理想の上司と言えば誰を思い浮かべますか?

親しみやすさ、優しい雰囲気に加えて上司としての頼もしさに票を集めたようです。理想の上司として、管理職として、部下から求められるスキルとは何でしょうか。

今回の記事では、管理職に求められるスキルとは何かをや、スキルを高める施策について紹介します。

管理職とは?

管理職とは、他の従業員や部門の活動を監督・調整する役割を持つ、組織内でリーダーシップを発揮する職位のことです。
管理職には様々なレベルがあり、それぞれ責任範囲や権限が異なります。
管理職の種類について、以下の項目で説明します。

管理職の種類

管理職は、大きく分けて以下の3つに区分できます。

上級管理職(エグゼクティブ)

上級管理職とは、企業全体の戦略的な方向性を決定し、経営に直接影響を与える役職です。
CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、COO(最高執行責任者)などが含まれます。

中間管理職

中間管理職は、上級管理職と一般従業員の間に位置し、具体的な部門やプロジェクトの管理を担当します。
部長、課長、マネージャーなどが該当します。

関連記事:部長の役割とは?課長との違いや7つの業務内容・必要なスキルを解説

下級管理職

下級管理職は、直接部下を指導・監督し、日々の業務運営を管理します。
係長や主任、現場のチームリーダーなどが下級管理職に当たります。

管理職の役割

管理職は、組織の目標を達成するために重要な役割を担います。 管理職の役割を具体的に説明します。

計画立案

管理職の主な役割の一つは、組織や部門の目標を設定し、達成のために計画を策定することです。
計画立案の際には、戦略的な視点で将来を見据え、資源をどのように活用するかを決定する必要があります。
計画立案には、短期的なタスクのスケジューリングから、長期的なビジョンの策定までが含まれます。

関連記事:営業計画の立て方・作り方とは?目標達成のための必須項目も解説!

目標管理

管理職には、達成すべき具体的な目標を定め、設定した目標に向けて組織やチームの活動を効果的に管理する役割があります。
一般的に、SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限がある)基準に従って目標を設定し、目標達成のために進捗を定期的なモニタリングを行います。
進捗が遅れている場合や障害が発生している場合は、迅速に対策を講じましょう。
チームや個人に対しては、パフォーマンスレビューを行い、フィードバックを提供することが重要です。

関連記事:目標管理の4つのコツ|部下のモチベーションを最大限引き出す

人材育成

従業員のスキルや知識を向上させるための機会を提供し、彼らが自身のキャリア目標を達成できるようサポートする役割も重要です。
管理職は、具体的には、トレーニングプログラムやワークショップの開催、メンターシップの提供、職務ローテーションの実施などを担うことがあります。
また、個々の従業員の強みや開発が必要な分野を特定し、パーソナライズされた成長計画を策定すると効果的です。

関連記事:人材マネジメントとは?パフォーマンス最大化・最適化の「4つのポイント」

コミュニケーション

効果的なコミュニケーションは、管理職の成功に不可欠な要素です。
組織内外の関係者と適切なコミュニケーションを図り、情報の共有の促進、組織連携の強化を目指します。
オープンな対話を促し、チームメンバーが自由に意見を述べ、フィードバックを交換できる環境を作ることも重要です。

関連記事:部下とのコミュニケーション7つのコツ|成長を加速させる指導術

意思決定

管理職は、リーダーシップを発揮して意思決定を行い、組織が目標に向かって確実に進むように判断する重要な役割を担います。
意思決定の場は、日常的な小さな選択から、組織全体に影響を及ぼす重要な決断まで多岐にわたります。
また、決定の実施後は、結果を評価し、必要に応じて調整や修正を行う必要があります。

