たとえ苦手な訪問先でも、仕事ですので人の好き嫌いで営業を行わない訳にもいきません。苦手な顧客であっても商談を成立させる必要があります。そのためには、顧客分析と顧客のタイプ別分類が必要です。今回は明日から商談に使える顧客タイプ別アプローチをご紹介します。
顧客タイプ分析
顧客に合わせた商談を進めないと、どんなに良い案件だったとしても失注する可能性が増加してしまいます。そのために顧客をタイプ別に見極めて分析する必要が出てきます。とはいっても個人情報を細かく調べ上げるということではなく、商談の場で顧客の雰囲気や態度で判断します。
顧客を分類する軸としては「自身の主張を強く出すか協調を重視するか」という視点と「理論的に考えるか感情的に考えるか」という視点の組み合わせになります。この2つの軸から「社交型」「協調型」「分析型」「主導型」の4つのタイプに分類されます。それぞれのタイプはどのような顧客で、どのようなアプローチをすれば商談が有利に進められるのか個々に説明していきます。
顧客タイプ①社交型の顧客
社交型の顧客は、自分の意見や主張が強いタイプです。性格は明るくて楽天的であり、話をするのが好き。
友好関係を望むが、いろいろな事が同時に発生すると混乱してしまいます。他人から認められて評価されることが動機付けの要因となり、人から認められなくなることに恐怖を感じます。
自分の意見を持っているので物事を即決しますが、周りの人間関係を重視しますので理論よりも感情で行動します。
社交型は他者から褒められたり、認められたりすることに自分への評価を感じるため、会話の中で褒めることが大切です。相手の長所を見つけて褒めて、商談を進めやすく場の雰囲気を作ります。
社交型の顧客へのアプローチ方法
あれこれ考えるよりも自分が思ったことをまず行動し、失敗から学びPDCAを回すタイプです。
ビジネスを立ち上げたオーナー社長などはこの手のタイプが多いと言われています。
社交型の顧客へのアプローチ方法は「褒める」ことをベースにします。顧客が「自分は出来る」と思ってもらうため、成功がイメージしやすい会話を心がけます。
つまり、多くのことを複数パターンで提案するのではなく営業がベストと思っている提案を強くしたほうが顧客に成功のイメージを伝えやすくなります。
逆に結論から入らずデータの説明から入ったり、最後まで何を提案したいのかわからなかったりするプレゼンは控えるべきです。
成功のイメージを掴んでもらう提案と会話を心がけます。
顧客タイプ②協調型の顧客
協調型の顧客はその場の雰囲気を重視し自己主張が低いタイプを呼びます。話してよりも聞き手であり、相手に合わせることを得意とします。安定した環境を好み、不安定な状況や同時に多くの決定事項が発生すると不安になります。
自己を主張するよりも他のメンバーとの協調を重視し、物事を感情的に捉えます。
協調型の顧客は皆と調和していたいと思っています。つまり、協調型本人だけに意思決定を委ねるのではなく、他のメンバーも巻き込み商談を進めます。
協調型の顧客へのアプローチ方法
協調型の顧客へのアプローチ方法は「周りのメンバーと関係性の調和」をベースにします。
顧客には過去の実績や類似環境の成功事例などを提示して、周りもうまく行っているという安心感を与えます。
人間関係が一番重要であると考えていますので、自分の行動がみんなの役に立っていると感じてもらうアプロ―チ方法です。地位の高い人からのコメントや他メンバーの賛同的な意見を紹介して、この意思決定に反対者が少ないということを伝えます。
協調者は周りとの調和を重要としていますので「あなたにだけ特別に」といったような、1人だけ周りと切り離された場所に置いて行かれてしまう様な提案は避けるようにしましょう。
この案件を実施することで組織のコミュニケーションが活発になる、活性化するなど人間関係が良くなることを合せてアプローチすることも効果的です。
顧客タイプ③分析型の顧客
論理的な思考を持っているが、主張度が低いタイプを分析型と呼びます。
理論的に物事を考えられ、話をするよりも聞く側の立場におり、冷静に分析をして正確性を求めます。
理論的に考えるために同時に色々なことが発生すると考え過ぎになる傾向があります。どんなに優れた商品であっても分析型タイプの顧客の場合、理論的にその結果が「正しい」と判断されない限り行動を起こしません。
分析型の顧客は意思決定の際に「正しいものを判断したい」「安全な選択肢を正確に選びたい」と考えています。正しく選ぶための材料となる情報を正確に解りやすく伝え、商談の際にこちら側も理論立ててストーリーを組み立てる必要があります。
分析型の顧客へのアプローチ方法
分析型へのアプローチ方法は勘や経験で話を作るのではなく、事実に基づいたデータ等を利用して理論的に話を組み立てます。
また、マイナスとなる要因も正しく伝えメリットとデメリットを総合的に理解してもらいます。
分析型は物事の正しさを重視しますので、正しく判断するための情報が不足していたり、隠したりするのはNGです。
また、「とりあえず暫定的に進めちゃいましょう」という不安定な状況での意思決定はマイナスです。判断してもらう情報を正しく、隠さないように事実を伝えるように心がけましょう。
顧客タイプ④主導型の顧客
論理的な思考をもっており、主張度が高いタイプを主導型と呼びます。社交型の顧客にはオーナー社長が多いとご紹介しましたが、主導型には組織で成長してきたサラリーマン社長が多いと言われています。
直感で行動するのではなく、商品やサービスのメリットとデメリットをしっかりと納得した上で判断するタイプです。自分の意見を強く発信し、効率を重視します。責めの姿勢を取り、プロジェクトが停滞することを嫌う傾向があります。
主導型の顧客は意思決定に対して「自分で決めたい」「革新的なことを決めたい」「リーダーシップを取りたい」と考えています。
つまり、商談する相手が主導型の際には相手側に決定してもらうようにストーリーを作ります。また、保守的な提案よりもチャレンジグな提案が好まれます。
主導型の顧客へのアプローチ方法
主導型へのアプローチ方法は理論的に話の構成を作り、全体像を把握できるようにします。
商談の際には一般的な概念や理論などと関連付けながら自社の商品やサービスを提案します。革新的なアイデアが好まれるため、他社と異なる点や優れている点を伝えます。また、意思決定を主導型の顧客側に持たせることも効果的です。
主導型は自分に意思決定権を持ちたいため、営業担当者が話し続けたり知識を全面に出したりすることは好ましくありません。
相手側に意思決定を委ねます。複数の選択肢を提案し、最終的には主導型の顧客に選択してもらいクロージングする手法が効果的です。
終わりに
「苦手なタイプ」は自然と接触することを避けたくなります。プライベートであればそれでも良いかもしれませんが、ビジネスではそういうわけにも行きません。
もし商談の相手が苦手だと感じたら、今回紹介した「社交型」「協調型」「分析型」「主導型」という4つのタイプのどれに一番近いのかを見極めましょう。アプローチ方法を事前に理解しておけば、苦手なタイプだとしても商談を進めやすくなるかもしれません。
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