新規顧客の獲得にはコストがかかってしまうため、コストのあまりかからない既存顧客への対応ばかりに注力してしまうという問題を抱えている方もいるのではないでしょうか。

しかし、事業の継続的な成長のためには新規顧客の獲得が欠かせません。
そこで気にするべきなのがCACです。今回は、CACの定義や計算方法、効果的な削減方法を解説していきます。

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CAC(顧客獲得単価)とは?

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CACとは、「Customer Acquisition Cost(顧客獲得単価)」の略であり、「一顧客を獲得するのに費やした全ての費用」を表します。

この場合の 全ての費用とは企業の設定によって異なるため、例えば広告費用だけを指す場合もあれば、人件費や代理店販売手数料、その他外注費用までをも含める場合もあります。

できるだけコストを抑えて顧客獲得をした方が利益が大きくなるため、企業はCACを下げようと努力します。

CACの計算方法

CACは1か月/3ヶ月(四半期)/1年など目的に応じた期間を設定したうえで、「その期間で顧客獲得のために費やした金額の合計」を「獲得した顧客の数で割る」ことによって算出します。従って計算式は以下の通りです。

CAC = 顧客獲得のために費やした金額 ÷ 新規顧客獲得数

例えば、一か月に顧客獲得のためのマーケティング・営業コストとして80 万円をかけ、その月に80名(80社)の新規顧客を獲得した場合、その月のCACは1万円となります

CACとCPAとの違い

CACと似た言葉にCPA(Cost Per Action/Acquisition)というものがあり、こちらも顧客獲得単価という意味になりますが、CACとは使用される場面が異なります。

CACは前述のとおり、一顧客を獲得するのに費やした全ての費用を表しますが、CPAは主にマーケティングにおいて用いられることが多く、特にインターネット広告等の特定の施策について一回のコンバージョンを獲得するのにかかる費用を表すのに使われます。

CPAが、リード獲得単価(CPL)になる場合もあります。

CACとLTVの関係性

LTVとは「Life TIme Value(顧客生涯価値)」の略であり、一人の顧客が生涯のうちで企業に対してもたらす利益を表します。つまり、一回の購入だけでなく、二回目、三回目以降の購入による利益も含んだ値になるため、LTVを向上させることは間接的に既存顧客を維持することを意味します。

LTVの一般的な算出式は以下の通りです。

LTV=平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間

例えば、¥10,000の商品を月に2回、6か月間購入したとすると、

¥10,000×2×6=¥120,000

になります。

CACを加味した場合は、

LTV=(平均購買単価 – 顧客獲得単価(CAC)) × 平均購買頻度 × 平均継続期間

となります。

CAC(コスト)がLTV(利益)を上回っていると、事業の状態が悪いということがわかります。CAC/LTVを計算することで、一顧客あたりの収益性を調べることができます。

この一顧客あたりの収益性のことをユニットエコノミクスと言います。

LTV/CAC>1の場合は黒字であり、利益が出せている状態です。

LTV/CAC<1である場合は赤字であり、売れば売るほど損をしてしまいます。

一般的にLTV/CAC≧3の時が最適な数値だといわれています。LTV/CACが1だと利益は出せてはいますが、設定した期間が長いと将来的には利益が出せたとしてもキャッシュフロー(収入から支出を差し引いて手元に残る資金)が問題になる場合があるからです。

【関連記事】LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは?意味と計算方法|LTV向上に有効な営業戦略

CAC(顧客獲得単価)の構成要素

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新規顧客の中には、プロモーション活動によって流入する以外にも、口コミや検索といった経路で自然流入する顧客もいます。

ある期間に実施したキャンペーンや広告宣伝の費用対効果を正確に測ろうとする場合、全体の新規顧客数から自然流入した顧客数を省かなければなりません。

そのため、CACは顧客の流入経路別に3種類に分けられます。

Organic CAC

自然獲得できた顧客の獲得コストをオーガニックCACといいます。

例えば、先述したような既存顧客からの紹介や宣伝、検索などの経路があります。

顧客は必ずしも広告などの施策によってのみ獲得できるわけではないので、CACを確認する場合はオーガニックCACも見落とさないように注意しましょう。

有料チャネルでの顧客獲得コストのことをペイドCACといいます。

CMやインターネット広告などはもちろん、セミナーや展示会への参加、開催など顧客獲得の意図を持った施策すべての費用を含みます。

マーケティングや営業の顧客獲得効率を議論する際は、施策の影響度が見えやすいPaid CACを指標に置くようにしましょう。

Blended CAC

「Organic CAC」と「Paid CAC」の二つを合わせたコストをBlended CACといいます。一般的にCACという場合はBlended CACを指していると考えてよいでしょう。

