仕事をするなかで、同僚や部下にちょっとした頼みごとをしたいがどう切り出したらいいかわからない人や、うまく頼めずに断られてしまうことが多い人におすすめしたいのが「ドア・イン・ザ・フェイス」という心理テクニックです。特に、営業パーソンがこのテクニックを押さえておくと交渉にも活用できます。

今回は、覚えておきたい心理学テクニックのひとつ「ドア・イン・ザ・フェイス」についてご紹介します。

ドア・イン・ザ・フェイスとは

ドア・イン・ザ・フェイスとは、要求度の高いお願いをして断られたあとで、本来依頼したかった要求度の低いお願いをして承諾してもらう手法です。

ドア・イン・ザ・フェイスという手法は、元々セールスマンがドア越しの訪問販売で、まず大きな要求を提示し、それを断られた後に小さな要求をすることに由来しています。
人が一度要求を断ると、後ろめたさから次の要求を受け入れやすくなるという心理を活用したものです。

営業においても、最初に高額な商品やサービスを提案し、それを断られた後に手頃なオプションを提示することで、成約の可能性を高めることができます。

ドア・イン・ザ・フェイスとフット・イン・ザ・フェイスの違い

「ドア・イン・ザ・フェイス」と「フット・イン・ザ・ドア」は、どちらも説得や交渉に使われるテクニックですが、逆のアプローチを取ります。

ドア・イン・ザ・フェイスは、最初に大きな要求をして相手に断らせた後、もっと小さな要求を提示する方法です。相手は最初の要求を断った負い目から、2つ目の要求に応じやすくなります。

一方、フット・イン・ザ・ドアは、最初に小さな要求を承諾させ、その後で段階的に大きな要求をする方法です。最初の要求に応じたことが、次の要求への同意を引き出しやすくします。

関連記事:営業に役立つ心理学テクニック10選【営業担当者必見】

ドア・イン・ザ・フェイスの活用例

ドア・イン・ザ・フェイスは、営業のみならず様々なビジネスシーンで活用される手法です。ここでは、ドア・イン・ザ・フェイスの活用例を3つ紹介します。

営業の値引き交渉

ドア・イン・ザ・フェイスは、営業の場で見積もりの値引きを行う際によく使われます。

例えば、ある商品を購入しようとする際、最初に非常に大きな値引き(50%オフなど)を求めます。
もちろん、相手はその要求を断るでしょう。
次に、「では、30%オフならどうでしょうか?」と、現実的な割引額を提示します。
すると、相手は最初の大きな要求を断ったことに対して何かしら譲歩したいと感じ、2つ目の要求に応じやすくなるのです。
関連記事:商談の進め方・商談の流れや成約に繋げる方法を解説

取引先との納期交渉

取引先との納期交渉においてもドア・イン・ザ・フェイス手法を用いることができます。

例えば、納品納期を速めてもらいたい場合、最初に非常に短い納期(1週間以内など)を要求します。
相手は不可能だと感じ、断るかもしれません。
その後、「では、2週間で仕上げることは可能ですか?」と、少し長めで現実的な納期を提案します。
最初の無理な要求を断った後で、2つ目の提案がより現実的に感じられるため、応じる可能性が高まります。

社内の頼み事

営業で活用したい「ドア・イン・ザ・フェイス」ですが、社内の頼みごとのときにも使えます。同僚や部下にお願いをするときにも、「ドア・イン・ザ・フェイス」を使って頼みごとをしてみましょう。

例えば、「印刷したものをプリンターまで取りに行ってほしい」が本来頼みたいことであれば、「この資料を100部ずつ、合計1,000枚コピーして製本までやってほしい」と時間も手間もかかる作業をお願いして断ってもらいましょう。
その後で、「じゃあ印刷したものをプリンターから取ってきてもらえる?」と簡単な頼みごとにしてお願いすると、「それならいいですよ」と聞いてもらいやすくなるというのが「ドア・イン・ザ・フェイス」の使い方です。

ドア・イン・ザ・フェイスを活用する時の注意点

社内でも社外での営業時にも有効利用できる「ドア・イン・ザ・フェイス」ですが、活用する時には、3つの注意点に気をつけて使うようにしましょう。

最初の要求を高くしすぎない

最初に提示する要求があまりにも無理な内容だと、相手が真剣に受け取らず、交渉自体が失敗するリスクがあります。
拒否される可能性は高いですが、完全に非現実的ではなく、「少し難しいが検討はできるかもしれない」と思わせるレベルが理想です。

最初の要求の内容はしっかり考えてから伝えるようにするのがポイントです。

同じ相手に何度も使わない

同じ相手に、何度も「ドア・イン・ザ・フェイス」のテクニックを使っていると、「また、突拍子もないお願いを断らせてから、小さい頼みごとをしてくる」と見破られてしまい、本来のお願いも断られるようになってしまいます
どうしても頼みたいときだけに限定して使うようにして、多用しないように気をつけましょう。

相手との関係性を壊さない

過度に強引な要求や無理強いは、相手との信頼関係を損ねる可能性があります。
ドア・イン・ザ・フェイスはあくまで交渉術であり、相手に負担をかけすぎないことが重要です。相手が不快に感じると、後の譲歩も得られにくくなります。

おわりに

「ドア・イン・ザ・フェイス」を自然に使えるようになると、営業のときにも仕事のちょっとした頼みごとをするときにも、スムーズにお願いできるようになります。2つの注意点に気をつけて、「ここぞ!」というときに上手に活用していくようにしましょう。

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