日々の業務で当たり前のように行われているフィードバックですが、自分のフィードバックが効果的かどうか不安になったことはありませんか?

実は、フィードバックは適切な方法で実行しなければ効果が期待できません。
今回は、フィードバックについての基礎知識を理解していただき、営業組織にとって最適なフィードバックのやり方について解説します。

営業力強化のために、ぜひ本記事を参考にして効果的なフィードバックを実行しましょう。

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フィードバックとは?

正しいフィードバックのやり方とは?効果が出る3つのポイントを解説!|1
フィードバックとは、アクションに対する評価や指摘などを口頭もしくは文章などで伝える育成手法です。

具体例としては、部下の業務上のミスについて上司が状況や原因などを振り返らせ、部下自身がミスについての原因や再発防止を考えることを促す場面がフィードバックです。

また、上司(先輩)と部下(後輩)という関係でなくても、ビジネスシーンでのフィードバックはあります。

例えば、お客さまが商品についての感想や要望などを企業に伝えることもフィードバックです。

もともとフィード(feed)とは「食べ物を与える」という意味です。
つまりフィードバックとは、役に立つもの、糧になるもの。

上記の例でも、上司のフィードバックは部下の今後の業務改善に活かされますし、お客さまのフィードバックは商品開発や改良の糧になります。

フィードバックは、される側は今後の活かされるものだと考え、する側はモチベーションを上げたり動機づけをしたりするものだと意識することがポイントです。

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フィードバックの目的

フィードバックの最も大切な目的は、部下の成長をサポートすることです。上司や管理職の立場から、客観的な評価を伝えることで、部下が幅広い視点で自分のやるべきことを確認できるようになります。

そうすれば、目標達成に向けて不足している点が見えてきた時、部下自ら改善のヒントを見つけられるようになります このようにフィードバックを行うことで、モチベーションの向上やパフォーマンスの一層の向上が期待できます。

フィードバックが注目される背景

近年、ビジネスの場でフィードバックが注目されている大きな理由として、以下の2点が挙げられます。

マネジメント対象の多様化

かつては上司が年下の部下を指導するのが一般的でした。しかし最近では、実力主義の広がりや再雇用制度の導入などにより、年齢や役職に関わらず多様な上下関係が生まれています。

国籍や障がいの有無による違いもあり、さまざまなメンバーに対応できるマネジメント力が求められるようになったのです。そうした中で、適切なフィードバックの重要性が高まっています。

ハラスメント問題への意識の高まり

上司が部下に対して厳しい指摘をした際、それがハラスメントと受け取られかねないという懸念も広がっています。

「傷つけてしまうのでは」と言葉を控えがちになり、結果的にフィードバック不足になりがちです。しかし部下の成長にはフィードバックは欠かせません。

そのため、適切な方法でフィードバックできる技術が注目を集めています。

フィードフォワードとの違い

フィードバックのほかに、最近では「フィードフォワード」という手法が注目されています。

フィードバックは“back=振り返る”という意味のため過去の出来事を振り返ることで問題解決を促しますが、フィードフォワードは“forward=先に”という意味があるため未来にフォーカスします。

未来を予測してどういう行動をしたらいいのかということを考えたり、未来についてのアイデアを出し合ったりします。

つまり、フィードフォワードとフィードバックは焦点を当てる時間軸が異なる点で違います。
フィードバックは結果から原因を探って改善点を見つけるため、より具体的な改善点を導くことが可能です。

一方のフィードフォワードは、未来を見据えて改善策を考えます。

フィードバックのメリット・デメリット

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フィードバックをすることにより、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

フィードバックのメリットや効果

フィードバックのメリットには、主に4つのことが挙げられます。以下で詳しく解説します。

・モチベーションの維持、向上
最適なタイミングで適切なフィードバックをすることは、対象者のモチベーションの維持や向上につながります。

誰しも、自分がした行動や成果をしっかりと見てもらえていて、評価してもらえることは嬉しいですよね。

もしネガティブな内容だったとしても、適切にフィードバックすることによって対象者を正しい方向に導き、モチベーションを引き出すことができるのです。
モチベーションアップすることによって、自然と仕事のパフォーマンスも向上するでしょう。