管理職に必要なスキル

与えられた業務をただこなしていれば良かった一般社員と異なり、管理職に求められることは多岐にわたります。

そのなかでも特に重要な仕事が「部下の育成」と「組織のマネジメント」です。

また、管理職といってもチームリーダーなのか、課長なのか、部長なのか、それとも経営者なのかによって与えられる役割が異なります。

そこで管理職の段階に応じて必要とされるスキルについて、ハーバード大学のロバート・カッツ教授によって提唱されている「カッツ・モデル」をご紹介します。

「カッツ・モデル」では以下の3つのスキルに分けられています。

  • テクニカルスキル
  • ヒューマンスキル
  • コンセプチュアルスキル

上記の3つのどれかが優れてればマネージャーとして優れている、という訳ではありません。

自分の立場により3つのスキルの求められている比重が異なります。それぞれ特徴を見ていきましょう。

テクニカルスキル(業務遂行能力)

テクニカルスキルとは、業務を遂行する能力のことです。つまり日々業務を実行するにあたり必要となる知識やスキルになります。

チームリーダーや係長などのいわゆる「現場」に近い管理職は、テクニカルスキルに多くの比重がおかれます。

ただ、管理職であるという立場を忘れないようにしましょう。

自身で抱えてる業務を遂行するだけであったり、「部下が仕事を出来ないから」という理由で仕事を取り上げたりすることが管理職ではありません。

テクニカルスキルとは自分一人で業務を遂行する力ではなく、組織として全体をマネジメントするスキルです。

ヒューマンスキル(対人能力)

ヒューマンスキルは、対人関係の能力です。良好な対人関係を築くという意味合いだけではなく、リーダーとして「組織に働きかける力」と考えることもできます。

  • リーダーシップ
  • コミュニケーション
  • ファシリテーション
  • コーチング
  • プレゼンテーション
  • 交渉力と調整力

上記のようなスキルが相互に影響してヒューマンスキルは構成されています。

全ての管理職に対して「部下の指導」「組織を目標に向かって導く」といったヒューマンスキルが共通で求められます。

▶︎▶︎【管理職の方におすすめ!】マネージャーが必ず意識すべき3ステップとは?

コンセプチュアルスキル(概念形成力)

コンセプチュアルスキルは、概念形成力と言われる能力です。

取り組むべき課題の本質を見極めるスキルになります。

例えば、具体的な将来像を描いたり、現在の環境を分析して計画や予想を立てたり、問題を解決する能力のことです。

チームリーダーや係長であれば「○○さん、今日の17時までに△△の件よろしくお願いします。」といったように直接、細かい業務の指示があります。

しかし、経営者や部長の役割は現場のマネジメントではなく、会社の戦略を立て、実現するための組織を作ることにありますので細かい指示を個別に出すことが少ないでしょう。

コンセプチュアルスキルとは、本質的な課題を分析し、目標や予想を立てて、組織をひとつの方向に向かって動かす能力のことを言います。

業務上トラブルが起きたとしても、本質的な課題をとらえる能力があれば問題を解決に導くことができます。

コンセプチュアルスキルは特に部長や経営者などの上位管理職に求められる比重が大きくなります。

部下に嫌われないように気をつけるべきこと

管理職に求められるスキルとは?能力を高めるための施策もご紹介 | Mazrica Sales (旧 Senses) Lab. | 2

時には部下への厳しい指導が必要な場合もありますが、嫌われる上司には共通した項目があります。

嫌われる上司を4つのパターンでご紹介します。

1.自分の保身しか考えてない

トラブルが発生した際にまず一言目が「俺は聞いてない」「おまえがやったことだから責任は自分でとれ」など、責任から逃げる上司は真っ先に嫌われてしまいます。

本来部下の状況把握は上司の責任であり、「聞いてない」は管理職として言い訳にもなりません。

また、問題が発生した際に部下と一緒に問題を解決することが上司の役割です。部下を怒鳴りつけることで問題は解決しません。

なぜなぜ問題が発生してしまったのか建設的に対応することが重要です。

部下に信頼されるためには課題を正面から捉え、一緒になって真摯に対応する姿が不可欠です。

2.自分の好みで部下をえこひいきする

管理職であっても部下に対する感情はあります。

性格的に合うタイプ、合わないタイプの部下がいると思います。

ですが、ビジネスの世界ですので自分の性格に合う、合わないは関係ありません。

特定の人物をえこひいきすると組織全体のパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。

「同じ仕事をしているのに○○さんだけ評価が高い」と思われるような評価に関連することだけでは無く、話し方や接し方など部下への対応は皆平等かどうかを常に意識しましょう。

