マーケティングに携わったことのある人ならば必ず耳にしたことがあるであろう「セグメンテーション」という言葉。
マーケティングの基礎の基礎と言っても過言ではありません。
しかし、基本的な事柄であるがゆえに「実はまだ少し分かっていない部分があるけれど放置してしまっている……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、セグメンテーション、すなわち消費者をセグメントに分けるというマーケティングの一手法について事例を交えて紹介します。
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セグメンテーションとは
では、そもそもセグメンテーションとは何でしょうか。
セグメンテーションとは、顧客や市場を年齢・性別・志向などの特徴ごとにグループ(=セグメント)に分けることです。
マーケティングを行うにあたって、全人類に普遍的に売れるようにしよう、ということは至難の業です。
どこのどんな誰に商品を提供するのかが明確でなければ、商品の開発も商品の売り方も決定していきません。
40代の壮年のサラリーマンに売るのか、勉強で忙しい高校生に販売するのか、必ずターゲットを定めなければならないのです。
そして、ターゲットを絞る前にどのような種類の買い手がありうるかを浮き彫りにするために、セグメンテーションはマーケターにとって避けては通れない道なのです。
STP分析の一つ
セグメンテーションの重要性は、STP分析と呼ばれるマーケティングの基本の一部分を担っていることからも明らかです。
STP分析は、S(セグメンテーション)T(ターゲティング)P(ポジショニング)の3つの部分から成りますが、分析の一番初めを飾るのがセグメンテーションです。
セグメンテーションが的確にできていなければ後に続くターゲティング、ポジショニングもどこかピントのずれたものとなってしまうでしょう。
顧客を確実に掴むためにセグメンテーションの手法を身に着けることはマーケターとして不可欠です。
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セグメンテーションの方法とその事例
顧客や市場をセグメント分けするにあたって使用すべき4つのカテゴリーが存在しています。
すなわち、地理的変数・人口動態変数・心理的変数・行動変数の4種類です。
これらのカテゴリーを利用することによって、より容易にセグメンテーションを行うことが可能になっていきます。
図では、カテゴリーごとにセグメントの代表的変数、セグメントの具体例をまとめています。
この4つのカテゴリーについてより細かい説明をみていきましょう。
(1)地理的変数
地理的変数とは、国・地域・都市の規模、経済発展・進展度、人口、気候、文化・生活習慣、宗教、政策といった要素のことです。
事例:加工食品市場
地理的変数でセグメンテーションを行なっているもっとも代表的な例は、加工食品市場です。
加工食品市場は、関西と関東で味付けを変えるなどの方策をとっているのです。
例えば、コンビニのおでん。
関西と関東では出汁の味付けが違い、好まれる味もそれぞれ異なっています。
それゆえに、コンビニのおでんは地域によって味付けが変えてあり、これは地理的変数を使ったセグメンテーションの賜物と言うことができます。
(2)人口動態変数
人口動態変数とは、年齢や性別、家族構成や職業といった因子のことです。
年齢や職業を図のようにざっくりと分けるのではなく、実際の運用では10代・20代・30代と年代ごとに分けたり、サラリーマンの中でも営業職・プログラマー・経理などとより細かなセグメントに分けていきます。
現在、日本で最も使われているであろう変数であり、取り入れやすいことが特長です。
事例:パナソニック レッツノート
パナソニックのレッツノートは、人口動態変数を用いたセグメンテーションで成功を納めました。
レッツノートは、ざっくりとサラリーマン全体にターゲットを絞るのではなく、「営業で外回りをするサラリーマン」というセグメントを作り出したのです。
そして、彼らをターゲットにして小さいが薄型で丈夫、軽くて持ち運びしやすいノートパソコンを売り出し、ヒットを記録しました。
当時のパソコン業界はスペックの高さで競っていました。
しかし、それに惑わされずセグメンテーションを的確に行うことでパソコンをヘビーユーズするターゲットを見出せたため、パナソニックは成功することができたと言えるでしょう。
