ビジネスにおいて「エンゲージメント」という言葉を耳にすることが多くなってきました。

エンゲージメントは、企業と従業員、企業と顧客の関係性を表すのに重要な指標です。

働き方の変化、消費行動の変化によって、企業は従業員や顧客との更なる強い結びつきが必要となっているので、

エンゲージメントについて理解し、どのように向上させていくのかを考えていきましょう。

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企業におけるエンゲージメントとは?

エンゲージメント(engagement)とは、約束や契約、婚約や雇用など、TPOに応じてさまざまな意味に使い分けられる言葉です。ビジネスでは基本的に「深い関わり合いや関係性」を意味する言葉です。

企業活動で使うビジネス用語としての「エンゲージメント」という言葉は、主に「対従業員」と「対顧客」のふたつの意味を持っています。

様々なエンゲージメントについてはこちらもご参考下さい。

従業員エンゲージメントの重要性

従業員エンゲージメントはなぜ重要だとされているのでしょうか?

従業員のエンゲージメント

人事領域で使うエンゲージメントは、従業員の愛社精神や企業に対する愛着を表します。

そして一人ひとりの従業員が愛社精神を持って仕事をすることにより、企業と従業員が一体となって互いに貢献し合う関係性だと捉えることもできます。

従業員のエンゲージメントが注目されるようになった背景は、労働人口の減少にあります。

少子高齢化により労働力が減り、優秀な人材はより働きやすい環境や高額な報酬を求めて転職をしてしまうようになってきました。

そこで、企業が従業員と結びつきを強めることで人材の流出を防ぐだけでなく、組織力を高めて生産性を向上させようというエンゲージメントの取組みが広まったのです。

実際に、株式会社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学の共同研究によれば「エンゲージメントが高い組織は、営業利益率・労働生産性ともにプラスの影響をもたらしている」という結果も出ています。

エンゲージメントと従業員満足度との違い

エンゲージメントと混同されがちな「従業員満足度=ES」ですが、これは福利厚生や労働環境などを企業努力によって改善・改良していき、従業員がその取組みに対して評価し、満足していたらモチベーションが上がったりエンゲージメントに繋がったりするものです。

二つは無関係のものではありませんが、別の意味合いを示す言葉なので混同しないようにしましょう。

従業員エンゲージメントを高める4つのメリット

ここでは、従業員のエンゲージメントを高める4つのメリットについてご紹介していきます。

売上・利益の増加

従業員がエンゲージメントを感じていると、その会社に対して高い誠実さを持ち、自分の仕事に対する責任感が高まります。これは、より良い製品やサービスの創出につながり、結果として売上や利益の増加に寄与します。

離職率の低下

従業員が仕事に満足していれば、他の企業への転職を考える可能性は低くなります。従業員エンゲージメントが高いと、社員の満足度も高まり、長期にわたって会社に留まる傾向があります。これは離職率の低下をもたらし、人材の確保と育成にかかるコストを削減します。

新規人材の確保

高い従業員エンゲージメントは、会社のブランドイメージを向上させます。これは、優秀な人材を引き付ける力となり、新規人材の確保に寄与します。従業員が自社を誇りに思い、そのことを外部に発信することで、企業は魅力的な職場として認識されるでしょう。

生産性の向上

エンゲージメントの高い従業員は、仕事に対する情熱を持ち、自発的に問題解決やイノベーションに取り組む傾向があります。

『日本の人事部 人事白書2019』においても、エンゲージメントの重要性を認識する企業が全体の9割に達し、業績の優れた企業ほどエンゲージメントを重視している傾向が見受けられます。

参考:日本の人事部「人事白書2019」|「エンゲージメント」の重要性は9割の企業が認識しているが、実際に従業員のエンゲージメントが高いのは約3割

従業員のエンゲージメントを高めることで、従業員のモチベーション向上、優秀な従業員が可能な限り長く働きたいと思う、口コミやネットの評判がよくなることによる新規人材の確保などが見込め、この3つのメリットが実現できます。

顧客エンゲージメントの重要性

続いて、顧客エンゲージメントの重要性について解説します。

顧客のエンゲージメント(エンゲージメントマーケティング)

エンゲージメントという言葉をマーケティング用語として使う場合は、顧客との関係性を表す場合です。

企業自体やブランド、商品やサービスと、消費者との深い関係性を表します。

また、その深い関係性を築いて、顧客や企業活動や消費活動に積極的に関わり、貢献して価値を高め合う状態を作り出すことをエンゲージメント・マーケティングと言います。

顧客のエンゲージメントとも深い関係があるカスタマーサクセスを実現するためのツールについてはこちらの記事で紹介しています。

関連記事:カスタマーサクセスツール12選|顧客管理に必要なツールとは?

