働き方改革が推進されている現代では、限られたリソースで最大の売上を生み出す「営業生産性」の向上が課題となっています。
そのために必要なのがセールスイネーブルメント。

セールスイネーブルメントとは?意味や事例・運用方法を紹介

営業活動を一貫して支援し、営業生産性を高めるためにも必要と言われています。
そして、そのセールスイネーブルメントを活性化するのに、マイクロラーニングという学習方法が話題になっています。
マイクロラーニングとはどのようなもので、営業生産性にどのように寄与するのでしょうか。

営業生産性の向上とセールスイネーブルメント

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|1

働き方改革により、従業員のワークライフバランスが確保されてきてはいるものの、その反面、少ないリソースで最大の成果を上げなければいけないという必要性も出てきました。

業務を効率化して労働生産性を高めることが、現代の企業では必要不可欠な要素となってきているのです。
もちろん、その流れは企業全体で必要とされていることなので、各部門の取り組みが重要です。
営業部門でも他人事ではありません。
ここでカギとなるのが「営業生産性」。

そもそも「生産性」とはアウトプット(産出した成果や実績)/インプット(投入量)という方程式で表され、あるモノを作る(アウトプット)にあたり、生産諸要素(インプット)がどれだけ効果的に使われたかということを意味しています。

これを営業活動に置き換えた「営業生産性」として見ると、売上をつくる(アウトプット)ために、どれだけの時間・人員・コストなどのリソース(インプット)を効果的に使えたかを測るのです。

この「営業生産性」を高めるためには、営業担当者が商談や顧客対応などの純粋な営業活動に費やす時間の割合「営業稼働率」を高めたり、限られた営業活動時間の中でより多くの売上を生み出す「営業効率」を高めたりする必要があります。

そのために各企業では、研修などで営業教育を行ったり、SFAなどのツールを導入したり、リードを育成して確度の高い商談を実現したりしているでしょう。

関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いは?意味・役割・主な機能を徹底解説

従来のこういった手法に加えて、より高い営業生産性実現のためにいま注目されているのが「セールスイネーブルメント」なのです。

セールスイネーブルメントとは、トレーニング・コーチングなどの人材教育、営業活動に関わるツール、アプローチ手法などのそれぞれの営業施策をトータルで設計し、どれだけ成果に繋がっているのかを数値化して分析する手法です。

営業活動に関わる各種施策を、部門を横断したり区切ったりせずに一貫して設計・管理することにより、高い効果を発揮するというものです。

具体的なツールは以下を参考に。

セールスイネーブルメントツール比較15選【2024年最新版】カテゴリー解説あり

SFA/CRMによる営業の見える化

現在、どのくらいの時間を純粋な営業活動に充てられているでしょうか?
見積書・請求書の発行、データ入力、カレンダー管理、移動など、顧客に対応している時間以外のほうが多くを占めていませんか?
実際、Salesforce.com社の調査によると、営業以外の仕事に費やしている時間は、全体の労働時間の64%も占めているという結果もあるほどです。

純営業時間を確保できていない=営業稼働率が低いということは、営業生産性が低いことにも繋がります。
そこで、SFA/CRMの導入により、顧客や案件の管理、日報などの事務作業の簡素化、営業活動の履歴蓄積などの「営業の見える化」が実現することで、純粋な営業活動に充てる時間を確保できるようになり、営業稼働率が向上するのです。

Mazrica Sales活用14シーン〜SFA/CRM活用で変わる営業活動〜

営業の標準化の必要性

SFA/CRMによって営業稼働率は向上しても、限られたリソースで最大限の売上に繋げるという営業効率の向上には、なかなか繋がっていないと感じている企業が多いようです。
簡単に営業効率を高めるためにはどうすればいいのかと言うと「トップセールスと同じような営業活動を、部門の全員が行えばいい」ということになります。

そのためには、トップセールスの営業プロセスやナレッジ・ノウハウをモデルにして、成果に繋がる営業プロセスを組み立てることで、成果が出る営業活動を標準モデルとして作ることができるのです。

営業の標準化により、今まで属人的だった営業スキルやナレッジが共有され、成績の悪い営業担当者でもトップセールスと同じような営業を実践することができるようになります。
また、標準化した営業活動はマニュアルとしても活用することができ、営業教育に活かすこともできます。

マイクロラーニングの必要性

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|2

営業教育をするために、商談現場に同行するOJTや、集合研修などを行っている企業が多いかと思います。
しかし、研修の限られた時間で全ての知識を得ることは難しいですし、営業スキルを磨き上げることも難しいですよね。

そこで、集合研修のように日程調整や場所移動などの必要がなく、気軽に学習できるという点で、多くの企業で導入が進んでいるeラーニング。

そのeラーニングの中でも、短時間で受講ができ、スキマ時間を活用して学習することができるマイクロラーニングが注目を集めています。

たいてい5分以内の動画や学習コンテンツで学習するのですが、パソコン・タブレット・スマートフォンで視聴できるのが特徴。
従来のeラーニングコンテンツは数十分、長ければ一時間程度で、学習時間を確保することは難しいものでした。
更に、長時間を要するコンテンツは集中力が続かず、繰り返し学習もしにくいため、活用されにくいという傾向があったのです。
また、会社のパソコンでしか視聴できないという縛りもあったため、外出が多い営業部門などからは不満の声もありました。

