計画的に営業活動を進めていくことは、限られたリソースを効率的に投資して最大の成果を出すための近道です。
ところが理想や目標だけを反映させた営業計画を立ててしまうと、実現が難しくなってしまって会社にとって不利益を出してしまいかねません。
精度の高い売上予測を基にして正確な営業計画を立てていくためには、過去の営業履歴や売上実績などのデータを基にすることがポイントです。
今回は見込みの精度を上げて営業計画を立案していくコツと、そのためのSFA活用術をお伝えします。
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この記事の内容
営業計画とは?
営業計画とは、数値目標・STP分析・営業戦略・組織図・営業活動に関わる内外の要因などをまとめたものです。
営業計画は、営業における地図のようなものです。
初めて足を踏み入れる場所に地図もなく行く人はいませんよね。
地図である営業計画に含まれる要素には、それぞれのポイントがあります。
営業計画を立てる際のポイント
実際に営業計画を立てる際にポイントとなる項目を見ていきましょう。
ここでは、
- 数値目標を立てる
- STP分析を行う
- 営業戦略/営業戦術を立てる
の3つに分けて解説します。
数値目標を立てる
地図の目的地となる部分が数値目標です。具体的な値で数値目標を決めることが、営業関係者のやる気とモチベーションをアップさせます。
目標は高すぎず、低すぎずを意識することが大事です。 以下のKPIの立て方に関する記事も参考になるかもしれません。
営業計画を遂行するには、フォーキャスト管理を実践して立てた数値目標とのギャップが広がらないように管理することも重要です。
関連記事:フォーキャストとは?営業における重要性や手順、精度を上げる4つのポイントを解説
STP分析を行う
最適な道を見つけるために大事なのがSTP分析です。
市場はどのようなグループにわかれていて(S:セグメンテーション)、自分たちはどのようなターゲット層に商品を届けるのか(T:ターゲティング)、自社の製品はどのような独自性を持ちどのようなポジションにいるのか(P:ポジショニング)、それらを明らかにするのがSTP分析の作業です。
STP分析をせずに商品を売ることは不可能であるといっても過言ではありません。
関連記事:ターゲティングとは?代表的なフレームワーク(STP分析・6R)を紹介
営業戦略/営業戦術を立てる
目的地までどのような方法で向かうのか、それを考えるのが営業戦略です。
つまり、数値目標が決まっていたとして、それにどのようにすればたどり着けるのか営業戦術を策定して実行します。
例えば、新規顧客を30社獲得するのが目標だったとしましょう。
そうしたら、
- 新規の見込み顧客を120社獲得すること
- 目標を達成したチームにボーナスの支給
- マーケティングチームと協力してイベントの開催
といった営業行動の過程が見えてくるはずです。
営業戦略の詳しい立て方については、以下の記事が参考になります。
【参考記事】営業戦略の立て方 | 目標設定から顧客満足までの5つのステップ
営業計画書作成に役立つ新規営業管理テンプレート
日々の営業活動ではどんな項目を管理していけば良いのでしょうか?
