優秀なマネージャーの育成は、どの企業も抱える重要課題の一つです。
今回は、「営業マネジメント」にスポットをあて、マネジメント手法の一つである「コーチング」についてもご紹介します。
マネジメント層の方だけではなく、キャリアアップを目指したいプレイヤーの方も是非ご一読ください。
マネージャーの育て方とは
リーダーとマネージャーは求められる役割は違いますが、混同されることが多いです。
リーダーはチームの方針を示して、部下を牽引することが求められます。
一方でマネージャーは部下を管理することが求められます。
したがって、
・できるだけ早いタイミングから結果責任の問われる環境で育てる
・評価すべき要素を正しく設定する
・育成プログラムを明示的に用意する
上記の3つが必要だそうです。
早い段階から結果責任が問われる環境に身を置くことで、成功や失敗を体験しマネージャーとしての冷静な姿勢を養うことができます。
評価基準については、「優秀な社員」と「マネージャー」は必ずしも一致しません。
また、マネージャーは自然に任せれば自発的に育っていくものではなく、短期間で育成するためには、意識的な研修プログラムが必要不可欠になります。
関連記事:営業マネージャーの仕事と役割とは?事例でわかりやすく説明
マネージャー向け研修を実施する前に知っておくべきポイント
ただ、マネージャーを育成する際に注意したいのが、能力開発のポイントは個人の能力不足ではなく、組織システムの不備を変革するのが優先されるべきという点です。
これは、「DIAMONDハーバードビジネスレビュー」2017年4月号に掲載された、ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授のマイケル・ビア氏他の寄稿「リーダー研修はなぜ現場で生かされないのか」で触れられています。
効果的な研修や教育のシステム構築や変革を妨げるのは、「方向性が見えない戦略や価値観」や「チームとして機能しない上部幹部陣」などの問題があります。
どれだけ優秀な個人に、研修プログラムを受けてもらっても、経営層がマネージャー育成の重要性を認識し、関心を持っていないと育成は失敗してしまいます。
経営層の意識改革だけでなく、社員が経営層に対して率直に語れる体制を構築する必要もあるのです。
そうした環境構築をした上ではじめて、マネージャー向け研修が現場で生かされるようになります。
マネージャー研修でおさえておきたいポイント
マネージャー研修では、実行力があり部下の育成能力を併せ持つ人材を育成することが求められます。
そのためには、以下のポイントをおさえてマネージャー研修のプログラムを構築しましょう。
トップ層の認識の差異をなくす
トップ層の間で、目標や方針を共有し正しく理解していないと、マネージャーを正しく評価をすることができません。
目標や方針をトップ層が理解し、マネージャー研修の必要性を正しく認識するようにしましょう。
ゴールを明確にする
どんなマネージャーになりたいか、どんなマネージャーを育てるのかを明確にし共有することで、どんな研修が必要なのかを構築することができます。
なって欲しいマネージャー像を押し付けるだけではなく、育成される人材がどんなマネージャーになりたいと考えているのか、すり合わせを行うことで本人たちの研修に対する意欲を高めることができます。
評価体制を構築する
評価体制を構築することでマネージャーに対して正当な評価を行うことで、マネージャーとしてのスキルの取得や行動を促進することができます。
実績による評価を重視してしまうと、新しい取り組みを行うよりも従来の手法に頼ってしまいがちです。
組織の変革を起こす上でも、新しい取り組みを評価するようにしましょう。
研修内容を業務に落とし込み、より効果的に活用できるように考える
どんなに素晴らしい研修であっても、研修内容が実際の業務で使えないのでは学んだ内容が定着しません。
研修で実施した内容を基に、業務フローに沿った行動計画を立て、それを評価する体制を構築しましょう。
権威譲渡を行う
マネージャーとして育成の途中であっても、権威譲渡を行い責任を持たせることは重要なポイントといえます。
失敗を責めるのではなくトライアンドエラーを推奨することで、研修で学んだスキルを実践し、身につけて行くようになります。
組織の価値感を伝達し共有する
マネージャーにとって組織の価値観を共有することは、マネージャー自身にも、部下のプレイヤー双方にとって重要なことです。
個人目線ではなく、俯瞰的に企業をみられる様に、必要に応じて適切なタイミングで共有するようにしましょう。
営業マネジメント研修
営業マネジメント研修でおさえておきたいポイントをご紹介します。
役割を認識させる
マネージャーとしての役割を明確にし、認識をさせることが大切です。
プレイヤーとして優れていても、マネージャーとしての自覚がないと、部下の育成が上手くいかないケースは多くあります。
教育対象者(マネージャー)にはまず、役割を明確にし認識をさせましょう。
必要なスキルを明確にする
営業マネージャーには多彩なスキルが求められます。
他の部署のマネージャーと違い、明確な数字を追うことや部下のクロージングに同行することなどが求められます。
具体的には下記が挙げられるかと思います。・営業プロセスの構築
・営業目標の立案
・実践
・進捗管理
・部下の育成
このほかにも各部署との折衝を行うコミュニケーション能力、導入しているシステムを使いこなすスキルなども挙げられます。
どんなスキルを、どの程度習得することが必要なのかを明確にし、目標を設定することが重要です。
ロールプレイングを行う
部下の育成においては「ロールプレイング」が有効です。
部下の気持ちに沿ったフィードバックや指導を行い、良いところを伸ばすためには、マネージャーの適切な指導が必要不可欠といえます。
このロールプレイングは、営業パーソンの育成にも効果的です。
ロールプレイングを取り入れ、実践法や評価法を構築することで、より効率的に人材育成ができるようになります。
営業マネジメント研修に欠かせない「コーチング」とは
営業のように目標数字に対して自発的な行動が求められる現場で、コーチングは部下の育成に有効な手段になります。
教育手法には、ティーチング・コーチングなど多彩な手法がありますが、中でもコーチングは1対1で行い、双方向のコミュニケーションを通して「気づき」を与え、自発的な行動を引き出します。
コーチングとティーチングの違い
先ほどお伝えしたように、コーチングは1対1で行いますが、ティーチングは1対多数で行います。
ティ―チングでは指導者が、自分の持っている知識や経験を教えるのに対し、コーチングでは双方向のコミュニケーションで、問いかけをすることで気付きを与えます。
一度に多数の人材を育成することができるティーチングは、やり方や価値観を統一することができますが、教える側のスキルに左右され、教えられる人材の個性を活かすことができません。
これに対してコーチングでは、教えられる人材の個性を活かし、考える力を引き出すことができます。
その一方で、育成に時間が掛かり、対応やマネジメント方法が複雑になるという特徴があります。
このように教育手法によって特徴が異なるので、適した手法を用いるように心がけましょう。
「傾聴」の大切さ
耳を傾けて熱心に聴くことを「傾聴」といいます。
双方向のコミュニケーションで、相手の心に寄り添いながら、心を開いて相手の話を聴きます。
この時、耳だけではなく五感を使って相手に集中することで、相手の真意に寄り添うことが重要です。
コーチングを行う人が「傾聴」することで、話す側も「この人は自分の話を真剣に聞いてくれているんだ」と感じ、信頼関係を構築することができます。
傾聴を行うためには、知識とスキルが必要ですが、コーチングをできる人材を育てることで、マネージャーの育成や部下の育成にも役立てることができます。
おわりに
マネージャーの育成と、営業マネジメント研修をご紹介しました。
優れた人材を育成するためには、しっかりとした研修体制を構築するだけではなく、定期的に振り返りを行い改善をしていくことが重要なポイントです。
失敗を恐れずに挑戦してみてください。
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