マーケティング施策の中で、「ポジショニング」を明確にすることは、施策の成否を決めると言っても過言ではありません。しかし、どのように自社のポジショニングを定め、施策に落とし込むのかは簡単ではないでしょう。

本記事では、ポジショニングという言葉の完全な理解を目指し、その概念と目的・方法・事例について詳しく解説します。

ポジショニングとは?

ポジショニングとは、自社の製品がどれほどユニークで魅力的なのか他社との差別化を図りながらターゲットである顧客に示す行為です。

ブリタニカ国際大百科事典の表現を借りれば、「自社のビジネスや特定ブランドを顧客のニーズに合わせると同時に,競争企業あるいは競争ブランドと十分に差別を行ないながら顧客の記憶の中にユニークに位置づけることである」ことになります。

STP分析のうちの一つ

ポジショニングは、マーケティングの分析の枠組みであるSTP分析のうちの一つです。

STP分析はそれぞれS…セグメンテーション(Segmentation)T…ターゲティング(Targeting)P…ポジショニング(Positioning)と対応しています。

つまり、顧客をセグメントしグループ化したのちに、ターゲットとなる顧客グループを選定し、そのグループにいかに自社の製品が魅力的に見えるようにするか、がSTPの流れであり、ポジショニングはその最後を飾るものなのです。

ここから、セグメンテーションとターゲティングがどれだけうまくいっていたとしても、ポジショニングの出来によって、マーケティング戦略の結果が左右されることは予想に難くないはずです。

STP分析に欠かせない基礎知識についてはそれぞれこちらからご覧ください!

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ポジショニング戦略の成功のための4つのポイント

ポジショニング戦略が成功するには、4つのポイントがあります。

  1. ポジショニングのターゲットサイズが適切か
  2. 売り手の考えるポジショニングが顧客に正確に伝わるか
  3. 売り手の考えるポジショニングに顧客が共感するか
  4. 企業のポジショニングと製品のポジショニングに整合性があるか

ポジショニングがマーケターの独りよがりなものにならず、STPと他のマーケティング戦略との整合性を意識しながら進めていくことが大事です。

①ポジショニングのターゲットサイズが適切か

ポジショニング戦略の成功には、ターゲットサイズの適切さが重要です。選定した市場が十分な規模であることや、市場における成長や利益の可能性があることを確認する必要があります。ターゲット市場が小さすぎると、売上や利益が限られ、大きすぎるとメッセージが分散して効果が薄れる可能性があります。

②売り手の考えるポジショニングが顧客に正確に伝わるか

ポジショニングが顧客に正確に伝わることも成功の鍵です。売り手が意図するポジショニングが、広告やプロモーションを通じて顧客に誤解なく伝わることが理想です。
伝達が不明確だと、顧客が製品やブランドの価値を正しく理解できず、期待される成果が得られないことがあります。

③売り手の考えるポジショニングに顧客が共感するか

顧客が企業のポジショニングに共感できるかも重要なポイントです。ポジショニングが顧客のニーズや価値観に一致し、感情的なつながりを生むことで、ブランドに対するロイヤリティや信頼が高まります。顧客の共感を得ることで、競合他社との差別化が明確になり、強い支持を得られるでしょう。

④企業のポジショニングと製品のポジショニングに整合性があるか

売り手である企業自体のポジショニング(企業理念、ポリシーなど)と、製品のポジショニングとの整合性も求められます。企業全体のブランドイメージと個々の製品のメッセージが一致していれば、企業の一貫性が顧客に伝わり、信頼が深まります。整合性がない場合、顧客はブランドに混乱を感じ、信頼を失う可能性があります。
マーケティング戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:マーケティング戦略とは?立案手順とフレームワーク・事例を解説

ポジショニングの方法

ポジショニングの方法ーポジショニングマップを作ろう

ポジショニングを行うには、ポジショニングマップを作成することが必要不可欠です。

この章ではポジショニングの進め方を一から説明していきます。

STP分析のSとTまで済ませておく

STP分析のSとTまでを済ませておくことがポジショニングを始める上での大前提です。

セグメンテーション(Segmentation)

市場を細分化し、ニーズの似ている顧客同士をグループ化することです。

市場の細分化の際には、地理的変数(地域の規模・経済発展度・人口・政策など)、人口動態変数(年齢・性別・所得など)、心理的変数(価値観、趣向、ライフスタイルなど)、行動変数(消費者が実際に購入に繋がった要素)という4つの軸をおきましょう。

セグメンテーションを行うことで、顧客のニーズやどんな顧客がいるのかが可視化されます。

ターゲティング(Targeting)

細分化された結果の顧客グループを分析し、そのグループを自社のターゲットとするか考えることです。

その際には、6Rと呼ばれる枠組みが有用です。

  1. 有効な市場規模(Realistic Scale)その市場は十分利益をあげられる規模があるか?
  2. 成長性(Rate of Growth)これからも成長を続ける市場か?
  3. 顧客の優先順位/波及効果(Rank/Ripple Effect)顧客にとって優先順位が高く、影響力があるか?
  4. 到達可能性(Reach)きちんとその顧客にアプローチできそうか?
  5. 競合状況(Rival)ライバルは存在するか?
  6. 反応の測定可能性(Response)反応が測定できるか?

