昨今のDXの流れに伴い、企業でのデータの利活用の動きが徐々に見られるようになってきましたが、まだ一部の企業に限られるというのが現状です。

経営者や管理職は、社内にあるデータを活用して経営戦略に活かしたいと考えています。

多くの企業において、データの利活用が進んでいないというのが現状です。その理由の一つとして、データ分析ができる人材が不足していることが挙げられます。

社内でデータ分析ができる人材を育てるのは難しく、代わりとして社外から優秀な人材を確保しようと思っても、なかなか採用できないというのが実情です。

従業員がデータ分析を学ぶためには、独学で学ぶか、社外での講座などを通じてスキルを身につけるかが、ほとんどではないでしょうか?

では、なぜそもそもデータ分析ができる人材を育てるのが難しいのか。様々な理由がある中で、理由の一つとしてデータの可視化の難しさが挙げられます。

データの可視化の難しさを言い換えると、データ分析をした結果をどのようにしてグラフや表にアウトプットするかという難しさです。

このデータの可視化が苦手であるというのは、データ分析を常日頃行っている人の中でも一定層見受けられます。

日々の業務でデータ分析をしているものの、取引先や社内の第三者に対して、図表を使って上手く表現することができずに、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

データの可視化がどのくらい難しいのか、文章力に例えると分かりやすいです。

文章力も一定程度の経験を積まないとスキルは身につきませんが、データの可視化も同じことが言えます。

今回は「データ可視化」の思考法についてご紹介します。

データ可視化とは?

「データの可視化」は、先程の例で挙げた文章と同じで、読み手に対して何かしらのメッセージを伝えるための手段の一つです。

読み手のことを全く考えず自分が思うがままにデータを使って可視化をしても、読み手は作り手の意図や狙いに対して理解に苦しむことがほとんどです。

ここでわかりやすい例として、全く同じデータでも、読み手へのメッセージの伝え方によって、データの可視化が異なる事例を一つ紹介します。

例えば、以下のような商品ごとの月別の売上を示した表があったとします。このデータを使って以下2パターンのグラフを作りました。

1つ目のグラフは、商品別の月別の売上高の推移。

2つ目のグラフは、上記の表を以下のように前月対比を加え、同比のグラフに示したものです。

それぞれのグラフから言えることが大きく異なります。

前者のグラフから言えることは商品Aと商品Bを比べると、商品Bの方が売上高が大きいこと。

一方で、後者のグラフから言えることは商品Aの方が前月対比でみると、商品Bに比べて高いということです。

例えば、営業会議において経営者や管理職に今後の営業戦略について提案をしなければならない時に、どちらのグラフで説明するかで、相手に伝わるメッセージが大きく異なります。

具体的には、前者のグラフでは商品Aに、後者のグラフでは商品Bに注力をして販路を拡大し売上を伸ばしていく、というメッセージとなります。

以上から分かる通り、誰に何を伝えるかによって、同じデータでも可視化の方法をいくらでも変えることができるということです。

データ分析の可視化において大切なことは、誰に何を訴求したいのかというのを予め決めた上で分析をするということです。

誰に何を伝えるかが明確に定まっていない状態でデータの可視化をしても、読み手である第三者にそのグラフや表を使って分析結果を示しても、相手が納得する分析結果になっていないことがほとんどです。

データ可視化の目的とは?

先程より、例として文章力を挙げていますが、第三者に何かしらのメッセージを伝えるというのは文章もデータの可視化も同じです。

しかし、これら2つには大きな違いがあります。

それは、相手に伝えるスピードや効率性です。具体的には、データ分析は瞬時に相手に対してメッセージを伝えることができます。

例えば、月別の商品別販売数の表を以下のように作成したとしましょう。

この表をみると、どの商品がどの月にどのくらい売れたかもしくは売れなかったのかを、表のセルを一つひとつ目視で確認する必要があります(つまり6商品☓5ヶ月=30セルを目視する必要がある)。

しかし、上記のグラフに以下のようにグラデーション(個数が少ないセルをピンク、個数が多いセルを緑)を加えてみると、先程とは異なり瞬時にどの月にどの商品がどのくらい売れているのか判断することができます。

実はデータの可視化というのは、多忙を極めている経営者などに対しても効果的なツールとなります。このような人に、言葉で説明するのではなく、グラフや表を使って一瞬でメッセージを伝えることができる、最も効果的なツールの一つといえます。

データ可視化で相手に伝えたいことを後押しする細かな工夫

データを可視化するにあたって細かな工夫をすると、読み手である相手により伝わりやすくなります。

その事例を3つほど紹介します。

まず1つ目は、グラフの凡例の配置になります。例えば以下のグラフでは凡例が右側にあります。

一方で、以下のグラフは凡例が下に配置されています。上記と下記のグラフではどちらが読み手に伝わりやすいか。答えは後者のグラフとなります。

なぜなら、横の100%積み上げグラフで商品が横に並んでおり、それに合わせる形で凡例も並列に配置すると、読み手がピンクが商品A、緑が商品Cと見比べながら、グラフをみることができるからです。

2つ目に、読み手に対して訴求ポイントを強調することです。この強調するポイントがないと読み手はグラフを見て、作り手が言いたいことが何なのか判断に困ります。

また、強調するポイントが全くないと読み手によっては、全く違った視点でグラフを見て考察する可能性もあるでしょう。

例えば、以下の例で説明をするなら、「1月は商品B、商品Cが全売上の半数を占めていたが、5月になると商品Aと商品Fが全体の半数を占める結果となっている」。

といったコメントをグラフの隣に記載すると、読み手は作り手が言いたいことを容易に理解することができます。

最後に、目盛りのサイズを上手く調整することです。

以下のグラフではY軸の目盛りの範囲を0%〜180%としています。

一方で、以下のグラフはY軸の目盛りの範囲を100%〜170%としました。

そうすると、上記グラフと比べて商品Aの方が売上の伸びが高くなっていることがより強調されます。

例えば、作り手として商品Aに注力して販売していきたいのであれば、後者のグラフを営業の会議体に使うことで、社内決裁を得られる可能性が高くなるわけです。

以上のように、データの可視化において図表の細かな工夫をすることで、読み手の負担を軽減しつつ、伝えたいことがより伝わるようになります。

データ可視化にあたり習得すべきことは?

