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同じ仕事をしていてモチベーションの高い社員と低い社員が生じてしまうのはなぜでしょうか。
社員のモチベーションが高ければ、好業績に結びつくことがわかっていますが、マネージャーとして、チームのモチベーションが低いと悩むケースも少なくありません。
今回は「そもそもモチベーションとは何か」ということを考え、組織で高い生産性に繋げるためのモチベーション管理方法をご紹介します。
仕事に対するモチベーション管理とは?
「モチベーション」という単語は日ごろから日本語のように使っていると思いますが、改めてこの言葉に関して考えたいと思います。
モチベーションをWikipediaで検索すると「動機づけ」と訳されます。
『動機づけ(どうきづけ、motivation、モチベーション)とは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能である。』(引用:Wikipedia)
仕事をする上でモチベーションの高い、低いとはどのような状態なのでしょうか。
例えば、部下に業務を指示した場合に、仕方なく、嫌々取り組むのではなく、部下が自発的にその業務に取り組み、業務改善して業績に繋げるなど仕事に対して情熱を注ぐことが当てはまります。
モチベーションの高い社員は自発的に業務へ取り組むことで、組織に対するコミットメントや会社への忠誠心が高く、顧客に対する貢献度も高い傾向があります。
業務に対する能力が高いということだけでなく、モチベーションを高い状態で維持管理することで仕事への成果が最大限引き出されます。
逆に仕事に対するモチベーションが低い社員は、業務に対する能力が高いとしても、やる気がない発言を繰り返したり、組織の他メンバーの士気を下げるような態度や発言をしたりと、業績に対して悪影響を与えやすくなります。
内的動機と外的動機の違い
モチベーションの上がらない社員に対して「がんばれ」とハッパをかけるだけでは全く効果がありません。
モチベーションを維持向上させるために何か手法はあるのでしょうか。
モチベーションとは動機づけであると前述しましたが、大きく「内発的動機」と「外発的動機」の2種類に分けて考えられています。
外発的動機とはモチベーションの要因が「報酬」「評価」「懲罰」「強制」など人為的な刺激によるものです。
「報酬」の外発的動機づけがわかりやすいのですが、給与やボーナスを上げたとして一時的にはモチベーションが上がるかもしれません。
しかし、時間の経過とともにその効果は薄れてきます。
外発的動機づけは不足すると不満が出るが、満たしたからといって必ずしも高いモチベーションを維持できないことが多いと言われています。
続いて「内発的動機」ですが、こちらは行動要因が自分自身の内面から沸き起こった、興味や関心から業務へのモチベーションに結びついています。
外発的動機とは異なり、モチベーションの高い従業員は、この内発的動機が要因であることが多いです。
有名なモチベーション理論にアメリカの心理学者マズローが唱えた「欲求5段階説」があります。
一度は聞いたことがあるかもしれませんが、改めて考えたいと思います。
人の欲求は5つの階層があるという考え方に基づいています。
第1階層:生理的欲求
第2階層:安全欲求
第3階層:社会的欲求(帰属欲求)
第4階層:尊厳欲求(承認欲求)
第5階層:自己実現欲求
第1階層の生理的欲求とは、人が生きるために必要な「食べる」「飲む」「寝る」という基本的な欲求です。
第2階層の安全欲求とは、自分の身の安全や健康維持のための環境への欲求になります。
自分の身が危ないという環境で恐怖を感じ身を潜めたくなるのは、安全への欲求を求めているからです。
生きるために必要な材料や条件が整い、安全な場所に身を置ける環境となったら「仲間が欲しい」という第3階層の社会的欲求を求めるようになります。
個人から社会へ帰属したくなる欲求がこれに当てはまります。
仲間が集まり組織に属するようになると第4階層の尊厳欲求が現れます。
仲間の中に属するようになると、他の仲間から「認められたい」「尊敬されたい」という欲求のことです。
最後の第5階層、自己実現欲求とは自分の得意なことを活かしてこの社会(組織)の中で創造的な活動がしたいという欲求です。
この第1~5階層は仕事に当てはめることができます。
第1、2階層は基本的な欲求なので満たしているとモチベーションが高まるということはありえませんが、不足していると不満が溜まり良い結果にはなりません。
例えば、第1の欲求では食事も出来ない、トイレにもいけない、眠れないという環境でモチベーションが高まらないのは当たり前です。
しかし、この欲求を満たしたからといってモチベーションが大きく向上することもありません。
同じように第2欲求は安全な職場環境、適正な労働環境などへの欲求です。
生命の安全、労働環境の安全が満たされていても、社会から隔離された1人作業などをしていた場合は第3欲求を求めるようになります。
社会的に帰属したくなり、組織に対する一体感や人間関係への欲求です。
第4の尊厳欲求では上司から仕事を評価されることや、周囲から尊敬されることが考えられます。
そして最後の第5、自己実現欲求は自分の成長を実感したい、やりたい仕事で高い目標を達成したいという欲求になります。
この考え方は内発的動機づけと関連します。
