新規事業を始める際の戦略決めや、マーケティング戦略の見直しなどに使われる「SWOT(スウォット)分析」。

SWOT分析は、現状を把握し、自社にとって最適な戦略をたてるために非常に重要なのですが、具体的なやり方や事例までは認識しきれていない人も多いでしょう。

今回はそんな「SWOT分析」について、概要や分析手法、更にSWOT分析を応用させた「クロス分析」の事例を挙げながら紹介していきます。

【概要資料】SWOT分析を実施するためのデータ蓄積・分析におすすめのツールとは?

SWOT分析とは?

SWOT分析とは?事例や分析手法をわかりやすく解説|Senses Lab.|1

SWOT分析とは、企業や事業の分析のためのフレームワークの一つです。

SWOT(スウォット)とは、

  • S「Strength(強み)」
  • W「Weakness(弱み)」
  • O「Opportunity(機会)」
  • T「Threat(脅威)」

の頭文字をとったものです。

つまり、企業や事業、製品などを対象として、対象の強みや弱み、対象を取り巻く機会や脅威という四つの観点から分析を行うフレームワークです。

尚、SWOT分析を含めた売上分析に活用できる7つのフレームワークをこちらの記事で解説しています。

【関連記事】売上分析に使える7つの手法・フレームワークと分析ツールを紹介!

SWOT分析の意味と目的

SWOT分析の持つ意味を具体的に説明していきます。

まず、「S:強み」とは、自社が持つ長所や得意なことであるので、競合他社と比較したときに顧客が自社を選ぶ理由だといえます。

反対に、「W:弱み」は、自社が持つ短所や苦手なことであるため、顧客が自社を選びたくないと考える要素になります。

「O:機会」とは、たとえば市場拡大や競争優位の可能性など、社会や市場の変化で自社にプラスに働く外部環境のことです。

逆に「T:脅威」は、市場縮小や競争激化の可能性など、社会や市場の変化で自社にマイナスにはたらく外部環境のことです。

SWOT分析を行う目的は、企業の外部環境、内部環境を分析してマーケティング戦略の立案に役立てることです。マーケティングプロセスは一般的に以下のように分類することができます。

  1. 環境分析・市場分析
  2. セグメンテーション
  3. ターゲティング
  4. ポジショニング
  5. マーケティングミックス
  6. 実行と評価

おおまかに、1~2が戦略立案のフェーズ、3~6が戦略実践のフェーズになります。

戦略を立案していくにあたって、その企業が属する業界の内と外の環境の調査・分析を行うことは非常に重要です。

マクロな視点、ミクロな視点の両方から情報を分析し解釈していくことで、「自社の強み/弱み」や「ユーザーの求める自社の価値」といったことを見出すことができます。

このような情報をしっかりと見つけ出していくことで、とるべき戦略・戦術が明確になり、目標達成のために最適なマーケティング施策を展開していくことができるため、結果として成果向上につながるのです。

以下の記事ではマーケティング戦略の立て方に焦点を当てて説明しています。あわせてご覧ください。

【関連記事】マーケティング戦略とは?立案の手順とフレームワークを解説

SWOT分析のメリット

実は、先述したような市場分析を行うことができるフレームワークはSWOT分析だけではありません。
たとえば、PEST分析や3C分析などが挙げられます。

このように複数のフレームワークが存在するのは、それぞれにメリットが存在するためです。まずはSWOT分析のメリットを見ていきましょう。

4つの要素から分析できるため、広い視野を保つことができる

SWOT分析では、ただ単に強さ/弱さという内部要因の二点で分析するのではなく、環境/脅威といった外部要因を絡めて分析することができるため、客観的で広い視野で分析を行うことができます。

長短所両面から攻防一体の戦略を策定できる

また、分析対象のプラスの要素だけでなく、マイナスの要素である「弱み」と「脅威」にも向き合うことになるため、改善するべき点を可視化させることができ、リスクとチャンスの両方を捉えた攻防一体の戦略を策定できます。

自社や製品の特質が理解できる

分析対象の四つの要素をマトリックス図にまとめることで、自社や製品の強みはどういうところか、弱みはどれほどか、などということが一目で理解できるので、社内での情報共有や、認識の統一に有効です。

身近な場面でも簡単に利用できる

SWOT分析は比較的シンプルなフレームワークなので、戦略立案という大きな目標だけでなく、小さいPDCAサイクルを回す場合にも簡単に利用することができます。

PEST分析・3C分析の特徴

PEST分析は政治的要因Politics)、経済的要因Economy)、社会的要因Society)、技術的要因Technology)の4つの要因を見ながら分析を行い、より外部要因の分析に特化しています。

