突然ですが、みなさんはデータドリブンという言葉を聞いたことはありますか?
データドリブンとは、データをもとに判断・アクションしていくことです。
近年マーケティング業界では、データドリブンマーケティングが重要とされ、浸透しつつありますが、営業では残念ながら浸透はまだしていません。
そこで今回は営業パーソンの指導、育成方法にデータドリブンを取り入れて営業効率を改善する方法について、詳しくご紹介したいと思います。
データ・ドリブンな指導とは?
営業に関するデータといっても様々なデータがありますが、営業活動を効率化する上で、必要となるデータは営業ファネルの数値です。
まずは、営業効率を上げるためにも営業アクションごとのKPIを設定します。KPIの設定は社内のトップセールスの行動を基準に設定します。
そうすることで、トップセールスとその他の営業パーソンの行動において、どのアクションで差が出てしまっているのかがわかるので、各営業パーソンの弱点を分析し、適切な指導を行うことが可能となります。
では、実際にどのようにすればよいのか、具体例を用いてご紹介いたします。
まずは、営業パーソンの行動のKPIを下記の表のように決めましょう。
書く項目については、自社の営業フローに合わせて設定していただければと思います。
KPIは、自社のトップセールスの数値を基準に設定してみましょう。
「トップセールスの数値をもとにKPIを立てるのは、新人にとって酷なのでは?」という意見もあるかもしれませんが、どの数値に乖離があるのか、現状を把握するためには効果的です。
KPIを立てたあとは、実績の数値を入力させるようにしましょう。新人に的確な指導をするには、実績数値を分析することが必須です。
営業パーソンが記録をした実績データとKPIをもとに、実際に分析をしてみましょう。
まずは獲得リード数ですが、KPIの表より多い42リード取れているので特に問題はなさそうです。
次に、アポ獲得数を見ていきます。アポ取得率は非常に高く、獲得したリードに対して実際に会えていることから、アポ取得のメール文面や電話内容に問題はないことがわかります。
メール文面の指導、電話内容について見直す必要性は高くないということです。
アポを取得したリードに対するデモ実施数もKPIの数値以上であることから、スケジュールの管理、アポ獲得後の顧客とのやり取りにも特に問題はないことがわかります。
ここまで非常に順調に進んでいますが、クロージング数に注目してください。
他の項目とは異なり、KPIの数値と大きく乖離をしていますよね。
この営業パーソンのボトルネックは、デモ実施にあることがわかります。製品デモを実際に見せて説明をしても、クロージングに上手く移行できていません。
そこで、営業マネージャーはいくつか仮設を立ててみます。
デモ実施からクロージングに移行するまで期間が空いてしまうと、お客様の購買意欲が低下する恐れがあります。
クロージングに移行するまで平均何日かかっているか確認してみましょう。
データとして残しておけば分析ができます。
トップセールスが平均2日以内にクロージングに移行しているのに対して、平均1週間かかってしまっている場合は、クロージングに移行するまでの期間を短縮する必要があるかもしれません。
営業マネージャーはデモ実施からクロージングまでの行動プロセスを確認し、どうすれば次のアクションを素早く取れるのかアドバイスをする必要があります。
クロージングに移行する上で最も重要なことは、プレゼンを受けたお客様に「これなら自分たちの課題を解決できる!」と、具体的なイメージを持ってもらうことです。
そのためには営業パーソンが予めお客様の要望を把握しておく必要があり、指導する営業マネージャーは、提案資料を見直し、資料の内容が適切なものであるかどうか、もしくは追記すべき情報がないかを確認します。
もし、お客様の要望と提案資料にずれが生じているのであれば、資料作成についての指導、もしくはデモ実施前にお客様にヒアリングを行うといったフローを設けるなどの改善策を取ることができます。
このように、日頃から営業パーソンは営業プロセスを記録し、数値をデータ化することで、ボトルネックとなっている箇所を把握でき、営業マネージャーが適切な指導をすることが可能となります。
まとめ
今回は、ほんの一例をご紹介しましたが、営業パーソンの行動プロセスのデータをより詳細に記録、分析することが営業効率を大幅に改善することに繋がります。
各営業プロセスの数値以外でも、クロージングまでかかった時間をリードタイムとして記録することもおすすめです。
仮に、最初の商談からクロージングまで、期間が1か月以上かかってしまった場合、受注率が大幅に低下することがデータからわかったとします。
営業パーソンは「クロージングを1か月以内に行う」という行動目標が1つ立てられるため、そこから逆算して戦略を立てることができます。
営業に関する様々なデータを取得、分析した結果とトップセールスの数値データを比較し、データに基づいた適切な指導をしていくことが、新人の弱点を見い出すきっかけとなり、組織全体の営業パフォーマンスの底上げをする過程で非常に有効になってきます。
営業は属人化しやすいためブラックボックスになりがちな領域ではありますが、データを取り、見える化させることで改善を重ね、組織全体の営業パフォーマンスを大きく向上させることができます。
営業パーソンの指導においても、ぜひデータドリブンを取り入れてみてはいかがでしょうか。