そこで、スキマ時間を活用して学習ができるマイクロラーニングが広まったというわけです。
マイクロラーニングで使われるコンテンツは、ひとつひとつが数分で終わるショートコンテンツで、最後に確認テストが設けられていることが多く、自分のペースや得意・不得意に合わせて学習をしていくことができます。
スマホ対応もしていることで、移動時間や通勤時間を利用して学習できることもメリット。

また、企業側にとっても、ショートコンテンツであれば作成も修正も簡単で、スピーディーで柔軟な教育を実現することができます。
学習が滞っている営業担当者への働きかけなど、管理の面でもメリットがあります。

これらを踏まえ、営業部門にとってマイクロラーニングを導入することの最大のポイントは、営業支援ツールとして活用できるという点ではないでしょうか。

標準化した営業プロセスや営業トークをショートコンテンツ化することで、視覚的に分かりやすく、的確な内容を各営業担当者に伝えることができます。

また、新製品情報をコンテンツにすることで商品知識を得ることができますし、商談シミュレーション動画をコンテンツにすることで新人教育に役立ちます。

マネージャーも、どのコンテンツがよく見られているのかを把握することで部門で強化すべきことを把握できたり、なかなか顔を合わせる時間のない営業担当者にもマイクロラーニングを介してアドバイスをしたりすることも可能です。

マイクロラーニングツール

最近では、マイクロラーニングコンテンツを配信するためのツールも多く流通しています。
いくつかご紹介します!

【PIP-Maker(ピーアイピー・メーカー)】

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|PIP-Maker

●製品概要
PowerPoint資料から音声付き動画を制作できるのがPIP-Maker。
現在使っている業務マニュアルをそのまま活用できるのが嬉しいポイントですね。
新しくコンテンツを作るとしても、撮影などの必要もなくPowerPoint資料を作成するだけなので、低コスト・短時間で動画制作が実現します。
動画の内容を修正したい場合は、PowerPoint資料を修正してアップロードするだけでOK。
スライド内にリンクボタンを設置するだけで、クイズ形式のコンテンツにもなります。

●料金
・初期費用:10万円
・ベーシックプラン:29,800円(税抜)
・スタンダードプラン:49,800円(税抜)
・プロフェッショナルプラン:95,800円(税抜)

●URL
https://www.pip-maker.com/

【Handbook】

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|Handbook

●製品概要
モバイル向けコンテンツ管理システム(MCM)のHandbookは、MCM市場ナンバーワンのシェアを獲得しているツール。
セールスイネーブルメントツールとしての知名度も高いです。
ドキュメント、画像、音声、動画などの電子ファイルをクラウドに保存し、コンテンツ単位でパスワード認証やデバイス認証などの保護を設定することが可能。

コンテンツを配信するだけでなく、クイズ・試験・アンケートの機能もあるため、繰り返し学習に効果的です。
また、360度動画にも対応しており、自社の商材やスタッフの理解度に合わせて最適なコンテンツを提供することができます。

●費用
月額20,000円~

●URL
https://handbook.jp/

【Spotty】

●製品概要
必要なスタッフに必要な情報を配信し、適切に管理することに長けているSpotty。
学習者はモバイルアプリでも閲覧することができるので、移動や休憩などのスキマ時間で気軽に学習することができます。
試験コンテンツも配信可能なので、新入社員や昇格・昇進のテストとしても活用できますね。

●費用
・従量課金制:基本料金4,980円(月額)+従量課金
・定額制:9,800円~(月額)

●URL
https://spotty.logosware.com/

【UMU(ユーム)】

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|UMU

●製品概要
いつでも・どこでも学習ができるためのUMUは、画像・音声・動画・質問などを組み合わせて高速でコンテンツを制作できるのが特徴。
また、集合研修の際に、事前アンケートや出欠確認、研修中のコミュニケーション、研修後の振り返りテストなどでも活用できます。

●費用
お問い合わせ

●URL
https://umujapan.co.jp/

【STUDIO】

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|STUDIO

●製品概要
eラーニングの運用管理だけでなく、集合研修や人事評価までを一元管理することができるSTUDIO。
自社で制作したコンテンツ以外にも、80テーマ200本以上の汎用性の高い教材が標準搭載されているため、自社独自の教材を合わせて学習することができます。

●費用
月額28,350円~

●URL
https://studio.mitemo.co.jp/

SFA/CRMとの連携

マイクロラーニングを導入|セールスイネーブルメントの促進に必要な理由|Senses Lab.|3

マイクロラーニングツールを導入し、そのコンテンツを実際に利用しているかどうかはツール単体でチェックすることができます。
しかし、そのコンテンツが本当に営業生産性の向上に繋がったかを計測するためには、SFA/CRMツールとの連携をしましょう。

SFA/CRMに関しては以下を参照ください。

【2024年最新】SFA(営業支援)ツールおすすめ比較10選|CRM・MAとの違いも解説

訪問数・商談数などの営業活動や売上などの情報と、コンテンツの利用状況をマッチングすることで、高い成果を上げている営業担当者がどれほどトレーニングを実施しているのかなどを測ることが可能です。

その分析を基にして、コンテンツ実施状況が悪い担当者へコーチングをしたり、コンテンツの内容を見直したりして最適な管理をし、営業生産性を上げることができるようになるのです。

終わりに

今後さらに人手不足になると言われている現代では、営業生産性の向上は、どの企業にとっても課題となります。
「営業生産性が低いのではないだろうか」と感じている企業は、セールスイネーブルメントで営業活動を見直し、マイクロラーニングを導入して営業の標準化を目指してみてはいかがでしょうか。

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