異がひと目で確認でき、対策を迅速に立てやすくなります。

売上目標 売上実績 達成率 アポイント数(KPI) 商談数(KPI) 受注数(KPI)
7月 ¥5,000,000 ¥4,200,000 84% 30 15 5
8月 ¥6,000,000 ¥6,200,000 103% 35 18 7

おすすめの方:

  • チームの行動と結果を連動させたい営業マネージャー
  • 個人ごとの成果管理をしたいスタートアップ・中小企業

Excelで営業管理を行うメリット・デメリット

部門単位でExcelでの営業管理を導入することは、メリットとデメリットの両者が存在します。

ここでは、Excel活用の意義と、知っておくべきデメリットを客観的に解説します。

Excelを活用するメリット

Excelは、ほとんどのビジネス用パソコンに最初からインストールされているため、追加のソフトウェアを購入する必要がありません。

そのため、特別な初期投資なしに営業管理の体制を構築できます。この「追加コストがかからない」という手軽さは、限られた予算で運営している企業にとって大きな魅力です。

多くの社員が日常的にExcelを使っているため、特別なトレーニングを受ける必要はありません。すぐに運用を開始できるため、導入時の混乱や時間的ロスも最小限に抑えられます。

Excelのもう一つの強みは、柔軟なカスタマイズが可能なことです。自社独自の営業フローや管理項目に合わせて、シートの構成や関数を自由に設計できます。

テンプレートをベースにしながらも、細かい部分は自分たちで調整できるため、既存の業務に違和感なく組み込めるのが特長です。

また、Excelで作成した営業データは、Wordでの報告書やPowerPointでの提案資料にも簡単に転用できます。表やグラフをそのまま貼り付けることができるため、資料作成のスピードが格段に向上し、業務効率全体にも良い影響を与えます。

Excelを活用するデメリット

一方で、Excelには組織規模が拡大するにつれて顕在化する課題も存在します。

まず、営業情報のサイロ化問題です。ファイルが各メンバーや部門に分散すると、組織全体での情報統制が困難になり、最新の情報がどれか不明確になるリスクがあります。これは、部門横断的な連携を阻害する原因となります。

次に、リアルタイム性や他部門との連携性不足です。同時編集の限界や、基幹システムとの連携が難しいという課題は、情報共有の遅延や二重入力といった非効率を生み出します。

特に、経営層がリアルタイムでKPIの進捗を把握したい場合、Excelでの管理では対応が困難になります。

さらに、内部統制や監査対応の困難さも無視できません。誰がいつデータを変更したかという履歴管理が難しいため、データの信頼性やガバナンスの面でリスクを伴います。

中堅・大企業においては、こうした経営レベルのリスク視点も考慮する必要があるでしょう。

▶︎▶︎営業成果を上げるために「脱エクセル」をすべきタイミングとは?

テンプレートの使い方とコツ

ここでは、テンプレートを最大限に活用し、チーム全体の営業活動にしっかり定着させるための3つのステップをご紹介します。

1.基本情報の入力を丁寧に行う

最初に行うべきは、顧客情報や商談履歴などの基本情報を正確かつ統一的に入力することです。

とくに「顧客管理台帳」のようなシートでは、会社名や担当者の名前、部署名、役職、電話番号、メールアドレスなどを正式名称でそろえて記入することがポイントです。

表記のブレを防ぐことで、検索性が格段に上がり、情報共有もスムーズに進みます。

さらに、「商談履歴」には訪問日や会話の要点を簡潔に記録しておくと、過去の流れを誰でもすぐに把握できるようになります。

最終コンタクト日を記載しておくことで、フォロー漏れの防止や、放置案件の早期発見にもつながるでしょう。

2.関数で自動化・可視化を加速する

Excelに少し慣れてきたら、関数を取り入れてテンプレートの効率性を一段階アップさせましょう。

たとえば VLOOKUP関数を使えば、案件管理シートに顧客名を入力するだけで、顧客台帳に登録されている電話番号やメールアドレスなどの情報を自動で呼び出すことが可能になります。

