「マーケティングチャネル」とは、製品が生産者から消費者に届くまでのプロセスに関与する経路(組織や媒体)のことをさします。今回は、マーケティングにおける「チャネル」の種類や具体的な活用方法について解説していきたいと思います。
チャネルの種類
マーケティングにおけるチャネルは大きく3つに分類することができます。
1、販売チャネル(店舗・ECサイト)
販売チャネルとは、販売を行う場所であり、消費者が実際に商品を購入する場所のことを指します。
外部との関わりを深くもつ局面であり、販売チャネルを確立するためには、時間も費用もかかります。最近では、実際の店舗だけではなく、ネット通販などのECもこれに含まれるようになりました。
2、流通チャネル(卸売・小売・物流)
製品が、売る側から消費者の元に届くまでの流通手段のことを指します。
3、コミュニケーションチャネル(SNS・Webサイト)
近年ではITなどの最新技術の普及により、チャネルが多様化・複雑化してきています。
不特定多数のマーケティングから特定の顧客へのマーケティングへの移行にも注目が集まりますが、どの顧客にアプローチするか、そして使用する手法の組み合わせをより一層考えていく必要があるでしょう。
このようなチャネル全てを利用して顧客に対してアプローチする施策を「オムニチャネル」戦略と呼びます。
SNSチャネルそれぞれの違いと活用方法
SNSは、コミュニケーションチャネルとしてマーケティングにおいて欠かせないチャネルとなりますが、それぞれの特徴、年齢層にあったコンテンツをアップしなければ、正しい効果は見込めないでしょう。
ここでは、Facebook、Twitter、Instagramといった、3つの主要なSNSチャンネルの使い方について説明していきたいと思います。
最近では営業活動でもSNSを活用した「ソーシャルセリング」が浸透してきています。
【Facebook】
Research Centerが「2016 Social Media Update」で調査した中で、Facebookが最も高い利用率を誇るSNSチャネルであることがわかっています。また、65歳以上の利用者が他のSNSチャネルと比較して高いということも大きな特徴の一つです。
Facebookは、英語で63,206文字まで表示することができますが、ほとんどの人は長い文章を読みたいと思っておらず、実際にエンゲージメントが高いのは80文字程度の投稿なのです。
画像付きの投稿は、画像のない投稿よりも2.3倍も高いエンゲージメントを獲得していることも参考になるでしょう。
【Twitter】
年齢層の比較的高いFacebookに比べ、10代〜20代の利用者数が最も多く、若者からの支持が高いのがTwitterの特徴になります。
Twitterの文字数制限は140字ですが、120〜130のとき最もCTR(クリック率)が高くなるというデータがあります。
また、ハッシュタグ機能をうまく活用することにより、内容のボリュームを削減できたり、検索にヒットしやすくさせることができるのもTwitterの大きな特徴です。
Buddy Mediaによれば、ハッシュタグ付きのツイートは、エンゲージメントが2倍も高くなるという効果があるとのこと。
しかし、ハッシュタグが多ければ多いほどいいという訳ではなく、2つ程度までに絞ることで、複数のハッシュタグをつけている投稿に比べてエンゲージメントが21%も高くなります。
【Instagram】
写真がメインのSNSなので、テキストよりもビジュアルを重視したコンテンツを投稿するものです。
Instagramで長々とした文章を読みたいと思う人はいないため、Instagramは画像で伝えたい情報の8割を表現し、テキストは画像の説明として完結にすることが望ましいでしょう。
Twitterでは、ハッシュタグは少ない方がいいと明記しましたが、Instagramの場合は複数個あるからといって、投稿のエンゲージメントが下がるという訳ではなく、Instagramでは、ハッシュタグを7つ使用した投稿が最も高いエンゲージメントを獲得しているというデータさえもがあります。
※エンゲージメントとはSNSに投稿した内容についての反応(「いいね」「シェア」「コメント」「クリック」など)
関連記事:エンゲージメントとは?ビジネス上の意味・重要性・向上させる方法を解説
動画コンテンツの影響力
最近では、YoutubeやC Channelといった分散型動画メディアも強い影響力を持っています。Wyzowlが行った調査によれば、マーケティングツールとして動画を利用する企業は2017年には全体の63%でしたが、2018年には81%にまで上昇しています。
動画マーケティングを検討する際は、そのコンテンツが動画であることによるメリットは何なのかをしっかりと考える必要があります。
C Channelは、料理やメイクなどの文字や画像だけではわかりにくい部分を攻めたものに特化することで、動画コンテンツとして大きな影響力を持つようになりました。
動画コンテンツを配信する際は、どのチャネルにあげるのが最適かも見極める必要があります。
Facebookでは、短い動画にサブタイトルをつけてアップすると効果が見られるというデータがあります。Youtubeでは、動画を後悔した2週間後に再調整を行うことで、ターゲットオーディエンスを再定義する必要があります。
動画制作は、時間とお金がかかりますが、最近では主流なマーケティング施策となり、確実な効果を出しています。
先述したそれぞれのチャネルの特徴をよく理解し、コンテンツ自体を動画にするメリットがあるのかどうかをよく検討してから、制作に踏み出しましょう。
動画はマーケティングだけでなく営業ツールとしても活用されています。
関連記事:営業で動画活用!|営業ツールとしての活用例と導入時の注意点
オムニチャネル戦略・クロスチャネル戦略
マーケティングチャネルの中の一つとして、みなさんも一度は耳にしたことがあると思われる「オムニチャネル」戦略とは一体どのようなものなのでしょうか?