・目標達成に近づく
定期的にフィードバックの時間を設けることで、目標達成につながる道筋を示したり軌道修正をしたりすることが可能です。

例えば月間の売上目標が定められている場合、週単位もしくは2週間単位でフィードバックをすることにより、どの顧客へどのようにアプローチしたらいいのかがわかります。

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・人材育成
適切なフィードバックは対象者が自主的に考えることを促します。

フィードバックする側はヒントを出したり誘導したりするだけで、明確な答えは伝えないようにします。

そうすることによって、対象者自らが原因を特定したり解決策を考えたりすることができるのです。

内省の習慣が身につくことで対象者は自分自身で考えて答えを出すことができるようになり、将来的な成長が期待できます。

また、自分よりも経験やスキルが優れている人物からのフィードバックを受けることで、新しいスキルを学んだり仕事に対するマインドを高めたりすることができます。

・上司と部下の関係構築
フィードバックが対象者(部下)にとってプラスのものになれば、上司に対する信頼度も増します。

「自分の仕事ぶりをしっかりと見てくれている」ということもわかるため、さらなる信頼関係を築くことができるでしょう。

またフィードバックの時間を設けて直接話す機会を作ることで、コミュニケーションの促進にもつながります。

フィードバックのデメリットや注意点

・人間関係に影響が及ぶ可能性もある
フィードバックする側の言葉や、フィードバックされる側の性格などによって、人間関係にとってマイナスな影響をもたらす可能性があります。

例えば、する側が少し強い言い方だと言い争いになってしまったり、される側が打たれ弱い性格のため落ち込んでしまったりすることも。

本人のモチベーションや人間関係に影響が出てしまうケースもあること、最悪の場合はハラスメントと思われてしまう可能性もあることを考慮しましょう。

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・する側がフィードバックについて学ぶ必要がある
本人のモチベーションを下げてしまったり、組織の人間関係を悪化させたりしてしまっては元も子もありません。

そのためフィードバックをする側は、まずはフィードバックについて深く理解してから始めるようにしましょう。

例えば「あなたはやる気があるからすばらしい」という言葉は、言われた本人は嬉しいかもしれませんが、フィードバックではありません。

また「売上目標にはほど遠いじゃないか」という言葉も、原因や解決策を導くものではなく、ただのダメ出しです。

フィードバックとは、アクションについてアドバイスや評価を行うもの。
する側が正しく理解していなければ、フィードバックにはならないのです。

関連記事:「「褒め」スキルを身につけて効果的なフィードバックを行う秘訣を今すぐチェック!」

フィードバックの2つの種類

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ここではフィードバックの種類について解説します。フィードバックには2種類あり、それぞれ目的によって使い分けることが大切です。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、相手の前向きな姿勢に対し、指摘や批判をせずに前向きな言葉を使うフィードバックの種類です。

ポジティブフィードバックを用いることで、相手の自己効力感を高め、モチベーション管理を行いやすくなります。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、相手の問題点や課題を指摘することにより、部下自身が気付き考えて問題解決に導く力を促します。

指摘や批判は一般的に健全ではないように思われがちですが、自ら気づき、考えて改善を行うという点で、大きな成長を見込むことができます。

しかし、過度なプレッシャーを与える可能性もあるため、言葉選びや言い方、タイミングなどには気をつけましょう。

フィードバック手法4選

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ここでは、具体的なフィードバック手法について解説します。

1.サンドイッチ型フィードバック

パンに具材を挟むサンドイッチのように、「褒める」(ポジティブ)→「指摘」(ネガティブ)→「褒める」(ポジティブ)という流れでフィードバックを行う方法がサンドイッチ型フィードバックです。

ネガティブな内容だけでは、対象者の気分が落ち込んでしまったり雰囲気が悪くなってしまったりします。

しかし、ポジティブな内容から始めてポジティブな内容で終わることにより、部下の自尊心を傷つけることなくフィードバックをすることが可能です。

ただし、サンドイッチ型ではネガティブな内容が薄れてしまって対象者の記憶に残らず「褒められた」としか思わない可能性もあります。

【例】
資料作成ありがとう。急に頼んだのに、時間内に提出してくれてとても助かりました。
ただ、少し誤字が多かったです。次からは正確性も意識して、作成した資料を見直す時間を設けると良いですね。 資料のクオリティやスピードは期待以上だったので、今後も期待しているよ。

