「とにかく記事をたくさん投稿しよう」「SNSを始めてみよう」などと、なにげなくWebマーケティングを進めている企業は少なくないでしょう。
しかし、Webマーケティングで成果を高めるには、適切なPDCAサイクルを回して施策をブラッシュアップしていくことが重要です。
本記事では、WebマーケティングにおけるPDCAサイクルの回し方を、施策別に詳しく解説しています。Webマーケティングで成果を高めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
PDCAサイクルとは
PDCAサイクルとは、継続的に施策の効果測定を行ってブラッシュアップしていき、成果につなげていく手法です。「PDCA」は、以下の4つの言葉の頭文字を取っています。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
もともとはアメリカの統計学者であるW・エドワーズ・デミング博士らが提唱し、製造業の品質管理の現場において活用されてきました。
それからというもの、製品の品質管理だけでなく、経営戦略やマーケティング施策などあらゆる場面において活用されるようになっている手法です。
関連記事:PDCAサイクルとは?業務改善につながる回し方のコツやOODAとの違いを解説
マーケティングでPDCAサイクルが必要な理由
PDCAサイクルはビジネスのあらゆる部門・業務で必要とされています。マーケティング分野でも、もちろんPDCAの有益性は提唱されています。
検索エンジンやSNSなどの進歩により、消費者の購買行動やニーズは急速に変化していっています。
マーケティングは消費者に合わせて柔軟に施策を展開していかなければならないため、以前の施策を続けていても成果にはつながりにくくなるでしょう。
そのためPDCAを回して「以前の施策が引き続き効果が出ているか」「新しい施策は消費者のニーズにマッチしているか」などを確認しながら、施策をブラッシュアップしていく必要があるのです。
PDCAを効果的に回すためのポイント
PDCAサイクルは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)という4つのステップを繰り返し、継続的な業務改善を促す手法です。
それぞれのステップで押さえるべきポイントを理解し、効果的に運用しましょう。
Plan(計画)
Planの段階で重要なのは、具体的で測定可能なKPIを設定することです。
「いつまでに(When)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どこで(Where)」「どのように(How)」という5W1Hを明確にし、誰が見ても何をすべきかがわかる計画を立てましょう。
KPIは、最終的に達成する目標であるKGIから逆算して設定します。
たとえば「売上を120%にする」というKGIであれば、KGI達成のためにKPIを「Webサイトからの問い合わせ件数を月間50件にする」などとしましょう。
ただし、高すぎる目標は実行段階でのモチベーション低下につながるため、現実的に達成可能な目標を立てるのがポイントです。
また、「〇〇という施策を行えば、△△という結果が出るはずだ」という仮説を立てることで、後の段階であるCheck(評価)がしやすくなります。
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Do(実行)
Doの段階では、Planで立てた計画を実行に移します。
ここで大切なのは、計画からズレることなく実行することと、実行した内容を詳細に記録しておくことです。
実行した内容と結果を数値で記録しておかなければ、後のCheckが正しくできません。
たとえば「ブログ記事を3本公開した」「広告Aのクリック率は5%だった」など、客観的な事実を記録する必要があります。
計画通りに進まなかった場合も、その理由や事実を記録しておくことで次の改善につながります。
Check(評価)
Checkの段階では、Doの結果がPlanで立てたKPIを達成できたかどうか評価します。
単に「達成できた/できなかった」で終わらせず、なぜその結果になったのかという要因を深く分析することが重要です。
Checkでは、定量面・定性面どちらも評価するとよいでしょう。
定量面では、記録していた実績値とKPIの数値を比較し、目標との差異を客観的に把握します。
定性的な面では、数値だけではわからない要因(ユーザーの声、社会情勢の変化、競合の動きなど)も考慮に入れます。
そのうえで、成功要因と失敗要因の両方を洗い出しましょう。
うまくいった点とその理由、うまくいかなかった点とその理由の両方を分析することで、次のActionの精度が高まります。
Action(改善)
Checkでの分析結果をもとに、次のアクションを具体的に決定します。Actionには「改善」「継続」「中止」の3つの選択肢があります。
「クリック率が低かった広告のデザインを変更する」「エンゲージメント率が高かった投稿内容は継続する」など、次のサイクルにつながる具体的な改善策を考えます。
成功した施策はチーム内で共有し、別の施策でも横展開できるよう標準化するとよいでしょう。
成果が見込めない施策は、いさぎよく中止の判断をすることも重要です。
成果につながらない施策にリソースを投入し続けるのは無駄になるため、必要に応じて中止の判断が求められます。
WebマーケティングでのPDCAの回し方
Webマーケティングは施策の結果が数値データとして明確に現れるため、PDCAサイクルと相性がよい分野です。
ここでは代表的な3つの施策におけるPDCAの回し方を紹介します。
コンテンツマーケティングでのPDCA
コンテンツマーケティングとは、主に自社のオウンドメディアにコンテンツを掲載してリードを獲得する方法です。
KPIにはコンテンツのセッション数やWebサイトの離脱率、問い合わせ件数などを設定します。
- Plan:ターゲット層とキーワードを選定し、コンテンツのテーマや構成、公開スケジュールを計画する
- Do:計画に基づき、記事を作成・公開する/内部リンクの設置やSNSでの拡散などを行う
- Check:検索順位やクリック率、セッション数、離脱率などを分析してKPIと比較する
- Action:リライトや新規記事の作成などを行う
関連記事:【2025年最新版】コンテンツマーケティングとは?メリット・手法・成功事例をわかりやすく解説!
