「社内起業家」を示す言葉であるイントレプレナー。
アントレプレナーとセットで聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか。
新規事業を始める際には不可欠とも言える存在となってきたイントレプレナーですが、イントレプレナーの成功事例にはいったいどのようなものがあるのでしょうか? そして、イントレプレナーとして成功する秘訣とは?
この記事ではイントレプレナーについて具体的な成功事例に至るまでご紹介します。
イントレプレナー
イントレプレナーとは社内起業家を示す言葉。
しかし、そもそも「社内起業家」とはどんなものなのでしょうか。
社内起業家
社内起業家であるイントレプレナーは、社内で新しいビジネスを実施する際にリーダーとなる人のことを指します。
新規事業を立ち上げる際にリーダーシップをとり、1つの会社の経営者のように振舞うことが要求されるのです。
イントレプレナーは企業の「大企業病」と呼ばれる現象を解決するために打ち出されました。
「大企業病」とは非効率な企業体質のことで、意思決定の遅延、責任逃れの連続、冒険意識の浅薄さといったことで起こり得ます。
言い換えれば、今の状態に満足してしまい、新たな改革もなく企業が停滞してしまっている状態と言えるでしょう。
このような非効率な状態を打破するためのイントレプレナーは、会社の再活性化を促進する原動力となり得ます。
新たな市場を開拓するために必要なものであり、多くの企業で導入されているのも納得できます。
アントレプレナーとの違い
イントレプレナーと似た言葉にアントレプレナーという言葉がありますが、両者はいったいなにが違うのでしょうか。
アントレプレナーとは、新規企業の立ち上げを一から行う人のことを指します。つまり、起業家のことであると言えるでしょう。
イントレプレナーには企業の後ろ盾がありますがアントレプレナーにはありません。
一方で、アントレプレナーはイントレプレナーよりも自由に行動できるという利点も。
両者の違いを、以下の図を参考にして確認してみてください。
イントレプレナーの成功事例
イントレプレナーの成功事例としてはどんなものがあるでしょうか。
ここでは森永製菓と東急の取り組みについて取り上げます。
森永製菓
森永製菓は、2013年の新井社長就任の際に「会社としてさらなる成長を遂げるために、もう一度、創業しなおすつもりでチャレンジしなければならない」というメッセージが全社に共有され、そこから新しい取り組みを積極的に進めるようになりました。
そこで社員の一人をイントレプレナーとして東京駅にアンテナショップを開くことに。
アンテナショップを開くには大量のオリジナル商品が必要であるにも関わらず、大企業の中でそれをほとんど一人という少人数でやることに難しさがあったようです。
森永製菓のイントレプレナーの一人は、周囲の人をいかに巻き込むことが大事かをメディアで語っています。
アンテナショップは無事成功し、今では東京と大阪に2店舗存在しています。
東急
東急のイントレプレナーは、オープンイノベーションを積極的に行なっています。
渋谷駅の発展のために様々なベンチャー企業と協力するアクセラレータープログラムを実施しているのです。
実際、その取り組みは成功し、渋谷駅は発展を遂げています。
イントレプレナーが語るのは、「会社の発展のために直接キャッシュを産む仕事をするのではなく、その土壌を育てること」の大事さです。
目先の利益のみを追わない忍耐力がイントレプレナーには重要なようですね。
イントレプレナーに必要な9つの要素
では、イントレプレナーとして成功するためにはどのような要素が重要なのでしょうか。
ここでは9つの要素を紹介します。
①広い視野
イントレプレナーには、新たな市場を見い出すための広い視野が必要です。
世の中の人々が本当に必要としているものを見つけるために常に視野を広く持っている必要があります。
狭い視野のままでは、自分の分野に特化しすぎてしまい、新たなビジネスチャンスを逃してしまうでしょう。
②知的好奇心
ビジネスはタイミングが非常に重要です。
そのため、社会問題への意識の高さなどが欠かせません。
常に全てのものに好奇心を持つことで新たなビジネスのタイミングをうまくつかむことができます。
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③構想力
イントレプレナーはアントレプレナーと同様に新しいものを生み出さなければなりません。
それゆえに、構想力が必要となってきます。
新しいアイデアを生み出すことこそがイントレプレナーの真髄であり、構想力は欠かせないものでしょう。
④行動力
いくら素晴らしいアイデアがあったとしても、行動にそれを移さなくては何も始まりません。
ある著名なイントレプレナーは、PDCA(Plan→Do→Check→Act)ではなくDCPA(Do→Check→Plan→Act)の順序が重要であると提唱しているほどです。
とにかく、まずは、Do(やってみる)ということが肝要なのです。
そして、そのためには行動力が不可欠なのです。
⑤リーダーシップ
イントレプレナーは一人だけで物事を成し遂げるわけではありません。
チームを引っ張っていく必要があります。そのために、強いリーダーシップが不可欠です。
みんなに納得してもらえるような計画を立て、みんなを引っ張っていくことが必要になってきます。
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⑥コミュニケーション能力
繰り返しになりますが、イントレプレナーは一人だけで物事を行うわけではありません。
周りの協力が必要です。
そのために、物事を円滑に進めるコミュニケーション能力が重要になってきます。
周りの人々をうまくまとめ上げ、調和させる力を持つことで、プロジェクトはスムーズに進んでいくことでしょう。
関連記事:コンフリクトマネジメントとは?実現のための5つのステップや必要なスキル
⑦人脈
社内で人を集めるために欠かせないのが人脈です。
自分の構想したアイデアに共鳴し、実現しようと動いてくれる人を見つけるためには、人脈が不可欠になってきます。
さらに、人脈は社内での政治力にも直結します。
新しいプロジェクトを始めるときには、社内でうまく立ち回る必要があります。いろんな人の賛成をもらったり、色々な人から支援してもらう必要があるからです。
そのための政治力を得るためにもしっかりと人脈を築きましょう。
⑧精神力
イントレプレナーに絶対に必要なものの1つとして名前が上がるのが精神力です。
新しいことをする際には、必ず批判をしてくる人がいます。
そのような批判にめげないような強い精神力がイントレプレナーには必要です。
さらに、イントレプレナーの場合、アントレプレナーとは違って社内で事業を進めていくので周りを巻き込んでいかなくては実現は不可能です。
その際に、苦手な人たちとも積極的に付き合わなくてはならない場合もあるという点でも精神力が不可欠です。
⑨忍耐力
イントレプレナーが行う事業が初めから軌道に乗ることは多くありません。
そもそも、自分が最終的にゴールとしているところまで実現できることは稀です。
そのため、我慢して小さなことをコツコツと積み上げていくことが必要です。
初めは小さなことでも、千里の道は一歩からというように、それがゴールへの一番の道だと信じる忍耐力がなければなりません。
終わりに
大企業病を治療するための薬としての社内起業家、イントレプレナー。
イントレプレナーには様々な素養が総合的に必要とされるようです。
これらの素養が自分にあるかをチェックし、足りない部分を伸ばすことで会社内の改革を進められるように準備をしましょう。
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