「初回のメールでは商品説明資料を送り、商談ではPowerPointのプレゼン資料を使う」。
多くの営業パーソンが、営業プロセスごとに異なる資料を使い分けているのではないでしょうか。
さらに、初回のデモンストレーションから受注後のレクチャーまで、同じような説明を何度も繰り返す場面も少なくありません。
もし、これらの作業がすべて動画で完結するとしたら、日々の業務はどれほど効率的になるでしょうか。
本記事では、営業活動における動画活用のメリットと具体的な方法を、プロセスごとに分けて解説します。
顧客への情報提供から社内でのナレッジ共有まで、動画がもたらす効果をぜひご確認ください。
この記事の内容
営業活動で動画が活用されるようになった背景
近年、多くの企業が営業活動に動画を取り入れるようになりました。
この背景には、顧客の情報収集方法や、企業側の働き方の変化など、が大きく3つの理由があり
1.顧客の情報収集行動が変化したから
インターネットの普及により、顧客は営業担当者と話す前に自ら情報を調べるようになりました。
製品の特長や他社との比較を、文章だけでなく動画で手軽に知りたいというニーズが高まっています。
2.デジタル化が進み、ツールが普及したから
スマートフォンの普及や通信環境の向上で、いつでも動画を視聴できる環境が整いました。
また、SFAやCRMといった営業ツールに動画を組み込む機能が進化したことも、動画活用の大きな後押しとなっています。
3.働き方改革で業務効率化が求められているから
限られた時間で成果を出すため、営業活動の効率化は不可欠です。
動画を活用することで、対面での説明時間を削減したり、顧客への情報提供を自動化したりすることが可能になり、生産性向上に繋がっています。
営業ツールとしての動画活用
営業の現場では、担当者のプレゼン能力や話し方によって、受注率に大きな差が生まれることがあります。
パンフレットや資料といったテキストベースのツールでは、その差が顕著になりがちです。
また、プレゼン後に決裁権を持つ上長が資料を見ても内容を十分に理解できず、担当者が再度訪問して説明するといった非効率なケースも少なくありません。
これにより、時間と労力が無駄になってしまいます。
このような課題は、動画を営業ツールとして活用することで解決できます。
動画は、「誰が説明しても同じ品質」で情報を伝えられるため、営業担当者間のスキルによる差を埋めることができます。
商談で使った動画を顧客に共有すれば、担当者がいなくても、決裁者も正確に内容を把握できます。
これにより、営業活動の属人化を防ぎ、チーム全体のパフォーマンスを底上げすることが可能になります。
営業で動画を活用するメリット
動画の最大のメリットは、テキストだけでなく画像やアニメーション、音声などの多様な要素を組み合わせて情報を伝えられる点です。
営業活動に動画を取り入れることで、主に以下の3つの効果が期待できます。
1. 複雑な商材でも分かりやすく伝えられる
動きや音を伴う動画は、実際に製品を使っているシーンやサービスが活用されている様子を直感的に想像しやすくします。
これにより、複雑な仕組みを持つ無形商材であっても、顧客は内容をスムーズに理解できます。
キャッチーな音楽や印象的なフレーズを加えれば、顧客の記憶に残り、サービスへの関心をさらに高める効果も期待できます。
2. 均質な情報を提供し、属人化を防ぐ
動画は、営業担当者のプレゼン能力や資料作成スキルに左右されることなく、すべての顧客に対して均質な情報を提供できる強力なツールです。
誰が説明しても同じ品質で商材の魅力を伝えられるため、営業活動の属人化を防ぎ、チーム全体のパフォーマンスを底上げすることにも繋がります。
3. 商談の時間を効率的に活用できる
顧客は動画で事前に商材への理解を深めているため、営業担当者は初回商談で基本的な説明に時間を割く必要がなくなります。
その分、顧客の潜在的な課題やニーズを深くヒアリングすることに集中できるため、商談の質が向上し、より成約に繋がりやすくなります。
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営業で使う動画コンテンツの例
