日本における人手不足は年々深刻化しています。特に中小企業の人手不足が顕著であり、生産性を向上させる必要がある、と中小企業庁からガイドラインが発表されています。
こうした中、MAやSFAといったツールを導入すれば生産性が向上できると考えている企業経営者も多いですが、なかなか思ったように成果に結びついていないことが課題になっています。
今回はインサイト営業をより促進するために、ツールの導入だけではなく営業手法の改革の実施も必要であり、そのポイントについて説明をしています。
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インサイト営業のすすめ
顧客の購買プロセスは大きく変化しています。これまでであれば、展示会やセミナー、広告などで顧客情報を得ていました。
その後、営業担当者が顧客の抱える課題をヒアリングし、解決案として自社のソリューションサービスを提案というプロセスが多かったです。
しかし、現代ではインターネットでわずかな時間検索をしただけで多くの情報が入手可能です。
担当営業に接触するまでに購買活用の57%は完了している、というデータもあります。
自社の課題を解決できるようなソフトウェアを調べたり、解決策をしらべたりすることは容易にできます。そのため、現在の顧客は自社の課題を既に認識しており、解決の方向性を決め、候補となる製品やサービスまで絞り込んだ状態で営業に問合せをしてきます。
つまり、顧客が自社へ連絡をしてくる時点ではすでに要望は固まっていて、結果的に値下げ競争に陥ることもあります。
「この機能は不要だからその分値段を下げて欲しい。」「このモジュールだけを利用したい。」などのように、顧客側で課題解決策を持っているため、絞り込んで使いたい機能だけを低コストで提供するカスタマイズ性の優れたサービスも年々増加しています。
では、自社サービスを提案する際、価格競争に陥らないようにするにはどのようにすれば良いのでしょうか。
顧客がホームページ等を介して問合せしてくる時には、既に課題やその解決策の方向性を決めており、結果的に価格競争となりやすい状況と言えます。しかし、もし顧客課題が明確にならないうちに顧客へアプローチできれば、他社のサービスとの価格競争とはならず、より優先度が高い提案ができるようになります。
この顧客の潜在課題への提案スタイルのことをインサイト営業と呼びます。顧客のまだ認識できていない課題解決方法を提示する、これまでにはない営業手法です。顧客が認識していない課題をどのように把握し、解決していくのか次の項目から詳しく見ていきたいと思います。
インサイト営業を促進させるツール
先述したように顧客の購買行動は大きく変化してきています。このインサイト営業によって競合よりも早く顧客にアプローチすることができるようになります。
では、どのように顧客に素早くアプローチすれば良いのでしょうか。
そのひとつがMA(マーケティングオートメーション)を使ったアプローチです。MAを上手く利用すれば、顧客が自社のWEBサイトを訪問した、資料請求を行ったという見込み客のWEBでの行動をとらえることができます。
これまで顧客から直接連絡があってから接触していた営業プロセスが、もっと前に繰り上がって接触することが可能になります。
MAで蓄積されたデータを利用して、顧客の課題を先取りすれば「インサイト営業」を実現することが可能です。通常MAを導入した際、マーケティング業務だけに終始してしまうことが多いようですが、インサイト営業まで繋げることで更に価値を発揮できるようになります。
MAの詳細についてはこちらをご参考に。↓
マーケティングオートメーションとは?導入までに必要な知識まとめ
またSFAを活用し、日々営業活動のデータを蓄積することでAIが担当案件の受注予測も可能してくれます。(AIフォーキャスト)
ツールのみではインサイト営業はうまくいかない
インサイト営業はMAを導入すれば成功するものではありません。営業を鍛えなければMAだけ導入しても成功しないと言われています。先述したように顧客からの連絡を待っているだけでは、他社とコンペとなり価格競争へと突入してしまいます。MAの価値が発生するのはこの顧客から接触のある前、つまり情報収集の段階で行動を起こせることにあります。
MAではスコアリングにより営業のタイミングをプッシュしてくれます。例えば、一定数の数値を越えたら顧客に電話してニーズを聞いたり、営業が訪問したりします。この際にこれまでの営業スタイルでは本来の価値が発揮できないこともあるでしょう。インサイト営業を実践していくにはMAツールの導入とインサイト営業自体の教育など、会社全体で変革していかなければいけません。
例えば、名刺管理ツールを取り扱っている企業でインサイト営業をする場合、「顧客が本来やりたいことは名刺管理なのか?」という問いから入ります。この問いから入ると、業界での名刺活用方法や世界での名刺の使われ方、名刺から顧客同士がどのようにコミュニティを作るのか等、顧客が本来目指す姿を提案できるようになります。これは名刺管理だけに留まらず、顧客の課題そのものが明確になります。
しかし、営業が通常通りだと「自社の製品はこうだから、この機能ならこう使える」と自社の製品やサービスありきの提案に終始してしまいます。顧客が本来名刺管理が必要なのかどうかという問いにはたどり着くことは無いでしょう。
営業を教育しなければMAやSFAを入れても営業スタイルを変革することはできません。自社の製品やサービスの価値を伝えつつ、本当に顧客の課題の解決を考えられるのが「インサイト営業」なのです。
終わりに
今後日本は少子高齢化の時代を迎え人材の確保が難しくなっていきます。このことを考えると、生産性を向上させることで不足している人材の分を補てんすることが必須です。しかし、このような営業手法の大改革はすぐに成果がでるものではありません。小さい範囲でも良いので早めに実践することが重要と言えます。
セールスイネーブルメント -経営層・営業マネージャーが取り組むべき営業改革-
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