- 取引先情報
- 顧客の担当者情報
- 案件情報
- 営業活動情報
の管理が一般的です。
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営業計画に必要な7つの項目
営業目標を達成するために立てる計画の具体的な項目は、以下のようなものが挙げられます。
- ミッション
- ターゲット
- チーム体制
- 予算
- 必要なツール
- 営業におけるKPI
- 具体的なアクションプラン
最初から目標を設定するのではなく、目標達成に必要な、営業活動に関わる内部要因(チーム体制や予算など)・外部要因(ターゲット市場や競合の状況など)を考える必要があります。
それらの情報をもとに目標(KPI)を設定し、続いてその目標を達成するための具体的なアクションプランを設計する流れです。
「営業計画」は上記の項目に分解し、1つ1つ設計していく必要があります。
関連記事:営業アクションプランの書き方・立て方|目標達成までの道筋の描き方
営業計画の項目①ミッション
営業計画を立てる際は目標となる数字に目が行きがちですが、ミッションつまり「何のためにその営業目標を達成するのか?」を明確にするところからスタートします。
なぜミッションが重要なのかと言うと、数字だけでは営業パーソンのモチベーションが維持できない可能性もあるからです。目的のない目標に向かって働き続けられる人材はほとんどいません。
目標の先にあるビジョンを明確にすることが重要なのです。
営業計画の項目②ターゲット
次にターゲットを明確にします。ターゲットが曖昧だと、具体的な営業施策も曖昧なものになってしまいます。
そのため、ペルソナを設定し、顧客ターゲットを明確にすることが重要です。
関連記事:ペルソナマーケティングとは?ペルソナの設定方法から注意点まで
営業計画の項目③チーム体制
次に重要なのが「チーム体制」です。特にBtoBビジネスの営業は一人で営業活動を完結させることが難しいと言っていいでしょう。
営業部門間の連携はもちろん、マーケティング部門との連携を密にすることで営業目標を達成しなければならないケースも多々あります。
誰がどのような役割を担うのか?具体的な業務を明確にすることで、より具体性のある営業計画を作成することができるわけです。
営業計画の項目④予算
営業目標を達成するために、まずはどの程度の予算が必要なのか?またはどの程度の予算が割り当てられる予定なのか?を把握することが重要です。
なぜなら、予算の範囲の中で出来うる計画を立てなければならないからです。
営業目標を達成するために、新たな人材が必要になるケースもあるでしょうし、新たなツールが必要になるかもしれません。
洗い出せる費用項目は最初に洗い出しておきましょう。
営業計画の項目⑤必要なツール
営業計画を作成し、目標に向けて動いていく際に、人の力だけではどうにもならない場合もあります。
時間は有限なので、生産性や営業効率を上げることができたり、成果につながるツールであれば予算の範囲の中で積極的に活用するといいでしょう。
営業計画を推進する上で、例えばSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客関係管理ツール)などを活用するのはおすすめです。
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営業計画の項目⑥営業目標(KGIとKPI)
KGIと前述のKPIも営業計画を策定する際に必要な項目です。KGIとは「目指すべき最終的な目標」であり、KGIを達成するためにKPIという指標を設定します。
仮に今期の売上をKGIとして設定したのであれば、そのKGIを達成するために必要なKPI(例えば、フィールドセールスであれば商談数、インサイドセールスであれば、架電本数など)を設定し、日々KPIを意識した営業の行動計画を想定することが重要になります。
一般的に言われているようなKGIやKPIではなく、自社の状況やビジネスモデルなども踏まえたKGI・KPI設定が大切です。
営業計画の項目⑦具体的なアクションプラン(行動計画)
そして、最後に具体的なアクションプラン(/行動計画)を作成します。初めからアクションプランを書こうと思っても、なかなかうまくいきません。
これまで紹介してきたような営業の項目を丁寧に埋めていきながら、最後にプランを作成することで、納得感の高い計画を作ることができます。
営業計画通りにいかない3つの理由
会社の経営では、売上予測を立ててそれに基づいて原料の調達や人手の確保を行っていきます。
予測していた売上が入ってこないことになると在庫が増えてしまったり人手が余ってしまったりします。
一方、予定外の売上があると原料不足になったり残業代が多くかかってしまったりするということも。
そのため、限られたリソースを効率的に投資していくためには、精度の高い売上予測が欠かせません。
そうした売上予測に欠かせないのが、正確な営業計画です。
