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ゴルフのスコア表示や、自動車のカタログでエンジンスペックに表示されている「ネット」「グロス」という用語。

この2つの用語は、ビジネス用語としての側面も持ち合わせており、マーケティング業界でも非常に重要になってきます。

みなさんはこの2つの違いを説明できますか?

本記事では、マーケティング業界における「ネット」と「グロス」の違いについて解説していきます。

【用語解説】ネット・グロスそれぞれの意味を解説

事例から学ぶオウンドメディアマーケティング成功の鍵|メリット・デメリット|Senses Lab.| 1

広告代理店に依頼する時に、クライアント側と代理店側の双方で「広告費」という言葉の意味の認識に齟齬が生じてしまう場合があります。

お金に関わる問題であるため、認識のすり合わせをしていかないと、信頼関係に亀裂が走ってしまう可能性もあるので、それぞれの違いをしっかりと理解しておきましょう。

グロス(gross)とは?

本来の意味としては、「総量」「統計」。広告費の原価と広告代理店の手数料や制作にかかる全ての費用を合算した金額のこと。

クライアントが「広告費」という言葉を使う場合、グロスのことを指している。最終的にクライアントが広告代理店に支払う料金。

ネット(net)とは?

本来の意味としては、「純量」「正味」。広告費の原価そのもののこと。

純粋に広告配信にかかる費用のことであり、手数料は含まれていない。広告代理店が「広告費」という場合は、ネットを指している。

マージンとは?

マージン(margin)とは、「利ざや」「売上総利益」という意味をもち、販売価格から原価を引いた「粗利」の意味で使用されます。

マーケティング業界では、広告代理店に支払う手数料のことを意味します。つまり、【ネット】+【マージン】=【グロス】という構造になります。

「手数料」の他に「余白」という意味もあり、出版業界で印刷するページの周囲を囲む空白部分を指すこともあります。

交渉や取引の場所で多様される言葉なので、よく理解しておきましょう。

▼【マーケティング用語解説】ペルソナとは?

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ビジネスで使われるネットとグロスの例

以上の説明を踏まえると、例えば、広告代理店から、原価80万の広告を120万円で提案された場合、ネット=80万円、グロス=120万円、マージン=40万円と算出されます。

あまりにもマージンが大きい場合には交渉の余地があります。価格交渉をしたことない場合躊躇するかもしれませんが、積極的に交渉しましょう。

また、ECサイト(Amazonなどの大手ネットショッピングサイト)でも「ネット」や「グロス」は多用されます。商品が売れた際、EC運営側を介して代金が出品者の元に入ります。

その時に代金全体から手数料としてマージンを運営側が受け取り、グロスから商品の原価分のネットを差し引いた料金が出品者の利益となります。

マーケティングにおけるネットとグロスの注意点

今更聞けない「ネット」と「グロス」の違い|メリット・デメリット|Senses Lab.| 2

マーケティング担当者が、1件のコンバージョン獲得にかかったコスト「CPA(Cost Per Action)」を考える際、ネットを見ずにグロスだけで考えてしまうと失敗してしまうことがあります。

例えば、打ち出した広告の費用が、グロス=1000・ネット=800だったとします。そして、この広告で獲得したCV数が10件であった場合、以下のような計算でCPAが算出されます。

【CPA目標→90】
CPA=広告費用÷CV
   グロス(1000)÷10=100
   ネット(800)÷10=80

つまり、グロスを広告費用として考えると、1件のCVを獲得するのに100円かかり、ネットで考えると、80円かかることがわかります。

CPAの目標が90に対して、グロスで見ると損しているように思えますよね。代理店に対してマージンを払うのは無駄なことなのでしょうか?

手数料であるマージンを支払わずに、自社で広告運用を行う場合、さらに人件費がかかります。

手数料に対し、長期的な人件費をかけることを考えると、多少赤字になってしまっても、代理店に広告を頼むことが得策でしょう。

マージンを自社で広告運用した場合の「人件費」として考えて差し引き、ネットで計算したCPAを見ると、得していることに気がつくでしょう。

ネットとグロス、どちらか一つに偏らずに両方見ることが大切です。

CPAと同じような用語で、CACについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:CAC(顧客獲得単価)とは?CPAとの違い、計算方法と効果的な削減方法を解説

グロス売上とネット売上の見方

グロス売上は、販売価格をそのまま売上とみなすものであり、ネット売上は販売価格から仕入れ価格を控除したものであり、販売利益を売上とみなすものです。

売上高を考えるとき、グロス売上とネット売上のどちらで考えるかは経営者次第です。百貨店などではグロス売上を見るのが一般的ですが、商社は口銭商売であるため、ネット売上で考えます。

IFRS(国際会計基準)はネット売上を推奨しているため、近年ではネットで売上をだす企業が多くなってきています。

ネット売上はグロス売上よりも売上高が少なくなってしまいますが、その代わり利益率が高くなるため、収益の高さを印象つけることができるでしょう。

終わりに

いかがでしたでしょうか?金銭問題である上に、広告費という言葉が持つ意味や、費用対効果を考える時の対象となるものが広告代理店と顧客の間で違うため、双方で認識にずれがある場合トラブルになる可能性があります。

それぞれの意味を理解して、お互いに上手な付き合い方を見つけましょう。

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Mazrica Business Lab.編集部
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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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