営業の人事評価では「売上」が重視されやすい傾向です。しかし、個人の頑張りを売上金額だけで判断できるのか、疑問に感じているマネージャーや人事担当者も多いのではないでしょうか。

適切な評価は、営業パーソンのモチベーションを向上させ、ひいては社内の生産性向上にもつながります。

本記事では、営業パーソンの適切な評価方法を紹介します。具体的な評価の基準と項目についても解説するので、営業の評価で悩んでいる方はぜひご参考ください。

営業パーソンを適切に評価する必要が出てきた背景

営業パーソンの評価をする際、どのくらいの売上を作ることができたかを重視している組織が多いでしょう。確かに営業は受注を獲得して売上に貢献することが役割なので、売上金額は重要な指標です。

しかし、単に「売上」のみで、一人ひとりの営業パーソンの頑張りは適切に評価していると言えるのでしょうか?

たとえばリードタイムが長い商材の場合、売上を作るまでに数カ月かかることもあるため、売上がない月も発生します。この時、売上金額でのみ評価すると「売上がなかった月は頑張っていない」という評価をされてしまい、営業パーソンの不満につながりかねません。

たとえ営業プロセスの途中で失注してしまっても、営業パーソンはそこに至るまでに様々な努力や工夫をしています。失注したとしても信頼関係を築けていれば、別商材を提案したり、新規顧客を紹介してもらえたりする可能性もあり、後につながることもあります。

このように、営業パーソンは売上を作ることができていなくても、頑張りを重ねているのです。

人事評価は、従業員のモチベーションやスキルを最大限に発揮してもらうことが目的なので、従業員一人ひとりの頑張りを正当に評価しなければなりません。

そのため、営業パーソンを売上のみで評価するのではなく、他の指標も合わせて多角的に評価する必要性が出てきたのです。

営業パーソンを適切に評価するメリット

営業パーソンを適切に評価することで、以下のメリットが期待できます。

営業パーソンのモチベーション維持・向上

営業をしたからと言って、簡単に売上を作れるわけではありません。一日中外回りをして足が棒になったり、何件も電話をかけたりしても、なかなか売上につながらない営業パーソンもいることでしょう。

売上という結果を出す過程で、さまざまな努力や失敗があります。しかし売上だけで評価するということは結果しか見ていないことなので、過程が評価されていません。これでは、「自分の頑張りが認められていない」と感じてしまいます。

結果だけでなく過程も適切に評価することで、営業パーソンは自分の頑張りを認めてもらうことができ、「もっと頑張ろう」という気持ちになってモチベーション向上につながるでしょう。

関連記事:モチベーション管理とは?仕事のモチベーションが下がる理由と維持する方法

営業の生産性向上

適切な評価を続けていれば、自分の頑張りを認めてもらえることが組織内に浸透します。営業パーソン全員が能動的に営業活動に臨むようになるため、組織の生産性向上が見込めます。

生産性が向上すると、ひいては企業の成長にもつながるでしょう。

優秀な人材の流出防止

人事評価は、給与やボーナスなどの収入に反映されます。しかしいくら頑張って成果をあげていても、なかなか収入が上がらないとモチベーションが上がりません。

自分の頑張りを適切に評価して高い給与を支払ってくれる会社があれば、転職してしまうでしょう。

優秀な人材に継続して働いてもらうためにも、適切な評価が必要なのです。

営業パーソンを評価する3つの基準

営業パーソンを適切に評価するには、売上だけではなく多角的な指標を用いる必要があります。大きく分けて「営業実績」「能力」「態度・姿勢」の3つの基準から評価しましょう。

1.営業実績に基づく評価

営業パーソンの活動がどのくらいの成果につながったのか、客観的に評価できる指標は「営業実績」です。具体的な数字となって表れるため、成果を測りやすいでしょう。

ただし、売上金額だけに注目してはいけません。受注率やリピート率、さらには営業活動量など、様々な項目を見ることで、個人の頑張りを総合的に判断できます。

また、期間内に目標数値をどれだけ達成できたか、という点も重要です。新人営業とベテラン営業では実績に差が出てしまうので、同一の視点で見てしまうと適性に評価できません。

一人ひとりに見合った目標を立てたうえで「どれだけ達成できたか」「達成するためにどのくらい活動したか」といった視点で評価しましょう。

2.能力に基づく評価

円滑に受注を獲得するためには、顧客へ提案や交渉を行ったり、社内で調整したりするなど、さまざまな業務が発生します。それゆえ営業活動では、多様な能力が求められます。

こうした営業に関する能力は、天性のものもあれば、努力によって身に付くものもあります。そのため、各営業パーソンの能力を俯瞰的に見ることで、個人のスキルや頑張りを適切に評価できます。