エンゲージメントというマーケティング指標が出始めたのは2004年頃のアメリカで、広告接触の指標としてエンゲージメントを使おうと試みたことが始まりと言われています。

その頃は数値を可視化する手段がなかったのですが、SNSの広がりとともにエンゲージメント・マーケティングも発展していきました。

エンゲージメントを高めていくことで、顧客は商品やサービスに対して愛着を持ってくれるようになり、一度のみの購入や利用ではなく継続した売上を生み出すため、LTV(顧客生涯価値)の向上にも繋がるのです。

関連記事:LTV(ライフタイムバリュー)とは?意味と計算方法・LTV向上に有効な営業戦略

顧客の満足度の向上やツールについては以下の記事を参考にしてみてください。

顧客満足度とは?CS向上のポイント・具体事例とツール7選

エンゲージメントマーケティングの重要性

従来、企業はテレビや新聞などの広告で情報を発信しており、一方通行的に情報を届けているだけでした。

しかし、インターネットの進歩やスマートフォンの普及に伴い、顧客は自分が必要とするタイミングで必要とする情報を自分自身で収集することができるように変化しました。

更に、SNSの広がりにより、消費者は自分の消費体験を自ら発信できるようにもなりました。

つまり、消費行動の変化に伴って、企業と消費者双方の関わり合いが必要不可欠な時代になったのです。

関連記事:顧客エンゲージメント(CE)とは?エンゲージメント向上に必要な指標とツールを紹介!

顧客エンゲージメントを高める3つのメリット

上記で説明したように、従業員のエンゲージメントを高めることにはメリットがあります。

ここでは、顧客のエンゲージメントを高める3つのメリットについてご紹介していきます。

リピート購買の促進

顧客エンゲージメントが高まると、顧客はそのブランドや企業に対して強い忠誠心を抱くようになります。これにより、同じブランドからのリピート購買が増加します。たとえば、顧客に対して独占的な割引や特典を提供することで、リピート購買を促進しやすくなります。

口コミと評判の向上

満足度の高い顧客は、自発的にポジティブな口コミを広める可能性が高まります。ソーシャルメディア上での共有や口コミサイトでの評価が良好であれば、新規顧客獲得がしやすくなります。企業は顧客エンゲージメントを通じて、顧客に積極的な意見や体験を共有するよう促すことができます。

顧客のニーズの理解

定期的なコミュニケーションやフィードバックを通じて、企業は顧客のニーズや要望を正確に把握できます。例えば、顧客からのフィードバックを元に製品やサービスを改善し、顧客が求める価値を提供することが可能です。これにより、企業は市場でより適切な製品やサービスを提供し、競争優位性を築くことができます。

エンゲージメントの指標と確認方法

従業員エンゲージメント、顧客エンゲージメントの具体的な測定方法をそれぞれご紹介していきます。

従業員エンゲージメントの測定方法

最も多く用いられている測定方法はアンケートです。

アンケートであれば手軽に実施できるため、月に1回から半年に1回の頻度で行われている企業が多いようです。

また、設問数は少ないほうが回答のハードルも下がるので2~10程度で実施している企業が多いようで、10段階評価や自由記述の設問をメインにしています

主な質問内容は以下のようなものです。

  • あなたが勤めている会社を、家族や友人にどのくらい勧めたいですか?
  • 職場で自分の意思や意見が尊重されていると感じるか?
  • 自分が何を期待されているのかを知っているか?
  • この1年間で、仕事を通して成長できたか?
  • 自分の仕事に価値や誇りを見出しているか?

