株式会社マツリカが行った調査によると、SFA(営業支援ツール)を導入した企業の約半数が、導入時の課題を解決できず、不満を抱えています。
SFA導入に失敗する理由の一つとして、導入する目的を明確にしていないことが考えられます。
この記事では、なぜ導入する目的を明確にする必要があるのかと、他の企業でよくある導入目的、そしてSFA導入時の稟議を通しやすくするコツを紹介します。
目的もなく「流行っているから」「効果が出ると聞いたから」という理由だけで導入してしまうのは、あまりにも無謀です。
よくある導入事例を見ながら、自社の状況について、今一度考えてみてください。
SFAの導入目的を明確にする必要性
SFAを導入すると「売上の向上」や「営業効率の改善」が期待できるとよく言われています。
しかし、SFAはそもそも営業活動に関する情報を記録・管理・分析するツールです。導入や情報入力をしただけで売上がアップするような魔法のツールではありません。
SFAはあくまでも目的を達成するツールなのですが、導入や入力をすること自体が目的になってしまっているケースを良く見かけます。
ただ導入することや入力することを目的としてしまっては、期待する効果は出せませんし、そもそも社内稟議も通らない可能性があります。
導入失敗を防ぐには、導入する目的(=導入によって解決したい課題)を明確にしておく必要があります。
さらに、明確な目的を現場の営業メンバーに伝えることも大切です。
例えば、案件の進捗管理をみんなで見れるようにすることで「チームでフォローできるようにしたい」や、「新人教育のために先輩メンバーのやり方を学べるようにしたい」など、現場の営業メンバーにとってメリットになることを理解してもらうようにしましょう。
尚、SFAに関する詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
SFA導入の目的
すでに導入している企業ではどのような目的で、SFAを導入しているのでしょうか?
今回ご紹介するものが全てではありませんが、多くの企業で導入の目的として挙げられているものを、5つ取り上げます。
- 売上を向上させるため
- 営業ナレッジを共有するため
- 営業の進捗を見える化するため
- 営業活動を管理するため
- SFAを導入することで教育コストを軽減するため
尚、SFAの導入効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:SFA導入効果とメリット・デメリットを徹底解説
①売上を向上させるため
SFAを導入する最大の目的として挙げられるのが「売上の向上」です。
売上を上げるには、顧客を増やしたり、商品単価を上げたりなど、いくつかの方法がありますが、SFAを活用して営業活動を効率化することも、売上を伸ばすための一つの手法と考えるとわかりやすいです。
SFAから得られる営業の行動や思惑など、本人も意識していないインサイトを分析することで、ボトルネックになっている部分を見つけ出し、売上アップに繋がる行動に改善していくことができます。
②営業ナレッジを共有するため
これも最終的には売上を上げることが目的です。
多くの企業ではトップ営業とその他の営業の差が大きいと思いますが、その他の営業、つまり売れない営業が売れるようになれば、全体の売上も上がりますよね。
では、売れるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
簡単に言えば、売上トップの営業スキルを、売れていない営業に教えればいいだけの話です。
しかし、売れない営業にトップ営業が付きっきりで教えたり、わざわざ資料を共有するとなると、膨大な時間と労力がかかってしまいます。
そこで役立つのがSFAです。
トップ営業が顧客や社内のメンバーとやり取りしたメールや提案資料、アプローチ方法、ヒアリング内容がすべてログとして残るため、これを参考にして学習することで、売れるノウハウやパターンを身につけることができます。
③営業の進捗を見える化するため
「見える化」とは、お客様との最初のコンタクトから受注までのプロセスと各フェーズの数字を把握しておくことを指します。
社員ごとの契約数しか把握していないという状態では、とても見える化されているとは言えません。
SFAを導入することで、以下のデータを見える化することができます。
- 顧客の予算や競合データ
- 見積書提出、デモの実施など、案件がどのフェーズにあるのか
- 必要なアクションが行えているのか
- 各営業が、どのフェーズや行動に時間をかけているのか
こうした数字をいつでも簡単に確認できるようになることで、仕事の効率が上がり、ひいては売上を上げることに繋がります。
また、3ヶ月間売上を伸ばしているAさんと、一向に売上が上がらないBさんのデータを比較分析することで、売上が上がらない原因を特定し、改善策を立てたり、勝ちパターンを見つけたりすることができます。
④営業活動を管理するため
営業活動を管理しなくても上手くいっている、という企業もあるかもしれません。
では、上手くいっている理由はわかりますか?
マーケットが盛り上がってるなど、それっぽい理由を後付けしたりしてませんか?
上手くいっている理由がわからないということは、どのような状況のときに、どのような行動をすると受注に繋がる、という勝ちパターンを把握していないということ。
つまり、再現性がないということです。
また、上手くいかなくなったときに原因を特定することも難しくなってしまいます。
というわけで、営業活動を管理することは必要だと心得ておいてください。
一方で、すでにExcelなどを使ってきちんと管理している企業では、
- それぞれのデータが紐付かない
- 入力作業が多く、更新が大変
- 入力内容の変更履歴を追うのが難しい
の管理に限界を感じているところが多いのではないでしょうか?