3.態度・姿勢に基づく評価

成果を出すためにどのように取り組んでいるか、という態度や姿勢も評価すべき指標です。

顧客に対応する態度や、仕事に向き合う姿勢などは、営業パーソンの基礎とも言えます。しかし、この基礎ができていないと、顧客からの信頼が低下したり、社内の輪を乱したりすることもあり危険です。

そのため、意欲的な態度や真摯に取り組む姿勢は、適切に評価する必要があります。

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営業実績の代表的な5つの評価項目例

先に挙げたように「営業実績」「能力」「態度・姿勢」は、営業パーソンを評価するうえで軸となる指標です。

それでは、「営業実績」は具体的にどのような項目を評価したら良いのか、一例を紹介します。自社の商材や営業スタイルなどから、評価に適した項目を選定しましょう。

1.売上金額

売上金額は、最もわかりやすい、かつ重視すべき項目と言えます。

売上金額が高い背景には、以下のように複数の要因があります。

  • 大口の契約を受注できた
  • 複数の契約を受注できた
  • リピートで購入してもらえた

いずれも営業パーソンの努力なくして成立しないため、売上金額は適切に評価すべきでしょう。

2.新規契約数

すべての既存顧客が継続してリピートしてくれるとは限りません。契約を解約したり、1度のみの購入で終わったりしてしまう顧客も少なくないでしょう。

営業は、新しく販路を拡大することも重要な役目です。

しかし、新規の契約を獲得することは簡単ではありません。初めて会う相手や初見の商品・サービスには少なからず抵抗感があり手を出しにくいという人も少なくないため、新規契約を獲得することは既存顧客にリピートしてもらうことより難しいとも言われています。

したがって、複数の新規契約を獲得するには営業パーソンの努力が必要です。そのため、営業パーソンの頑張りを評価できる項目として挙げられます。

関連記事:顧客獲得の効果的な方法とは?新規開拓からリピーター獲得まで徹底理解

3.受注率

営業パーソンの努力を測る指標として、受注率に注目してみるのも一案です。

受注率とは、一定期間内の受注件数を商談件数で割り出した数値です。少ない商談件数で多くの受注を獲得できていれば、受注率が高い数値となります。

  • 受注確度の高い見込み顧客を見極められている
  • 相手の購買意欲をかきたてる提案ができている
  • 購買意欲が高いうちにクロージングできている

受注率が高い背景には上記のような要因があるため、営業パーソンの頑張りによって裏付けられた数値と言えます。

関連記事:受注率を上げるには?受注率向上のための7つの方法とツールを紹介!

4.リピート率

売上を上げていくためには、新規顧客を獲得するだけでなく、既存顧客に対しても適切にアプローチしなければなりません。

リピート率は既存顧客と信頼関係ができていることを裏付ける数値のため、営業パーソンを評価する指標として活用できます。リピートが多いと、LTV(顧客生涯価値:顧客が取引開始から終了まで自社にもたらす収益)が最大化します。

リピート率だけではなく、アップセル・クロスセルの成功率や金額も考慮すると良いでしょう。

関連記事:アップセル・クロスセルとは?意味や違い・具体事例を解説

5.契約までの営業プロセス(営業活動量)

売上金額や受注率のほか、営業プロセスにおける活動量も営業パーソンの成果として評価対象となります。

具体的には、以下のような項目が挙げられます。

  • 架電数(テレアポ)数
  • 初回訪問の回数
  • 商談を実施した回数
  • 顧客に対して実施した提案の数
  • 既存顧客に訪問した回数
  • アップセルやクロスセルの提案の数
  • クロージングを実施した回数

各営業パーソンが契約を獲得するためにどのくらいの営業活動を行ったか把握することで、「この人は初回訪問が得意」「この人はクロージングが苦手」など、個人の得意・不得意を分析できます。

それぞれの得意・不得意に合わせて組織体制を整えたり、社員教育を行ったりできるでしょう。

営業パーソンの能力を測る7つの評価項目例

営業の評価で重要な軸となる2つめが「能力」です。知識やスキルは定量的な評価が難しいですが、具体的に「どのような状態になれば達成できているか」という基準を定めておくことで、細かく評価できます。

具体的には、以下の7つの項目などが挙げられます。

関連記事:営業に必要な8つのスキルとスキルアップの方法とは?