しかし、売上計画をしっかり立てていたつもりでも売上精度が低いように感じられることが多々あるはずです。
そこで、ここでは営業計画に基づく売上の精確さを阻害する要因について紹介します。
1.受注の前倒し
商談にて顧客から「社内稟議があるため正式な発注はだいたい3カ月後になりそうだ」と言われるのは、営業現場ではよくあることです。
しかし、マネージャーから「来月の売上見込が少ないからなんとか来月の受注にするよう手配してくれ」と受注の前倒しを指示されることもあるでしょう。
本来は3カ月後の受注となるものを1カ月後にするため、営業担当者はその顧客のフォローで手一杯になってしまい他の顧客への対応や新規開拓がないがしろになってしまいます。
1ヵ月後の受注にするため顧客にも無理を強いることになれば、結果として信頼感を失って失注してしまうかもしれません。
まして、BtoBであれば社内の購買プロセスに時間がかかってしまうため、確実に来月の売上にできるかどうかも判断できかねます。
このように目先の売上ばかりを追ってしまうと後々の売上予測にも影響を及ぼしてしまいますし、コストがかかってしまったり営業チャンスをロスしてしまったりすることにもつながるのです。
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2.顧客都合での受注遅延
先ほどの例と同じように「正式な発注は3カ月後になりそうだ」と顧客に言われていて、3カ月後に連絡をしたところ「忘れていた」「まだ社内稟議に時間がかかっている」と、顧客の都合で受注が先送りになることもあります。
この場合も見込んでいた売上がなくなってしまうため、売上予測が外れてしまっています。
このケースでは営業担当者が直接的な原因ではありませんが、その間にフォローをしたり連絡をしたりする気配りがあればこのような事態は避けられたでしょう。
3.受注予定の未報告
先ほどの例のように3ヵ月後など先の受注予定の場合、営業担当者がマネージャーなどに報告しないことで売上予測の精度を下げている場合もあります。
確実な受注となる発注書や契約書を取り交わすまで報告を怠っていると、急な売上が発生してしまうことになるからです。
急な受注が入ってしまうと、生産計画が狂ってしまい人員の確保も難しくなってしまいます。
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正しい営業計画の立て方・実行方法
精度の高い売上予測を立て、正しい営業計画を立案して実行していくことは、営業メンバーのモチベーション維持や企業の成長に欠かせません。
実行可能な正しい営業計画を立てるためには、過去の営業データを基にして目標数値やアクションを決めていく「データドリブン」の方法が最適です。
ここでは、営業計画にどのようにデータを活用してどのように実行していくのかを解説していきます。
データを活用した営業計画の立案
- 過去の営業実績の分析・検証
- 過去データをもとに新規取引の売り上げ予測
- 営業計画の立案
正しい営業計画を立てるためには、まずは過去の営業実績を分析・検証する必要があります。
過去の営業データを蓄積できていれば、過去の月別売上実績など必要なデータをすぐに引き出すことができます。
新規開拓により最近になってから新しく取引するようになった企業などがあると思うので、過去の同規模の取引先の実績などを参考にして売上予測を立てましょう。
データを基にすると現実的な売上見込を予測することができます。
その売上予測を基に売上目標を決め、経営計画や事業計画を加味して、どのような営業プロセスでどのような営業アクションを行っていくかを計画していきます。
また、営業現場の声なども参考にしながら営業計画を立てることで、より実現可能な営業計画を立案することができるでしょう。
【関連記事】営業データ分析の手法3つ!見るべき項目やSFAを活用した分析手法
データを活用した営業活動の実施
営業計画を立案したら、実際の営業活動へと落とし込んでいきましょう。
そのとき各アクションのKPI(重要業績評価指標)を設定しておくと、実際のアクション数との乖離が明確に現れるため、早期にボトルネックを発見してリカバリーしやすくなります。
例えば、週別や月別のクロージング数や、クロージングまでのリードタイムなどをKPIとして設定すると良いでしょう。
そしてこのようにデータを活用して営業活動を分析する際には、実際の営業活動とKPIではどのくらいの差が出てしまっているのかを把握するだけでなく、トップセールスと他メンバーの数値の差異なども分析することで最適な指導をすることができます。
また、今まで営業活動にデータ活用をしてきていなかった営業組織では営業メンバーが窮屈に感じてしまいデータ入力に協力してくれない可能性もあるため、最初に現場へしっかりと方針を伝えて理解してもらってから始めるようにするのもポイントです。
関連記事:データドリブン営業とは?データドリブンセールスパーソンの育成方法!