営業活動で動画を活用するといっても、どのような動画を作れば良いか迷うかもしれません。
ここでは、営業プロセスに沿った、具体的な動画コンテンツの例をご紹介します。
1. 顧客の興味を惹きつける「初期段階」の動画
- 会社紹介動画: 初めてのコンタクトで、自社の信頼性や事業内容を簡潔に伝えます。
- 簡易的な商品紹介動画: 複雑な商材の全体像をアニメーションや図解で分かりやすく解説し、顧客の「もっと知りたい」という気持ちを引き出します。
2. 商談を強力にサポートする「中盤」の動画
- 商品説明・デモ動画: 実際の操作画面や利用シーンを見せ、商談の場で口頭では伝えきれない価値を視覚的に訴求します。特に、持ち運びが難しい大型機器や複雑なソフトウェアの説明に効果的です。
- 「お客様の声」動画: 既にサービスを導入している企業の生の声を動画で届けることで、第三者からの客観的な評価として、顧客の購買意欲を後押しします。
- ウェビナー動画: 専門性の高いテーマのセミナーを動画化することで、見込み客の育成や、特定の課題を持つ顧客へのアプローチに役立ちます。
3. 顧客との関係性を深める「終盤」の動画
- マニュアル動画: 導入後の具体的な利用方法を動画で解説することで、顧客はスムーズにサービスを使い始めることができます。アフターサポートへの安心感にもつながります。
- 活用事例動画:導入企業がサービスをどのように活用しているか、具体的な成功事例を動画で紹介することで、アップセルやクロスセルを促すきっかけになります。
動画制作のポイント
営業活動に動画を取り入れる企業が増えていますが、「どのような動画を作ればいいかわからない」「費用対効果が見合わないのでは?」と悩む担当者も少なくありません。
重要なのは、単に動画を作るだけでなく、営業の成果に直結する「正しい動画」を制作することです。
本記事では、SFA/CRMとの連携を前提とした、効果的な動画制作のポイントを解説します。
顧客の課題に合わせた動画を制作する
効果的な営業動画を作る第一歩は、一方的な製品紹介を避けることです。
なぜなら、顧客が知りたいのは「製品の機能」ではなく、「自身の課題をどう解決できるか」だからです。
顧客が抱える具体的な課題や関心に焦点を当て、その解決策を提示する動画を作成すれば、商談の質は格段に向上します。
例えば、顧客の状況に合わせた以下のような動画を用意すれば、より深い関係性を築くことができるでしょう。
- 課題解決型動画: 「〇〇業界のDX化の課題と解決策」といった、顧客の業界特有の悩みに寄り添うテーマの動画。
- 製品デモ動画: 実際の操作画面を見せながら、製品がどのように課題を解決するのかを具体的に示す動画。
- 導入事例動画: 顧客と同じ課題を持つ他社の成功事例を紹介し、導入後の具体的なイメージを伝える動画。
これらの動画をSFA/CRMと連携させることで、顧客の行動を追跡し、次に繋がる重要な示唆を得られます。
「見込み客Aが製品デモ動画を最後まで視聴した」というデータがあれば、顧客の関心が高いと判断でき、次のアプローチをより戦略的に組み立てられるようになります。
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短く、分かりやすい構成を意識する
営業用動画は、長ければ良いというものではありません。
商談前や商談中に顧客に見てもらうことを想定し、短く簡潔に、伝えたいメッセージを絞り込むことが重要です。
動画の理想的な長さは、1〜3分程度です。
伝えたいテーマが複数ある場合は、1本の長い動画にするのではなく、テーマごとに複数の短い動画に分割しましょう。
これにより、顧客は興味のある情報に素早くアクセスでき、不要な部分を飛ばして見ることがなくなります。
また、営業担当者も、顧客の関心や商談のフェーズに合わせて最適な動画を提示できるようになり、効率的な営業活動に繋がります。
営業ツールとして動画を使う際の注意点
最近では、高品質な動画を低コストで制作できるツールが増え、自社で動画を作る企業が増加しています。
