部長が今日一日、どんな仕事をしていたのか、答えられますか?

・・・おそらく、ほとんどの人は答えられないのではないでしょうか。

それくらい、部長の仕事とは外から見てわかりにくいもの。

今回の記事では、部長の役割や仕事について、わかりやすく説明してみたいと思います。

部長の仕事を知ることで、上司への理解が深まってコミュニケーションが円滑になったり、部長になるために自分がどのようなスキルを習得しなくてはならないのか、わかるようになると思います。

部長とは?組織内での部長の役割

部長の役割とは?事例で分かる部長の6つの仕事と役割 | Senses Lab. | 1

部長は、組織の中の管理職です。

管理職とは、現場で労働者を指揮し、組織を運営する人のこと。ですが、実際の役割を見てみると、これとはちょっと意味合いが違います。

部長の役割は、部署の責任者として、最終的な意思決定をすることです。

こう考えると、経営者とほぼ同じような役割を担っていると言えます。

<部長の役割>

①「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を上手く使う

会社の経営資源を使って、事業や組織を成長させる方法(戦略)を考え、実行します。

たとえば、

・経営方針や戦略に基づいて、どのプロジェクトにどれだけの投資をするか、年間で何人採用するかなど決定する

・部下を動かすことで業績をつくり、組織や部下を成長させる

・・・といったように、自らがプレイヤーとして直接利益を生み出すのではなく、成長できる仕組みや環境をつくることで、間接的に、そして広範囲に渡って組織を動かしていくことが求められます。

②将来のメシの種を創り出す

会社の業務は、短期・中期・長期に分けることができます。

短期:直近1カ月の目標達成や業務の進捗管理、部下支援

中期:直近3カ月〜1年程度の目標達成や業務改善や業務プロセスの設計、部下育成

長期:1年から3年先の戦略の立案や業務体系の構想、組織開発と能力開発

利益を出すには、短期・中期の目標を達成することが必要です。

しかし、いつまでも目先の利益を追いかけているだけでは、会社の成長は望めません。

そこで、人材を育成して一人あたりの利益を増やしたり、新しい事業を立ち上げたりと、継続して成長を続けるための戦略(いわば、メシの種ですね)が必要になってくるわけです。

これが、部長が担っている「長期」の業務です。

課長と部長の違い

課長と部長の違いがよくわからない・・・という声をよく聞きます。

そこで、課長と部長の違いを簡単にまとめておきたいと思います。

<課長>

・現場視点

・戦術を実行する(戦略を実現するために、具体的に何をすべきか考え、実行する)

・直接的に部下と関わり、個人に影響を与える

・実務遂行能力が求められる(迷った時には、部長に相談する)

・部下(一般社員)を育成する際には教える力が求められる

<部長>

・経営視点

・戦略を考える(進むべき方向性とシナリオを描く)

・間接的に部下や部門と関わり、組織を動かしたり、影響を与える

・意思決定力が求められる(相談できる相手がほとんどいない)

・部下(課長)を育成する際には気づかせる力が求められる

日がな一日会議に出ていたり、パソコンとにらめっこしていたり・・・部長って、何の仕事をやっているか、わかりづらいですよね。

ですが、身体を動かしていないからといって、暇なわけではありません。

そこで、ここからは部長が実際にどんな仕事をしているのか、見ていきましょう。

1.部署全体を管理する

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課長であれば、管理の対象は数名〜10名前後ですが、部長になるとこれが一気に、数10名〜100名近い単位になります。