Web広告でのPDCA
Web広告には、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告、動画広告などさまざまな種類があります。
出稿のための広告費がかかるため、PDCAを回して費用対効果を高めていかなければなりません。
KPIには、CTR(クリック率)、コンバージョン率、CPA(顧客獲得単価)などを設定するのが一般的です。
- Plan:ターゲット層・配信媒体・予算・広告クリエイティブ(バナー、テキスト)のパターンを複数計画する
- Do:広告管理画面で設定を行い、配信を開始する
- Check:日々の広告費や実績値をモニタリングする/ABテストの結果を分析する
- Action:ターゲット設定やクリエイティブなどを見直す/新しい広告パターンを出稿する
SNS運用でのPDCA
SNSを活用したマーケティングでは、各SNSの特性を活かした施策が求められます。
SNSは拡散力が高いため、今までリーチできていなかった層との接点を持つきっかけにもなります。また、ファンとの関係性構築にも活用されます。
KPIには、フォロワー数、エンゲージメント率(いいね、コメント、シェア数)、ウェブサイトへの流入数などを設定します。
- Plan:アカウントのコンセプト、ターゲット層、投稿内容のテーマ、投稿頻度・時間帯を計画する
- Do:計画に沿ってコンテンツを投稿する/コメントやDM返信などユーザーとコミュニケーションを取る
- Check:投稿ごとのエンゲージメント率やフォロワーの属性などを分析する/反応がよかったテーマを評価する
- Action:投稿内容や時間帯などを変える/ハッシュタグキャンペーンやライブ配信など、新たな施策を計画する
関連記事:SNSマーケティングとは?重要性・手法・企業の成功事例|5つのSNSの特性やおすすめツールも紹介
PDCAの運用がうまくいかない原因
理論は分かっていても、PDCAがうまく機能しないケースは少なくありません。その主な原因は以下の3つです。
KPIが不明瞭
Plan(計画)段階でのKPI設定の曖昧さで失敗する事例は少なくありません。
「売上を上げる」「既存顧客と関係性を構築する」といった曖昧な目標だけでは、Check(評価)の段階で「何をもって成功とするのか」が判断できず、何をどう改善すべきかわからなくなってしまいます。
対策としては、Planの段階で「いつまでに」「何を」「どれくらい」達成するのかを数値で設定することが効果的です。
過去のデータや平均値などから定量的な数値を割り出し、KPIとして設定しましょう。
関連記事:KPIとは?基本から設定方法、業種別の指標事例まで徹底解説
ループが途切れている
PDCAは、4つのステップが連動して初めて機能するサイクルです。
しかし、実際には以下のようにループが途切れてしまうケースが珍しくありません。
- 計画を立てるだけで満足してしまい、Doに移されない
- 実行しっぱなしでCheckとActionを行わない
- 振り返りや分析が不十分で、次の具体的な改善策につながらない
このような状況を打開するには、各ステップの担当者や期限を明確にしてPDCAサイクルを最後まで回すことです。チーム全体で振り返り、PDCAを仕組み化していく必要があります。
この記事に関連して、営業活動におけるPDCAサイクルの改善に役立つツールについてさらに深く知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
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分析力が不足している
分析力不足により、集めたデータを前にして立ち止まってしまうケースもよくあります。
データから課題や成功要因を読み解き、次のアクションにつながる「示唆」を見つけ出す分析力が不足していると、PDCAは回りません。
スキルやノウハウの不足が原因のため、Google Analyticsなどの分析ツールを使いこなすスキルの習得が基本です。
また、データの背景にあるユーザー心理や市場の動向を考察するスキルも身につけましょう。
自社だけでの分析が難しい場合は、外部へアウトソーシングするのも借りるのも有効です。
まとめ
PDCAは一度回して終わりではなく、何度も繰り返して継続的に改善を重ねていくことに本質的な価値があります。
特に、成果が数値として残るWebマーケティングは、PDCAと相性のよい領域です。自社のWebマーケティング施策に合わせ、適切なPDCAを回すことで成果を高めていけるでしょう。
本記事で述べた通り、PDCAでは「実績値と目標値の差異」から原因を分析し、施策をブラッシュアップしていく必要があります。
そのためにはKPI設定が重要となるため、正確なKPIを設定して分析の精度を高めましょう。
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