ポジショニングマップを作成する

ポジショニングを行うには、ポジショニングマップと言われる図を作って見ることが重要です。

ポジショニングマップを作ってみることで、どこで他社の商品と差別化を図ることができるか、一目で分かるようになります。

手順①2つの軸を決定する

自分たちのターゲットとなる顧客層が意識しそうな軸を考えます。
例えば、若年層をターゲットとしているのなら「価格」「おしゃれさ」などが軸としてあげられます。

ここでは、ファミリーレストランに行く若いファミリー層を考えてみることとします。
この場合もやはり「価格」が重要でしょう。
もう一つ、メニューにこだわる人もいるかもしれません。
そこで、ここでは「価格」と「メニュー」を軸に考えてみます。

手順②軸と企業を照らし合わせる

軸を十字にとり、それぞれの企業がマップ上のどこに位置するかを考えてみます。

例えば、先ほどのファミリーレストランの例では以下のようになります。

ポジショニングとは|ポジショニング戦略の進め方と成功事例| Mazrica Sales (旧 Senses) Lab.| map

このとき、空白の部分が他社と区別化を図りやすい部分です。
この図では、安くてメニューが豊富な会社、高くて洋食に主軸を置いた会社がないことが分かるので、その部分に進出しやすいことがうかがえます。

自社がどの部分に進出すれば勝つことができるのか、ポジショニングマップを使うと感覚的に、一目で分かるようになるのです。

ポジショニングマップを作成する際の2つのポイント

ポジショニングマップを作る際のポイントを2つ紹介します。

2軸が独立した変数を作る

ポジショニングマップを作る際に注意すべきことは、2軸が独立した変数を作ることです。

例えば、「価格」と「高級感」は独立性が低く、取るべき軸として適していません。価格が高ければ高級感が出ることは当たり前だと考えられるからです。
「高級感」と「立地」など違う軸をとってみましょう。

ポジショニングマップ作成ツールを利用する

「ポジショニングマップを手作業で作るのがめんどくさい」方は、ツールを使うのも一つの手。

ポジショニングマップ(Lucid)を使えば簡単にポジショニングマップを作ることができます。

画像を貼り付けることもでき、気軽に始められるので挑戦してみるといいかもしれません。

ポジショニングの成功事例

ポジショニングとは|ポジショニング戦略の進め方と成功事例|Mazrica Sales (旧 Senses) Lab.|3

ここまでポジショニングの方法について見てきましたが、ポジショニングによってどんな効果が得られ、何が成功と言えるのかイメージできていない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、この章ではポジショニングに成功した3つの例についてご紹介します。

ポカリスエット

ポカリスエットは当初、スポーツ飲料というポジショニングを行い新しい市場を開拓しました。

しかし、アクエリアスなどの競合他社が出てきて再びのポジショニングを迫られました。

そして、ポカリスエットは「健康に良い清涼飲料水」というポジショニングを行ったのです。

このようにすることで「スポーツ後に飲むもの」のイメージの強いアクエリアスとの差別化がなされ、ポカリスエットはポジショニングにより再度成功を納めました。

ヘルシア緑茶

花王から販売されている「ヘルシア緑茶」。すっかり定番化し、コンビニなどで見かけない日はありません。

ですが、この成功はポジショニングの賜物なのです。

もともと、緑茶業界は「お〜いお茶」や「伊右衛門」、「生茶」など数多くの商品があり新規参入は難しいと考えられていました。

しかし、花王はそれらの既存の商品が若者向けであると考え、「肥満に悩む中年男性」をターゲットにしてポジショニングを行ったのです。

その結果、「ヘルシア緑茶」は独自のポジショニングによって成功を果たしました。

終わりに

マーケティングを行うにあたって無視することはできないポジショニング。

STP分析の最後を飾るものであり、その重要性を理解していただけたと思います。

しかし、ポジショニングを行うには自社の立ち位置や課題、状況をしっかりと知ることが必要です。

ポジショニングの見直しについては、ポジションニングの見直しについては営業支援ツールであるSFAを活用して受注率や売上を確認すると良いでしょう。

営業のものと思われがちなSFAですが、実はマーケターもSFAを利用することにより重要な示唆が得られるのです。

ポジショニングを行うことで、自社のユニークさを際立たせていきましょう。

BtoBマーケターのためのSFA/CRM活用術

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Mazrica Business Lab. 編集部
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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。

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