3C分析は、ビジネス環境を顧客Customer)、競合会社Competitor)、自社Company)の3点から分析するもので、より定性的・定量的な分析に特化しています。

自社の現状や目的に一番適した手法を用いるようにしましょう。

SWOT分析の方法

SWOT分析とは?事例や分析手法をわかりやすく解説|Senses Lab.|2

つづいて、SWOT分析の実践方法を説明していきます。
SWOT分析を実際に行う前にまず注意すべきことは、目的を明確にしておくことです。

なぜなら、「外部環境を調査して、経営において回避すべきリスクを判断する」ことが目的なのか、「競合に競り勝つための強みを伸ばす」ことが最優先なのか、という場合によって、分析に力をいれるポイントが変わってくるためです。

効率的でまとまりのある議論や分析を行うために、まずは分析を行う目的を明確にさせましょう。

尚、SWOT分析を含む「データ分析」の考え方は、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:データ分析とは?分析に求められる仮説思考とは?

外部環境の分析

SWOT分析を行う際、内部環境の分析より先に、外部環境の分析を行います。これは、内部環境は一般的に外部環境影響を受けるので、外部環境の分析内容によって内部環境の内容が変わってくるためです。

外部環境の分析では、社会や市場の動向を分析し、それが自社にとって「機会」となるのか、「脅威」となるのかを見極めていきます。

外部環境の具体例には以下のようなものがあります。

【外部環境(機会・脅威)の具体例】

▶マクロな視点

  • 政治動向
  • 法律改正や規制の動向
  • 景気動向や金利
  • 市場・業界のトレンド
  • 人口動態
  • 技術革新動向

▶ミクロな視点

  • 顧客ニーズ
  • 株主の期待
  • 競合他社の動向

これらの項目について分析を行います。

例えば、高齢化社会の進展や、独身者の増加といった社会環境の変化や、競合他社の値下げ戦略といった情報から、顧客が求める価値や取るべき施策のアイデアが出てくるはずです。

内部環境の分析

次に、内部環境の分析を行います。まずは内部環境分析の項目には以下のようなものがあります。

【内部環境(強み・弱み)の具体例】

  • セールス・マーケティング力
  • マネジメント力
  • 技術・ノウハウ
  • システム・インフラ
  • 経営資源
  • 価格
  • 製品・サービスの品質
  • 立地
  • 輸送時間、方法(チャネル)
  • 知名度
  • ブランド力
  • 人材・組織
  • 企業理念・企業風土や文化

これらの項目を競合他社と比較して分析し、強みと弱みを見つけ出します。

強みの見つけ方

・顧客目線で考える

自社の強みとはすなわち顧客が自社を選ぶ理由であるので、内部環境の項目ごとに、「顧客はなぜ自社に来店したのか?」「顧客はなぜ自社の商品・サービスを購入したのか?」「なぜ取引先は自社と取引を続けているのか?」という疑問に対する答えを出してみましょう。顧客の目線で考えることで、自社の強みが見えてきます。

・社員や支援者の意見も聞く
営業担当や経理担当、製造担当など、社員の担当部門によって、捉えている自社の強みは違う場合があります。それぞれにインタビューをして聞いてみることによって、新たな発見が生まれるかもしれません。

また、第三者であるコンサルタントなどの支援者に、客観的・専門家的視点から見た強みを聞いてみるのも一つの手です。

・競合他社と比較する

内部環境を分析する際、独断と偏見で自社の強み弱みを探すのではなく、実際の競合他社と比較した上で、強みなのか、弱みなのかを客観的に判断するようにしましょう。
定期的に競合店の様相や実際の商品、ホームページなどを比較してみましょう。

弱みの見つけ方

・顧客・社員・競合の視点で考える

強みの場合と同じように、インタビューやヒアリングを行って様々な視点から自社の弱みを探り、整理しましょう。

・「弱み」は自社が自分で変えられるもの

内部環境の「弱み」と外部環境の「脅威」が混同されてしまうことがよくあります。
内部環境は、「自社が原因で固有にもつ、自分で改善・変更できるもの」ですが、外部環境は「自社が影響を受けるが、外部によってきめられているので自社では変えようがないもの」です。ウィークポイントを探すとき、この違いに注意してみましょう。

クロス分析で事業戦略に落としこむ

SWOT分析とは?事例や分析手法をわかりやすく解説|Senses Lab.|3

SWOT分析後、「クロス分析」を行うことで、企業の場合より深い事業戦略を立てることができます。

クロス分析とは?

