ゲーミフィケーションとはゲーム独特のエンターテイメントな要素を取り入れ、プレイヤーとして楽しみながら知識を得たり、コミュニケーションを構築したりする取り組みのことです。ゲーム以外の分野にゲーム的な要素を導入し、顧客ロイヤルティを高める活動をしている企業が増加しています。
そもそもゲーミフィケーションとは
そもそもゲーミフィケーションとはなんなのでしょうか。Wikipediaによると「ゲームデザイン手法や仕組みを用いて、問題の解決やユーザーなどを獲得すること」とされています。
海外を中心に使われ始めて、近年では日本でも導入する企業が増えています。
ゲーミフィケーションはわたしたちの日常生活における様々な場面をゲーム形式にしてみるという意味である「Gamefy」、つまり「ゲーム化」という単語から派生したものです。例えば、新入社員研修や、スタッフの生産性向上のための教育目的で導入されるケースが増えているようです。
ゲーム以外の分野にゲーム的な手法を導入することで、従業員のモチベーションを高めたり、顧客の行動に影響を与えたりする、という報告がされています。
非ゲームの分野にゲーム的な要素となる報酬やチャンスを与え、チャレンジしてクリアするという単純な工程をエンターテイメント性ある活動に変える事で、自主的に施策に取り組んでくれるようになるように促します。
ゲーミフィケーションの導入効果
続いてゲーミフィケーションの効果についてご紹介します。
購買プロセスにゲーミフィケーションを導入する効果として以下の3点があげられます。
1.モチベーションを高める
2.人に関心を与えて行動を促す
3.商品やサービスをリピートする忠誠心
1.で「この商品やサービスはかなり良い!」と思ってもらい、2で「絶対良いから買おう」となるように購買を促します。3.で必要不可欠な商品とサービスだと思ってもらう。この順番で顧客はステップアップしていきます、
ゲーミフィケーションの効果で重要なことは、顧客に興味を持ってもらい価値を納得してもらった上で商品やサービスを使う事が習慣化されるということです。
ゲーミフィケーションの業務利用例
従業員のモチベーションを高める手法として外発的動機、内発的動機という言葉があります。
外発的動機とは“外から“の報酬、つまり給与や昇進などによるモチベーションアップの手法です。
対して内発的動機とは従業員の心の”内から“モチベーションを高める手法です。内発的動機で最も身近な例が「部下を褒める」など言葉による報酬です。
昇給などによる外発的動機は一時的なモチベーションは高まるが、中長期的なモチベーションを考えるなら内発的動機を高めた方が良いとされています。
給料が上がった月は「よし、がんばろう!」と思うかもしれませんが自然と慣れてしまい、半年経過したらモチベーションは元に戻っているだろう、ということは感覚的に理解できると思います。
そこで内発的動機を高める手法として近年ではゲーミフィケーションの重要度が増しています。
ゲーミフィケーションを取り入れている有名な企業として「面白法人カヤック」がよく取り上げられます。カヤック社はその名の通り、面白く働くことをテーマとしている企業です。カヤック社ではサイコロ給という制度を採用していて、基本給×サイコロの出た目の%が給与にプラスされます。
例えば、基本給20万円の社員がサイコロで「5」が出た場合、1万円が給与にプラスされることになります。会社のテーマ通り面白く働くことを追求し、遊び感覚、ゲーム感覚で導入されている制度です。
与えられた数字に向かってひたすらと働くのではなく、従業員自身がプレイヤーとなってゲーム的要素の中で仕事をすることで、「仕事が楽しい」「会社が好き」という内発的動機が高まり、自然とモチベーションも高くなっています。
ゲーミフィケーションを営業現場に導入する際のポイント
「うちの営業部門は活気が無い」「メンバーは自主的に能力を高めようとしない」「言われた仕事だけをやる」「厳しく指導するとパワハラと言われる」「少し注意するとすぐ辞めてしまう」、このような悩みは多くの企業で聞こえてきます。
このような課題への対処としてゲーミフィケーションを取り入れることも効果的です。先に説明したように、ゲーミフィケーションは仕事のゲーム化です。とは言っても、仕事とゲームを混在する訳ではありません。
どうすればゲーミフィケーションが実現できるのかご紹介します。実際のテレビゲームもどういう内容が面白いのか、考えてみるとイメージが付きやすいかもしれません。
1.ゴールが明確に設定されている
任天堂のスーパーマリオは「ピーチ姫を救う」という明確な目標があります。決してゲーム中に出てくる敵を踏みつぶすことが目標ではありません。日々の忙しさに追われているとその企業本来の目標が見えにくくなります。先に事例として出したカヤック社のように企業の本来の目標、テーマが何なのか明確にして社員全員がその目標に向かって業務を遂行する仕掛けが必要です。
2.現在の社員の能力が可視化されている
社員のスキルや特性、今後教育への課題が何なのか可視化されていることが必要です。RPGでもどんなスキルがあり、レベルがどれくらいあるから、このミッションに挑戦できる、など判断できると思います。業務と社員のスキルを可視化し、スキルが不足していれば教育に投資するなどの判断にも利用できます。
3.行動に対するフィードバックがある
敵を倒すとポイントや経験値が貰えるように、プロジェクトを達成したり課題を解決したりしたタイミングなどでフィードバックします。この際、内発的動機で説明した通り褒めることがバネとなりモチベーションが高まります。
4.ゴールすると適正な報酬が貰える
プロジェクトや案件が完了した際に、適切な報酬を設定する必要があります。社員全員が同じ目標に向かって業務を進め、無事にゴールを迎えたのに何も評価されないという状態ではモチベーションが低下してしまいます。金銭のみに限らず内発的動機も合わせて、適切に評価しましょう。
営業現場へのゲーミフィケーション事例
ゲーミフィケーションはカヤック社のサイコロ給のように特殊なことである必要はありません。
スキルを見える化するのであれば、担当者別に売上をグラフ化すれば良いですし、ゴールしたら報酬を与えるのであれば、優れた成績を残したスタッフを表彰すれば良いのです。このような事例は昔から活用されてきたゲーミフィケーションの事例です。
・月内に特定のことを頑張ったスタッフを表彰する。
例)スタッフへの教育表彰、早出勤表彰、店舗内清掃表彰など
・コンテスト形式で社内からアイデアや企画を募集する
例)コスト削減案募集、商品使用方法アイデア募集など優秀賞に商品券などを配布
終わりに
ゲーミフィケーションは日々の業務の中にゲーム的要素を入れてみることで、内発的動機を高め自主的に考えて行動するようになることを目的としています。日々の業務に追われていると「業務を与えられてやらされている」という印象が強くなり、本来の会社の目的や仕事の意義を見失いやすくなります。楽しく、面白く、自主的な行動へと影響を与えるゲーミフィケーションはこれから更に注目されると予想されています。今回紹介した事例をもとに取り組みやすい施策から実施してみてください。
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