2.SBI型フィードバック

Situation(状況)→Behavior(行動)→Impact(影響)の順番で行う方法がSBI型フィードバックです。

例えば、部下のミスについてのフィードバックをする際に「どのような状況だったのか」「どんな行動をしたのか」「どんな影響(ミス)になってしまったのか」という順序で、事実確認をしつつ原因や改善策を導きます。

順番に考えることにより対象者は内容を理解しやすいことが特徴ですが、対象者によっては「怒られた」「批判された」などと思ってしまう可能性も。
シーンに合わせてうまく使いましょう。

【例】
今日お客さまには、いつも発注していただいている商品Aのほかに、先日提案した商品Bを試しに使ってくれると言ってくれたから一緒に納品しなければいけなかったんだよね。(状況確認)
でも、君はお客さまからの発注書の確認が漏れ

ていて、商品Aしか納品しなかったようですね。(行動確認)
このことによってお客さまからの信用が下がってしまったと思うよ。それに、せっかく商品Bの契約チャンスだったのに、その機会もロスしてしまったよね。(影響確認)

3.マッキンゼー型フィードバック

マッキンゼー・アンド・カンパニーが使っているフィードバックのフレームワークがマッキンゼー型です。
3つのステップに沿って話していく方法で、主に改善点の指摘に最適の方法だと言われています。
3つのステップとは以下の流れです。

・Part A:改善してほしい点の指摘
・Part B:その行動によって、自身が感じたこと
・Part C:改善策の提案

【例】
いつも電話で業務報告をしてくれますよね。(PartA)
でも、移動中や商談中は電話に出られないし、電話だと記録に残せないから振り返られないんだよね。(PartB)
これからはSlackで報告をくれると助かるな。Skackなら移動中でも確認してすぐに返信できるし、テキストとして残るから振り返られるしね。(PartC)

4.ペンドルトン型フィードバック

心理学者のペンドルトン氏が開発したペンドルトン型フィードバックは、決められた順序に話していく方法ですが、する側とされる側が言葉のやり取りをすることが特徴。

ペンドルトン型では「話すことの確認」→「良かった点」→「改善点」→「今後の行動計画」→「まとめ」という流れで、する側とされる側がキャッチボールをしていきます。

一方通行のフィードバックではなく、対象者が自身で考えて自らの言葉で表現する時間を設けることで、より対象者の内省を促します。
誰かに指摘するよりも自分で考えたほうがモチベーションアップにつながりますし、フィードバック後の人間関係が良くなる効果もあります。
ただし、フィードバックの内容によっては会話が長くなり、終わるまで時間を要することもあると頭に入れておきましょう。

【例】
<上司>
最近はオンライン商談がメインになったけど、受注数は以前とほとんど変わっていないね。(確認)

<部下>
そうですね。オンライン商

談がメインになったことで、今まで営業に行けなかった地方のターゲットにも新規アプローチができています。そのため新規の受注を増やすことができました。(良かった点を内省)

<上司>
確かに、最近は地方の顧客が増えているね。君のオンライン商談の録画を確認したけど、資料を適切に活用して丁寧に説明していたから、それが良かったと思うよ。(良かった点を褒める)
ちなみに、オンライン商談

に切り替わってから既存顧客のフォローはどうかな?(改善点を考えるきっかけ作り)

<部下>
今まで訪問営業をしていた既存顧客のみなさんは、なかなかオンライン商談に馴染めないようで、顔を見て話すことがほとんどできていません。新しい商材がリリースしたので、今度資料を送付してみます。(改善点)

<上司>
資料送付だけだとあまり伝わらないから、やはりオンライン商談で説明できたらいいね。顔を見て話せるだけでなく、画面共有でデモ画面も見せることができるから効果的だよ。再度、既存顧客にオンライン商談を案内してみてもいいかもね。(改善点の補足

<部下>
では、まずは明日、新しい商材の資料送付をして、2~3日後に電話でアプローチしてみます。併せて、ユーザー登録などが必要なくて抵抗なく使えるようなオンライン商談ツールも探してみようと思います。(行動計画)

<上司>
SFAに進捗を登録してくれたら確認するね。既存顧客のフォローが増えたら地方の新規アポイントのリソースが足りなくなるか

もしれないから、地方のお客さまは新人のA君に割り振ってもいいよ。(改善点の補足)