(3)心理的変数
心理的変数とは、ライフスタイルやパーソナリティに関わる変数で、アウトドア派かそうでないか、高級志向かどうか、流行に敏感であるかないかなどを要素とします。
最近は、この変数の重要性が徐々に上がってきています。
これは消費者のニーズが多様化し、マーケターも消費者の細かいニーズに答える必要性が出てきたためです。
緑茶ひとつ選ぶにしても、昔からあるブランドを好むのか、ダイエット用のものを好むのかなど心理的変数は多く存在しています。
事例:ユニクロ
ユニクロは、細分化してきたセグメントを細かな人口動態変数でとらえるのではなく、あえて大きく心理的変数で分けることで新たなセグメントを生み出しました。
つまり、老若男女のためのベーシックカジュアル、という方策を打ち出したのです。
流行に敏感で変わりゆくファッションを追い続ける層を見るのではなく、質が悪くなく着こなしやすい服を選ぶ保守的な層をアパレル業界の顧客像として見いだすことでユニクロは成功しました。
(4)行動変数
行動変数とは、使用率やベネフィットといった行動の型を要素とします。
企業はどこでもライトユーザーをヘビーユーザーにしたいと考えているでしょうし、今までその商品を使ってこなかった層にも広げたいと思っているはずです。
それゆえ、こうした利用率はセグメントを分けるにあたって重要なヒントを与えてくれるのです。
事例:JINS
JINSは、ブルーライトカット用メガネを売り出すことで視力が悪くない人々もメガネをかけるユーザーとして取り込むことに成功しました。
セグメンテーションによって、メガネの使用率は皆無だがブルーライトをカットしたい健康というベネフィットを重視する層をターゲティングすることができたのです。
セグメンテーションを行う際の注意点
では、セグメンテーションをするにあたって重要な4つの変数が分かったところで、実際のセグメンテーションの際に重要な注意点を見てみましょう。
①ターゲティングとの関連を考える
せっかくセグメンテーションができたのに、現実からあまりに乖離してしまっていては次のステップであるターゲティングに進むことができません。
もしそれをターゲットとした場合、現実的に「どういう風に方策が打つことができるか」ということを常に考えながらセグメンテーションを行いましょう。
②正しくセグメンテーションができているか「4R」での確認を行う
セグメンテーションが本当に成功しているのか、4Rと呼ばれる項目をチェックする必要があります。
4Rとは以下の通りです。
①Rank(優先順位) :市場に優劣をつけられるかどうか。どれも同等に大事、などという状態ではターゲティングが不可能になってしまいます。
②Realistic(有効な規模) :十分に売り上げをあげられる規模の市場・ターゲットであるか。
③Reach(到達可能性):きちんとその層に自らの商品の情報が届く手段があるか。時に言語などはこの障壁になります。
④Response(測定可能性):ユーザーに与える影響が測りやすいか。これを測ることができれば、のちのマーケティング方法のヒントになります。
これらの4つの項目をクリアすることでセグメンテーションは最も効果をあらわすようになります。
更に営業活動においてもセグメント分けして顧客にアプローチすることで顧客のエンゲージメントの向上につながります。
▶︎▶︎顧客のエンゲージメントについてはこちらの記事を参考に!
終わりに
マーケターを取り巻く環境は消費者のニーズの細分化や世界の多様性の発展と共にますます複雑になってきています。
その際に重要になるものがSTP分析であり、これを使って世界を見ることでマーケティングを行うための市場というものが見えてきます。
セグメンテーションを効果的に行うことは、マーケティングを行う第一歩と言えるのではないでしょうか。
また、セグメンテーションを含むSTP分析を行う上で生命線となるのはマーケターの持つ「情報」です。
こうした情報を得るためにMA(マーケティング・オートメーション)やSFA(営業支援ツール)を導入することも一つの方法と言えます。
上記の図のようにSFAを活用することで、セグメント分けした結果、売上に繋がっているのか検証することができます。
SFA×MAの可能性についてはこちらで情報を公開しています。
ツールを使ってセグメンテーションを行うことも視野に入れてみるとより世界が広がるでしょう。
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