3.毎回言う事が変わる

組織のリーダーは目標を設定し、目標達成に向かって組織を動かす必要があります。

目標達成への道のりの中で様々な課題の壁にあたるかもしれませんが、リーダーが先頭に立ち壁の乗り越え方を探るのが重要となってきます。

課題への対応を実施する際に、リーダーの言う事がコロコロ変わってしまったら部下たちからの信頼を失います。

目標に向かって進む中で、上司は一貫性を持って組織を引っ張らなくてはなりません。

上司の発言は部下にとって重みのあるものです。部下への発言は的確に適切に行い、自身が言ったことへの責任を持つ事で説得力も増します。

4.口だけ出して自ら動かない

「これやっといてね!」と仕事を部下に丸投げして、進捗に対しては文句を言う。

こんな上司が周りにいないでしょうか。自分が楽をすることしか考えていない上司は人望を失います。

管理をする、とは部下の仕事に対して指導という名の文句をいう事ではありません。

部下が仕事に対して悩んでいたら時間を割いて相談にのり課題解決へのサポートをします。

部下の育成とモチベーション向上のために自ら動くことが、部下から慕われる上司の第一歩です。

管理職としてのスキルを高めるには?

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管理職としてスキルを高めるにはどのようにすれば良いのでしょうか。

方法としては研修に参加したり、マネジメント関連の書籍を読んだり、日々の業務の中で訓練したりします。

3つのポイントで管理職としてスキルを高める方法をご紹介します。

1.リーダーシップを高める

部下を育てたり、課題を解決したりする中で自然と「自分がリーダーである」という自覚が高まっていきます。

さらに、成功したことや失敗したことを理論的にまとめることで、マネジメントのポイントが整理されます。

また、上司として部下と接する態度にも注意しましょう。

先述したような誰か特定の部下をひいきしたり、感情に任せて怒ったりはせず、部下から信頼を得られる立ち振る舞いが必要です。

リーダーシップに必要なスキルについては、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:リーダーシップとは?リーダーに必要な10のスキルと取るべき8つの行動

2.課題解決力を高める

課題を解決するには何が課題なのかを把握する能力が必要です。

部下とのコミュニケーションを活発にすることで、日々の変化に気づき、課題を早期に発見することができるでしょう。

また、それを解決に導く論理的思考力が課題解決にはとても重要です。論理的思考力を高めるにはロジカルシンキング系の研修も有効です。

業務を遂行するにあたり課題が出てくるのは当たり前です。

上司として課題を早く把握して、解決するための決断力、決断するための状況把握と分析する力を日々意識しましょう。

関連記事:会社・組織の課題に対して管理職が行うべきこと!マネジメント方法で成果は向上する

3.コミュニケーション力を高める

まずは人間関係のスキル向上に関する書籍を読み知識を習得してみましょう。

コミュニケーションの基本は自分と相手の共通のテーマを話題にすることです。

一方的にこちら側の意見を言うことはコミュニケーションとは言いません。

コミュニケーション力を高める基本は「聞く事」から始まります。

組織全体が一丸となって目標に向かって業務を実行できるように「良い組織づくり」を意識してコミュニケーションを実施してみましょう。

▶▶戦略立案から部下のモチベーション管理まで!営業マネージャーが必ず意識すべき3ステップとは?

終わりに

理想の上司とは「優しいだけ」「面白いだけ」では務まりません。

部下を育て、組織を引っ張るリーダーとしての姿を見せる必要があります。

管理職は総合的な状況判断や問題解決の能力が求められるようになります。

その為には、今回ご紹介したような管理職に求められるスキルが必要です。そして、そのスキルの高め方もご紹介しました。

これだけをやれば理想の上司になれる、というものではありません。まずは自分が出来る所から始めてみましょう。

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