ストレスコーピングとは、人間関係や仕事など様々な場面でストレスを感じたときに、そのストレスにうまく対処する技術・能力のことです。
特にストレスの多い現代社会において、日々の生活の質を向上するために「ストレスコーピング」を適切に実行する重要性が高まっています。
本記事では、ストレスコーピングとは一体なにか、そもそもストレスはどんな仕組みで発生しているのか、そしてどのようにストレスコーピングを行えば良いのかについて紹介します。
ストレスコーピングとは?
ストレスコーピングとは、仕事や人間関係など様々な場面においてストレスを感じたときに、そのストレスに上手に対処するための技術や能力のことです。
ストレスに対してなんとなく行動するのではなく、適切なストレスコーピングを行うことによって、心理的・身体的負担を減らすことが可能であると言われています。
過剰なストレスが慢性的にかかると心身へのさまざまな悪影響が考えられるため、特に「ストレス社会」と呼ばれる現代において、ストレスコーピングの重要性が高まっています。
ストレスの原因と仕組み
ストレスコーピング=「ストレスにうまく対処する技術や能力」のこと。
では、そもそも「ストレス」とはなんなのでしょうか?
ストレスとは、何かしらの外部からの刺激(ストレッサー)によって、心身に負担が生じるもののことをいいます。
ストレスは主に以下の3つの要素から成り立っています。
①ストレッサー
ストレッサーとは、ストレスのもとになるさまざまな刺激のことをいいます。
暑さ・寒さ、身体的な疲労や病気、人間関係や仕事上の問題など、あらゆる外部刺激や環境がストレッサーとなります。
②認知
認知とは、自らの価値観・経験・思考の癖などによって「このストレッサーは自分にとって有害であるか?」「このストレッサーに対処する方法を知っているか?」「対処方法は実現可能か?」ということを判断することです。
③ストレス反応
ストレス反応とは、ストレスを認知しその状況が続くことによって、心身がその防衛に耐えきれなくなり、さまざまな症状を引き起こすことをいいます。
ストレス反応は心理面・身体面・行動面の3つに分類できます。
心理面のもの:不安、イライラ、緊張、焦り、自己効力感の低下、落ち込みなど
身体面のもの:睡眠障害、頭痛、疲労感、動悸、血圧上昇、食欲不振など
行動面のもの:仕事のミス、食べ過ぎ、アルコール依存、闘争的になる、出社拒否など
このような状況に陥る前に、「ストレスコーピング」を実践することによって上手にストレスを解消していきたいところです。
ストレスコーピングの種類と具体的な方法
ストレスコーピングは、ストレスの構成要素のどれにアプローチするかによって以下の2種類に分かれます。
問題焦点型
問題焦点型は、ストレッサー自体に働きかけ、問題を解決しようという考え方です。
ストレッサーに直接働きかけることで、問題となっている元凶や課題を明確にする方法です。
問題焦点型には「問題焦点型コーピング」と「社会的支援探索型コーピング」の2種類があります。
・問題焦点型コーピング
問題焦点型コーピングとは、ストレスの原因となっている物事を根本から解決することにより、ストレスそのものをなくしてしまおうという対処法です。
問題焦点型コーピングは、状況が整っていればスムーズに解決できることが多いとされていますが、直接ストレスの源となっている原因にアプローチする必要があることから、状況や立場によっては実践することが難しい場合もあります。
・社会的支援探索型コーピング
社会的支援探索型コーピングとは、問題焦点型コーピングの一種です。
ストレスの原因となっている刺激や出来事に直面した際に、周囲の人に相談し、アドバイスを得ることで問題を解決しようという方法です。
自助努力だけでなく、周囲の協力を得ることができれば、問題を一人で抱え込まないようになるためストレスを軽減しやすいでしょう。
情動焦点型
情動焦点型とは、ストレッサー自体ではなく、ストレッサーが与えられることで生じた感情をコントロールする考え方です。個人に生じた苦しい感情などを抑え、それらが生じた原因への注意を緩和することが目的です。
情動焦点型には「情動焦点型コーピング」と「認知的再評価型コーピング」の2種類があります。
・情動焦点型コーピング
情動焦点型コーピングとは、ストレスの対象そのものではなく、それに対する自分の考え方、受け止め方を変えることでストレスを軽減するという対処法です。
ストレッサーにより、傷ついたり悲しんだりした感情を相手にしっかりと聴いてもらうことにより、気持ちを整理することができます。
・認知的再評価型コーピング
認知的再評価型コーピングとは、情動焦点型コーピングの一種です。
ストレッサーとなる原因を変化させるのではなく、ストレッサーに対する捉え方や考え方を修正するという対処法です。
ストレッサーから感じる悪い点だけではなく、良い点も探し出してみたり、今まで気づかなかった価値を発見することで、状況を前向きに受け止めることができます。
企業ができるストレスコーピング施策例
働き方改革により「労働生産性の向上」が求められる中、職場でのストレスを軽減することはますます重要になっています。
では、職場で実践できるストレスコーピングにはどんなものがあるのでしょうか?
いくつか紹介していきます。
・メンター制度、コーチングの実施
社会的支援探索型コーピング、情動焦点型コーピングの実行に有効です。
メンター制度を導入し、マネージャーやベテラン社員・役員などをメンターとして定め、いわゆる「斜めの関係」で気軽に相談できる環境を作ると良いでしょう。
誰かに話を肯定的に聞いてもらうことで、精神的に楽になったり、状況を客観視したりできるようになります。
運用の際は、人事評価に直結しないことや、本人のプライバシーが守られることがポイントです。
また、メンターによるコーチングの実施も有効です。
承認されることによるモチベーションアップ、信頼関係の構築、それらによるストレスの軽減・解消などのメリットがあります。
特にストレスを感じがちな営業職におすすめの記事がございますので、コーチングの内容や具体的な手法、コーチングが捗る方法についてはこちらをご参考ください。
・社内研修を定期的に開催
「ストレスコーピングの内容は理解したが、なかなか実行できていない」という社員には、研修を行うことが効果的です。
(若手社員向け)ストレスの自己認識、セルフケア
(管理者向け)チームメンバーのメンタルヘルス・マネジメント
など、役職や年齢に応じて研修内容を用意しましょう。
特に、メンバーのモチベーション管理を行う管理職・マネージャー向けの研修内容を充実させることが重要です。
こちらの資料では、マネージャーが必ず押さえておきたい「営業メンバーのモチベーション維持・向上のためのポイント」をまとめています。
▶︎▶︎営業メンバーの成果を最大化! ~営業マネージャーが必ず意識すべき3ステップ~
また、研修と合わせて、メンタルヘルスに関しての資格取得の推奨・補助を企業が行うのも良いでしょう。
終わりに
ストレスコーピングの考え方を理解・実践することで、メンバーのストレスマネジメント・モチベーションマネジメントを戦略的に行うことができます。
さらに、職場における心理的・身体的負担を減らすことは、組織や各メンバーの生産性を向上するための土台になります。
メンバーの育成にお悩みのマネージャーの方は、今回ご紹介した内容を参考にしつつ、できることから取り組み始めてみてはいかがでしょうか。
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