クロス分析とは、内部環境と外部環境の2つをそれぞれ掛け合わせることで、自社の取るべき戦略を導き出すフレームのことです。
組み合わせのパターンによって、戦略の傾向が変わってきます。

クロス分析4つのパターン

強み×機会

自社の「強み」を「機会(ビジネスチャンス)」に対して積極的に伸ばしていくことを検討します。限られた経営資源の中で最大の利益を出すには、強みを最大限に発揮させる必要があります。戦略策定では、まずは強み×機会を最優先に考えていきましょう。

弱み×機会

「機会(ビジネスチャンス)」を生かすためにどのように「弱み」を改善していくかを検討します。弱みの改善は瞬時にできないことが多いので、計画を立てて段階的に進めていく必要があります。

強み×脅威

市場縮小や競争激化などの「脅威」に対して、自社の「強み」を生かしてどのように切り抜けていくかを検討します。競合他社に対して差別化を行うことが戦略の中心になります。

弱み×脅威

自社の「弱み」を踏まえ、「脅威」の影響をいかに最小限にとどめられるかについて検討します。脅威に太刀打ちできそうだと予測される場合は、事業からの撤収も視野に入れる必要があります。

SWOT分析の具体事例:シャープ株式会社

SWOT分析とは?事例や分析手法をわかりやすく解説|Senses Lab.|4

では、実際に製造業におけるSWOT分析の事例を見ていきましょう。

ここでは、「シャープ株式会社」を例に実際にSWOT分析を行っていきます。

外部環境の分析

まず、シャープを取り巻く、総合電機メーカーや、総合電機メーカーにかかわる外部環境を分析していきます。

O:機会

  • 長期の自粛期間を受け家電需要の増加
  • 内外でコロナウイルスの打撃からの景気回復の兆しが見え始めている

T:脅威

  • ネットでのテレビ視聴普及(各テレビ局はネットで後日配信)
  • サムスン(sumsung),LG電子など韓国・中国の電機メーカーとの競争

内部環境の分析

次に、株式会社シャープの内部環境に関する他社と異なる点を分析していきます。

S:強み

  • 幅広い事業領域(25ヵ国・地域60ヵ所)
  • 独自技術(液晶テレビやカメラ付き携帯電話はSHARPが独自技術で生み出した)
  • 商品の独創性(「他社にまねされる商品をつくれ」という経営理念)
  • 革新的なデバイス(国産第1号のラジオ、テレビ、世界初の電卓や液晶ディスプレイなどを生み出してきた)

W:弱み

  • 商品のラインアップ
  • デバイス設備の世代更新
  • ドメスティック指向が強く、グローバル展開を支える人材・リソースの不足

クロス分析の事例

以上を踏まえてクロス分析を行うと、下記のような結果を導き出すことができます。

強み×機会

高まる家電ニーズに応え、様々な環境や家庭にマッチする製品を開発する。
⇒AIoT家電[AI(Artificial Intelligence:人工知能)+IoT(Internet of Things:モノのインターネット)]の拡大
参考:https://jp.sharp/business/solution/aiot/whatis/

弱み×機会

コロナ化に乗じてオンライン市場への参入、製品ラインアップの拡大を図る。
⇒マスク生産の開始&サブスクリプション販売の開始
参考:https://cocorostore.jp.sharp/maskteiki

強み×脅威

世間のテレビ離れに対抗し、SHAPのテレビとネットの接続を強化する。
⇒様々なネット配信サービスに対応したテレビを提供
参考:https://jp.sharp/aquos/products/eu1/internet/

弱み×脅威

海外への供給に力を入れ、中国・韓国との競争激化に対抗する。
⇒「堺ディスプレイプロダクト」(経営不振で手放した株式を再取得して子会社化、米向けのパネルの供給を強化)
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/k10013513681000.html

このように、SWOT分析で導き出した4軸からの情報を踏まえてクロス分析を行うことで、企業が取るべき戦略の立て方を理解することができます。

終わりに

SWOT分析の概要や分析手法を具体的に説明してまいりましたが、いかがだったでしょうか。

目まぐるしく変わる情勢に立ち向かい、自社の強みを最大限に引き出すことができるマーケティングを実践していくためにも、ぜひSWOT分析を取り入れてみてください。

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