自社制作はコストを抑えられるだけでなく、商材への深い理解を活かした質の高い動画を作れるメリットがあります。
しかし、動画活用を成功させるには、いくつかの注意点を押さえることが不可欠です。
1. 活用目的を明確に設定する
動画制作を始める前に、「何のために動画を使うのか」を明確に定義しましょう。
目的が曖昧なまま制作を進めると、方向性がブレてしまい、せっかくの時間と労力が無駄になる可能性があります。
たとえば、動画の目的が「見込み客の創出」なのか、「商談でのプレゼン負担軽減」なのかによって、内容を大きく変える必要があります。
- 見込み客創出用: サービス概要に特化し、顧客の興味を引くことに重点を置きます。詳細は商談で営業担当者が補足します。
- 商談用: 概要に加え、機能や利用イメージまで詳しく説明し、営業担当者のプレゼンを強力にサポートします。
このように目的を明確にすることで、動画の具体的な構成や盛り込むべき内容が決まります。
2. リソースと効果のバランスを考慮する
動画制作には、時間や人員といったリソースが必要です。
「どれくらいの効果が見込めるか不透明だから、最初はリソースをかけられない」という場合は、負担の少ない動画から始めるのが良いでしょう。
例えば、企業紹介動画は最初の1本目として最適です。
商材ごとの動画は新作が出るたびに作り直す必要がありますが、企業紹介動画は一度作れば長く活用できます。
初めての訪問で自己紹介の代わりになったり、ウェブサイトやSNSに掲載して広報の役割を担ったりと、多様なシーンで利用可能です。
制作担当者にとっても、最初の一歩として取り組みやすい動画だといえます。
営業動画の活用成功事例
「無形商材が伝わりにくい」「問い合わせ対応に手が回らない」といった課題を抱えている企業は少なくありません。
ある営業支援企業は、この課題を解決するため、初回商談後に顧客の関心に合わせた解説動画を送付するプロセスを導入しました。
この「ひと押し」によって、顧客はサービス内容を深く理解できるようになり、商談がスムーズに進むようになりました。
その結果、初回商談から本提案への転換率がほぼ100%に達し、最終的に受注率が3倍に向上。
この事例は、動画を営業プロセスに組み込むことで、非効率な業務を解消し、飛躍的な成果を上げられることを示しています。
動画活用を成功させるためのSFA/CRM連携
今回ご紹介した事例は、動画を営業プロセスに組み込むことで大きな成果を上げています。
この成功をさらに最大化するには、SFA/CRMとの連携が不可欠です。
動画ツールとSFA/CRMを連携させると、単に動画を送るだけでなく、営業活動全体を戦略的に改善できます。
- 顧客の関心度を可視化: 顧客が「どの動画を」「どれくらいの時間視聴したか」といったデータを自動で把握できます。これにより、顧客の関心度合いを客観的に判断し、次のアプローチの優先順位を決定できます。
- 営業プロセスの標準化: 「初回商談後には必ずこの動画を送る」といったプロセスをSFA/CRM上で定義・自動化することで、誰でも質の高い提案が可能になります。
- ノウハウの蓄積と共有: 動画に対する顧客の反応データをSFA/CRMに蓄積すれば、「どのような動画が効果的か」といった貴重なノウハウを組織全体で共有できます。
このように、SFA/CRMは動画活用の効果を最大限に引き出し、営業活動をより効率的で再現性の高いものに変えるための強力な基盤となります。
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おわりに
メールアポイント、初回訪問、商談、アフターフォローなど、営業プロセスのさまざまな場面で動画は活用されています。
視覚と聴覚からの情報を得ることで、顧客の意志に大きく作用することができるのです。
動画制作にはリソースを割く必要がありますが、かけたリソース分をカバーできるくらいの効果がきっと見込めるはずです。
要所で動画を活用し、営業活動を効率化しましょう!

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