SFAを導入すると、「業務効率化」や「営業活動の見える化」など、さまざまなメリットがあります。しかし、これは導入が成功した場合の話。
SFAの導入に失敗してしまうことも少なくありません。
そこでこの記事では、導入を成功させるために「マネージャー、営業現場、経営者、それぞれの立場から見た導入のメリット」と、「失敗を防ぐポイント」を合わせてお伝えします。
この記事の内容
SFA導入のメリット
SFAとは、「Sales Force Automation」の略であり、「営業支援ツール」を意味します。
SFAは企業の営業活動における情報全般をデータ化して蓄積し、分析することができるソフトウェアです。また、営業が商談を開始してから受注に至るまでの進捗状況を可視化し、その活動の管理を行います。
SFAのメリットは、「営業活動の見える化が可能」「営業活動の標準化の実践」「営業活動の効率化」という3つに集約されます。
SFAを導入することで、情報資産を有効活用し、戦略や方針の検討に役立つ情報の収集と分析が可能になります。これにより、最適な営業プロセスへの改善が促進されます。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
SFAを導入した企業では、導入から15ヶ月後に営業パーソン一人当たりの売上が中央値で39.6%改善されたというデータがあります。
(※弊社サービスMazrica Sales導入企業の調査結果)
SFA/CRM(Mazrica Sales)を活用することで、営業パーソン一人一人の営業生産性が向上したことを示しています。
ではなぜ、営業生産性が上がり、売上が向上するのでしょうか?
まずは一般的に、SFAを導入することで、営業活動にどんなメリットがあるのか紹介します。
営業活動プロセスの見える化が可能
SFA導入のメリットの1つが、「営業活動を見える化できること」です。営業活動が可視化されることで、どんな効果があるのでしょうか。
営業プロセスの効果的な改善ができる
営業活動の改善には、営業プロセスの見える化が不可欠です。しかし、口頭や紙ベースの報告では、詳細なプロセス情報の共有やリアルタイム更新が困難で、情報共有に課題を抱える企業も多いのが実情です。
SFAを導入すれば、日々の営業情報が体系的に蓄積され、プロセスを含む多様なデータを効率的に管理できるようになります。
それらの情報を適切に表示・提供することにより、社員に過度な負荷をかけずに「営業の見える化」を実現できます。 マネジメント層は可視化された一連の営業プロセスを俯瞰し、担当者が失敗したポイントや、受注/失注に至る経緯を的確に把握できます。
そのうえで適切な指示・指導を行えば、最適な営業プロセスを構築し、組織全体の営業力強化につなげられます。
関連記事:営業プロセスの見える化とは?可視化の3ステップを解説
営業戦略の立案に役立つ
SFAの導入により、顧客情報や案件の進捗状況など、日々の営業活動を詳細に把握できるようになります。
営業マネジャーは、見込み顧客の情報、営業フェーズ、提案内容などをSFA上で常に確認できます。そのため、適切なタイミングで適切なアドバイスや指示を出せるようになり、現場をサポートできます。
また、個人や部署単位で売上実績や予測を随時モニタリングが可能になるため、そのデータに基づき、チーム編成の変更や重点案件の絞り込みなど、よりダイナミックかつ戦略的な施策を打てるようになります。
関連記事:営業戦略の立て方とは?5つのステップとフレームワークを解説
営業活動の標準化を実現できる
SFAを導入することで得られるメリットの2つ目は「営業活動の標準化を実現できる」ことです。
営業活動が標準化することで、以下のような効果が得られます。
営業ナレッジを蓄積・共有できる
SFAを導入することで、訪問記録、提案内容、商談情報など、個々の顧客に関する情報が組織内で共有できます。
これにより、顧客の置かれた状況に応じて的確で効果的な営業アプローチが可能になります。 加えて、過去の成功事例を参照できるため、類似案件に対する具体的なノウハウを学ぶことができます。
いわば、優良事例のナレッジ資産化が実現するのです。
このように、情報の保有・活用方法を変えるだけで、ビジネスチャンスの拡大や営業力の向上につなげられます。
さらに重要なのは、営業情報をシステム上で一元管理できる点です。これにより、担当者の異動や退職によるトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