SFAを活用した営業計画の立て方とモニタリング例
ここでは、SFAを活用した営業計画の立て方とモニタリングの方法について解説していきます。
合わせて、AI機能を活用して精度を高めるためのツールも紹介しますので、参考にしてみてください。
SFAを活用した営業計画立案
データを活用した営業計画立案には、SFA(営業支援システム)の導入がおすすめです。
SFAには顧客情報だけでなく日々の営業アクションや案件の情報を蓄積でき、売上実績とともに分析することが可能なので、データドリブンな営業に必須のツールです。
【関連記事】SFAとは?CRMとの違いは?意味・役割・主な機能をどこよりもわかりやすく解説
SFAに蓄積されているデータを基に分析すると「一ヵ月のうちに10件の受注を取るためには、○件の新規との商談を実施しなければいけない」「テレアポでの受注率が高いからテレアポは1日○件したほうがいい」「リードタイムが短い案件は3回以内の訪問で受注が取れている」などの仮説を立てることができます。
これらのデータを基にして毎月の営業アクションのKPIを定め、営業計画に落とし込んでいくのです。
SFAを活用したモニタリング例
そして営業計画は立案だけでなく、実現率もSFAでモニタリングするようにしましょう。
営業担当者ひとりひとりが日々の営業活動を入力していくことによって課題を早期に発見することができます。
例えば「商談件数が足りない」「ひとつの取引先に対して訪問回数が多すぎる」などの課題やボトルネックが見つかれば解決を見越した営業行動計画の立案が可能になります
SFAではレポート機能が搭載されており、営業アクション分析やファネル分析(受注率の分析)などを活用することで課題を見つけやすくなります。
AIを活用した着地見込みの精度向上
SFAにはAIが搭載されている製品もあり、AIを活用することでより精度の高いデータ分析が可能になります。
今までに蓄積された営業データをAIが分析して受注の確度を測り、効果的な営業アクションをレコメンドしてくれます。
AI搭載のSFAで代表的なものは「Mazrica Sales (旧 Senses)」と「Sales Cloud」があります。
◆Mazrica Sales (旧 Senses)
現場目線のUI/UXで使いやすさに定評のある「Mazrica Sales (旧 Senses)」にはAIフォーキャスト機能が搭載されています。
Mazrica Sales (旧 Senses)のAIフォーキャスト機能でできることは主に3つ。
まずは契約確率の予測をし、想定されるリスク要因とともに提示してくれます。
事前にリスクを把握しておくことで対策を練ってからアクションに移すことができるため、効率的に受注を取ることができるでしょう。※目標に対する達成度合いが%表示され、過不足が金額で表示されます。
AIフォーキャストでは、AIを活用しつつ予実管理を行うことが可能です。目標に対する実績の差分を可視化し、優先度の高い案件を把握できます。
注力する案件の優先度を判断するために、「スコアリング」の機能があり、AIが予測する契約金額、契約確度、契約予定日を総合的に加味して、S/A/B/C/D/E/Fの7段階のスコアリングが可能です。
また、案件を進めていく上でリスクがあるものは行動リスクに⚠️マークが表示されます。
営業現場は日々のデータを蓄積していくだけで受注確度の高いアクションがわかるため、負荷なく効率的な営業活動をしていくことができます。
【URL】https://product-senses.mazrica.com/
◆Sales Cloud(セールスクラウド)
世界中でもっとも導入企業が多いSFAである「Sales Cloud」には「Einstein」というAIが搭載されています。
商談につながる確率が高いリードの抽出、次のアクションの提案など効率的な営業活動をサポートしてくれます。
AIのサポートにより受注の確率が高まり、より精度の高い予測を立てることができるでしょう。
【URL】https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/
終わりに|SFAを活用してデータに基づいたブレのない営業計画を作成しよう
正確な営業計画は、効率的で健全な組織運営には欠かせません。
そのためには日々の営業活動や売上を蓄積し、多角的に分析していく必要があります。
「営業に行って終わり」ではなく、過去の営業をデータ化して活用していくことで、未来の売上につながるのです。
SFAツールの活用によって、進行中の案件の進捗管理と蓄積データの分析・予測が同時に行えるため、データに裏付けられた高精度な営業計画書を作成することが容易になります。
現在SFAを導入している企業も、顧客管理や売上管理だけでなく、これからは営業計画にもSFAを活用してみてくださいね。
こちらの資料では、本文でもご紹介した「Mazrica Sales (旧 Senses)」の機能詳細や現場での活用方法について詳しく説明していますので、「営業計画の作成に適したSFAを導入したい」と考えている方はぜひご覧ください。

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