<部下>
では、既存顧客の進捗状況はSFAに登録していきますね。A君には今から指示をします。(まとめ)

フィードバックを効果的に行うポイント

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日々数字と向き合う営業組織にとって、フィードバックを適切に行うことで数字の向上につながる可能性もあります。
営業組織にとって効果的なフィードバックを実行するためのポイントをお伝えします。

具体的なフィードバックを意識する

フィードバックを適切に伝えるためには、できるだけ具体的な内容を心がけることが大切なポイントです。

抽象的な表現は、受け手によって捉え方が異なってしまう恐れがあり、本来の意図がうまく伝わらないかもしれません。

ポジティブな賞賛でさえ、漠然とした言葉では相手の自信につながらない可能性があります。一方、ネガティブな指摘も、具体性に欠けると、不快な印象を与えてしまい、本質が伝わりにくくなってしまいます。

特に改善点を指摘する際は、相手が明確に何を直せばよいのかわかるよう、分かりやすい言葉で伝えることが重要です。

例えば、部下の作成資料への提案を伝える時も、「資料が読みにくい」と漠然と言うよりは、「文字を大きめにした方が良いかも」「重要な順に並べ替えてみよう」など、具体的なアドバイスに言い換えた方が、スムーズに意図が伝わるでしょう。

さらに、相手の経験や習熟度、立場に合わせて、実行可能な内容に調整することも大切なポイントです。

フィードバックはお互いにプラスになると意識する

フィードバックは、個人にとっても組織にとってもプラスになるものでなければなりません。
しかし、伝え方や態度ひとつで、人間関係への影響やモチベーションの低下を引き起こす可能性もあります。

そのため、フィードバックとはお互いにとってプラスになるものだという認識を、上司も部下も共有しておく必要があるでしょう。

特に部下にとってフィードバックの時間は「何を指摘されるのだろう」とビクビクしてしまうかもしれません。

「あくまでも批判や否定をしたいのではなく、より良くするための手段としてフィードバックの時間を設ける」ということをしっかりと伝えて共有しておく必要があります。

1on1ミーティングでフィードバックを行う

営業職は商談やアポイントが多く、普段の業務のなかでは部下とじっくり話す時間を確保できません。

そこで、上司と部下が1対1でコミュニケーションを取ることができる1on1ミーティングを設け、意図的に話す機会を創出することがポイントです。

1on1ミーティングは、日本だとヤフーやグリーなどのIT系企業が導入しています。

1on1ミーティングは週1や月1などの定期的に行い、30分~1時間ほど話す時間を設けます。
しっかりと時間を確保しているため、ペンドルトン型フィードバックのような時間がかかるフィードバックでも行うことができます。

1on1ミーティングが必ずしも対面である必要もないので、オンライン会議ツールがあればテレワーク下でも実行することが可能です。

SFAを活用してフィードバックの過去と未来をつなげる

フィードバックは、過去の具体的なアクションや結果をもとにして評価していくものです。
つまり、過去について振り返ることができなければフィードバックをすることは不可能。

そのため、営業組織のフィードバックのシーンではSFA(営業支援ツール)を活用しましょう。

SFAには案件や営業アクションなどの営業活動に関するデータが蓄積されているので、SFAを見ただけで部下の過去の営業について把握できます。

売上実績や目標達成などのレポート機能があれば、部下の良い点や問題点についても客観的に分析することが可能です。

部下本人にSFAのデータを確認させ、自分自身でボトルネックや課題を見つけるように促すこともおすすめ。

自分自身の行動をSFA上で振り返る習慣を身につけさせることで、いずれは自らフィードバックできるように成長することも期待できるからです。

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終わりに|適切なフィードバックで組織力を高めよう

営業組織にとって適切なフィードバックは、営業個人の能力を引き出すだけでなく、信頼関係を築いて営業組織としてのチームワークを高める効果もあります。

シーンや対象者によってフィードバックのやり方を変えながら、より効果的なフィードバックをしていきましょう。

また営業組織にとって欠かせないツールであるSFAは、フィードバックをはじめとするマネジメントシーンに役立ちます。
営業組織の強化をしたいと考えている方は、ぜひSFAの導入や活用を検討しましょう。

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