1.課題設定力・計画力

効率的に営業活動を行ううえで重要なのが、適切な課題を設定できる能力と、計画を立てる能力です。

課題設定力とは、目標を達成するために現状で不足している点やボトルネックとなっている点を洗い出し、自身の課題を見極める力。

そして計画力とは、期間内に目標を達成するために、不足点やボトルネックをどのように解消していくか計画を立て、推進していく力を指します。

どちらも、自分自身を細かく分析し、さらに市場や顧客について深く理解していなければなりません。自身や自社が置かれている状況を把握したうえで細やかに営業計画を立てられることは、営業が成功するためのポイントとなります。

関連記事:営業計画の立て方【テンプレート付き】営業計画書の作り方・必須項目とは?

2.営業活動に関する知識

営業活動を推進していくうえで欠かせないのが、営業活動の業務に関する知識や専門的な知識です。

たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 自社商材に関する知識
  • 自社業界に関する知識
  • 競合他社、競合商材に関する知識
  • 顧客の業界に関する知識
  • 顧客の企業情報や商材に関する知識
  • 売上や粗利などの数字に関する知識
  • ビジネスマナー
  • 提案書やプレゼン資料などを作成するスキル

こういった知識・スキルは、営業活動を行ううえで基礎となるものなので、必要不可欠です。

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3.ロジカルシンキング力

ロジカルシンキングとは「論理的思考力」とも言われ、物事を筋道立てて整理して論理的に考えられる力です。

従来の営業現場は、情熱や根性などが重視され、いわゆる「ごり押し」の営業が主流でした。しかし、顧客の購買行動や価値観が変わり、従来の営業スタイルでは通用しなくなっています。

商談の際、論理的に整理して提案しなければ、自社商材を導入するベネフィットを伝えられません。また、顧客が無茶な要望をしてきた際にも、論理的に対応することで自社にとっての不利益を回避できるでしょう。

4.顧客との良好な関係を築く能力

継続的にリピートしてもらいLTVを最大化するには、顧客と良好な関係性を構築しなければなりません。コミュニケーション力や理解力、顧客のニーズや課題を見極める力、顧客に寄り添う心などが求められます。

人と人との関係はすぐに構築できるものではないため、継続してアプローチし続けることが重要です。そのため、戦略的に顧客と関わり合う能力も必要でしょう。

5.ヒアリング能力

自社商材を一方的に勧める姿勢では、どんなに良い商材でも顧客は敬遠してしまいます。「顧客の課題を解決できる」「顧客のニーズを満たすことができる」という視点での提案が必要です。

そのためには、まずは顧客の課題やニーズを把握しなければなりません。そこで、ヒアリング能力が重要になります。

丁寧に質問をして傾聴し、相手の課題やニーズを引き出す能力は、営業パーソンにとって欠かせないスキルです。

6.交渉力

営業は、交渉を行う場面が少なくありません。

たとえば、顧客に値引きを要望された際、相手を納得させられるよう説明する必要があります。また、納期に間に合うように、社内の開発部門などと交渉することもあるでしょう。

相手の要望を取り入れながら、自分の意見も取り入れ、お互いが納得できるような落としどころを見極める力が必要です。

7.クロージング力

提案がうまく行っていても、クロージング力が弱いと契約に結び付かず、失注してしまいます。

クロージングとは、ヒアリングや提案などの営業プロセスを進め、契約につなげる締めくくりのフェーズを指します。

顧客の購買意欲を充分に高めてからクロージングしなければ、契約締結には至りません。また、顧客の購買意欲が高い状態になっているのに対応が後手に回り、購買意欲が低下してきてしまったときにクロージングをしても、契約にはつながらないでしょう。

顧客の購買意欲を高めるアプローチを行い、受注確度を見極めてクロージングを行う力が求められます。

関連記事:営業のクロージングとは?クロージング率を高める10テクニックと4つのコツ

営業パーソンの業務に関する態度・姿勢を測る4つの評価項目例

最後に、営業パーソンの「態度・姿勢」をどのように評価するか解説します。こちらも定性的な評価になりやすいため、本人の自己評価、上司からの評価、同僚・部下からの評価、顧客からの評価などを参考に、多角的に判断しましょう。