例えば、顧客数は増加しているけれども収益は赤字になっているという状況があるとします。このとき、引き続き顧客数の増加を追求すべきか、黒字化を優先させるべきかという選択を踏まえて対策を施すことになります。

このような場合には、Blended CACを分解して、Organic CACとPaid CACに分けて見てみましょう。Organic CACの効率が良いようなら広告費用を下げてPaid CACを特に抑える、といった柔軟な対策によってBlendedCACを低減させることができるようになります。

CAC(顧客獲得単価)のメリット

CACを知ることで得られるメリットには以下のようなものがあります

費用対効果の高い顧客獲得チャネルがわかる

複数ある顧客獲得チャネルの中でも特に何に力を入れたら良いかがわかれば、より効率的なマーケティング・営業活動が行えます。つまり、CACを調べて低コストで多くの顧客を獲得できている施策を判断することで、その強みを生かすことができます。

費用対効果は日々変化する市場に合わせて変化していきます。その変化に柔軟に対応し、適切なチャネルに投資を集中させて最も効率よく効果を得るために、CACの把握は欠かせません。

SaaSビジネスの場合、「ユニットエコノミクス」を計測することでLTVやCACの目安がわかる

ユニットエコノミクスとは、先述したように、一顧客当たりの収益性(CAC/LTV)のことです。ユニットエコノミクスの最適値は3以上であるので、これによってLTVの目標値や、CACの目安を特定することができます。

CACの目安としてはLTVの3分の1以下にするべきということになります。

SaaSビジネスはマーケティングや営業のコストが先行し、契約後にそれらを回収していくモデルなので、利益を見越した適切な投資が行われることが重要になります。

CAC(顧客獲得単価)の活用手順

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CACの概要を踏まえたうえで、実際にCACを活用する際の手順をご紹介します。

1.計測期間、コスト、顧客内訳を定義づける

CACの計測期間はどのくらいのスパンで設けるのか、どこまでのコストを算出するのか、(例えば人件費や外注費なども含めるのか、顧客は自然流入や広告からの流入など経路によって絞って算出するのか等)、事前に必要事項を詳しく定義づけておくことが重要です。

これをおろそかにすると、後から情報を付け足すことになってデータにずれが生じたり、調べたいデータから逸れたものになってしまう恐れがあります。

また、設定した情報はチーム内で必ず共有するようにしましょう。

2.目標値を設定する

続いて、目標値を決めます。

顧客獲得に費やしたコストを回収することがゴールになるので、先に回収期間の目標を決めましょう。

例えば、「1年で回収」と定めた場合、その一年間分のLTVがCACを上回るように目標を設定します。

もちろん、事業の変容やその他の情勢の変化に合わせて柔軟に対応する必要があるため、三か月ごとや半年ごとなどに目標の見直しをする機会を設けるようにしましょう。

3.定期的に数値を算出し、目標との乖離を確認する

目標を決めたら、定期的に実際に数値を算出し、目標よりコストが高くなってないか確認します。

目標との乖離だけでなく、推移の様子も重要なので、急に高騰したりしていないか確認し、早めの改善ができるようにしましょう。

数値の算出タイミングのルーティン化や(月初めに算出し、毎月10日前後に共有するなど)、記録のフォーマットを定めておくことをおすすめします。

4.必要に応じて改善策を実行する

目標よりコストが高くなっていたら、施策の有効性が鈍っている証拠です。

特に効率が悪いチャネルのコストダウンや、製品・サービスの見直し等を検討し、改善策を立てていきます。

その後は3,4を繰り返し、算出⇒確認⇒改善というPDCAサイクルを回していきましょう。

PDCAを効率的に回すコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:効率的にPDCAサイクルを回す3つのコツを紹介

CAC(顧客獲得単価)の削減方法

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CACを削減しすぎて営業・マーケティング施策へ適切な先行投資がなされないということになってはいけないので、LTVやユニットエコノミクスとの折り合いを付けながら削減方法を探っていきましょう。

ターゲットの明確化

顧客獲得施策の際に最も重要なのが、ターゲット像を明確に捉えることです。ターゲットを明確に設定することで、無駄な投資をすることなくニーズにダイレクトに対応できるようになります。

年齢や性別、職業、住所、世帯人数といった属性や、企業の業種や規模、エリアなどから多角的に絞り込み、さらにターゲットの抱える課題を炙り出して、無駄を抑えた施策が行えるようにしましょう。