「オムニチャネル」の「オムニ」は、「全て」というニュアンスを含みます。「全てのマーケティングチャネルをシームレスに連携させた状態で、顧客に対してのアプローチを行う」というものです。
オムニチャネルの目標は、顧客満足度の向上にあり、いつでもどこでも全てのチャネルを同じように利用できることを目指します。
オムニチャネル戦略を推進する企業の代表例として、「セブン&アイホールディングス」があります。
セブン&アイホールディングスでは、「オムニ7」というオムニチャネルサービスを打ち出しており、通販で購入した商品を近くのセブンイレブンで受け取ることができるというサービス展開を実施しています。
最近では、GUなどのアパレル業界でもオムニチャネルを取り入れています。
ここでは、「マルチチャネル」と「クロスチャネル」との違いについても触れておきたいと思います。
「マルチチャネル」は、その名の通り、顧客に対して、複数のチャネルを用意し、販売機会を最大限まで増加させる手法をさします。
複数のチャネルが独立しているため、オムニチャネルと比較して、同じ製品の中で繋がりが見えず、また、それぞれのチャネルでIDやパスワードが異なってしまため、購入する際のストレスの原因になってしまうことがあります。
生産者側も、マルチチャネルにより、在庫管理や顧客管理が複雑化し、ストレスを感じることが多くなります。
「クロスチャネル」は、顧客管理や在庫管理などのシステムの連携を最適化することで、マルチチャネルにおける課題を解決する施策です。
「オムニチャネル」は「クロスチャネル」の施策に加え、ブランドイメージの統一などを行うことで顧客の感じるストレスを軽減するところに目標をおいたものになります。
マーケティングチャネル活用のためのツール
それぞれのチャネルから獲得した見込み客/顧客に対してのナーチャリングや新規受注/アップセル・クロスセルをする為には日々、効率の良い管理やオペレーションを行う必要があります。
そんな時に必ず必要な2つのツールを紹介します。
SFA/CRMを活用する
SFA/CRMをご存知でしょうか?
SFAとは、英語の「Sales Force Automation」の略語で、 企業の営業活動における情報(顧客情報、案件情報、活動情報)をデータ化して蓄積し、分析することができるシステムです。
SFAを用いた新規顧客の管理のイメージがつきづらい、という方にはこちらの動画がおすすめです。新規顧客の情報を感覚的に操作することができるSFAの紹介となっています。
一方、CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されています。
顧客を年齢や性別などの個人情報や購入・利用歴、問い合わせ履歴などから顧客をセグメントし、顧客に応じたきめ細かい対応を行うことで顧客満足度の向上や、長期的に顧客との良好な関係性を維持することを目的としたシステムです。
一人あたりの購買額を最大化し、顧客維持率(リピート率)を上げることで、長期的な収益の向上を目指します。
チャネル毎の受注率や売上をレポートにほぼリアルタイムで把握することができるので、マーケティングチャネルの見直しや注力すべきチャネルの整理による最適化を進めることができます。
▶︎▶︎マーケティングでのSFA/CRM活用方法についてはこちらの資料を参考に!
マーケティングオートメーションオートメーション(MA)ツールを活用する
マーケティングオートメーションツールを活用することでオンラインでの見込み顧客の獲得や既存客を含めたリードナーチャリング(有益な情報を提供することでの見込み客の育成)を自動化することができます。
マーケティングオートメーションはMA(=Marketing Automation)とも略される、マーケティング活動を自動化させる仕組み、そしてそれを実現させるためのツールのことを言います。
もともと人の手を介して行っていた繰り返しの作業や大量の作業などをマーケティングオートメーションツールを活用して自動化することにより、ミスがなく作業できるだけでなく、コストや時間の削減を実現します。
マーケティングオートメーションが担う部分は、新規顧客のターゲティングリストの作成や、見込み客(リード)へのキャンペーン配信などのアプローチなどの集客支援やリード(見込み客)の育成です。
関連記事:リード数を2年で15倍に成長させたマーケティング施策とは?MQL増加のプロセス紹介
更に、WEBページの閲覧履歴を分析することでリードの興味を把握することができたり、メール開封率を分析して効果的なメルマガを配信したりするのにも役立ちます。
このようなリード獲得、リード育成などの業務をマーケティング部門がマーケティングオートメーションツールを用いて行い、確度の高いリードを営業部門に引き渡すことによって受注率が上がる仕組みになるのです。
更に上記で述べたSFA/CRMと連携することで顧客情報としてWEBの閲覧履歴状況まで確認することができるようになります。具体的な連携内容については以下の資料を参考にしてください。
▶︎MAとSFA/CRMの連携のメリットについてはこちらの資料を参考に
終わりに
SNSが主流となってきている時代の中、マーケティング活動でSNSをうまく利用することができないのは致命的です。
それぞれのSNSチャネルの特徴をよく理解して、適切なコンテンツをターゲットに向けて配信していきましょう。
BtoBマーケターのためのSFA/CRM活用術
マーケティングでのSFA/CRM活用方法に関する資料です。マーケティングの役割・指標だけでなくSFA/CRM活用例についても紹介します。
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