1.積極性

営業は、能動的に顧客と関わり合い、信頼関係を築いていく必要があります。また、積極的に取り組まなければ競合他社に遅れを取ってしまう可能性も。

そのため、積極的に業務に取り組む姿勢、積極的に顧客と関わり合う態度がある営業パーソンは、高く評価できるでしょう。

2.協調性

組織として目標を達成するためには、ほかのメンバーと協力し合う姿勢が重要です。

たとえば、トラブルが起きている後輩にアドバイスをしたり、うまくいった商談で使った提案書をチーム内で共有したりする姿勢は、組織に属する立場として高く評価できます。

また、営業は社内のさまざまな部署やポジションの人たちと関わることも少なくありません。

たとえば、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセス、開発部門、経理などが挙げられます。営業以外の従業員とも協調できることで、スムーズに営業活動を進められるでしょう。

3.責任感

営業は、自社の売上を担う存在です。また、自社の「顔」として、自社の看板を背負って顧客と直接関わり合う存在でもあります。

トラブルが起きたときや、困難な顧客に対応するときなど、最後まで諦めずに取り組む姿勢も求められます。

そのため、自分の仕事に高い責任感を持ち合わせていなければ、営業としての役目が務めることが難しいでしょう。

4.規律性

規律性は、社会人として最低限のビジネススキルですが、顧客に直接対応する営業にとっては特に重要と言えます。

社会的なルールや自社の規則を守ったうえで営業を行わなければ、顧客から「失礼な人」というレッテルを貼られ、失注を招きかねません。ひいては、自社のブランドイメージを低下させる事態にもつながります。

「社会的なルールや自社の規則を理解しているか、守ることができているか」という視点だけでなく、「上司や経営層の方針を理解した行動をしているか」という視点も重要です。

SFA(Mazrica Sales (旧 Senses) )を利用して効果的な営業評価を行う方法

営業パーソンを適切に評価するためには、今まで述べてきたように「営業実績」「能力」「態度・姿勢」といった様々な視点で判断することが重要です。

ただし、売上や受注率などの数値として定量的に判断できる指標は可視化しやすいですが、能力や姿勢などは定量的な判断になるため、可視化が難しい指標と言えます。

コミュニケーションを取って営業パーソン本人について理解したり、関わり合っている上司や部下などからヒアリングしたりする方法がありますが、人事評価を行う担当者の独断や主観が混じりやすくなるでしょう。

そうした際に、営業支援ツールの「SFA」を活用することで、定量的・定性的な評価をしやすくなります。

Mazrica Sales (旧 Senses) のセールスメトリクスとは?

SFA「Mazrica Sales (旧 Senses) 」に搭載されている「セールスメトリクス」機能は、営業パーソン一人ひとりの成果や能力などを可視化できる機能です。

Mazrica Salesに蓄積されてきた案件データや営業アクションデータを基に、営業パーソンの強み・弱みを把握できます。

営業パーソンの定量的な評価が可能になる

セールスメトリクス機能を活用すると、定量的な評価に必要な、以下の7項目を可視化できます。

    1. 受注金額
    2. 受注率
    3. 案件数
    4. アクション数
    5. リードタイム
    6. 単価
    7. 受注案件数

    売上金額以外の指標も同じ画面で確認できるため、スピーディかつ効率的に評価できます。

    レーダーチャートで営業パーソンの強みや弱みを把握できる

    上記7項目は、レーダーチャートで可視化ができます。

    チーム内の平均と比較して、どの点が強いのか、どの点がボトルネックとなっているのか、といった内容を直感的に把握できます。強みを強化したり、弱みを改善したりする際にも活用できます。

    ランキング機能で営業パーソンのモチベーションが向上する

    7項目それぞれで、貢献度が高い営業パーソンをランキングで表示することも可能。

    「受注金額が低くても受注率が高い」「リードタイムも単価も優れている」など、各営業パーソンの成果をランキングで可視化できるため、お互いを称賛し合いモチベーション向上につながります。

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    おわりに

    「売上」のみで営業を評価していた時代は終わり、多角的な視点で各営業パーソンの頑張りを評価する時代になっています。

    単に営業実績のみだけではなく、個人の能力や仕事に臨む姿勢も評価することで、一人ひとりの特性や得意分野を把握できモチベーション向上や人材育成などにもつながります。

    適切な営業評価には、数値データを可視化できるSFAの活用が欠かせません。また、SFAには顧客とのやり取りや商談履歴なども蓄積できるため、能力や姿勢などの定量的な判断もしやすくなるでしょう。

    ぜひMazrica Salesのセールスメトリクス機能を活用し、適切な営業評価を行ってくださいね。

セールスメトリクス紹介資料

営業パーソンの強み・弱みを可視化する「セールスメトリクス」を紹介します。

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