ターゲットの設定の仕方についてはこちらの記事を参考にしてください。
関連記事:ターゲティングとは?代表的なフレームワーク(STP分析・6R)を紹介

費用対効果の高いチャネルを絞り込む

利用できる色々なチャネルを利用して多くの人の目に留まるようにしたいと考えがちですが、一番大事なのはターゲットの目に留まることです。

CACを確認しながら、コストに対してターゲットを獲得できていないチャネルや費用対効果が明らかに低いようなチャネルの投資は中断して問題ありません。

低コストでLTVの高いユーザーを獲得できるチャネルに絞り、効率の良い施策を展開していきましょう。

具体的な手段には以下のようなものがあります。

◇広告の最適化

広告の最適化も有効なアプローチのひとつです。

Webマーケティングは広告費を抑えやすいですが、無料広告は無料でできるものの、効果が出るまでに時間がかかりやすく、、有料広告などはトップに掲載されやすく即効性があるものの継続的な支払いが発生します。

そのため、どれが最も効果的か見極め、費用対効果の高い広告を選びましょう。

多くの広告費を投資できない場合には、有料広告をやめて、中長期的にSEO対策による自然流入の増加を図るのも一つの手段になります。

◇コストの低い時期にイベントを開催する

CACを削減したい場合、イベント開催時期を変えてみましょう。

例えば、長期休暇のある夏と、イベント事の重なる冬を避けた春や秋では、比較的コストを抑えてイベントが開催できます。

同様に土日や祝日よりも平日のほうが低コストで行えます。

目標の程度に照らして、効果が最大となるタイミングを見極め、開催時期のためだけに出費を増やすことのないよう注意しましょう。

SFA・CRMを利用する

顧客獲得をする際、名刺管理や様々な顧客情報の管理を行う必要がありますが、SFAやCRMなどのツールを用いることで、外部依頼する必要がなくなったり、時間コストの大幅削減なども期待できます。

SFA(営業支援システム・ツール)では、顧客情報の一覧化や、案件の進捗管理、商談の履歴やスケジュールなど、自社の営業活動に関連する情報を記録・グラフ化・管理することができます。

CRM(顧客管理ツール)では、顧客の売上高などの定量情報の他に、顧客の属性や自社との接触履歴といった定性情報も管理することができ、これに基づいた継続的なアプローチを可能にするとともに、顧客との関係性の深化にも役立ちます。

ツールの導入には多少のコストがかかりますが、顧客獲得・維持のための様々な工数と費用が削減でき、長期的に絶大な効果をもたらします。

CRMやSFAについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:
CRMとは?意味や機能・おすすめの顧客管理ツールをわかりやすく解説
SFAとは?CRM・MAとの違いは?意味・役割・主な機能を徹底解説

LTV(顧客生涯価値)を最大化させる

直接的に費用の削減に繋がるわけではありませんが、費用に対して利益を向上させるには、LTVを最大化させることが最重要です。

LTVは、顧客に継続的に商品の購入や契約をしてもらうことで、高く維持できます

LTVを最大化させるためには顧客数を増やしたり、購買頻度を上げたりと、いくつかの方法が考えられますが、最も重要なのが「顧客との関係性」です。

「どうしたら顧客に長期間利用してもらえるのか」 「顧客の課題をどれだけ早くクリアできるのか」といった部分に向き合い、顧客の負荷を減らしながら、顧客が感じる価値を素早く提供し、購入モチベーションを損なわないようにすることが重要です。

【関連記事】LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは?意味と計算方法|LTV向上に有効な営業戦略

LTVを最大化させる具体的な手段をひとつ紹介します。

アップセル・クロスセル対策を取り入れる

アップセルとは、ユーザーが普段購入している商品・サービスよりもグレードの高いものを購入してもらうことです。

例えば、標準機能の月額5千円のスタンダードプランから、高性能の月額1万円のプレミアプランに乗り換えてもらうような感じになります。上位商品は単価が上がるので、一回の購入で顧客単価が向上します。

クロスセルとは、ユーザーが普段購入している商品と関連する別の商品を購入してもらうことです。

例えば、月額1万円の基本プランのほかにオプションでの追加機能を提案するイメージになります。クロスセルではもともとの商品で満足していて上位商品が必要でないユーザーにもアプローチできます

購入単価が向上するだけでなく、ほかの様々な商品やサービスを知ってもらうことができます。

アップセルやクロスセルを行うときは、長期的な信頼関係の構築を見越して、押し売りにならないように適切なタイミングでニーズに合致した提案を行うようにしましょう。

【関連記事】LTVを「最大化」させるには?定義や計算方法、最大化方法を詳しく解説

おわりに

いかがだったでしょうか。
是非本記事を参考にCACを有効活用して、低コストで高利益な営業・マーケティングを実現させてください!

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