働き方改革やワークライフバランスが推奨されている現在、タイムマネジメント(時間管理)というビジネススキルが注目されています。
タイムマネジメントとは時間を有効的に使って生産性を高めることなので、厳密に言うと、自分自身の行動をマネジメントして限られた時間内に最大限の成果を出すことになります。
今回は、これから更に重要視されていくであろうタイムマネジメントについて、そのコツやフレームワークなどを見ていきましょう。
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タイムマネジメントのコツとフレーワーク
上記の背景から、日本のビジネスパーソンに求められているタイムマネジメント。
それでは、具体的にそのコツやフレームワークを確認していきましょう!
スケジュール管理との違い
タイムマネジメントはスケジュール管理と同じではありません。
一般的にスケジュール管理とは「○月○日○時 A社と商談」「△月△日△時 営業ミーティング」というように予定がブッキングしないように調整することを言います。
一方のタイムマネジメントは、期限の中での時間の使い方を計画して、その計画通りに行動をして目標を達成することです。
タイムマネジメントの中にはもちろんスケジュール管理も含まれていますが、そのほかにもタスク管理や行動管理などのさまざまな要素が含まれています。
スケジュールを管理するだけでは生産性の向上には繋がりませんが、タイムマネジメントを適切に行うことで生産性向上に繋がるのです。
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タイムマネジメントのコツ
ただ単に、その日のうちにやらなければいけないことをやるだけでは、充分なタイムマネジメントができているとは言えません。
タイムマネジメントを上手に進めるにはコツがあります。
・業務をリストアップする
まずは、毎日やらなければいけないこと、その日のうちにやらなければいけないこと、1週間のうちにやらなければいけないことなどの業務をリストアップします。
できれば業務のフローや関係者なども一緒にリストアップしましょう。
自分の業務を見える化することで、今の自分がどれだけの業務を抱えているのかを客観的に見直すことができます。
・工数を確認する
それぞれの業務が見える化したら、業務ごとの工数を洗い出しましょう。
前のプロセスで業務フローまで確認できていたら、具体的にどのくらいの工数がかかるのかを把握できるはずです。
ここで注意が必要なのが、予測した工数で決めつけないこと。
実際に業務を行ってみて計測してみることで、予測よりも早かったり遅かったりして予実のズレを確認することができるでしょう。
・優先順位をつける
時間を効率的に使うためにも、業務に優先順位をつけて処理していくことも大事です。
早急に対応しなければいけないのか、社外向け業務か社内向け業務か、大きな成果に結びつく業務なのかなど、多角的な視点から優先度をつけましょう。
タイムマネジメントのフレームワーク
タイムマネジメントが捗るためのフレームワークをいくつかご紹介します。
・ロジックツリー
業務フローやプロセスを洗い出すのに便利なのがロジックツリーです。
本来は課題を解決したり問題を分析したりするために利用することが多いですが、業務の見える化にも活用することができます。
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・アイゼンハワー・マトリクス(緊急・重要マトリクス)
アメリカ第 34 代大統領であるドワイト・D・アイゼンハワーが行っていたことで有名なフレームワークが、緊急度と重要度で4象限に分類するマトリクスです。
「緊急度・重要度が高い業務」「緊急度が低く、重要度が高い業務」「緊急度が高く、重要度が低い業務」「緊急度・重要度が低い業務」という4つに分類し、「緊急度・重要度が高い業務」を優先的に処理します。
・SMARTの法則
業務の目標を具体的に設定することで、その業務をやるべき意味や方向性を決めることができます。
SMARTの法則を活用することで、具体的に各業務の目標を定めていけるでしょう。
・S(Specific=具体性):漠然とした内容ではなく、具体的な内容にする
・M(Measurable=計量性):○回、○分などの数値化して計測できるようにする
・A(Achievable=達成可能性):理想を高くしすぎず、達成可能な範囲で設定する
・R(Relevant=関連性):目標を達成した先や、目標を達成するための要素などの関連する内容を把握する
・T(Time-bound=期限):期日を明確に定める
・HIROEN
それぞれの業務をHIROENによって分解することで、どのくらいの工数がかかるのか、関連する人や業務はないかなどを理解できます。
・H(Hear=聞く):誰かに聞くべきことはないか
・I(Inform=知らせる):誰かに報連相をする必要はないか
・R(Request=頼む):誰かに依頼することはないか
・O(Operate=作業する):作業しなければいけないことはないか
・E(Examine=調査する、検討する):調査や検討の必要はないか
・N(Negotiate=交渉する):誰かに交渉すべきことはないか
用途別タイムマネジメントツール
業務の洗い出しやスケジュールの組み立てには、紙ベースよりもITツールを活用したほうが圧倒的に便利です。
抜け漏れがあってもすぐに気づくことができますし、蓄積をしておくことでPDCAに活かせます。
ここからは、用途に合わせたタイムマネジメントツールをご紹介します。
社内業務のタイムマネジメント
・TaskChute(タスクシュート)
「TaskChute」の便利なポイントは、時間軸での管理ができること。
時間に沿ってタスクを組み立て、見積もり時間と実際の工数を記録することでギャップを把握したり、その日の残業時間の見通しを立てたりすることができます。
【URL】https://taskchute.cloud/users/top
・CotoGoto(コトゴト)
人工知能とLINEで会話をするだけで、自分の一日の過ごし方や作業時間などが見える化するツールが「CotoGoto」です。
