日常でスマホを使って検索することが非常に多くなっています。「今日、何回スマホで検索しましたか?」と聞かれても、回数が多すぎて覚えていないという人が大半なのではないでしょうか。
このように、何か気になることがあったときにスマホで検索をする瞬間の行動を「マイクロモーメント」と言います。
本記事では、マイクロモーメントの概要や重要性を踏まえ、マーケティングへの活用事例について紹介します。
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マイクロモーメントとは
マイクロモーメントとは、ユーザーが「知りたい」「買いたい」などの衝動から反射的にモバイルデバイスで検索行動をとる瞬間のことです。
マイクロモーメントの概念は、Googleにより2015年に提唱されました。
日常生活や仕事のなかで「知りたい」「行ってみたい」などの感情が湧き出る瞬間は少なくありません。ユーザーはこのような瞬間があれば、スマホを使って即座に検索行動をして欲求を満たします。
以前はいちいちパソコンを起動させる必要があったものの、スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスが普及している現在では検索行動はより身近なものとなっているのです。
ユーザーの検索スキルの向上も相まって、欲求が湧き出てから検索行動をとる時間は、きわめてマイクロに近づいていると言えるでしょう。
Googleでは、マイクロモーメントには4つのシーンがあるとして「know」「go」「do」「buy」と分類しています。それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。
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知りたい:want-to-know
一つ目のマイクロモーメントは「知りたい」という欲求からの検索行動です。
Googleによると、66%ものスマホユーザーがテレビCMで見た商品について検索をするとしています。つまり、何かを見たとき・聞いたときに「ちょっと気になる」「もっと知りたい」といった欲求から検索する瞬間は、日常の多くのシーンにあることを物語っています。
具体的には、以下のような検索キーワードがknowのマイクロモーメントに当たります。
「SFAとは」=SFAとはどのようなものなのか知りたい
「日本一高い山 どこ」=日本一高い山はどこにあるのか知りたい
「オリンピック 開催国 過去」=過去のオリンピック開催国が知りたい
「オランウータン チンパンジー 違い」=オランウータンとチンパンジーの違いが知りたい
このようにknowの場合は単純に「知りたい」「気になる」という程度の欲求のため、「行きたい」「やりたい」などのニーズが顕在化していないことが多い傾向にあります。
行きたい:want-to-go
次のマイクロモーメントは「どこかに行きたい」という欲求の瞬間です。場所や行き方がわからなくて、スマホで地図や乗り換えなどを検索した経験がある人も多いことでしょう。
Googleによると82%ものスマホユーザーが周辺地域の情報を検索するとしています。どこかに訪れた際に周辺情報を検索して、その結果をもとに行動を決めるユーザーが多数いるということは、ローカルビジネスをしている企業はgoのマイクロモーメントを対策する必要があるでしょう。
たとえば、以下の検索キーワードがgoのマイクロモーメントに当てはまります。
「近くの居酒屋」=付近にある居酒屋に行きたい
「渋谷駅 ネットカフェ 安い」=渋谷駅周辺のリーズナブルなネットカフェに行きたい
「沖縄 ホテル おすすめ」=沖縄にある評判の良いホテルに泊まりたい
「Yahoo! ログイン」=Yahoo!のログイン画面に行きたい
goのマイクロモーメントの場合は、特定の場所だけでなくWEBサイト・WEBページも該当します。「行きたい」という欲求が顕在化しているため、コンバージョンにつながりやすいという特徴があります。
したい:want-to-do
三つ目のマイクロモーメントは「~したい」「何かをやりたい」といった検索欲求の瞬間です。解決策や方法・手順などを知り、実際に行動に移したいときに検索します。
Googleはスマホユーザーの91%が何かをする際のアイデアを求めて検索するとしています。多くのスマホユーザーが何かをする際にWEB上のコンテンツを参考にしていると言えるでしょう。
doのマイクロモーメントは、以下のような検索キーワードが該当します。
「親子丼 レシピ」=親子丼を作りたい
「スキンケア 順番」=正しい順番でスキンケアしたい
「投資 初心者 コツ」=初心者が投資をする際のコツを知って実行したい
「スパムメール 対策方法」=スパムメールの対策をしたい
doはgoと同様にニーズが顕在化しています。そのため詳しい方法・手順だけでなく、注意点やポイントなどの情報も追加すると、ユーザーにとって付加価値が高くなるでしょう。
買いたい:want-to-buy
そして最後のマイクロモーメントは、ユーザーの「買いたい」という欲求から生まれる検索行動です。インターネットショッピングやサブスクリプションビジネスが一般的になっている現代では、buyのマイクロモーメントを対策することで大きなコンバージョンを得られる可能性があります。
また商品購入やサービス契約の際、インターネットで口コミや評判について詳しく確認してから決めるというケースもbuyに該当します。Googleでも、82%のスマホユーザーが店頭で商品を購入する際には事前にインターネットで情報収集をするとしています。
buyのマイクロモーメントは以下のケースが該当します。
「オンライン商談ツール 口コミ」=口コミの良いオンライン商談ツールを利用したい
「スニーカー 通販」=スニーカーを通販で購入したい
「ベビーカー ランキング」=ベビーカーを買いたいからおすすめランキングを参考にしたい
「中古車 見積もり」=中古車を購入したいから見積もりをしたい
「買いたい」というニーズが顕在化しているため、適切にアプローチをすることで確実なコンバージョンにつながります。
マイクロモーメント分析はなぜ重要なのか
以前からユーザーがインターネットを使って検索する行動はありましたが、今になってなぜ「マイクロモーメント」として細分化して理解する必要が出てきたのでしょうか。
その背景と重要性について解説します。