例えば、報酬やボーナスを与えるのではなく「これはあなたにしか出来ない仕事です」と上司から褒められたり、認められたりすることで自己実現欲求が満たされ、モチベーションがより高まります。
自己実現欲求の満たされ方は人それぞれ異なります。
例えば、昇進することで周りから評価されていると実感する人もいれば、昇進に興味が無く技術を磨いてスペシャリストとして仕事することでやりがいを感じる人もいるでしょう。
マネージャーは部下一人ひとりの動機づけの要因を探り、メンバー個々にあった内発的動機づけをしてあげるようにしましょう。
モチベーションが下がってしまう原因
モチベーションの高い社員は自発的に行動し、顧客や他従業員にも良い影響を与え、業績の成長に直結します。
しかし、常にモチベーションが高ければ良いのですが、何かがきっかけとなってモチベーションが低下することもあります。
社員のモチベーションはなぜ低下してしまうことがあるのでしょうか。
その要因としては「個人の要因」「対価の要因」「組織の要因」の大きく3つに分けて考えられます。
まず、モチベーションが低下してしまう個人の要因としては、日常生活における本人の心身の疲労などが挙げられます。
日々の生活で睡眠不足やプライベートでの問題が生じると仕事へのやる気もなくして、モチベーション低下に繋がります。
プライベートなことに立ち入るのは様々な観点で問題ですが、本人の方から相談できる関係性の構築が重要になります。
続いて対価の要因です。
外発的動機づけで「報酬」でのモチベーション向上は限界があると述べましたが、余りにも労働の対価として低すぎるようであればモチベーションは低下してきてしまいます。
頑張っても報われないと思う社員が増えると組織全体に悪影響を与えてしまいます。
最後に3つ目の組織要因に関することです。
社員の中には今の業務に馴染めず、いくら努力をしても失敗を繰り返してしまうケースが生じます。
失敗を繰り返すと人間は自信を失ってしまいモチベーションが低下してしまいます。
また、仕事に対する目標が曖昧な場合も、「自分たちの仕事は何のためにやっているのか」と社員に疑問を与えてしまい、モチベーションは低下してしまいます。
このようにモチベーションが下がる要因は様々ですが、業績に良い結果を出してもらうためには社員のモチベーション管理が重要となります。
モチベーションを維持する方法
それではどのようにモチベーションを低下させず維持すれば良いのでしょうか。
モチベーションが低下する要因で紹介した、「個人の要因」「対価の要因」「組織の要因」の3つのポイントでモチベーションを維持する方法を紹介します。
1.個人の要因に対するモチベーション維持向上の方法
例えプライベートの問題とはいえ、業務に支障が出るほど問題が表面化してきた場合は指導が必要となります。
しかし、命令や強制するような厳しい口調では反発心を煽るばかりでなく、近年問題となっている「ハラスメント」や「ブラック企業」というイメージを付けられてしまうかもしれません。
まず、部下との間に信頼関係が出来ていればハラスメントと捉えられることもなく、素直に受け取ってくれるはずです。
どのような職場においても日頃からコミュニケーションが重要です。
信頼関係は即日手に入れられるようなものではありません。
部下の成長が少しでも見られたら、褒めて伸ばしてあげることが大切です。
2.対価の要因に対するモチベーション維持向上の方法
給与・賞与に対する不満というのは常に付きまといます。
頑張っているのに給料が上がらないという従業員の不満に対して、給料を上げられない経営側にも理由はあると思います。
モチベーションを維持する対価の要因は金銭的報酬と思われがちですが、それ以上の要因は承認欲求だと言われています。
どれだけ給料をアップさせても、一時的にモチベーションが高くなることはあっても維持させることは難しいのです。
人間は誰でも、人に認めてもらいたい、周りから尊敬されたい、という欲求を持っています。
部下に対して「○○さんは頑張ってくれるから助かっているよ」という言葉を伝えるだけでも、金銭的報酬以上のモチベーションが高まるかもしれません。
人件費をこれ以上、上げられないという状況であれば、表彰制度を新たに導入し優秀な社員へ金一封を送るなどの施策が良いかもしれません。
3.組織要因に対するモチベーション維持向上の方法
何のためにこの業務をしているのか、明確な理由を共有することが重要です。
例えば、「いらっしゃいませ」や「ありがとうございます」と大きな声でお客様へ挨拶できないスタッフに対して、「もっと大きな声で挨拶しなさい!」と叱りつけるだけでは何の意味もありません。
なぜ、挨拶が必要なのか、お客様がどう感じるのか、何のためにこの業務をしているのか、本人が納得する理由を説明しましょう。
また、苦手としている業務に少しでも改善が見られた場合、褒めることを忘れないようにしましょう。
おわりに
仕事に対するモチベーションを維持する方法は、組織メンバーとの日頃のコミュニケ―ションを通じて、欲求を満たしてあげることが重要です。
特に報酬アップなどの外的要因よりも、自己実現欲求を意識した内発的な欲求を満たすことが有効です。
今回ご紹介したモチベーション管理の方法を、あなたの組織に取り入れられることから実践してみましょう。

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