関連記事:営業ナレッジマネジメントとは?意味や手法・事例を解説
情報資産の活用が促進される
営業活動を通じて蓄積される人脈や成功事例などの情報は、企業にとって極めて貴重な資産です。
しかし、それらが個々の営業担当者に帰属する形で管理されていては、その資産を十全に活用することはできません。 SFAの大きな強みは、こうした情報資産を組織全体で有効活用できる点にあります。
その結果、優良な顧客リレーションや営業ノウハウがナレッジ資産として組織内に継承されていくのです。 加えて、営業担当者の異動や退職があっても、システム上で情報が引き継がれるため、貴重な営業資産の流出を防げます。
このように、SFAは企業の重要な情報資産を確実に守り、最大限に活用する仕組みを提供してくれます。
関連記事:営業の属人化はなぜ起こる?何が悪いのか、解消するためにやるべきこと
営業活動の効率化ができる
SFA導入のメリット3つめは、「営業活動の効率化ができる」という点です。
外出先でも入力が可能
SFAのメリットは管理者側だけでなく、現場の営業担当者側にも大きなメリットがあります。 スマートフォンやタブレットから利用できるクラウド型SFAなら、いつでもどこからでも情報の入力や参照が可能です。
移動中の合間や、外回り先でのすき間時間を活用して効率的に情報をシステムに反映させられます。 入力した情報はリアルタイムで管理者側に共有されるため、営業担当者が状況を逐次報告するために会社に戻る必要がなくなります。
また、上司の都合に合わせて面会の時間を設ける手間も省けます。
関連記事:スマホ活用で変わるSFAによる営業生産性|モバイル対応SFA10選
組織全体の営業力が高まる
SFAの導入により、営業担当者は状況報告や情報共有に費やしていた時間を大幅に節約できます。その分の時間を、顧客対応の質的向上や新規開拓活動に振り向けられるようになります。
さらに、上司との情報共有がリアルタイムで行えるため、適切なタイミングでの助言やサポートを受けやすくなります。
また、SFAにより営業活動が可視化されることで、これまでブラックボックスだった個々の営業プロセスが明確になります。
その結果、成績優秀者の営業手法や、類似ケースにおける成功ノウハウを参考にしやすくなり、組織全体の営業スキルアップを効果的に図れます。 このように、SFAの最大のメリットは、営業現場とマネジメント両面で生産性を高め、優れたナレッジの共有を実現することで、企業全体の営業力強化につながる点にあります。
営業部門の業績向上を企業の成長に確実につなげられるソリューションといえるでしょう。
営業現場にとってのSFA導入メリット
SFAを導入することで現場の営業担当者、営業マネージャー、経営者に対してそれぞれにメリットがあります。ここではまず、営業現場にとってのメリットを解説します。
営業マネージャーとの密な連携が可能になる
SFAに情報を入力することで、それを確認した営業マネージャーから的確なアドバイスをもらえます。
SFAを通して上司と密なコミュニケーションを図ることで、営業マネージャーと営業パーソンが常に一体感をもって営業活動を進めることができます。
ノウハウを効果的に活用できる
SFAには過去の成功事例や、ベテラン営業マンの行動プロセスがデータとして蓄積されています。新人営業パーソンはこれらのデータを参照することで、優れた営業ノウハウを自然と吸収できます。
例えば、中途入社の新人や新卒社員でも、SFAを活用すれば「効果的な営業活動のプロセス」を具体的に確認できます。
試行錯誤する必要がなく、初めから的確な方法で営業ができるため、早期からしっかりと成果を出せるようになります。
報告時間を短縮できる
日報は文章にしなければならず、書くのに時間がかかります。SFAなら、決められた項目をプルダウンで選択するだけのものも多く、簡単に報告ができます。
営業マネージャーにとってのSFA導入メリット
次に、営業マネージャーにとってのSFA導入のメリットを解説します。
イレギュラーを発見しやすい
進捗が止まったままの案件や、値引額が大きすぎるなど、通常とは違う状態の商談や案件を、早期に見つけることができます。 見つけ次第すぐに、原因を分析して見直しや改善をすることで、最小限の影響(被害)に留めることができます。
数字をすぐに把握できる