モバイルデバイスの普及
マイクロモーメントを重視する一番大きな要因は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが普及してきたことにあります。
世帯における情報通信機器の普及率の推移を見ると、いかにモバイルデバイスが急速に普及しているかがわかります。
出展:総務省|令和2年版 情報通信白書|情報通信機器の保有状況
この表からもわかるように、2019年のデータではスマートフォンの普及率がパソコンの普及率を超えており、スマートフォンを保有していることが当たり前の時代になっています。
スマートフォンとパソコンの最大の違いは、手軽さ。パソコンよりももっと手軽に使用できるため、サッと取り出してすぐに検索することができるようになっているのです。
パソコンが台頭していた時代は、一つの単語を検索するにも「パソコンを起動してインターネットに接続して検索エンジンを開く」という労力が必要だったため、検索欲求を抑え込むことも多い傾向でした。
しかしスマホの普及により検索行動が身近になり、ユーザーの検索スキルも向上して、さまざまな意図で検索する機会が増えているのです。
インターネットショッピングやサブスクリプションサービスの台頭
スマホの普及やITの進歩により、ユーザーがインターネットでできることが増えました。
それが、インターネットを使った商品購入やサービス利用です。具体的にはインターネットショッピングやホテルの予約、動画視聴、電子書籍による読書、オンラインでの会議などがあります。
インターネットショッピングやサブスクリプションサービスが一般的になり「あの商品を買いたい」「あのドラマを見たい」がさらに手軽なものになりました。インターネット環境であれば利用できるため、場所や時間を選ばずに商品を購入したりサービスを利用したりできるようになったのです。
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これに伴い、検索ニーズも多様化しました。今までは「この商品を買いたいから、買える場所を知りたい」「あのドラマが見たいから、いつテレビで放送されるか知りたい」といった間接的なニーズでしたが、「買いたい」「見たい」といった直接的なニーズへと変化したのです。
このような多様化する検索ニーズを背景に、マイクロモーメントを理解した施策が求められています。
マイクロモーメントのマーケティング活用事例
顕在ニーズ層に向けたWEBコンテンツ制作
4つのマイクロモーメントのなかでも、go・do・buyはニーズが顕在化しています。そのため顕在ニーズを満たす内容のWEBコンテンツを制作することで、ユーザーの関心を満たしてコンバージョンを高められるでしょう。
具体的な施策方法について、いくつか例を紹介します。
【go】
ローカルビジネスを展開している企業は、検索エンジン上のマップに表示させることでユーザーに認知してもらえます。GoogleマイビジネスやYahoo!プレイスに登録するとマッピングされるようになります。
また記事を制作する際には、記事内では住所だけでなく詳しい行き方や道順を説明し、画像も用いると親切です。実際の道順を示す動画を作成するのも効果的。
【do】
方法や手順だけでなく、注意点やポイントなども加えるとさらに分かりやすくなりユーザビリティが向上します。たとえば料理のレシピの記事であれば、材料や手順のほかに、おいしくなるワンポイントなどを付け加えます。
また、検索エンジンによっては動画が上位に表示されるケースもあります。やり方が詳しくわかるHow to動画の制作も検討しましょう。
【buy】
正しい商品名や価格、詳しい機能など、ユーザーが知りたいと思っている情報を過不足なく記載するようにしましょう。
WEBサイト上で商品購入やサービス登録などをするのであれば、購入ページや登録画面へのCTAも必要です。
潜在ニーズ層に向けたWEBコンテンツ制作
特にknowのマイクロモーメントでは、ニーズが顕在化していないため訴求方法が難しい場合も少なくありません。しかしうまく誘導すればknow以外のニーズに変化する可能性を秘めているため、適切なコンテンツ制作が必要です。
記事の中で有益な情報を提供して、ユーザーの信頼や関心を高めるような導線を作ります。
たとえば「SFAとは」というキーワードで検索するユーザーは、SFAを利用するかどうかは決めていないけれど、SFAについては興味を持っている段階です。そのようなユーザーに対しては、WEBコンテンツの中でSFAの具体的な機能や特徴について解説することでユーザーの購買意欲を高めると、お問い合わせやトライアル申し込みなどのコンバージョンにつながる可能性が高まります。
営業支援に特化したツール、SFA(営業支援システム)に関する記事はこちら:
リスティング広告などのWEB広告
広告を運用していると、キーワード選定に頭を悩ませる人も多いことでしょう。このような場合もマイクロモーメントを活用することができます。
広告経由での流入を分析し、クリック率やコンバージョン率が高いキーワードを洗い出します。そのキーワードが4つのマイクロモーメントのうちどれに該当するかを分析することで、ユーザーのニーズを把握できるのです。
このニーズをベースにして、効果の高いキーワードを選定していくと良いでしょう。
テレアポやメールマーケティングへの応用
ユーザーのマイクロモーメントは、テレアポやメールマーケティングなどのマーケティング施策にも活用できます。
自社サイトへの流入キーワードを分析し、どのようなマイクロモーメントで流入してきているかを把握できれば、ユーザーのニーズを理解できるからです。
自社商材を求めているユーザーはどのようなニーズがあるのかを理解すると、心に響きやすいトークスクリプトやメール文を作成できます。
関連記事:メールマーケティングとは?メルマガとの違い|メリットと実施方法
終わりに
検索ニーズが多様化し購買プロセスが変化している現代では、ユーザーのニーズを把握しにくくなっています。しかしユーザーニーズを理解しなければ、新規開拓やリピーター獲得も難しく売上も頭打ちになってしまうでしょう。
だからこそ、このスマホ時代を生き抜くためにマイクロモーメントの理解が必要です。
ユーザーのマイクロモーメントを分析し、自社の施策に役立てましょう。
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