SFAを導入することで、案件とコンタクトの情報を紐付けたり、使いやすく且つ見やすい表示ができるようになるため、管理に使う時間が減り、営業状況が把握しやすくなります。
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⑤SFAを導入することで教育コストを軽減するため
新しい営業メンバーを採用すれば、全体の売上は上がります。
しかし戦力化するまでには、既存の営業メンバーによる研修など多大な教育コストがかかってしまいます。
教育や研修はたしかにマンパワーで解決できることかもしれませんが、既存の営業メンバーが教育に時間を取られることで売上が下がる可能性も高く、教育コストは意外と侮れません。
営業で主に教育コストがかかるのは、①セールストークなどの指導、②営業資料の共有、③案件に関する情報共有の3つになります。
SFAを導入することで、このうち②と③を解決することができます。
過去に送ったメールや提案書、顧客企業の担当者情報・やり取りなどを残すことができるため、情報共有にかかっていた時間を大幅に削減できるのです。
教育コストの削減については、売上を上げるのではなくコストを軽減して結果的に利益に繋げることが主目的となります。
関連記事:【Mazrica Sales活用事例】なぜMazrica Salesは営業現場で使いやすく運用コストまで削減できるのか?
加えて、新しい営業メンバーをいち早く「売れる営業」に育てることで、売上を上げるという目的にも繋がります。
▼SFA導入目的が整理できたら、導入タイミングも検討してみましょう
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SFA導入時の稟議を通しやすくする5つのコツ
最後に、SFA導入のための社内稟議を通すコツを紹介します。SFA導入に踏み切るには、上層部など複数の人間から承認を得る「稟議」をクリアしなければなりません。
事前に準備を整え、SFA導入のための稟議を通しやすくする工夫をしましょう。
現状の課題と導入目的を論理的に説明する
まず、営業現場が抱える現状の課題を明示しましょう。
例えば、現在の営業プロセスで「顧客情報が属人化しているため情報共有が困難」「営業活動の進捗が見えづらく、成約率が低下している」などの課題がある場合、SFA導入により「営業ナレッジの共有」「営業活動の可視化」が実現できることを導入目的として稟議書に記載します。
SFAがどのように現場の課題を解決できるかを説明すると説得力が上がるでしょう。
関連記事:SFA導入の目的とは?メリットや事例をもとに失敗しないSFA導入方法を解説
導入後の効果・メリットを具体的な数字で表す
投資効果を数値で示すことは、稟議通過を後押しする重要な要素です。
例えば、「営業活動の可視化によりフォローアップが充実し、成約率が20%向上する見込み」や「業務効率化により営業担当の1人あたりの稼働時間が月20時間短縮される」など、具体的な数値で導入効果を示しましょう。
また、コスト削減や売上向上に貢献できる点も可能な限り具体化すると、投資価値が明確に伝わり、稟議が通りやすくなります。
関連記事:SFAで解決できる課題とは?導入メリット・デメリットも解説
他社事例を活用する
競合他社や同業他社のSFA導入成功例を引用し、「同じような課題を持つ企業がSFA導入で成果を上げた」という実績を示します。
他社の具体的な成果を挙げることで、稟議承認者が自社でも同様の成果が見込めると感じられるようにしましょう。
リスクもしっかりと記載する
システム導入時には、コストや導入プロセスでの混乱など、リスクも伴います。
例えば、「導入初期は営業担当者がシステムに慣れるまで時間がかかり、一時的に業務が滞る可能性がある」などのリスクも記載するようにしましょう。
なお、記載したリスクへの対処法を正しく併記しておくことで、より信頼感が増します。
他製品との比較をする
他のSFA製品との比較を行い、導入したい製品が自社に最適であることを示しましょう。
例えば、「製品Aは使いやすさに定評があり、営業担当者が短期間で習得できる」点や、「他製品と比較してコストパフォーマンスが良い」「自社の業務プロセスに最も適合している」などの具体的な強みを説明します。
製品の特徴や優位性をデータや仕様書に基づいて論理的に比較すると良いでしょう。
関連記事:【2024年最新】SFA(営業支援)ツールおすすめ比較10選|CRM・MAとの違いも解説
さいごに|SFAの導入目的を明確にして稟議をスムーズに通そう
5つの導入目的を紹介しましたが、「うちの会社はこれかも・・・?」というものは見つかったでしょうか?
是非今一度、営業の現場を見て、現場のメンバーにヒアリングをしてから、導入を検討するようにしてください。
導入した後に現場から「絶対に入力したくない」「今は必要ない」という猛反対にあってしまうようでは、導入を成果に結びつけることはできません。
導入する目的が明確になり、現場からのヒアリングも済んだら、ぜひMazrica Sales(マツリカセールス)の無料トライアルもお試しいただければと思います。
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