これにより、転記ミスのリスクを減らし、作業のスピードと正確性が大幅に向上します。

また、COUNTIF関数を活用すれば、営業担当者ごとの案件数や、商談フェーズごとの案件割合を手間なく集計できます。チーム全体の進捗を可視化できるため、マネジメントにも有効です。

運用ルールを明確にする

テンプレートを導入したものの、「結局、誰も使っていない」という状態では意味がありません。

そこで必要になるのが、Excel管理を続けられる運用として定着させるためのルール作りです。

まずは、ファイル名・保存場所・更新のタイミングをチームで統一しましょう。

例:「営業管理_2024年8月版.xlsx」のように規則性をもたせ、最新版が一目で分かるようにしておくことが重要です。

また、共有ドライブなど誰でもアクセスできる場所に保存し、週1回や月1回の更新日をあらかじめ決めておくことで、「入力する習慣」が自然と生まれます。

次に、入力項目はあえてシンプルに保つことも成功のカギです。
あれもこれも記録しようとすると面倒になり、途中で使われなくなってしまいます。最初は「会社名・担当者・商談履歴・日付」といった最小限の項目からスタートし、必要に応じて少しずつ拡張していくのが現実的です。

そして何より大切なのは、マネージャー自身が積極的にテンプレートを活用し、そこに記録された内容に基づいてフィードバックを行うことです。

たとえば定例ミーティングで、「今月はAフェーズの商談が増えているね」「山田さんの案件、受注確度が高そうだね」など、記録されたデータをもとに会話をすることで、メンバーにとって記録する意味が明確になります。

Excelでの営業管理に限界を感じたら

Excelは営業管理の入り口として非常に優れたツールです。柔軟性があり、テンプレートさえあればすぐに運用を始めることができます。

しかし、チームの規模が大きくなり、扱う情報量が増え、よりリアルタイムな情報共有や自動化が求められるようになると、徐々にその限界が見えてくることも事実です。

たとえば、Excelでは入力した情報の更新を関係者にリアルタイムで共有することが難しく、社内でファイルが乱立したり、バージョン管理に混乱をきたしたりする場面が増えていきます。

また、アラート機能やリマインド通知などの仕組みが標準では備わっていないため、重要な案件のフォロー漏れが起きやすくなるのも悩みどころです。

関連記事:Excelでは限界!営業管理・データ管理を効率化する4つの方法

こうした課題を感じ始めたときに、選択肢として浮かんでくるのが SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム) です。

これらのツールは、営業活動や顧客情報を一元的に管理し、情報の連携や分析、自動化までをサポートします。以下のように、Excelとの機能面での比較を見てみると、それぞれの特徴がより明確になるでしょう。

関連記事:

機能 Excel SFA/CRM
リアルタイム性
データ連携
自動化(リマインド等) ×
外部ツール連携
セキュリティ

この比較からもわかるように、SFAやCRMは情報の即時共有やワークフローの自動化において特に力を発揮します。

また、クラウドベースのシステムであれば、セキュリティ面も強固に設計されており、外出先からスマートフォンでアクセスすることも可能です。

特にSFA/CRMの導入を検討すべきタイミングは、いくつかの兆しによって見えてきます。

たとえば、営業メンバーの人数が5人を超えたあたりから、Excelでの情報共有に限界を感じ始めるケースが少なくありません。

また、顧客とのメールのやり取りや提案書の履歴など、Excelには収まりきらない情報も一元管理したいと思い始めたとき、ツールの移行を考える良い機会といえます。

さらに、移動の多い営業職の場合、スマートフォンでの入力や報告が必要になった段階も、SFA/CRMの導入を検討するきっかけになります。

まとめ

Excelは手軽に始められる優れたツールですが、チーム規模の拡大や情報量の増加に伴い、リアルタイム性や連携機能で限界を感じることもあるかもしれません。

そのような時には、SFA/CRMツールへの移行を検討する良い機会です。

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