では、データの可視化を習得するために、どんなことが必要になるのでしょうか?

例えば、日経新聞やシンクタンクのレポートに掲載されている図表を斜め読みするだけでは、データの可視化のスキルを習得することにはつながりません。

スキルを習得するためには場数を踏む必要があります。

但し、データの可視化を単純に繰り返すだけでも、習得には至りません。

場数を踏む際に、大切なことは必ず第三者からフィードバックをもらうことです。

その際に、前述の通り読み手を意識して、分析に着手する前にメッセージとして何を伝えるのかを決め、その上で分析することがとても重要です。

これを常に意識して図表を作成した上で、相手からフィードバックをもらう。といったことを繰り返すことが大切です。

取引先などの社外であれば、直接フィードバックをもらう機会が多いので、顧客に壁打ちしながらスキルを高めることができます。

しかし、社内に限った形で利用するデータ分析においては、社内の方々からフィードバックをもらう必要があるものの、多くの企業においてフィードバックをする環境が整っていないのが実情です。

このことが、結果としてデータ分析者が自社で育たないことの一つの要因であると考えています。

この課題を解決するためには、読み手である従業員一人ひとりが作り手であるデータ分析者に対して、きちんとフィードバックをする仕組みを会社・組織として構築することがとても重要であす。

関連記事:データ分析とは?分析に求められる仮説思考とは?

可視化にBIツールの活用も選択肢の一つ

データを可視化することは実はとても面倒な作業です。

毎月の営業会議の資料作成を例に挙げてみると、毎月報告するレポート形式は全く一緒であるにも関わらず、データの最新化するためだけに、エクセル等を使って同じ集計作業を毎回繰り返していることが多いです。

この更新作業というのは、意外と工数が掛かるもので、短くても数時間、長いと数日から1週間かけて作業をしなければなりません。

この集計作業というのは単純な作業であるため、本来であればこれらの作業は自動化すべきだと考えます。

自動化したことで余った時間を、別の業務に充てることが理想的ではないでしょうか。

そのような課題を解決するツールがBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。BIツールは最近では一般的に普及しています。

関連記事:BIツールとは?おすすめ9選を徹底比較【2022年最新】

データ分析者が抱えている課題の一つとして、データの前処理(分析をするためにデータを加工・統合したりすること)が挙げられます。

データ分析の全工数のうち8割程度はデータの前処置に時間を費やしているのが実情です。

しかし、このBIツールを使えば、データの前処理をBIが自動で行うため、集計時間を大幅に削減することができます。

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終わりに

データを利活用する会社に変えていくことはとても難しいことです。

変えるためには最低でも半年から1年の時間が必要とされます。

また、データを利活用する組織の範囲も全社導入という形で進めるのではなく、まずは一部の部署に限定した形でスモールスタートすることが重要です。

データを利活用するための手段に関しても、いきなり統計ツール(RやSPSSなど)やBIツールを導入するのではなく、まずはエクセルだけを使って様々な分析を試してみることです。

エクセルの機能だけではより詳細な分析することができない、もしくはエクセルでは集計時間がかかってしまい、効率化を図りたいと感じたなら、BIの導入を検討すること。

手段、手法、ツールありきで話しをしましたが、一番重要なことは意識の問題だと思います。データを利活用する組織、文化を醸成していくことがとても重要です。

そのためには、経営層や管理職は部下がデータ分析するアウトプットに対して過剰な期待値を持たないこと。分析結果が自身が求めている結果でなくても、ポジティブなフィードバックをすることがとても大切です。

従業員にスキルを一日でも早く身に付けてほしいと思うなら、数多くの失敗を積ませること。そうすることで半年、1年経つとデータの可視化のスキルは格段に高まります。

データの可視化というのは、相手の心を動かすための強力なツールとなります。今後、世の中においてデータの利活用が進んでいく中で、このスキルを早期に身に着けておくと将来において強力な武器となりうるでしょう。

データを高速・柔軟に蓄積・可視化|Senses BI概要資料

クラウド営業支援ツールSensesにBI機能が搭載されました。データを高速・柔軟に蓄積・可視化するSenses BIの機能や活用例を紹介します。

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投稿者プロフィール

中村 有輝久
人事採用分野のデータコンサルタントとして、人事データの統合やデータを活用した組織・人材の可視化など、大手企業を中心に多種多様の業種で実施。
また、自社オウンドメディアの定量データをもとに、HR系専門紙にて定常的な発信をしている。新卒採用市場においては、就活生・企業側の就活・採用動向を定量的に可視化し、今では主流となっているインターン採用や博士採用市場への認知推進に貢献。
現在は営業のデータサイエンス分野の知見を踏まえた情報発信を併せて行なっている。
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