業績報告や会議の際には、数値レポートが必要になります。 各営業メンバーへのヒアリングや日報から拾ってくることもできますが、これにはかなりの時間と労力がかかります。
SFAであれば、定形フォームへの入力が多いので、内容に大きなばらつきが出ることがなく、数値データを簡単に集計・分析することができます。
これまで2時間ほどかかっていた集計作業が、たった4分でできるようになったという事例もあります。
経営者から見たSFA導入のメリット
最後に、経営者視点でのSFA導入メリットを解説します。
経営戦略の立案に活かせる
市場や顧客、組織全体の状況が一つのツールにまとめてあるので見やすく、リアルタイムでわかるので、情報に基づくスピード感のある経営判断ができるようになります。
どの業界の顧客が増えていて、どんな失注理由が多いのかなど、簡単に集計することが可能です。
教育コストを削減できる
通常、新人は先輩がやっていることを見たり、わからないときには質問をしながら、仕事を覚えていきます。
悪いやり方ではありませんが、先輩や上司にはかなりの負担がかかります。 SFAを導入することでナレッジの共有ができるようになれば、先輩に聞かなくても、提案資料や行動の勝ちパターンを学ぶことができます。
マネジメント層の適正な評価ができる
現場は売上で評価をすることができますが、マネージャーは売上に直結しない業務が多く、適正な評価が難しいです。
どれだけ案件のサポートに入ったのか、営業のボトルネックを解消できたのかは簡単に数値化することができないため、評価が難しくなってしまいます。 SFAで営業のプロセスが見える化されることによりマネジメントの中身が見え、経営者が適正な評価ができ、それがマネージャーのモチベーションアップにも繋がります。
▶︎▶︎営業マネージャーの役割とは?意識すべき3ステップを紹介します
SFA導入のデメリット
SFAを導入することで、様々なメリットを享受できる一方で、デメリットが全くないわけではありません。
ここでは、SFA導入のデメリットにも目を向けてみましょう。
費用や時間的なコストが発生する
SFAを導入することで、月額の利用料、場合によっては初期費用やカスタマイズ費用が必要なこともあります。
SFAの導入はビジネスへの「投資」であるため、費用が発生するのは当然ではあるものの、うまく活用できなければ、ただ費用が消化されるだけの「使われないツール」になってしまいます。
費用と同様に、見逃してはならないのがSFAの運用コスト(時間的なコスト)です。
SFAの設計に人的コストが発生したり、運用に工数がかかる場合は、その分の時間的コストがかかってしまいます。
関連記事:SFAの費用相場は?主要SFAツールの価格・導入費用を徹底比較!
社内の運用体制・協力体制が不可欠
特にSFAを新規で導入する場合、新しいことに敬遠してしまって、日々の入力をしてくれない人が出てくることもあります。
SFAは蓄積された営業データを基に、営業活動・組織を改善していくものです。
データ入力がなされないと正確な営業データを取得できません。
仮にSFAの導入前に自社の営業課題やSFA導入目的を共有せずに導入してしまった場合、非協力的な営業パーソンが現れる場合もあります。
日頃から使いやすい(使いたくなる)SFAを導入することはもちろん、社内の理解を得ながら、運用体制や活用方法についてもアドバイスができるSFAを選択する方がいいでしょう。
関連記事:SFA運用のポイントと運用定着の事例|SFAは導入して終わりではない
まとめ
以上、営業現場、マネージャー、経営者、それぞれの立場から見た、SFA導入のメリットとデメリット、失敗を防ぐポイントについてお伝えしてきました。
SFAのメリットは、「営業活動の見える化」「営業活動の標準化」「営業活動の効率化」という3つに集約されます。
SFAを導入することで、情報資産を有効活用し、戦略や方針の検討に役立つ情報の収集と分析が可能になります。これにより、最適な営業プロセスへの改善が促進されます。
なお、導入のメリットについては、SFAについての理解を深めるだけでなく、導入を提案する際にも役立ちます。
たとえば、社長へ提案するのなら経営者にとってのメリットを伝え、マネージャーの立場で導入を嫌がる営業メンバーを説得しなくてはならないのなら、営業現場へのメリットを伝えてみてください。
きっと、相手に“刺さる”プレゼンや説得ができるはずです。