その全員を一人で見るのは、事実上不可能。

そこで、課長を通してマネジメントします。

課長のように、一人ひとりに細かいアプローチやフォローをする必要はありませんが、「個人」と「組織」2つの視点から考え、行動を起こすことが求められます。

具体的には以下の3つが重要なポイントになります。

①モチベーションに気を配る

部署として成果を出すには、メンバー全員で協力することが必要です。

そのために個人の能力やスキルを高めることも大切ですが、それ以前に、仕事に対するモチベーションがなければ、能力を最大限に発揮することはできません。

まずは、モチベーションの変化に気づくことが第一歩。

そこで「どうやら、先月達成できなかったことで、みんなが落ち込んでいるようだ」など、モチベーションが下がっていることがわかれば、高める対策が必要になります。

※モチベーションを高める具体的な方法は「強い営業組織を作るための5つのマネジメント施策」をご覧ください。

②目標達成を後押しする

メンバー一人ひとりの目標達成が、部署としての目標達成に繋がります。

そこで重要になるのが、目標管理です。

経営目標で掲げられた数字から、部署、チーム、個人の目標に落とし込んでいくのですが、ここでは「なぜこの目標・数字になったのか」をしっかりと伝えるようにします。

こうすることで目標の意義が理解でき、達成に向けてコミットすることができるようになります。

また、現状よりも少し背伸びをすれば達成できるくらいの目標を設定することもポイントです。

簡単にクリアはできないけれど、無理難題でなければ、工夫や努力をしてなんとか達成しようとします。

これが成長に繋がるのです。

③全体の調整をする

部署内にはいくつかの課があり、それぞれで複数のプロジェクトが進行することになります。

そのすべての進捗を把握・管理し、遅れていたり、上手くいっていなければ軌道修正をします。

2.課長や現場への教育

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部下を成長させることも、部長の大切な役割の一つです。

「仕事なんだから、文句を言わずにやれ!」と言えば、仕事はするかもしれませんが、嫌々するのは明白。

これでは、仕事の意義もおもしろさもわかりません。

部下を成長させるためには、以下の2つのことを意識して教育・育成していく必要があります。

①仕事は適材適所で割り振る

部下の能力や性格を把握し、適材適所で仕事を割り振ることが重要です。

こうすることで、仕事を意欲的に取り組むことができ、自然と成長に繋がります。

②データに基づいた指示・アドバイス

上司から「俺はこのやり方で成功した」「こうやれば上手くいく」というアドバイスを受けたことがあると思います。

ですが、経験談で話されても「今は時代が違う」と思ってしまったり、押し付けられるだけでは納得できないことも多いですよね。

そこで有効なのが、データドリブンな指導をすることです。

データドリブンとは、データをもとに判断・アクションをしていくこと。

これを指導に活かすには、以下のステップを踏んでいきます。

※営業におけるデータドリブンな指導方法は「データドリブンな指導で営業効率を上げる方法とは?」でご紹介しています

▼Step.1 目標を設定する

目指すべき人物像や理想の数字を基準に、部下一人ひとりの目標を設定します。

▼Step.2 目標と実績を比較する

月ごと、3ヶ月ごとなど、定期的に目標と実績の比較をします。

▼Step.3 改善する

Step.2で到達できていない目標について、「達成できなかった理由」と「どうすれば達成できるのか」の仮説を考え、次の期に実行させます。

つまり、課題となっているところを見つけ、改善していくことで、部下の成長に繋げていくというわけです。

ちなみに、教育や指導をする対象が経験のあるメンバーの場合は、Step.3の部分をアレンジします。

あえて課題や具体的な手段を示さずに相手に考えさせることで、何が課題かに気づく力や、解決する力を育てることができます。

3.部下が働きやすい環境をつくる

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役職に付いていないメンバーの場合、自分自身の成果を認められたい気持ちが強くなってしまうことがあります。

もちろん、これが悪いというわけではありません。

むしろ、評価をもらうために仕事を頑張り、数字を伸ばすこともあるので、評価すべきことです。

ですが、部長になったら、こういった承認欲求は封印してください。

かつての上司が自分を引き上げてくれたように、今度は自分が部下を引き上げる番です。

といっても、部下をおだてればいい、ということではありません。

自分自身の主張は抑え、一人ひとりを理解し、彼らの行動と成果を公平に評価し、ダメな時にはきちんと叱ることができる。

こういう上司であれば、部下から厚い信頼を得られます。

さらに、こうした信頼関係ができることで、コミュニケーションも上手くいき、お互いに働きやすくなります。

4.対外的な仕事をする

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繰り返しになりますが、部長は部署の経営者、いわば最高責任者です。

発言したことや行動に対する影響は全社に及び、社外・社内の別部署・経営層など、自署以外の「対外的な」矢面に立たされることになります。

行っているプロジェクトやメンバーについての説明責任があることはもちろん、他部署と利益相反する場合には交渉もしなくてはなりません。

また、問題が発生した場合には、謝罪や問題解決をすることが求められます。

こうして見ると、部長とは何とも損な役回りです。

しかし、ここで「俺は関与していないから」と、部下に責任を押し付けてはいけません。

逃げた途端、部下との信頼関係は一瞬にして崩れ去ってしまいます。

5.経営戦略の実行と部署への浸透

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①部署としていかに会社に貢献していくか、だけでなく、②経営戦略に沿って新しい価値、事業、仕事を創り出すことを意識する必要があります。

ただし、自分だけが意識していればいいというわけではありません。

課長や部署のメンバーに、会社のビジョンや目的、仕事をする意義を理解してもらうことで、目標達成へと意識が向かい、チームワークが醸成され、会社全体の成長や成果に繋げることができるようになります。

6.部下を評価する

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給料や昇進などに関わる「評価」は、部下にとって最大の関心事の一つです。

好き嫌いで決めるなんてもってのほかですし、人事考課の時期の行動や成績だけを見て評価するのもいただけません。

適正な評価をするには、顧客との商談や社内でのコミュニケーション、仕事の取り組み方、モチベーション、成績など、ふだんからきちんと目を配っておくことが大切です。

しかし、数10名もの部下の行動を逐一、見ていることはできません。

そこでここでは、どんな行動を取っている部下を評価すべきなのか、3つのポイントをご紹介したいと思います。

①自分の役割を果たそうとしている

自分にはどんな役割が求められていて、会社にどんな影響を与えられるのかという意識があるメンバーは、指示を出さなくても率先して仕事に取り組んでくれます。

②会社が社会に提供している価値を考えながら仕事をしている

目先の目標達成だけでなく、自社が社会に対してどんな価値を提供しているのか、どのように利益を得ているのかまで考えられるのは、経営者の視点を持っていると言えます。

③スキルアップのための努力をしているか

仕事の合間や休憩時間などに、資格取得に向けた勉強をしたり、社内の資料を読んで知識を得ようとするなど、自ら成長しようとする姿勢があるかどうかで、のびしろの大きさを見ることができます。

さいごに

部長の役割と仕事についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

意外とたくさんの業務をしていて、どれもが難しい判断を伴い、会社にとって重要な仕事であることが、お分かりいただけたと思います。

この記事をお読みいただいたことで、部長を目指したり、部長自身が自らの仕事の意義を見直すなど、みなさんにとって、いい変化を起こすきっかけになれば嬉しいです。

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