このようなサーベイを通して、従業員エンゲージメントの3つの指標を測定します。

エンゲージメント総合指標

  • eNPS(従業員ネットプロモータースコア):会社を他人に勧めたいかどうか
  • 総合満足度:会社に対して総合的にどのくらい満足しているか
  • 継続勤務意向:今の会社で継続して働きたいと思っているか

エンゲージメントレベル指標

  • 熱意:仕事によって得られるやりがいを強く感じる
  • 没頭:仕事に集中している時、幸せだと感じる
  • 活力:元気に満ち、生き生き働くことを感じる

エンゲージメントドライバー指標

  • 組織ドライバー:人間関係や職場環境などの組織と従業員の状態
  • 職務ドライバー:職務の難易度など
  • 個人ドライバー:個人的資質が業務にどのような影響を及ぼすか

顧客エンゲージメントの測定方法

顧客エンゲージメントを測定する際にも、アンケート調査が効果的です。

ユーザーへアンケートを実施する際は街頭やDMでもいいのですが、より手軽に実施できるWEBアンケートがおすすめ。

アンケート調査でエンゲージメントを確認する指標としては、前項でも出てきた「NPS(ネットプロモータースコア)」です。

先ほどは従業員に対するものでしたが、NPSは顧客にも当てはめることができ、顧客がどのくらいブランドや商品に対して愛着を持っているかを調べることができます。

一般的に「あなたはこの商品(サービス)を他人にどの程度勧めたいですか?」という質問に対して、消費者(ユーザー)は0~10の段階で評価します。

0点~6点は「批判者」、7点~8点は「中立者」、9点~10点は「推奨者」と区分し、

「推奨者の割合-批判者の割合」でスコアを付けます。

NPSとは?意味や顧客のロイヤルティを高める指標について解説

また、SNS利用人口が増えたことで、SNSを利用したエンゲージメントの測定も可能になりました。

企業がSNSに投稿した内容について顧客が反応した割合を「エンゲージメント率」という指標として測定することができます。

例えば、Twitterであれば「いいね」「リツイート」「フォロー」「クリック」「返信」という5つのアクションの総数を、インプレッション(ツイートを見られた回数)で割ることで算出されます。

Facebookのエンゲージメント率は、「いいね」「シェア」「コメント」「クリック」の4つのアクションの総数を、投稿がリーチした人数で割って算出すると定義されています。

Twitterであれば管理画面の「アナリティクス」から、Facebookであれば管理画面の「インサイト」から数値を確認することができます。

エンゲージメント向上方法

さまざまな指標で対従業員や対顧客の現状を多角的に確認できたら、更にエンゲージメントを向上させる施策を打ち出しましょう。

エンゲージメント調査では、良い点だけでなく課題も浮き彫りになります。

対従業員であれば、人事評価への不満や職場環境の不整備など。

対顧客であれば、ユーザーとのコミュニケーションやコンテンツが充実していないなど。

そのような課題が明確になったら、次はそれを解決するための施策を考えなければいけません。

そして、再度測定を行い効果があったかどうかを検証して、PDCAを回していくという、長期的な取組みがエンゲージメント向上には必要なのです。

マーケティングオートメーション(MA)の活用

顧客エンゲージメントを高めるためには、顧客が求めている情報を適切なタイミングで発信し、購入や利用の意思決定まで誘導していかなければいけません。

つまり充実したコンテンツを最適な内容で発信することが求められていますが、そのようなさまざまなマーケティング戦略を実行して効果を測定するためには、マーケティングオートメーション(MA)の活用が必要不可欠です。

関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介

MAツールを利用すれば、自社で設定したペルソナを基にシナリオを設計し、そのシナリオに沿ったメールを配信することができます。

配信する日時、件名や本文の内容、誘導先のコンテンツなどは簡単に設定し直すことができるため、いろいろな条件で変えてみてより効果の高い施策を見つけられます。

メールの内容や誘導先のWEBサイトなどはパーソナライズしたものに設定することもできるので、顧客の「特別感」も増すでしょう。

Mazrica Marketing」は、株式会社マツリカが開発・提供するMAツールで、主に以下の機能が備わっています。

  • Webアクセス解析
  • Webフォーム作成
  • メール配信
  • スコアリング
  • ワークフローの自動化

また、SFA/CRM機能も搭載されているため、従来のMAツールと比較して案件成約に特化した、攻めのMAツールといえます。

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MAツールで営業情報を見える化し、効果的なエンゲージメント管理に

エンゲージメント向上のための施策によって更なる強い関係性を築き、継続して働いてもらったり、継続して購入してもらったりすることが現代のビジネスでは求められています。
従業員エンゲージメント・顧客エンゲージメントを向上させて、企業の価値を高めていきましょう。

以下の資料では営業情報を見える化することで、エンゲージメント向上につなげることができるMAツールの選び方を紹介しています。

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BtoBビジネスのためのMAツールの選び方

BtoBビジネスに携わるマーケターやセールスパーソンのために、MA(マーケティングオートメーション)ツールの選び方を紹介します。

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Mazrica Business Lab. 編集部
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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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