作業を開始・終了する時や休憩時間などをLINEで送るという手軽さで、業務の内容や作業時間などを分析することができます。
【URL】https://www.cotogoto.ai/
プロジェクトにおけるタイムマネジメント
・Backlog(バックログ)
チームでの利用に最適な「Backlog」です。
プロジェクトごとにタスクを細分化して、担当者や期限を細かく設定することができるため、大きなプロジェクトが同時進行していても計画的に進めることができます。
【URL】https://backlog.com/ja/
・Jooto(ジョートー)
「Jooto」はカンバン形式なので直感的にプロジェクトの進捗を把握できるタイムマネジメントツール。
ドラッグ&ドロップで操作性もよく、複数のプロジェクトを同時進行するのも理解しやすいデザインになっています。
【URL】https://www.jooto.com/
営業におけるタイムマネジメント
・Mazrica Sales(マツリカセールス)
「Mazrica Sales」は、営業活動でのタイムマネジメントに最適な機能が搭載されたSFAです。
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誰がどのような案件を進めているのかを案件カードに登録してボードで管理できるのですが、直近のアクション日からの経過日数ごとに色分けで通知することができるのです。
例えば「前回の商談から1週間以上経っている」という場合は黄色、「前回のアクションから1ヵ月以上経過」だと赤色といったように、色別で直感的に把握できるようになります。
スピード感が大事な営業活動なので、直感的に把握できるのは便利な機能です。
【URL】https://product-senses.mazrica.com/
タイムマネジメントが必要な背景
ビジネスシーンでタイムマネジメントが必要とされている背景には、日本が直面している課題があります。
日本の残業時間と世界比較
働き方改革の推進により長時間労働の是正が進んでいます。
過労死やブラック企業などの問題から日本では「残業時間の見直しが急務」と言われていますが、現在の日本の労働時間とはどのくらいなのでしょうか。
OECD(経済協力開発機構)が調査した「世界の労働時間ランキング」によると、2018年の日本の労働時間は年間1,680時間。
これは世界的に見ると22位という数字になっています。
上位を確認してみると、1位はメキシコの2,148時間、2位がコスタリカの2,121時間、3位が韓国の2,005時間。
ちなみに、アメリカは1,786時間で11位となっており、日本よりも約100時間多い計算になります。
また、「ワークライフバランス先進国」とも言われるオーストラリアは1,665時間で日本に次ぐ23位となっています。
ちなみに、「労働先進国」とも言われるドイツは1,363時間で最下位の38位となっており、国全体で働き方改革が進んでいることが分かりますね。
年間労働時間以外にも、ILO(国際労働機関)では1週間の労働時間調査も行われています。
日本の週間労働時間は38.10時間で88位。
週5日勤務と仮定すると、1日の労働時間は8時間未満と計算できます。
労働基準法で「1日8時間、1週間40時間」と労働時間の限度が規定されているため、規定時間以内で働いていることが分かりました。
ちなみに、1位はモンゴルの50.00時間、最下位の129位はミクロネシア共和国の30.37時間となっています。
これらの調査結果から、世界と比べても日本は比較的ゆとりのある労働時間であるのではないでしょうか。
ただし、正規労働者/非正規労働者や性別などでも労働時間は異なるため、中にはこの調査結果以上に働いている人がいることも事実です。
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働き方改革の効果と弊害
現在推進されている働き方改革でも、長時間労働に関する関連法があります。
内容は、残業時間の上限を原則として月45時間・年360時間とするもので、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用されます。
ここでもう一度確認したいのが、働き方改革の目的。
厚生労働省のHPを確認すると『「働き方改革」は、この課題(生産年齢人口の減少、労働者のニーズの多様化)の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。』とされています。
つまり、長時間労働については、「残業をなくす」ことが目的なのではなく、「長時間労働によって生じるリスクやデメリットをなくして快適に働くことで生産性を向上させる」ことを目的としているのです。
長時間労働に関する働き方改革が推進されると、心の病気や過労死が起こりにくくなったり、オンオフのメリハリがついて生産性が上がったりする効果があります。
職場の働き方改革が進めば、優秀な人材を獲得しやすくなったり社員ロイヤリティが上がって退職率が減ったりすることにもつながりますよね。
また、時間外労働に係る人件費を削減するという企業側もメリットもあります。
しかしながら、働き方改革を進めたくてもなかなか進まないという企業風土がある場合も。
例えば、人材不足のために社員一人の業務量が多すぎて残業をしなければ仕事が回らなかったり、せっかく早く仕事が終わっても次々に仕事が舞い込んでしまったりすると、残業せざるを得ない状況になってしまうでしょう。
また「定時で帰ると白い目で見られてしまう」というような職場の雰囲気もあります。
働き方改革で本当に必要なのは、職場や社員一人ひとりの意識改革なのではないでしょうか。
終わりに
タイムマネジメントを最適に行うことで、限られた仕事の時間を効率的に使うことができるようになります。
自分自身の時間の使い方を見直し、時間の中でどのようにしたら最大の成果を得られるのかを考え、仕事もプライベートも充実させていきましょう。
ツールの活用によって自分の行動や工数を把握することができるので、タイムマネジメントを始めたいと考えている人はまずはツールの検討をおすすめします。